気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩   作:yomi読みonly

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 やっと、あのエルフさん達、3人に名前を付けるくだりまで来られました。
(それも個人的な捏造をぶっこんだだけですが。)

 でもまぁ、本編でその下りを入れるのは蛇足、というか無駄に文字数食っちゃいそうですし、こんな形で間に入れる小話的な展開で説明させてもらいます。

 個人的には満足、名前があるのって大事ですよね?


第10話 エルフたちとの身の上話

ベルリバーは状況がのみこめずにいた。

 

 ただ助けて自由にさせてあげたかっただけ、たったそれだけだったのに…

 

 

 

 なんでこうなったの? 

 

 

 

「え? … あのぉ~~」

 

「「「ハイ、なんでしょう!」」」と見事に3人がシンクロしている。

 

 

 

 

 

 

 

「あのね? えぇ~っと、私、貴族でもなんでもないよ? ただの…、そう、何でもないフツ~の通りすがりよ?」

 

 

 

 力なく説得力のない逃げ口上をとりあえず用意してはみたものの…

 

 

 

「いえ、あのような高位階の魔法を使える方が、なんでもない方のはずがありません、それにずっと私たちを気にかけてくれるその高潔な精神!きっと素晴らしいに決まっています!」

 

 

 

(えぇぇ~?高位階?まぁ、第8位階までは使えるから、そうと言えなくもないか? …ってそうか、ワーカーのみんなが第3位階までが普通の基準って言ってたっけ!)

 

 

 

「いやいや、最近までずっと引きこもって魔法のことばっかりにかかりきりだったから、世間の常識も知らないただの世捨て人だよ? お金だってあんまりないし…」

 

 

 

 なんとか、自分を「そんなすごい人なんかじゃないよ」という方向にしたかったのだが…

 

 

 

「お金の方なら問題ありません!私達がいます!すべてはお任せください。」

 

 

 

「え? どういうこと?」と意味が分からない、この子達はさっきまで、心無い主人にこき使われていたはずだ、身なりからして、そんなお金を持ってるようには見えないのだが…と思っていると。

 

 

 

「さっきのどさくさで、あいつの持ち物から当面の資金が入った革袋は回収してあります!」と…手にはジャラ!っという音をさせる中身たっぷりの革袋…。

 

 

 

 

 

「あぁぁ~…あの、あなた達が私の剣であいつの首を突き刺した時ね…」

 

 

 

 

「「「ハイ!」」」と…まるで、周囲にお花でも咲き誇るような笑顔で屈託のない表情を向けてくれた。

 

(心底、嫌われてたんだな…アイツ…ま、自業自得、身から出た錆…だな)

 

 

 

 

 

「それにあいつは私達の取り分も全部一人占めにしていたので、隠し場所もわかってます!」

 

 

 

 

「イヤ、そこまではさすがに…あの人の全財産まで没収とか…泥棒じゃないんだからさ…」

 

 

 

 と、なんとか思いとどまらせようとしたが…

 

 

 

「私達のことを盗み出してくれたんじゃなかったんですか?」

 

 

 

(やばい、この流れ…このままだとオレ「どろぼうさん❤」とか親しみを込めて呼ばれそうな気がして、どこかで見たそんなシーンを思い浮かべてしまった。)

 

 

 

 

「あぁ、イヤ…たしかにあの時はそういう言い方をしたけどさ、モノの例え。っていうやつでぇぇ~…」

 

 

 

 

 と、後ろの方に後ずさっていると…

 

 

 

 

「それに私に名前まで付けてくださったのに、なんのご恩返しもさせてくれないなんて…ドレイの道に反します!」

 

 

 

(えぇ~~? さっきまでドレイだったことに絶望してたんじゃないの? いきなり受け入れちゃってどうしたん?)

 

 

 

「私は、もぉ貴女様のドレイです! ヴェールさま専用のドレイとして生まれ変わったのです、ディーネとして、生涯、付き添わせてください!」

 

 

 

「そうです、ずるいです、どうせ、お捨てになるなら、私達にもなにかいい名前をお付けください!」

 

 

 

 後ずさってひらいていた距離を、まだ名前を付けていない2人から「最後のわがままです」とばかりに一気に詰められてしまった。

 

 

 

「わかったよ、1人だけに名前を付けてあげて、ハイさよならじゃ~確かに無責任だね、それじゃ~…どうしようかなぁ…」

 

 

 

「まずはキミのことはもぅ決まってるんだよ、ずっと思いついてたけど言い出すタイミングがなかなかなくってね」

 

 

 

