気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩 作:yomi読みonly
色々と元気づけられました。
それはそうと、今回のことで気づいたこと…運営からサクッと警告されてしまいました。
【小説(SS)以外の投稿】ってなタイトルでお叱りを受けてしまいましたので、お目汚しな内容でも
ありましたし…
そういう事情もあるので、先だっての弱音を吐いた文面はまとめて削除します。
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そして、今回、私が改めて気づいたこと…
やっぱりムリでした!
ってことですね。
NPCキャラに設定を盛りすぎ&期待しすぎ、更には求めすぎ!ということに気づきました。
その結果、どの組み合わせをしても、システムに則ってキャラを作ろうとすればイメージから
外れてしまう。
なので、感想でもありましたように「なんとなく設定」という基本部分に立ち返り、話を進めて
みます。
きっとNPCキャラは、特技や呪文、秘術や、神秘、信仰呪文など、すごいことになると思う…
それでもLVは50程度なので、守護者には遠く及ばないと思われ…(((^_^;)
ここはナザリック地下大墳墓…支配者は帰ってきてすぐ、ベルリバーの部屋に訪れていた。
もちろんそこにはアインズ一人ではない、カルネ村に泊まった際、その日の途中でアインズ当番を中断されてしまったニーネ、そして本日の当番のテネシスだ…。
本来は当番を2人も連れ歩くのは「自分で決めた当番ルール」を乱してしまうことになるが…ニーネからすれば来客が来た後、アインズ当番を外され、来客のもてなしを任されたのだ。
言うならまだ「あと半日なにもしていない」という嘆願がアインズにされたのだ。
(普段は慎み深いのに、こういう時だけ打ち解けた雰囲気でおねだりしてくるんだよなぁ~…まぁそれも「服従一色」だった頃に比べたら幾分マシか…)
そう判断して、特例としてニーネ、テネシスという二人体制で付き従わせ、アインズと共にベルリバーの部屋へと来ていた。
「あ…あの、アインズ様…このお部屋は畏れ多くも至高の41人のお一人、ベルリバーさまのお部屋では…無断で…その…良いのでしょうか…?」
本日のアインズ当番であるテネシスから不安そうな声で尋ねられる。
(ん…あぁ、そうか、箝口令は敷いてるけど、あの時の気配が誰かって言うのはまだ知らせてなかったな…でもこれはサプライズイベント前だし…なんて言おうか…)
「あぁ…んん…お前たちには伝えていなかったか…すまんな、勝手に動いてしまって、戸惑わせてしまったようだ」
(とりあえず、言い訳するための時間稼ぎだ!)
「いえ、決してそのような…私どものような一般メイドなどに行動の報告など…不要です、至高の御方であらせられるアインズ様の望まれるままで構いません」
テネシスもニーネもそろって腰を折り、謝罪の姿勢で顔を伏せている。
「ん?そうか?それならばいいが…私がこの部屋に入るのには反対か?」
(とりあえず話を合わせながら、突破口を見つけて行こう…それしかないもんなぁ…)
「いえ、とんでもございません! 単純に…このお部屋に入られる真意が知りたかったもので…身分にそぐわぬ質問、お許しください。」
「あぁ…かまわないさ、この部屋に来たのはな…最近少し思いもよらぬ不測の事態が起こったものでな…それに対応するための人材確保のためだ。」
(身分にそぐわぬって、何もそこまで言ってないぞぉ~?)
「人材…でございますか?」
「あぁ、お前たちの戸惑いはよくわかるぞ、この部屋には誰も居ない、そう思っているのだろう?」
(まぁ、事実、プレイヤーは居ないけど…NPCは一体、居るんだよな…一般メイドはこの部屋とか…掃除に入ったりしてないのだろうか…)
「そういえばお前たちは仲間たちの部屋を1つ1つ掃除などはしていないのか?」
「あ…、はい、掃除などのため、入室することはございます。 しかし…御方々の私物などが収められている中など勝手に見ることは不敬な行いとなるので…そこまでは…」
「そうか…それならば知らずとも仕方は無いな…実はこの部屋にはかつて、ベルリバーさんが居た頃…とある術式を施しては置いたものの、起動されること無く、放置されたままの状態で「ある者」が命令を与えられる機会に恵まれずに、そのままになっている…その結果、今に至っている状態なのだよ…。」
(未起動のNPCが居るんだから、ウソじゃないよな…)
「それは…どのようなものでございましょうか?」
「とある特殊な者の召喚…ではないな…敢えて言うなら作成系の魔法…と言った方が近いか…それの上位、その術式を起動させるのはこの世界に来て初めて…なのだが…、まぁ失敗する恐れもあるが…恐らく大丈夫だろう。」
「それは危険な者なのではありませんか?」
主人の身の危険を心配した2人のメイドが同様の視線をアインズに向けている。
「とんでもない…あのベルリバーさんが作り出した者だぞ?ナザリックに危害を及ぼす筈もなかろう」
「それはよぅございました、それでは私共も…よろしいのでしょうか?…不敬では…?」
「ん…そうだな…入りにくいのであればムリをすることはない、お前たちは魔法などを習熟してるワケではないのだから…」
アインズはそう言うと、2人の頭に手を置いて、優しくなでながら言い聞かせるように語り掛ける。
「変に踏み込んで魔力を吸い取られてしまっては一日気絶して、私の当番どころでは無くなってしまう恐れもあるからな…よし、2人は私が出てくるまで、待機しておけ…」
自分たちのような消耗品のごとき存在をも大切に扱ってくれる至高の主人の言葉に感動し、瞳を潤ませながら…
「いえ、例えこの身が滅びて消えようと、至高の御身を守るためであれば、この命…捨てることになろうとかまいません!どうぞ、お気になさらず、お連れください!!」
(えぇぇぇ? こう言えば、聞いてくれると思ったのに、逆効果だったか…仕方ない最後の手段だ…ウソも混じるけど、この子らのため!)
