気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩   作:yomi読みonly

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森での生活にも慣れてきた(?)ベルリバー。

そこにやってきた者たちは…

追記:遭遇したパーティのセリフ等、それに森に響く爆音の原因も一部、変更しました。


第02話 初めての交流

 ベルリバーはひたすらに剣を振っていた…振って、振って…もうどれくらい素振りしたか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 なぜ、そんなことをしているのかと言えば、現状、唯一の命綱でもある武器の最大の技が出せないからだ…

 

 

 

 

 

 

 

 ユグドラシルの時はキメ台詞を言いながら敵に剣を斬りつけたら、ご丁寧にサウンドエフェクトまで付けられた仕様により「ズビシャ!」とも「グバシュ!」とも言える、なんとも形容のしがたい音が鳴り響き、相手のライフがゼロになった時は大爆発の轟音までしていたのだ。

 

 

 

 あのヒーロー好きのたっち・みーさんがそれを聞くたびに「やっぱりその効果音の再現度はバッチリだ、流石はあまのまひとつさん」と感慨深げに言っていたのが脳裏をよぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 しかしだ…それがなぜかこっちの世界ではなにが変化したのかわからないが、その音がしないのだ。武器として使えればある意味、たしかに充分ではあるのだが…最悪の状況になった時に一発逆転の手段を出せないのでは、命に係わる。

 

 

 

 

 

 

 

 ゲームのように生き返る魔法があるのかわからないし、自分も信仰系魔法は取得していないし、よしんば使えたとしても自分が死んだら、自分に蘇生魔法なんて<魔法遅延化ディレイマジック>でも使わない限りムリだろうし、そもそも自分が死んだら魔法の発動自体もキャンセルされてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところ、死んだら終わりなような気がするのだ…せめて信仰系を使えるやまいこさんでもいれば心強いのに…なんて居ない人のことを考えても仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 しかしどう斬りつければあの音が鳴るんだ?もぉあの恥ずかしい技名を叫ぶのも、だんだん抵抗がなくなってきてる自分が恐くなって来た頃、あらゆる斬り方を試したが基本的な斬り方をすっ飛ばしていた事に気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 大上段からの一直線の斬り落とし、これをやっていなかったのだ。

 

 

 

 袈裟斬りでも逆袈裟でもダメ

 

 

 

 

 

 

 

 横薙ぎでも

 

 

 

 

 

 

 

 切り上げでも

 

 

 

 

 

 

 

 突きでもダメだった…

 

 

 

 

 

 

 

 最後の望みに賭け、大上段から振りぬいた…

 

 

 

 

 

 

 

 しかし何にもならない…なにがダメなんだ…これが完成しないと安心して森の徘徊なんて怖くてできやしないのに……ガックリしてヒザをついていると、たっちさんがよく言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本当はもっとこぅ…片手で剣を持って、真上から真っ二つにする勢いで振りぬいた方が絵になるんだぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ…そういえばそんな奇妙奇天烈な斬り方しようともしてなかったなぁ…なんて思いながら、どうせダメなんだろ?とか思いつつ、やってみた…当然「あまのまダイナミック!!」のセリフの叫び付きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 一気に剣を振りぬき、地面に突き立ちそうな勢いで斬り下ろした際、そこにたまたまあった小ぶりな石をうっかり真っ二つにしてしまった。「…あ!…」と思っても、もう遅い!

 

 

 

 

 

 

 

 真っ二つにされたのは、もちろんただの石なワケだが「とどめを刺した」という判定になったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 静かな森に、かつて敵モンスターのライフをゼロにした時と同じサウンドエフェクトが効果を発揮した。

 

 

 

 

 

 

 

 自分でもビックリするほどの轟音が鳴り響く。

 

 

 

(なんか振りぬいた瞬間、背景が一瞬暗くなったような気がしたが…きっと錯覚だ…そう、気のせいだろう。)

 

 

 

 

 

 

 

「…まぁ、音の大きさには驚いたが…とりあえずは……ぃやったぁ~!やっとできたぁぁ~~~!!これでなんとか最低限、自分の身は守れそうだぞ! …あとは防具だけど…それは今後の課題だな、まぁ攻撃は最大の防御!ってね。」

 

 

 

 

 

 

 

 種族特性のスキルも…試してないけど、きっと大丈夫だろう…でもなぁ~…やっぱり技の名前叫ぶのって、もうちょっと抵抗の少ない名前ならいいのになぁ~…と思うも、今さら変更は効かないだろう…ならそこは気の持ちようだ!