 すぅ…と指先を向けて、ブラウンの髪をしたショートヘアのエルフ、レンジャーもちの多少魔法も使えるらしい子にそう告げると「パァ~~!」っとした花やいだ笑顔がこぼれ出る。

 

 

 

「なんですか? どんな名前ですか??」

 

 

 

「そうだね、気に入らなかったら、別のを考えるけど…『セピア』なんて名前はどうだい?」

 

 

 

「ハイ! セピアですね! ステキです! 気に入りました、これからはセピアとお呼びください。」

 

 

 

 んん???と一瞬、言い回しにすごい違和感を覚えたが、それを追求しようとするより前に、もう一人のエルフが、間に割り込む形で、身を乗り出してきた。

 

 

 

「私は? 私にはどんな名前を付けてくださいますか?」

 

 

 

 会話の隙間を空けさせず、食い気味に顔を近づけてくる…

 

(ちかい! 近いから!)

 

 

 

 

「キミがなかなか難しくってね、まだ実は悩んでる最中なんだよ…できれば、その光を受けて煌めくような金の髪をイメージした名前を付けてあげたいんだよねぇ~」

 

 

 

 しばらく考え込んでしまうと、それには文句はないのか、こっちがなにか思いつくのをず~っと待っててくれている。

 

 

 

(実はそこまで、ひどく生活圏を犯すほど尽くしまくり~とかじゃないのかもな…)

 

 

 

 とか思いながら… えぇ~っと、髪が「金」だからゴールド? ゴールデン?…だめだ、どの文字を入れ替えてもアルファベットをアナグラムにしても女性っぽい名前にならない…

 

 

 

 と悩んでいると、先日、ワーカーチームに居た少女に渡したクリスタルを思い出す。

 

 

 

(そうだ! そっち系の名前もたくさんあったじゃないか!)と思考をそっちにシフトさせ、ピンと来たものが一つ、閃いた)

 

 

 

 

 

「いいのが浮かんだぞ? キミの名前…キミは『ルチル』だ!」

 

 

 

 

「ルチル?…でございますか?」

 

 

 

(あれ?なんか反応が薄いぞ?)

 

 

 

 

 

「ごめん、なにか気に入らなかった? 他のを考えようか?」

 

 

 

 と他のを考え始めようとすると…

 

 

 

「あ、違うんです。そうではなくって、どんな意味が込められているのかと…」

 

 

 

 と、戸惑い、不安を口にする、最後になった1人がそう心中を告げてくれた。

 

 

 

「あぁ、そうだね、聞いたことないんなら、どんな意味なのか、そこは悩むよね」

 

 

 

 と納得して、説明し始める。

 

 

 

 

「キミ達はクリスタルって呼ばれる水晶のことは知ってるかい?」

 

 

 

と聞くと、それには反応があった、すごく明るい表情になった。

 

 

 

 

(うん、これなら、多分気に入ってくれそうだな)

 

 

 

 

 

 ひとまず安心して説明を再開させる。

 

 

 

「その水晶の仲間で、「金紅石」っていうのがあってね? 水晶の中にキミのような金の髪にも見える針が内包されている珍しいモノなんだよ、それをゴールドルチルっていうんだ。」

 

 

 

 そう言うと「それで私の名前が『ルチル』ということなのですね?」

 

 

 

(かなり気に入ってくれたようだ、よかったよかった…これで、名前もできたし、彼女たちも自分たちの暮らしができるようになれば、助けた甲斐もあったと…)

 

 

 

 

「それではわたくしルチル」「同じくセピア」「ディーネの3名は生涯のドレイとして、末永くおそばに付き従わせていただきます! 

 

 

 

「えぇぇぇぇぇ~~~~~!!!!」とあまりの驚きに…首がムチウチにでもなりそうな勢いで彼女らに振り向いてしまう。

 

 

 

「なんで?どうしてそんな?…だって最後にって、せめて名前だけでもって話じゃ~…」

 

 

 

「私達ドレイには基本名前を与えられないことが一般的です、所詮は使い捨てされる運命は決まっているのですから、最初から壊れる物にわざわざ名前を考えようなんて人はまずいないと言っていいでしょう」

 

 

 

(えぇぇ?そうなの? そんな世界なの?)