「そのようなこと言ってはならん! お前たち一般メイドは41人…お前たちであれば、その意味、分からぬはずはあるまい…」
「そ…それは…」
その言葉に2人は一様に口を閉ざし、それ以上は言えなくなってしまう。
「そうだ…41人それぞれの想いが込められ、作られたお前たちの存在は、41人で初めて「一般メイド」なのだ、例え1人でも欠けていいものではないのだぞ?」
「わかるな?」
そう問いかけながら、彼女らの目線に合わせるように腰を折り、同じ顔の高さで言い聞かせる。
「私はこのナザリック地下大墳墓の主人だ! おめおめとやられはしない…何かアクシデントがあろうと、1LVのお前たちに守られねばならぬほど弱くはないつもりだ。」
「…わかりました、それではここで無事にお戻りになられるのをお待ち申し上げております」
2人がそこに至り、ようやくそう納得して送り出してくれる段階にまでなる。
「うむ…それでは行ってくる…見張りは頼んだぞ?」
(やったぁぁ、やっと望む流れに持ち込めたぞ…はぁ…疲れたぁ…)
アインズがここまでしてNPC創造の場に立ち会わせたくないのには理由がある。
一般メイドとは言え、その現場を見せてしまうのは…例えて言うなら自分の子供に、出産のビデオ動画を「こうやって生まれて来たんだぞ?」と見せる時の心境に似ていると言えばわかりやすいだろうか…
NPCを作るための最後の50ポイントとは言え、それを見せてしまうのはとてもではないが「大丈夫だろうか…」という不安がぬぐえないためだ…
なにも起きなければ、そのまま最後となった、このポイントを使い切る…。
そうなれば必然的に「どうやってNPCを作る作業が完了するのか…」の現場を見る機会は永遠に訪れないことになる。
それならば、いっそ、知らぬままで「その機会」が失われた方が彼女らNPCとしても幸せなのではないだろうか…という何となくの親心なのだ…
親になったことのない鈴木 悟には理解しようとすることは出来ても、真の意味で同じ立場に立つことは出来ない…とは言え、仲間が残してくれた家族であり、子供のような者たちに対して、それを見せて平気なのか?と自問すると…どうしても答えが出せなかったためだ。
アインズが部屋に入ると、ベルリバーが居なくなってからも一般メイドたちの掃除はよくされているのだろう…ホコリも目立たない小こざっぱりとした部屋であった。
「ベルリバーさんの部屋に無断で入ったことないから、確証はないけど…」
そう言って一般メイドたちとの会話からあたりを付け、人の大きさを入れるんなら、きっとココだろうと予想を立て、そこの目の前に立つ。
そこはウォークインクローゼット。
普通であれば、そこに衣服などを入れておくべき場所なのだろうが…一応それも「彼らの私物」という扱いからすれば、この中は恐らく見られてはいないだろう…
ベルリバーさんの性格からして、自分の作品であり…娘である存在を放置で去るとは思えない。
そう結論づけ、ゆっくりと…静かに、そこを開けると…やはり思っていた通りであった。
そこには
そのため、獣人の証たるケモ耳は見えないように工夫されていた。
尻尾は…多分隠されているのだろう…、一見すると大昔、リアルの世界でまだ「サムライ」というユグドラシルでも超レア職だった存在が普通に生活していた時代にみんなが当たり前に着ていたという「和服」のようなイメージの衣装が着せられているようだ…そのため、その余裕のある服の下に尻尾が体に巻き付けられていても違和感など誰も覚えないだろう見た目になっている。
そして、日本人特有のつややかな黒髪。
元にした種族はブラックジャガーと言っていたので、黒髪にしたのだろう…
至る所に作り込みが施されており、ベルリバーさんの思い入れが分かるようだ…
瞳などは、ジャガーの瞳にふさわしく、瞳孔が獰猛な肉食獣のものとして見開かれたまま、NPC製作用の保存ケースに収納されている。
この専用ケースの中でなら、瞳を見開いたまま、瞬きしない状態で一年中立っていても目も乾かず、直立姿勢で疲れたりもしないだろう。
とりあえず、そのまま見ていても仕方ないと、その専用ケースを開き、「ぷしゅぅぅ…」という音と共に中から煙のような気体が漏れ出てきて、そのまま周囲の空気と混ざって消える。
そして、「用が済んだら返しに来る」という約束をオーレオールにして、借りてきたスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン…、玉座の間に居なくても、これの専用ツール機能を使えば、問題なくNPC起動ができるはずだ…。
(さてさて…目覚めさせる前に名前を確認しないと…だな、そうでないと起動させる対象を特定もできないし…)
「えぇぇ~…っと? あぁ、あったあった、これが名前か…そう言えばこの名前だったな」
専用のケースに着けられていた名札の名前を確認するとスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを高らかに持ち上げ、即座にこう告げる…「目覚めよ!フレイラ!お前に命を授けよう、主人の想いを果たすのだ!」
目の前のNPCにそう告げると、その、どこか虚空を見ているような…そんな焦点の合わない瞳に意思が宿ったようになり、すぐに目の前の支配者に視線を向け、即座に跪くと命が宿った喜びを告げてくる。
「初めまして、ナザリック地下大墳墓が支配者、至高の存在たるモモンガ様、この度は不詳のわたくしめに命を分け与えてくださったこと、これ以上ない喜びにございます。」
「うむ、そうか…お前はそのことを知らなかったのだな…どうやら起動する前から今までのことをまだ知らぬようだ、まぁそれも致し方ないな…ずっと専用ケースの中に居たのではわからぬのも道理…か。」
(さてさて、一通りのことをまず最初に教えておかなければな…)
「あの…なんのことでございましょうか?」
「あぁ、この墳墓の支配者と言う私に対する認識に間違いはないが…事情があってな、この墳墓は今や沼地にあるのではなく全く別の地に飛ばされてしまったのだ…ナザリックごと…な…。」
「なんと…それはまことにございますか!…となると、我が主人は…造物主たるマスターはいずこに?」
「あぁ、それも教えねばならん…だが、その前に…この世界は我らが居たユグドラシルではない、全く別の世界だ…そのため本当の名を私は隠し、アインズ・ウール・ゴウンと名乗っている。これからは私のことをアインズと呼ぶようにな…」