 

 

 

 

 

 

 

「そうだよ頭の中で漢字変換させて叫べば、そんな変じゃないかもしれないじゃないか!」

 

 

 

 

 

 

 

 とすると……えぇぇぇ~~っと、アマ?尼? 甘? 亜麻?どれもしっくりこない…

 

 

 

「じゃ~「あま」って「天」の字をあてがって読もうかな? アマテラスとかいう神様がいたって、死獣天朱雀さんもそう言ってたし、弐式炎雷さんの武器もたしか、そんな名前だったしな。」

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ、そうしよう! 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことは…だ!「天ノ魔(あまのま)ダイナミック!!」これだ!言葉じりだけだとなんかよさげに聞こえるし、そう思うことにしよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルリバーはそう結論付け、むりやり自分を納得させることにした、これ以上そのことを考えるのは精神衛生上よくないと思ったためかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても静かな森だなぁ、モンスターの遭遇すら一度もないとは…ここって実は危ないなんてコトない世界なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 そう呑気なことを考えていると、木々の向こうから獣ではない何かの足音が自分の方に向かってくるのがわかる…この世界に来てやっと巡ってきたファーストコンタクトだ!どんな感じだろう…話が通じるといいなぁ~…などと思っていると、男2人と、女性2人の計4人が初心者っぽい装備で近づいて来るのが見える。

 

 

 

 

 

 

 

(一応、話が通じなかったことを考えて警戒をしていたけど、どうやら話が通じそうだな)

 

 

 

 

 

 

 

 警戒を解いて友好的に接しようと両手を大きく広げ、友好的と思ってもらえるような明るい声で語り掛けようと待っていた。木々の向こうからようやくこっちの姿を見つけたのか走り寄ってきた4人が先に声をかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、さっきの爆音はあんたの仕業か? …って、え?あんたなんだその口、モンスターか?」

 

 

 

 

 

 

 

 先頭を進み、最初に言葉を投げかけてきたのは、両手に剣を持ち、金髪の一部分にメッシュみたいな色が付いた髪の男、見るだけで判断すると、軽戦士というところか?

 

 

 

 そしてその後ろには弓を構えた耳の尖った女性、なるほど森と言えば確かにその組み合わせはしっくりとくる感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 神官風のメイスを構えたヨロイ姿の男が「見たこともないモンスターですね、あんなのは今まで見たことも聞いたことも…」という話を言い終わらぬうちに「ダメ!そいつには関わっちゃいけない!みんなすぐ逃げて!」と3人の中心にいた女の子…杖を持っているので、見た目からして魔法詠唱者(マジックキャスター)なのだろう…いぶかしむ3人の視線がその女の子に集中すると我慢できなくなったように最後の警告を仲間に発していた。

 

 

 

 

 

 

 

「そいつは私の師匠より強い!第7…うぅん、多分第8位階まで使えると思う!」

 

 

 

 

 

 

 

 と足を小刻みに震わせながら、驚愕の表情を自分に向けているのがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を受け、先頭の男が声をあげる「ウソだろ~? 第8位階なんて言ったら神話の話じゃ~ねぇか!」

 

 

 

 

 

 

 

 よほど驚いてるのか、視線は離さないが、目を見開いているのが分かる。神官風の男は「私にもわかりますよ、そのモンスターを見てると鳥肌が立って、止まりません」と言って、女の子の言葉を肯定していた。