 

 

 

「それなのに、私たちの価値まで見出してくれ、それを名前にまでしていただける栄誉、それはどんな他のドレイにもない、最高の待遇なのです。」

 

 

 

(あ、なんかこの先の展開が予想できたような気が…当たってほしくはないけど…)

 

 

 

 

「名前を付けていただいた以上、たとえ奪われた立場であろうと、それは「その名づけた相手専用」という名誉に預かれたという、何よりの証明に他なりません!」

 

 

 

(あぁ~…やっぱり、そういう流れになるのねぇ~…当たってほしくなかったぁ~…) 

 

 

 

 と心で頭を抱えるも…実は、この異世界での奴隷制度では、そこまでの強制権はない。

 

 

 

「名づければ問答無用でモノにできる」なんて決まりがあるなら、通りすがりに勝手に名前を付けられたら、所有権が見ず知らずの者に移ってしまう。

 

 

 

 そんなことがあったら、奴隷商人など儲けがなくなって、お手上げだ…誰もそんな商売やりたがらなくなってしまうだろう。

 

 

 

 そもそも、そんなことが世の中で成立するなら、誰も奴隷を買おうなど思わず、平気で行きずりで、見かけた奴隷に名前を与えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 ではなぜ彼女たちは、そんなことを言ったのか…それは彼女たち3人が自ら選んで「そうなりたい」と望んでいた結果、苦肉の策として、「名前を付けてもらえば所有物」という名目でゴリ押ししようという案が浮かんではいたのだが、ちょっと世間に詳しい人間ならそれはウソだとバレてしまう…という危険を冒したくはなかったからだ

 

 

 

 そんな計算高い計画を企む女たち、と見限られてはそれが叶わなくなってしまう。

 

 

 

 そんな中、彼女らに光が差し込まれた…目の前の人物からの「ずっと引きこもっていて、世間の常識もよく知らない」という言葉、それが引き金になって、この流れとなってしまったのである。

 

 

 

 

 

「いや、気持ちは嬉しいんだけど…さ、どうしてもキミらの気持ちを素直に受け入れられない事情があるんだよ」

 

 

 

「え?なんでしょうか? 私達になにか不手際でも? それともお気に召していただけないと? 手垢のついた奴隷はお好みではありませんか?」

 

 

 

と、この世の終わりのような表情をされてしまう…

 

 

 

(あぁぁ~~!! もぉ、そんな目をされたら…こんな姿で、自分を偽っているのが恥ずかしくなるじゃないか! 自分は人間じゃない、そう言えればどんなに楽だか…)

 

 

 

 沈黙を守り、何も言えなくなってしまったヴェールを見て、何を感じ取ったのか、3人は頭をさげる。

 

 

 

「私達のような地の底まで落ちてしまった者に今までの恩情、ありがとうございました。 困らせるつもりはなかったのです。私たちのことはどうか忘れてください。」

 

 

 

 と、3人でどこかに行こうとしている。

 

 

 

(分かってくれたのかな?)

 

 

 

 少し安心しかけたが、名残惜しげに一瞬振り向いた1人の目が「前の状態」に戻ってしまっている。

 

 

 

 あの…自分が「助けたい」と…自分と同じだと…放っておけないと思ってしまったあのどんよりとした瞳だ…きっとこのまま別れたらあの3人は絶望から全てをあきらめてしまうかもしれない。

 

 

 

 自分は…見捨てるのか?

 

 一度助けると決めた相手を…「これで自由になれただろう」って自分の勝手な認識で、すぐに外に放り出すのか…?

 

 

 

 それは、がけっぷちでなんとか指だけで自分の身体を支えてる状態の人がいたとして、「今、助ける!」って大見栄切ったのに「やっぱり重くて引き上げるのは無理」

 

って、掴んだ手を離すような行動だ…それなら最初から見なかったことにしてかかわらなかった方が、持ち上げて落とすような行いじゃないだけ、数段マシじゃないか…

 

 

 

 それだったら…どうせ彼女たちの手を離さなければならないのなら…自分が嫌われた方がいい!

 

 

 

 その方が彼女たちも立ち直りが早いだろう。新しい主人を見つければいいだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待って!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そう呼び止めると、3人の歩みが止まる、どこまでも緩慢な動きで、幽鬼のようにゆらりとこちらに振り向いた表情からは、すっかりさっきまでの華やいだ表情が消え失せていた。

 

 

 

「キミ達の気持ちはうれしいよ、できれば自分も、一緒に行動出来たら…きっと楽しい時間になると思う…」

 

 

 

 そう告げても、彼女たちの表情は戻らない。「どうせ見捨てるんでしょ?」とでも言いたげに目で訴えていた。

 

 

 

「キミ達にこれを打ち明けるべきではないと思っていたんだ、ボクは本当は人間に成りすまして、人として、人の中で生きてみたかったんだ…もちろん、ボクは見た目通りの「女」じゃないばかりか…、人類ですらないんだよ」

 

 

 

 そこまで言うと、少し彼女たちに表情がうっすらとだが戻ったように見えた。

 