と一拍の呼吸を置いて(呼吸の必要はないが…)
「ちなみにお前の創造主たるベルリバーさんも今は名前を変えている…今は『リバー=ヴェール』と名乗って外の世界に出てもらっている、外の世界の情報を収集してもらう為にな…」
(本当はちょっと違うけど、この子の不安を煽るのは良そう…安心させてあげるのが第一だからな…)
「外の世界…とは、それほど危険なのでしょうか?」
表情を引き締め、緊張を宿したままで自らの創造主へ及ぶ危険の排除を模索しているようだ…
「実を言うと、レベル的にはそれほどでもない…かなり特殊な事例を除いて…普通の人間で、レベル30までで英雄、40前後なら逸脱者、50以上なら化け物、もしくは魔神…か魔人と言ったところだろうな…」
「それならば、我が創造主ならばなにも問題ないはずでは…?」
不思議そうな表情のフレイラにその答えを示す。
「まぁ、それはそうだが…彼には今ナザリック内の者を向かわせていなくてな、正直、護衛という点では不安が多い」
「それでは…マスターお1人で外の世界の情報収集を…危険なのでは?」
「お前の心配もわかるが、一応彼は現地の者で味方を既に作り始めている…その点では彼はこの世界に溶け込み始めている…早くもな」
そう安心させるようにベルリバーの現状を教えると「おぉ…さすがです…マスター…我が創造主さま」と、しきりに感激している。
(やっぱりNPCはこういう性格になるんだな…これからのベルリバーさんの気苦労が見えるようだ…)
「さらに付け加えると、その協力者の中でもエルフが3名…常に彼のそばにいる。レベルは低く、POPモンスターの低レベルと互角くらいの実力しかないが、それでもこの世界では少しは力になる感じではある。その者らがいるので、孤独の情報収集ではないというのをまずは覚えておけ。」
「は! 貴重なお話ありがとうございます! それで…わが身はこれから何をすればよろしいのでしょうか?」
「その前にナザリックの中のことはどのくらい知っている?それを聞かぬままでは心配で外にも出せぬのでな…」
「は…私が知っているのは、守護者の方々と…至高の御身自らがお作りになられた領域守護者様…それから、統括たるアルベド様に…プレアデスの方々…それからセバス・チャン様。ペストーニャ様に、エクレア様…アルベド様の姉であられるニグレド様…と言った感じでしょうか…?」
「そうか…ガルガンチュアや、ヴィクティム…オーレオールはどうだ?」
「は…皆様のお名前も存知あげております…ですがどのお方もまだ面識はございません。」
「どのような容姿、特徴、種族や職業か…などはどうだ?」
「その程度でよろしいのであれば一通りのことは…」
「うむ…それならば、外に出ても問題なかろう…それではこれを持っていくがいい…、世界の全てを記されてるわけではないが少なくともココ周辺の地理は分かるようになっている地図だ…やっと外に出る守護者用に持たせられるくらいには精度がよくなってきたからな…」
「ありがとうございます…して、ナザリックはこの地図のどのあたりで?」
「あぁ…それならココだ…、それでベルリバー…ではなく、この世界ではリバー=ヴェールさんだな、それがこの辺りだ…まぁその周辺は私も覚えているので<
「ありがとうございます、至高の御身より賜る貴重な情報…そして研鑽の結晶を瑕疵していただけるその深い恩情に感謝いたします」
「それはそうと…少し、お前の装備を鑑定しても良いか?見た所、素手のままで武器など装備していないようだが…?」
「あ…ハイ、どうぞお気の済むままに…、ですが恐らく我がマスターは私に【双手拳士】の職業を持たせてくれていたので…その上で種族特性の爪攻撃をさせるおつもりだったのではないかと…」
「あぁ、そうか、そういうことだったか…しかしこの世界に於いて、折角耳も尻尾も隠して人同様にしてるのに爪攻撃で正体がバレては、不都合なことが起こる可能性という心配がぬぐえぬのも否めまい?」
そう言うと<
「やはり…か、その形態での武器などはまだ装備させてもらってはいないようだな…」
と言うとアインズは自分の手持ちのアイテムボックスからなにかを探るように空間に消えた手を動かし、色々と探している。
「おぉ…あったあった、意外と奥の方にあったな、まぁ冗談で作ったアイテムだから、忘れてて奥に行ってても仕方のないことだろうが…」
そう言われたかと思うと至高の御身は私に一対のグローブ?を差し出してきた…それはグローブというより手袋に近く、指先部分が露出するような造りになっていた。
しかしグローブと明らかに違う点は、拳で相手に接触する部分にゴツゴツとしたスパイク状に金属が埋め込まれ(縫い付けられ?)ている。しかも手の甲には真っ赤な…見事なカットが施された宝石。
これは間違っても裏拳など、使ってはいけない手段になってしまったようだと、彼女は即座に思い至る。
「あ…あの…アインズさま…これは?」
「あぁ…徒手格闘する人用にネタで作ったものだがな…、一度使ってもらっただけで死蔵されていたものだ…使うといい。」
そう言われたアインズ様は私に、その手袋の効果を説明してくれた。
「『
「え?…そうなのですか…? その程度の…あ、申し訳ございません! 失言でした…。決して御身の封じられた魔法を『その程度』などと言った訳では…」
「あぁ、かまわないとも、私もこの世界の基準を知った時は、『弱い者どもだな』と思ったものだ、咎めはしないとも…」
「あぁ、そうだ、その『
(懐かしいな~…格ゲー好きの獣王メコン川さんの希望で作ったものなんだよな…第3位階魔法だったから、そこまで手をかけたわけじゃなかったけど、イメージに合ってくれたようで、喜んでくれたっけ…)
そんな想い出に浸っていると、そばに控えているフレイラから声が発せられ、そこで我に返る。
「は…しかと心に留めておきます!」
「さて…それでは防具の方はそのままでもよかろう…あの世界では明らかに過剰な気もするが…その衣装の下であれば、それほど目立つまい…」
そう言われた至高の御身は、私が待ち望んていた魔法を唱えてくれた。
<
そう唱えていただくと、目の前に闇の空間が広がる…今すぐにでも飛び込んで我がマスターの元に馳せ参じたいという想いを押しとどめ、目の前の支配者に視線を向ける。
さすがにそのような醜態をお見せするわけにはいかないからだ。
「今、私が展開させた<
(それじゃ、がんばってベルリバーさん…彼女のことは親であるあなたに任せましたよ!)
