「お待ちください。幾ら何でも受け過ぎです。」
此処はギルド養成所、そしてそこで働いている職員がある男に注意をしていた。その男は薄い茶色の布地に身を包んでいるだけの外面からして怪しい服装をしている。
「そうか。だが、報酬が少ないのが悪いのだろう。」
青年は特に気にしている様子もなかった。しかし答えないわけにもいかないので仕方がなく口を使おうとしたのだろう。それに此処で使わなければ後々に響くものがある。
「それは仕方ない事です。民間からの依頼はその人が払っているものです。」
女性と思われる職員は青年に話しかけていたが全く興味がないのか背中を向け続けながらどのクエストをやろうと選んでいるので全く効果はないと思われる。何が起こるのかも大体は分かってきていた。
「そうか。して、王国から出ているものはあるのか。」
青年はクエストの内容が書かれた紙の貼られている掲示板の方を向いてじっとしていた。今日のうちにどこまでやってみようか計算しながら考えているのだろう。
「全く人の話を聞いていませんよね。貴方には一切あげませんよ。」
職員は脅しを始めた。そうでもしないとこれから王国で暮らそうとしている兵士や人間にとっては簡単な仕事がない状態から始まる事になる。そうなれば大きく戦力が削がれていくのが長い目で見ていればわかる。その為にも小さな火種のうちに止めたいと思う気持ちもわからないわけでもない。
「そうか。そうなれば掃除でも始めてみようか。」
青年はその職員の前に来るとじっとその人の目を見ながら距離を詰めていく事にした。何の意味があるのかは全くの謎だがそれでも威圧感と言うものがある。
「何をしようと言うのですか。」
「先ほどの強気はどこにいった。して、今日は少なめにこれだけの仕事をやろうと思っている。」
十枚の紙をその職員の前に出していた青年は本当に興味がないのだと思われる、此処までの会話などに。そうでもなければ青年がお構いなく暴れることは少ない。
「分かりました。もう好きにしてください。それと今日で此処に来るのは最後にしてください。他の人の迷惑になります。」
「そうか。他の用事なら別に構わないのだろう。」
「クエストを取らなければそれで良いです。」
職員は諦めているのかその声に抑揚というものもなく目が死んでいるようだった。此処までどれだけこの青年に仕事を取られているのかは言うまでもない。職員を含めたギルド養成所、又はバルタニア王国全体では結構な影響を与えている。