ロキ・ファミリアに妹との再会を求めるのは間違っているだろうか 作:非常食の大勝利!!
ご了承を…
「お、お兄、ちゃん?お兄ちゃん!!」
「美遊!やっと…やっと会えた。ゴメンな、また一人にして…」
「「エェー!」」
俺は再び妹との再会を感動の余り涙を流し、叫ぶ二人に目も暮れず妹に抱き着かれながら立ち尽くしていた。
美遊に抱き着かれてから数分経った時だった。
美遊の前に居たリヴェリアと言われていたエルフが口を開いた。
「あー、再会に水を差すつもりは無いのだが、君が、ミユの兄なのか?本当にそうだとしたら今まで何処に?」
「それを話していると長くなる。で、その前にこの狼…いや、そこの駄犬はまだ俺を殺す気みたいだが?」
美遊とリヴェリアはすぐにベートの方を見た。
ベートは今にも士郎を殺しかねない殺意を纏っている。
「俺はテメェを…テメェのその腐った神経を性根から叩き直してやる…」
ベートが言った事は冗談ではない。それは誰が見ても分かる事だ。
「ハッ…そうだろうな…確かに俺は腐っているかもしれない…だが、この場で戦うのは良くないと思わないか?」
ここは民家が並ぶ街。
流石に殺気を纏っていた駄犬は矛を収めた。
「ケッ、クソが!」
「まぁ、私は君の話を聞こうと思っている。ここで話すより屋敷で話す方がよかろう。」
「私も異議はないです。リヴェリア様。」
「ナッ、ざけんn…」
駄犬の言葉を遮る様に今度は美遊が殺気を纏った。
「ベートさん、貴方の意見は聞いていません。あ、お話の間は私の魔法弾の実験台となってくださいね?恐らく上手くなったと思いますので」
「ミユも程々に、だぞ」
「分かりました」
こうして一行は屋敷内に入った。
「まぁ掛けてくれ。紅茶を入れよう。それともう一人呼ばなければ…」
「もう一人?」
俺はソファーに腰を掛けた。
待つ事三十秒余、一人が部屋に入ってきた。
「なんや〜リヴェリア、急な客人て〜」
聞き覚えのある方言。そう、関西弁だ。
「ほら、そこのソファーに座っている青年だ。」
「青年!?、リヴェリアが男を連れて来るなんて…なんやなんや?明日は雨でも降るんちゃうか?」
現れたのは緋色の髪をポニーテールにし、眼は極端に細く、露わになる腹部は綺麗なボディラインを表している。
恐らく、彼女がロキ・ファミリアの主神。【神・ロキ】なのだろう。
ならばこちらから挨拶をするのが礼儀だ。
「初めまして、美遊の兄の衛宮士郎です。神・ロキ。妹が世話になっている。」
「エッ、自分がミユの兄!?ウソや!マジで言っとるんか?こっちも名乗っておこか。ロキや。あー固っ苦しい言葉はイヤやから別に敬語は使わんでエエで」
「私はリヴェリア・リヨス・アールヴよろしく頼む。シロウ君」
簡単な自己紹介をした後すぐに口を開いたのはリヴェリアだった。
「まぁ、聞きたい事は山ほどだが…まず、その包帯を取って貰えるかな?」
「分かった。その方が話も進む。悪いが上着だけここで脱がして貰うぞ」
それだけ言って顔の包帯を取り、着ていた上着を脱ぎはらりはらりと包帯を取った。バランスと肉付きの良い体と醜い左半身が露わになる。
「自分、それは何なん?火傷じゃあないやろ?」
「あぁ。英霊って分かるか?」
「簡単に言うと英雄が死んだ後に具現化した者やろ?まさかだと思うが自分…」
「その通り。至るかもしれなかった未来に別世界の俺がなった姿。英雄エミヤに侵食された痕だ」
二人は俺が言った言葉に唖然としていた。
「英霊に侵食?そんな事が…どうしてなんだ?何故君はその英霊エミヤに侵食されたのだ?」
「それは聞きたかった所や。教えて貰おか?」
俺は二人に前世の事を話した。
自分が災害で両親を失くしたところで一人の男が助けてくれた事。
人類を救う旅の途中で美遊と出会った事、その美遊が神稚児と呼ばれ、人の願いを無差別に叶えられる代償として魂ごと世界に縛られてしまう事。
たった一人妹をたった一人の親友に攫われ、たった一人の後輩を目の前で殺され世界を敵に回した事。七騎の英霊と殺し合う聖杯戦争に無理矢理英霊エミヤと繋げて参加した事。
最後は自分の命を掛け美遊をこの世界に送った事、その後自分が死んでこの世界に転生してきた事。
全てを話した。
「随分波乱万丈な人生やったんな〜それに今の話は全部実話やな」
「…貴方がそう言うならそうであろう。早く包帯を巻いたらどうだろうか?」
そう言えば全ての包帯を取る為に上だけ脱いでいたのを忘れていた。
「悪い、すぐにやるよ」
「聞きながらでエエんやけど、自分これからどうするつもりなんや?」
「今からこのファミリアに入れてもらえる様に交渉しようと思っている」
「ほー考えてるんやな。うんうん…そや!自分、ベートと戦ってウチが満足いったらエエで!ウチのファミリアに入れてやるわ!」
さっきまで黙っていたリヴェリアが口を開いた。
「確かにさっきまでベートはシロウ君の神経を叩き直す云々言っていたが無茶無謀過ぎる!ベートはLv5だぞ!」
「別に【勝て】とは言ってないやろ?」
「しかし…「分かった…引き受けよう。場所は?」
「ま、待ってくれシロウ君、今の君では…」
「大丈夫。俺は美遊の兄だ。妹が頑張ってるんだ。いくらレベルがゼロでもやって見せるさ」
美遊を幸せにする。その一心で拳を握り、見える右眼で前を見据えた。
恐らくこんなスローペースの投稿になると思います。
しおり、お気に入り、UA、誠に感謝申し上げます。
これからも精進致しますのでよろしくお願いします。