「さぁ、行くがいい! そしてお前の主人の望みを叶える一助となるのだ!」
「は! 御身のご命令のままに!」
そうひと際、強い決意を感じさせる声で応えた後、獣人さながらの身のこなしで風のように闇の扉へと飛び込んで行く…するとそれに合わせたように<
「うん、これでいいな。さて、ニーネもテネシスも待ってるだろうし、部屋から出るか!」
そう言葉にした瞬間、大事なことに気づく…
「あ…そういや、ベルリバーさん、こっちの世界に来て、姿を変えられるようになったって伝え忘れたな…ま、大丈夫か…創造主の雰囲気を間違うはずないだろう。」
そうして「なんとかなるだろ」的な楽観的思考で結論を出し…その部屋を出た後、支配者はすぐにオーレオールにギルド武器を返しに行き、それからはいつも通り、ナザリックの運営という日常へと戻っていくのであった。
☆☆☆
「ヴェールさん、あぁ~~ん♪」
「あぁぁぁ~~…。」
ガパっと大きく口を開ける。
「わぁぁ! おっきい口~♪ それそれぇ~!」
「なんでも入りそうですねぇ~。」
3者3様でその様子を楽しんでいる…喜ばしいことではあるが、どうにもこそばゆい…
「あのぉ~? そろそろエルヤー姿に戻ってもいいですかね?」
「だぁ~め! せっかく本当のお姿を教えてもらえたのだから、誰の目も無い時はせめてずっとその姿で居てください!」
(ムチャぶりじゃありませんか?ディーネさん…)
「ホラホラ、そこにもココにも口はまだまだあるのですから、私の方からも食べてくださいな、あぁぁ~~ん♪」
と、そこにも嬉しそうに私に食事を放り込もうとしてるルチルの姿があった。
(それにしても、カルネ村の帰りに帝都に着いて早々、北市場に足を運んで、面白いものを買えてよかったよ、少し値が張ったけど、この家では備えられてない「冷蔵庫」の代わりになるものが買えたのは、嬉しい発見だったな)
その時はもちろん、エルフの3人には幻を纏ってもらい、耳を斬り落とされた風に見えるように、さらに衣服もみすぼらしい物を纏っているように見せてだ。
買って早速、その役目を使えるような状況になったのは、まさに僥倖と言えるだろう
。
それと言うのも、彼女たち3人が帰って来て早々「疲れた、お腹減った!」と訴えかけてきたためだ…
ベルリバー本人は身に着けてる装備の効果によって食べなくても不都合はない、食べられないわけではないため、食べられるときに食べられればいいやと思っていたのだが、彼女たちには普通に「空腹、疲労、眠気など」は例外なく訪れることをスポ~ンと失念していたためだ。
そこで、食料を獲ろう!と言う話になったのだが、レンジャーの心得があるのはセピアだけ…
あとの二人はエルフ特有の耳の良さ、妖精種とも言われているだけあって、精霊との結びつきを感じられることや、インフラビジョンなどはみんな問題ないのだが…
ドルイドの技能を習得しているルチルはまぁ…何とかなるとしても、ディーネは純粋な神官構成…一応、簡易な弓は扱うことはクレリックの道を選ぶ前に覚えていたらしいので、問題はないようだが、神官としては刺突(矢)で仕留めるのに抵抗があるようだ…と思っていたのだが、実はそうではなかったというのが最近分かった衝撃の事実だった。
彼女が信仰しているのは六大神でもなんでもなく、もっと昔からこの土地(世界?)に居たマイナー神だったようで、その教えでは「生活に必要最低限の狩猟であれば…」という条件で弓などは普通に使ってもいいようなのだ…
今まで弓を使うのを見ていなかったため、神官としての信仰の現れなのかと思っていたが、食べるわけでもないのに無闇に弓矢で命を奪うのは教えに反する。という理由だったらしい。
そこでヴェールは、彼女たちにあらゆる食料を口に放り込まれながら、その時のことを思い出す…4人で狩りに出ようという話になった時のことを…。
☆☆☆
「ねぇ~…ねぇ~~…ヴェールさぁ~~ん、狩りに行きましょうよぉ~。何か食べ物ぉぉ~~!」
言い出してから、ますますお腹が減って来たのか、セピアが段々、駄々っ子じみて来た。
「そうだなぁ~…そう言えば、この森の生き物たちって…モンスター?って言えばいいのか?ゴブリンたちだっているんだろ?そいつらまでおびき寄せちゃったら、大変だからなぁ…、ボクのスキルのアレは使えないよなぁ~…」
「え?なんですか? 効率よく向こうから来てくれる便利なものですか?」
初めて聞いた知識に反応して、森のことに関してはそれなりに興味の尽きないルチルが深いところまで突っ込んで聞いてきた。
「あぁ、まぁ効率はいいよな、向こうから一斉にこっちに襲い掛かって来てくれるんだから…、まぁこの森に棲む動物くらいなら抵抗なんかされないだろうしね。」
「それはいいじゃないですか、今までなんで使わなかったんです?」
後ろから首に縋り付き、抱きつくような体勢になったディーネが甘えるように声を掛けてくる。
「いや~、だって、間違ってバーゲストやオーガ、ゴブリンや、ジャンピングリーチなんて仕留めてもさ…みんな……そんなの食べたい?」