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ~…そうか、まだ冒険を始めてそんな経っていないんだな?この人達…だからこんな初期っぽい装備なのか、上級装備でもないみたいだし…こんな感じならPKの心配もないだろう、それにしても…「神話」はないだろうに、そんな褒められるレベルじゃ~ないってのに、照れるじゃないかぁ)

 

 

 

 

 

 

 

 そう思ったらかえって安心できた、そして最初からのポーズを崩さず、努めて優しい声音で挨拶をする。

 

 

 

 

 

「あぁ~、失礼…みなさん初めまして、私はつい最近この森に来た者ですが、どうやら驚かしてしまったようですね、少し訓練…のようなことをしてたとこでして」

 

 

 

 

 そう言うと、目の前の4人は口々に相談を始めた…もちろん、視線は油断せずにこちらを見つめたまま、いつでも行動できるように…という感じだ。

 

 

 

 

(警戒されてるなぁ~…でも仕方ないか、いきなりこんな体中に牙がビッシリと生えた口ばかりの異形種、今までで見たことないなら、そりゃ驚くだろうし…)

 

 

 

 

 

 

 

「危害を加えるつもりはありません、私も別に争いごとが好きな訳ではないので、対応はそちら次第ですが、できれば、少し話し相手になってくれませんか?」

 

 

 

 安心させるようにそう言いつつ、ゆっくりとした動作で驚かせないように地面にあぐらをかいた…もちろん「敵意はありませんよ」という表明のためだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信用できると思いますか?」という神官風の男、「私は反対、見るからに取って食われそう」とエルフ風?な女性。

 

 

 

 そして恐らく魔力感知を使ったのだろう女の子は何も言わず、私から目が離せないのか無言を通している。

 

 

 

 

 

 

 

 すると先頭の軽戦士風の男が口を開く「あんた、何者なんだい? 話って言ったって、なんも面白い話なんかないんだが?」

 

 

 

 

 

 

 

 そこでようやく自分もちょっと安堵した。この世界での初めての交流なんだし、できれば穏便に済ませたいというのは正直な気持ちだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 会話を始めてしまった男に、周囲の3人は信じられないような目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

「なに言ってるのヘッケラン!そんなのと関わるつもり?」

 

 

 

 

 

 

 

 エルフ風の女がそう言った、どうやら軽戦士の男はヘッケランというらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 「俺達も、さっきの大きな音を聞いて近づいてきただけで、あんたの縄張りを荒らすつもりじゃなかったのは信じてもらいたいんだが、どうだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 そう問いかける男に「あぁ、問題ないですよ?私の方も別に縄張りって訳じゃありません、ただ、そこに見える廃墟を一晩の宿代わりにしてただけなのでね、そんなことで怒るつもりなんてないですから」となるべく事を荒立てないように言葉を紡いでいく。

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、なら俺たちはできれば生きてここから出たいんだが、あんたには危害を加えたりしない代わりに俺たちのことも見逃してほしい…っていう条件はどうだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 様子を見ながら落としどころを探すような交渉を一任してるということは、この男がリーダーなのだろう…

 

 

 

 どこまでの実力があるかがわからないが、とりあえずこちらが第8位階を使えると見破った上で、逃げる前提で話を進めるということは4人まとめても勝ち目は薄い相手だと思われてるのだろうと分かる。

 

 

 

 それなら、そこを利用させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

「別に危害を加えるつもりはないから、ここから生きて去りたいというなら別に追いもしないし、そのあとに追跡もしないよ、好きにしたらいい」

 

 

 

 

 

 

 

 そう伝えると、一瞬表情が安心するような雰囲気を匂わせるが、そこに1本のくさびを打ち込ませてもらう。

 

 

 

「しかし、君たちを生かして帰すための交換条件として、こちらにも…私が望むものを提供してもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬で顔が蒼褪める4人…

 

 

 