 まだ能面のようだが、こちらが言おうとしている真意を測りかねているようだ。

 

 こちらの言葉を待ってくれている雰囲気は伝わってくる。

 

 

 

「ボクは「異形種」と呼ばれる、人外の存在なんだ…人の姿に化けることができる、成りすますことが…ね。」

 

 

 

「さっきのアイツも、実は埋めたとか、燃やしたとか、獣に食わせたとか…そういうんじゃなく…」

 

 

 

 

 

〝ボク自身がアイツを食ったんだ〟

 

 

 

 

 その一言を告げると、エルフたち3人の表情がさっと変わる、どういう感情なんだろうか…

 

 

 

 喜びではないだろう、かと言って恐怖でもない、人ではなく、人を食料にしてしまったという事実を聞かされたのだ…ひょっとして自分達も?という思いが頭をかすめてるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 怖いという思いはあるのだろうが、それでも逃げ出そうとはしていない。 

 

 

 

 それとも逃げたとしても転移で追いつめられるとでも思っているのだろうか?

 

 

 

 

 

 そこから先をどう言おうかと悩んでいると…

 

 

 

 

 

「それで…ヴェールさまは、私たちも食料として、見ておいでなのですか?」…と、抑揚のない言葉を投げかけられる。

 

 

 

 頭を振り、その言葉を否定する仕草をみせる。

 

 

 

 さすがにそこまで人間をやめてはいない、と思いたい。

 

 

 

「ボクはね?まだ人としての心は失ってはいないつもりだ…悪魔でもなんでもない…人として過ごしたいだけ…でもボクには人としての姿はないんだ…」

 

 

 

「だから真似る…虫のように「擬態」をして、他の何かに自分を偽って見せることができる。」

 

 

 

「それは食べていなくても、一度見た相手なら、誰でも…とは言いにくいかな? 印象の薄い相手だと、やっぱりぼんやりした感じになるんだ。」

 

 

 

「相手のことを知れば知るほど、その相手に近づいて真似することができるみたいでね、そんな感じだよ。」

 

 

 

 そこまで言うとエルフの1人がこう聞いてきた。

 

 

 

「ヴェールさまが「食したい」と思うのはどんな人ですか?」

 

 

 

「ボクはまだ「食べ物」として人間を見ているわけじゃない、どうしても譲れないものがどうやらボクにはあるようだ…それから大きく外れて…『生きる価値がない』とボクが思って食い殺してやりたい、そう思った人間だけかな?」

 

 

 

「ボクが誰かを裁けるほど、えらい存在って訳じゃないけどね…」

 

 

 

 と、悲しいとも…寂しいとも自分でもわからない感情が、しまい込んでいた奥深くからにじみ出てくる。

 

 

 

「譲れないものってなんですか?」

 

 

 

「そう…だね…それは仲間…かな? ボクにも昔、大事な仲間が居てね、ボク以外に40人の…大切な仲間がいたんだ…」

 

 

 

「人間こそが、自分だけが…そういう思想のもとに、ボクらみたいな異形の者を狩り殺していたやつらがいたんだ、そいつらに対抗するように、抵抗できるように…そんなやつらに誰かが犠牲にならないように…そういう想いで集まった41人だった…その内の1人にね? 【半魔人】って種族の女性がいたんだ。」

 

 

 

「その人はエルフを1人、自分の妹のように愛していてね(実際に妹だったんだけどね、説明が面倒だからそういうことでいいや…)…とても大切にしていた。

 

ボクらは異形の者同士で、お互いを護り合おう、そういうグループだったから、そのエルフの女の子を仲間に迎えることはできなかった…

 

 だからかな?

 

 キミたち3人があんな扱いを受けてるのを見てると…どうにも許せなくてね…」

 

 

 

 いつの間にか、3人に聞かせるというより、自らの過去話になっていることに気づき、かなり照れ臭くなり、むりやり話の転換を図る。

 

 

 

「だから、キミ達のことを食料だとは思ってない、アイツのことも食料としてじゃなく「許せない」って殺意の方が強かったかな?」

 

 

 

 と半笑いの表情で言うと。 

 

 

 

「それなら私達と同じですね」

 

 

 

 少し、共感を向けてくれたようだ。

 

 

 

「それにわざわざ人の種を食料にしなくても、人が食べる物と同じものも食べられるし、サラダも食べられるんだよ?」

 

 

 

 そう言うと、少し目を見開かれた後、3人は思いっきり笑い出していた。

 

 きっと、まだどんな姿かはわからないだろうが、人間ではない何者かが微笑ましく

 