3人ともそろって首を大きく振っていた、その場面をきっと想像してしまったのだろう。口に手を当ててしまっている。
「まぁ、どうしても襲い掛かってきたら、とりあえず仕留めて…食べなければいいしね。」
「それはそうとみんな…狩りに行くなら、もう少し装備、何とかしようよ、そういえばあれから装備一式とか新調してなかったよね。」
そう言ってあげると、3人が一斉に顔を見合わせ話し合いを始めた。
「みんなはどう? 新しい装備は確かに欲しいでしょうが…ヴェールさんが買ってくれた服はもちろんいいし好きですけど、これで冒険には出られないですしね…」
「私はもっと動きやすいのがいいな、魔法が掛かってる武器でも防具でも…贅沢言わないからどっちか一つだけでもそういうの欲しい!」
「まったく、セピアは遠慮というものを知らないのかしら…私は効果が上がるようなものでもあれば…それ以上は特に…」
最初に3人に問いかけたのがルチル、2番目はもちろんセピア、最期のは、さすがに神官であるディーネだ。
みんなもちろん遠慮しているのだろうが、そのままだと、自分が買ってあげた私服しか持たせてあげてない…冒険用の装備はこれと言ってまだ買ってあげてないのだ。
なぜならユグドラシル基準で言えば、明らかに「紙?」っていう程度の防御性能だからだ…もちろん、それがこの世界で一番硬いと言われるアダマンタイトであったとしても…。
そんなことを考えながら、いくつかの武器と防具を頭に思い浮かべる…でもそんなに強いものはない…強かったアイテムや武器、防具などはギルドを脱退して、ユグドラシルを卒業するとき、ギルメンに分けたり、フリマや、ショップに売りに出したからだ…残っているのは売れなかった〇〇LV木材とか…〇〇LV金属、〇〇LV石材などの材料系、そして、レアリティがショボすぎて、売りに出しても買い手がつかなかったもの、そしてギルメンとの想い出の詰まった、売りに売れないアイテムくらいのものだったのだ。
「ん~~…それじゃ~とりあえず、もうしばらくしたら遺跡探索のこともあるんだし、装備は整えといた方がいいだろう。 とりあえず出していくから好きなモノ選んでよ、そんなにイイのないと思うけど…」
そう言ってテーブルに片っ端から武器、防具を出して、並べていく。
(ん~…こうして探ってみると、武器の種類は剣とかそっち系多いよなぁ~、あんまりメイスとかの打撃系は突き詰めたりしてなかったからなぁ~…でも、この子たち剣とか苦手そうだし…違うのを出すようにしよう!)
そう思っていると、なにやら3人がそれぞれのアイテムを物色し始めて、興味深そうに談義を始めている。
「弓はいくつかあるね~、どんなのがいいかなぁ~? メイスは少ない感じ~」
レンジャー兼、
「でも可愛い感じのも、ちょいちょいありますよ? こんなのとか…」
そう嬉しそうにドルイドのルチルが、手元にあった…握る柄の部分がピンク、そして、その握っている棒の上の先端には鎖が2つ付けられており、それは二方向へと垂れ下がっている。
見る限りは、色が可愛いだけのただのモーニングスターなのだが…ルチルがその武器を振りぬくと、武器の先端についていた2つの鉄球を中心にして、そこから八方、いや…装備してる者の方には飛ばないので七方向へときらめく星々が、所々にスパイクの付いた鉄球を発生源にして外に放物線を描くようにして広がっていく。
よくよく見ると、握っていた棒の下の方には、可愛い金平糖のような、お星様…「☆」こんな形のが側面にくっつけられている…しかも十字の模様を真似るように…確かあれがデータクリスタルを埋めた場所だったか…とかろうじてそこは思い出せた。
運よく誰にもそのきらめいて噴水のように周囲に散らばってく星たちが当たらずに済んだのは何よりだったのだが…
自分もさすがに3年以上ぶりに出した過去のアイテムがどんな経路での入所だったかなとか…どんな効果だったかなとか、それどころか、アイテム名なんだっけ?なんて感じで…そこまで思い出せていなかった瞬間にその効果の発生である、ダメージだったか、それとも回復だったのかも、思い出せていない。
ベルリバーがヒヤヒヤとしている中、3人は「スゴイスゴイ! 可愛い可愛い」としきりに感動している。
「これは、どんなのです? これも同じような事が起こったりするんですか?」
何を思ったのか、おもむろに神官職であるディーネがモーニングスターよりは長い柄が付いた棒の…つまりはフレイルと呼ばれる武器を握りしめ、ブン! と振りぬいた。
しかし、これと言ってなにかが起きる風でもない
「なぁ~~んだ、何も起きないのですね、少し残念です」
少し不服そうだ…
「あの…ディーネさん?なにか起きた時、他の2人が攻撃の範囲に入っちゃうかもとか…思わなかったんですか?」
「え? あの…ヴェールさんが私たちの身を危険にさらすような武具を出すとは思ってなかったのでそこまで考えていませんでした…気を付けます…」
(急にシュ~~ン…ってなってしまった…言い過ぎだったかな?)
「イヤ、そういうんじゃなくってね? 今度の遺跡調査に出る前哨戦みたいな感じで、森の動物たちをボクが呼び寄せるから…、それを3人に狩ってもらおうかと思ってたんだよ…だから、一応、ヘタな使い方をすれば自分も傷つける可能性がある武器だったんだけど…説明を先にしていなかったね。そこは悪かったよ。ごめんね?」
そう頭を下げ、3人に謝ると真っ先にセピアが口を開いてこう言った
「そんなに嬉しかったって事ですよ? 今まで装備なんて物は言うに及ばずですし、身を護るための武器どころか、普通に着るための服すらも買い与えてもらってなかったんですから…主であるヴェールさんにこのような武器まで用意してもらえて、はしゃいじゃったって事でしょうね。」
まぁ、いつもなら自分が最初にそういう行動をするキャラの位置付けだったんですけどね、出遅れちゃいました……と小っちゃい声で呟いていた。
「うん、そう言ってもらえるとボクも嬉しいんだけどね、でも何かあってキミたちが傷ついたらボクも悲しいから、<
そう言って落ち込んでいるディーネの肩に手を置いて、微笑んであげる…けどこの異形種の姿で「笑顔」ってわかってくれるだろうか…
心配していると、なんとなく雰囲気で分かってくれたのか、少し顔を上げてくれた。
「そうですね、不用意に触ってしまった私たちにも落ち度はありましたから…ではお手数ですが、お願いしていいですか?」
「あぁ、お安い御用さ!」
(この娘たちの身の安全が図れるなら、このくらいの手間は労力とは思わないよなぁ~)
そう言いながら、1つ1つの武器、防具、アイテムなどに<
そして、一通り、鑑定が終わり、みんなにも説明が終わると、みんな思い思いの意見を出しながら、武器や防具を取っていく。
もちろん、弓なども忘れずに選んでいるが、矢の方は、この世界に来た時にたしか千本くらい<
結局、なんだかんだとキャイキャイとはしゃぎながら武器、防具を選んで、落ち着いたのだが…まずはディーネの装備だ。
彼女は神官なので、剣などの武器は扱えない為、殴打武器にしたようだが、防具はヨロイを装備できるので、金属鎧にしたようだ…だが問題はその金属鎧だ…さっき鑑定した時に見えたけど…やってくれたよな、ペロロンさん…あの鎧、なんで自分はもらっちゃったんだろう…
一番目立っているのがその鎧の外観だ…彼が作ったのだから、らしいと言えばらしいのだが…女性が着る金属鎧というイメージで一時期それが一般的だったらしい、歴史あるものだ…ってたしかペロロンさんは言っていたけど…まぁ、ユグドラシル製だし、あんな外観でも全身に防御効果はあるのだから、こっちの世界に来て、仕様の変更って偉大だと思う。
その外観は、一口に言えば、魅力を前面に出すために作られたんだろうな、って感じだ。
その名も『レイディアント・アーマー』
アーマー自体がまるで煌めいてるような輝きを発し、装着者の表情すら輝いてる様に魅力が底上げされている、肩当ては白い金属で作られ、そこもまた輝き、鎖骨部分は露出している。
ひじの部分まで装甲板があり、脚部防具も同様だ。それよりもペロロンさんの思い入れがうかがえるのは、彼が当時熱く語っていた「絶対領域」なる場所だ。
自分は未だにそれがどうして「絶対」な「領域」なのかが全然わからないのだが…キチンと、しかし目立ちすぎないように仕込まれている。
腰部分にはLV45金属から細い金属糸を作り出し、そこから編まれた生地から作られているスカートがあり、外見は可愛くヒラヒラなのだが、その作りから風程度ではめくれることはない。
腰部の防具もちゃんと作られているので、めくれた所でどうということはないのだが、念のためってやつだろう…
脚部防具の下に履かれているニーハイソックス?と書かれていたが、そう呼ばれている部分も手袋部分もその金属糸で編まれているため、ちゃんと防御力はある。
ウエスト部分がなぜか、半透明なスリガラスっぽい素材にされて無駄に露出感がある…
鎧自体は鮮やかな空色にされていて、爽やかなのだが、露出している部分とのギャップがなんかすごいなという感想だった…しかも妙に…煌めきも手伝っているのだろうが、スタイルが一段階くらいよく見える気がする…それもきっと鎧の効果なのだろう…。
「重くはないかい? その鎧…けっこうがっちり着込んでいるように見えるけど…?」
「え?あ…はい、ちょっと恥ずかしいっていうのはありますが、見た目の感じ以上に軽く感じられます。」
「それは良かった、ところで、その武器も両手持ちで問題ないのかい?」
「あ、はい、先ほどは振った瞬間に何も起きなかったので残念に思いましたが、起動するための言葉が必要だとは…」
そう言って持ち上げたのは先程、彼女が振りぬいてもなんの効果も発しなかったフレイル…その名も安直な「ホーリーフレイル」だ。
フレイルを支える棒の部分の石突きにあたる場所にデータクリスタルがはめ込まれ、どことなく上等感がある。
先端のフレイルの鉄棒部分は六角形の形で成型された鉄の棒で、全体にスパイクが生えている、これはLV55金属、この程度ならアインズさんの上位物理無効化で防がれる程度だから、まぁ安心だ。
その武器の特徴は、<シュート>のパワーワードを発声させることにより、棍の先端とスパイク付き鉄棒の間に、魔法的な鎖が発生する。
そしてその「鉄のスパイク棒」が敵目がけて射出され殴打ダメージを与えるというものだ。 ・・・が、しかし射程は2mであまりお得感はない。
射出したスパイク鉄棒(長さ約30㎝程度、太さ直径だいたい10cmくらい)[属性:神聖、殴打] は、ダメージ発生直後に元の場所に戻るので、掴まれて、引きちぎられる可能性は低いだろう。