サラダをムシャムシャ食べている様子を思い浮かべたのだろう…。

 

 

 

 

 

 ひとしきり笑った後、表情は普通のものに戻り、こちらに体を向けてくれた、少しは理解してくれただろうか、人食いの化け物じゃない。って程度には。

 

 

 

「それではヴェールさまというのは偽名ですか?」

 

 

 

「いや?そうでもないよ? ボクの名前は本当は「ベルリバー」っていうんだ、でもこっちの世界では普通でも二つに分割された名前が一般的みたいだから…」

 

 

 

「だから、リバー= ヴェールというお名前なのですね?」

 

 

 

「そういうこと」

 

 

 

「それなら私たちが気に入らなかったり、邪魔だと思ったわけでもないのですね?」

 

 

 

「まぁ、そうだね」

 

 そう言ったところで、ハ!っとしてしまった、今のは言っちゃダメな発言だったのでは?と思うも、言ってしまった…もう遅い。

 

 

 

 こういうのなんだったっけ?「吐いたツバは飲めない」…だったっけ?

 

 違うような…まぁいいか。

 

 

 

「人のように過ごしたいという思いがあり、人の姿になれる、それは人を食べなくても人の姿になれ、人を食料とせず、人と同じものを食べられる…それは普通の生活ができるということじゃありませんか?」

 

 

 

 なかなか理知的な考え方をするものだ…そういう冷静さと知性、頭の回転の良さはルチルの得意とするところなのだろうか…?

 

 

 

「ん~~~、そうかな~? そうだろうか?」

 

 

 

 

「そうですよ、ちなみに本当のお姿はどんな感じなんですか?」

 

 

 

 

「全身に口があって、口中に牙がぎっしり生えてるよ? かろうじて、手もあって足もあって人としての輪郭はあるんだけど…あるのは口だけっていう姿ですっごく怖いよ?」 

 

 

 

「目も耳もないんですか?」

 

 

 

「無くはないと思うよ? 自分で水鏡に映して見た感じ、目も耳もどこにあるのかわからなかったけど、一応意識を向けた先の景色や人の感じはちゃんと見えてるし…自分がどういう顔で、どんな姿かっていうのはちゃんと映した時、見えていたからね。…それに音も声も拾えてるから、機能は働いてるんだと思う。」

 

 

 

「それではアイツの姿になったまま、ワーカーの仕事もできたりできそうですね」

 

とさりげなくとんでもないことを言い出すディーネ

 

 

 

「さすがにそれは…アイツとボクじゃ~性格もなにも全く違わない? バレやしないかい?」

 

 

 

「それは大丈夫です。」と笑顔のセピア。 

 

 

 

「一日だけなりきって生活すればいいだけですよ?いつも使う宿屋に行って、隠し場所から全財産を回収すればいいのですから、それにあれはもともと私達の取り分でもありますし、それをヴェールさまが管理していただければいいだけの話です。」…とルチルもそれに追従する。

 

 

「…って、あれ?いつのまにか、一緒に行動することに話が逸れてきてない?」

 

 

「帝国で人として生活するならワーカーとして生きれば、それなりに生活には困りませんよ?」

 

 

 

と3人が保証してくれる。

 

 

 

「それに私たちも、人間の所有物って立場が崩れると、その先、どんな扱いが待ってるかわからなくて不安なので…だからどちらにとっても損はないですよ?」

 

 

 

「そっか、それなら、しばらくはそうしようかな?」

 

 

 

(それにしても、なんだかんだで、流されやすいよな、嫌われようとしてたはずなのに、悪役になりきれなかったとか…とんだ道化だ。)

 

 

 

「あ…そうだ、1つ聞きたいんだけど?」

 

「「「ハイ! なんでしょう!」」」

 

 

「ワーカーで生きてくなら、オレ、エルヤーって名乗った方がいいのかな?」

 

 

 という言葉には3人とも苦虫を噛みつぶしたような顔になり…

 

 

「それは一日だけ…でお願いしてもいいでしょうか?」

 

 

 と頭を下げられてしまった。




 なんだかんだ、話が終わった後、エルフたちの今後、ベルリバーの身の振り方。

 などなどを考え始めたら、書きたくなってきたので、書いてしまいました。

 結局、全部バラしてしまいましたが、ずっと支配者ロールで引くに引けなくなってしまった某支配者さまよりも、幾分か気が楽になったのではないでしょうか?
 
 暴露話では、現地の人たちでは意味不明な表現も含まれることはベルリバーさんもなんとはなしに気づいているので、ぼかせる所はボカシ、うまく言い換えられる点はニュアンスを変えて説明しています。

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