「まぁ、今回の遺跡調査で、最深部まで行く必要はないから、大体中層部でアインズさんたち、あそこを守護する者達で出迎えてくれるだろう」
「あの~…本当に、そこまでしてあそこを調査する必要あるんですか? もうあそこがヴェールさんの元々の居場所だったってことは判明してるんですよね?」
そう声を掛けてきたのはルチルだ、ある意味頭脳担当とも言えるドルイドの彼女からすれば、なぜそこまでして調査がしたいのか謎なんだろう…そりゃそうだろうな、例えて言えばかつて自分たちが居場所にしていた秘密基地を守っていた人が「いつでも帰ってきてください」と言ってくれている場所にわざわざ潜入して調査する意味がどこにあるのか?ということだろう。
「まぁ…色々とね…本音を言うと、調査することが本題じゃないんだよ。」
などと会話をしながら彼女が選んだ装備をもう一度見てみる。
(彼女の方がなんか落ち着いている装備だよなぁ~…武器もそれを選んだか…)
ドルイドたる彼女が装備している防具はこれも単純なネーミング「ドラゴンハードレザー」だ。
その名の通り、レザーアーマーの一種として造られたその鎧も、ユグドラシルでドロップするドラゴン種のドロップ品。それを材料として作られた物。
ドラゴンスケイル、ドラゴン肉、ドラゴンスキン、ドラゴンファング…ドラゴンファングより質は一段落ちるが、それを素材にして新しいモンスターを生み出せたドラゴントゥースなど…数えきれない中の材料の1つ…ドラゴンスキン。通常はスクロールにしてしまうのが一般的なのだが、ムリを言って自分が依頼して、作ってもらった物だ。
材料にされたのはグリーンドラゴンの皮膚部分、その為に、毒、酸に対する完全耐性がある。
つまりその皮膚を加工し、レザー(革)として作り直した革鎧。
その革鎧のブレスト部分には竜鱗を使用して、そこだけ防御力を上げている。
本家のドラゴンスケイルアーマーのような防御値はないものの、革鎧の中では上位アイテムに位置する一品。
他の革鎧より、あらゆる属性で防御数値が上なのが売りで、それなりに高い評価ではあるものの、やはりドラゴンスケイルの方が性能は格段に上だし、その上、 耐性が完全でない(毒、酸に対してしか完全耐性がない)点でデメリット、更にすでに加工済のため、課金アイテムを使用しないとデータクリスタルを新たに埋められず、そこまでして買おうとする人がおらず、あまり興味を示されなかった、しかもドラゴン自体がレッサー種で若かったため、そこまでのレア感がなく…だからスクロールじゃなくてもいいや、的に皮を使わせてもらうことが出来たというのもあったのだろうけど…。
そして、何より装備していてドルイド感を出しているのが持っている武器。
「
神話に詳しい誰かさんが言い出して、作ることになった杖、なんでもどこかの神話で神様の命を奪ったのがヤドリギであるという伝承があったのだとか…それ以上は覚えていない。
長く太い見事な直線の枝(杖部分)の先にヤドリギが密集し、球体を形成してるヤドリギの中に六芒星が入っていて、その六芒星の中にデータクリスタルが埋め込まれている。
石突部分は刺々しく突き出ていて、まずそこで刺したら確かに痛そうだ。
その杖を装備して、魔法の発動をすればするほど、魔力の残滓を養分として「ヤドリギ」が吸い上げ、次第に光り出すらしい。
その輝きが淡い光から天使のような眩しい輝きへと変化し、六芒星を包んだ時、その真価が発揮される。
なんでも所有者がドルイド系の職業を獲得している場合、その系統の数によって威力の違うブースト効果が発生するようだ。
異世界ではドルイドが無くても使用可能になっているみたいなことが判明した。
でもその場合、「魔攻、物攻、物防」に1段階ブーストが入るのみで効果は累積しないみたいだ。
ユグドラシルでは「神」的扱いのワールドにも特効はあったが、こっちの世界ではそれが失われ、神聖系の属性種の全てにあらゆる耐性を突破する威力を発揮する、それは相手が完全耐性でも(対象が神聖なら)防げない。
裏を返せば、そもそもドルイド系の職業特化でなければあまり旨みは無く、神聖の属性が敵に居なければ、ブースト効果に辿り着けてもあまり意味がなく、買取り手が無かった。
フルブースト時に<
「それじゃ~本題って、何が目的なんです?」
セピアの防具が一番悩んだ…と言うのも、レンジャーとしての動きにペナルティを受けず、かと言って
彼女が身にまとうのは、「風迅の外套」
風属性の攻撃、効果などに耐性がある一品だ。
風の加護により高所からの落下でも軟着陸が可能 (空が飛べるわけではない)で、 軽荷重状態に限り、移動速度、「疾走」に風の後押しで移動距離↑。
跳躍でも同様に距離↑ 通常の遠距離射撃程度なら風を纏い、巻き上げたりして防御ができる。(これは自動的に防御するらしい)
魔法的な炎以外の炎なら、自分に届く前に中間地点を真空の壁にし、炎を遮断できるようだが熱は大丈夫だろうか…。
自分の周囲の空気をドーム状に滞留させることで、外部に音漏れを防ぐこともできる。(音だけ隠密状態)
たしか、ユグドラシルではここまでの能力はなかったはず…こっちに来て性能が一番上がったのはこれかもしれないな…。
そして、その下に着ているのが一番悩んだ一品、「
エルフ種のみに効果があるもので、かなりの防御力がある、その上、ステータスもアップして、エルフの長所をいかんなく発揮できる。
これははっきり言って、エルフ種が一番有利に過ごせてたあのサーバー世界でも、後衛じゃなくても大丈夫なんじゃないか?ってくらいの性能がある…これはそもそもやまいこさんの妹さんがナザリックに来てくれた時に、作ろうと思ったんだよな。
あけみちゃんって言ってたかな?
ナザリックにまた来たいって言ってたから、来た時に渡そうと思って頑張って作ったんだけど、結局、エルフで異形種じゃないから、ギルメン入りは厳しいけど、遊びに来るのは歓迎するよ、って話になったんだよな。
そしたら、何が原因かわからなかったけど、足が遠のいて行って、2度目のナザリック訪問は無くなったんだよな…。
こんなの作ってたなんて恥ずかしいから誰にも言えなかったんだけど…、さすがにこんなのをそこまでの面識もなく親しくもない相手からいきなり送ってこられたら迷惑だろうって思って、渡せなかったんだよな。
武器は、これまた、誰かさんの趣味で作られたが、お姉さんに却下されて、どのナザリックNPCにも装備が許されず、捨てさせられそうになって、ボクに捨てるふりして、「持ってて?」って言われたんだっけか…そのいわくつきの武器、外観が全てを物語っている。
その名も「コメットロッド」
形状はもちろんロッドで、先端の…頭に相当する部分に可愛らしい☆の飾りが付き、握り部分であるロッドはピンク一色。
それもただのピンクではない、バニラアイスにピンク色を混ぜたら、こんな色になるだろうってイメージが一番近いだろう、例えて言うならクリーミィピンクと言ったところか…そんな色の名前があるかは知らないけども…かなりファンシーな色であることは間違いはない。
☆の飾りが頭に相当するならちょうど首の辺りにチョーカーみたいに金の装飾が付き、更にロッドの一番下、石突きとも言われる部分にも金の輪っかが付けられ、首に相当する部分の左右には天使の翼のような真っ白な羽根があてがわれている。
このロッドの能力は、魔力消費に応じて、威力の違う彗星が敵単体に直撃するというもの、しかも第4位階相当以上の威力を出すときはマナ消費が半分になるっていう特典付き。
まぁ、こっちの異世界では第4位階の魔力消費なんてコストパフォーマンス悪すぎってことになるんだろうけどね…マナが半分であっても、きっとそうそう数は打てないだろう。
第4位階の彗星は日に一度しか発動できないし、ナザリックではきっとゴミ扱いになるだろうな…この程度、しかも非実体には効果ないしね。
辛うじて第7位階分までが出せる彗星の限界みたいだから、それも日に一度だけど…まぁ、スケリトルドラゴンの抵抗を突破するくらいの役には立つか…第3位階が英雄と言われる世界で、第7位階レベルの魔力消費など選んだら、きっと気絶するんだろうな…例え半分の消費であっても…。
でもボクはこれ、使うのやだなぁ…。
実際、発動する際、ツインやマキシマイズのような強化は適用されないし…、どこが美味しいの?って感じだ、ペロロンさんもノリで作ったんだろうな、能力のことまでは重く考えてなかったんだろう。
キーワードは「コメットインパクト」…か…ホント、あの時が懐かしいよ、あんなバカやってたみんなが居た…あの時が…モモンガさんの気持ち、今までわかってあげられてなかったな…その分まで…NPC達の気持ちも、しっかり聞いて、受け止めてやらないとな…。
そのためにも、この子達には、ナザリックで間違ってもPOPモンスターにやられちゃうなんてことは防がないと…一番避けたいのは、まとめて恐怖公の所にすっ飛ばされるって事態だな…こっちの事情は知ってるんだし、さすがのモモンガさんもそこまではしないと思うけど…。
自分がされる側になると思うと、あそこは…なんていうか…、女性キャラを使ってたプレイヤーさん達、ごめんなさい、って気分になるな…。
色々と考えることはあるけど、とりあえず、長いこと待たせないで、セピアの質問に答えてあげよう…
「ん~~…今はまだそれは言えないかな…それよりボクらの仲間が作ったギルド拠点、ぜひ案内をしたいんだ、3人にもどれだけすごいか見てもらいたいしね。」
「できれば、今聞きたい気持ちはありますけど…まぁ、それよりは今のところ獲物を仕留めて腹を満たす方が先でしょうね…それで、ヴェールさんはどんな形でおびき寄せるんです?」
「そうだなぁ~、さっきの方法は一度、辞めるとして、別の手段だな…とりあえず、スキルで【誘引の色香】でも使うか…」
「そっちは、さっき使おうとした方法とは効果が違うのですか?」
興味深げに頭脳担当が新しい単語を聞いて知識欲求が刺激されたのだろう、ルチルが聞いてきた。
「まぁ、さっき言った方は、抵抗に失敗すれば、ボクを目標にして、周囲一帯の、効果範囲内の獣(モンスター含む)たち全部が対象になって、ボクに襲いかかって来るっていうものでね、今言ったのは、抵抗に失敗すればその生き物の好きな匂い…オスならメスの匂いや、発情してる時の匂いに、主食としている食べ物、肉食動物なら、小動物とかの匂い、それか、血塗れで今にも息絶えそうな獲物の香りを出す、とかかな…それにおびき寄せられちゃうって感じ?」
「ところで、みんなはどんな動物を食べたいのかな?」
「無難なところで鳥の肉でしょうか…」
「やっぱり鳥肉でしょぉ~?」
「鳥肉でしょうね…外れがないと言う点で言えば…」
そんな感じで意見が合い、近接武器では不利でしょうね、魔法も鳥相手にはもったいないからと、さっきテーブルに出した武器の中から弓をそれぞれが一本ずつ持ち、外へと出て行った。
ディーネが「ショット(散弾の意味)ボウ[ブリザード]」、ルチルがショットボウ[ソル]、そして、セピアが一番物騒な「ショットボウ[ボルカノ]」を選んで外に出て「狩りの始まりね♪」と嬉しそうにどれだけ多く撃ち落とせるかをみんなで競っていた。
ボクはもちろん、スキル【誘引の色香】を使って、鳥たちの好みそうな香りを体内で調合し周囲に散布して、みんなの競争を援助していた。
☆☆☆
という顛末があり、現在の状況となっているのである。
そんなこんなしていると、何故か、この家に訪問客でも来たのか、ドアをノックする音が聞こえる。
珍しいこともあるもんだ…というより初めてじゃないか?
なんてのんびりとした感想を抱きつつも…「はいどちらさまですか?」とヴェールは外の訪問客にそう答える。
そう…客が来たのなら、ベルリバーでもヴェールでもなく、エルヤ―で居なければならないからだ。
そう言って反応を待っていると…どこか聞き心地のいい印象を受ける女性の声で、その訪問客はこう伝えてきた。
「こちらは、マス…いえ、ベ…でもなく、ヴェールさまの別荘でよろしいでしょうか?」
みなさん、大変お待たせしてしまいましたね、余計なことを自分がしたせいで、「閲覧不可」状態にされていたのを、先日気付いて、数日くらい放置しちゃってたかもしれません、改めて、ここでお詫びさせていただきます。
さてさて、一番悩んだのがNPCちゃんの名前、一応「フレイラ・ルアル(L)・アセンディア」という名前にしました。
ナザリック内でも珍しく3つに分けられた名前です。
エクレアとペストーニャを数えたら、3人目でしょうかね?
気が付いたら、今回の話を書くだけで2万文字まであと少しと言う、今までにない記録…。
表示状態にしないと読めないので、設定を改めます。
そして話はこれから、一歩一歩、墳墓に調査団の一員として潜り込むことになります。
支配者には通達済みなので、激怒されることは…たぶんないでしょぅ。