(いいなぁ~…なんていうかその表情の落差がたまらない…って、あれ?なんで俺はそんなことを考えてるんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 自分の中に芽生えた感情がどこから来るのかわからなかったベルリバーは軽く頭を振ってその認識を振り払う…

 

 

 

 すると「俺たちのなにが目的だい? 仲間は売らないし、金目のものもありはしないが?」

 

 

 

 

 

 

 

 そう必死に言葉を返すヘッケランとやらに平然と言い放つ「別にそんなのはいらないさ、最初に言っただろう?私は『この森に来たばかり』だと、だから出来る限りの情報が欲しいな」

 

 

 

 

 

 

 

 4人が4人とも、何を言われているのかわからず、しばらくきょとんとしていたが、終始警戒の目で見ていた女の子が「応じてもいいと思う」と言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたのアルシェ!正気? それともチャームでも使われた?」

 

 

 

 

 

 

 

 エルフ風の女がその言葉を止めようとするも、アルシェと呼ばれた女の子は言い返す。

 

 

 

 

 

 

 

「そのつもりならいつでもあいつは、私たちを全滅させられる、情報が欲しいなら<魅了(チャーム)>でも、<支配(ドミネート)>でも使えるはず、それなのに、対価も求めず情報だけを求めてきた、とりあえずウソはないと思う」

 

 

 

 

 

 

 

(よかったぁ~、優しい口調だったのがよかったのかな?警戒心は和らいでるようだぞ?よし、あともう少しだ!)

 

 

 

 

 

 

 

 神官風の男が「しかし、こんなことをいうのも問題かもしれませんが、情報を得たらすぐに始末されるかもしれませんよ?」と忠告してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 それに対してもその女の子はいまだに怯えはあるみたいだが冷静に返答する。

 

 

 

 

 

 

 

「私達は始末されなければいけないほどの情報をまだ何も知らない、外見的な特徴だけで、どんな秘密も知らされていない。 騙して始末なんて…そんな必要もなく魔法一撃で私たちはきっと終わる。 …だからわざわざ手間をかけてまで回りくどいことをする必要がない……もし姿を見られるのが問題なら、対面した瞬間に私たちはすでに生きてない」

 

 

 

 

 

 

 

 そこまで言われて、やっと折れたのか、全員が「ちゃんと生かして帰してくださいよ?」と念を押して確認をしていた。

 

 

 

 

(やれやれ、この姿を何とかしないとなぁ~…あんなに誠心誠意、話したのに全く信用されてないよぉ~…)

 

 

 

 

 

 

 

 

                  ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞きたい事を山のように聴いて、回答を引き出し、新しく浮かんだ疑問をぶつけ、それをまた答えてもらう…

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてるうちに周囲はとっぷりと日が暮れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 とにかく自分の聴きたい情報のために夜遅くになってしまったため、泊まっていくことを勧めた(コテージを展開するマジックアイテムがあったはずなのでそれを使うつもりだった)のだが、何故かすごい勢いで断られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 仕方ないので送っていくよと申し出る(上位転移(グレーターテレポーテーション)を使おうとしていた)が、それも断られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 なので、せめてこれを連れて行ってやってくれと、月光の狼の召喚(サモン・ムーン・ウルフ)を唱え、3匹のムーンウルフに護衛を任せることにした。

 

 しっかり彼ら、彼女らを送り届けるんだぞ?と指示を出し、送り出す。

 

 

 

 オオカミとは言え、月光のような白銀のふさふさした毛並みを持つ動物が相手ならそれほど恐ろしくないのか、始めこそ恐る恐るであったが、安全だと判断したら、女性陣は抱き着くほどの勢いで背にまたがっていた。

 

 

 

 あとはどうか彼らが無事に街まで戻れますように…とベルリバーは祈ることしか出来ず、姿が小さくなり、やがて見えなくなるまで見守ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 




初めての、このような稚拙な作品をお気に入りにしてくれた方々、ありがとうございます。

L田深愚さん
感想ありがとうございました

藤村 紫炎さん 霧泉涙さん デンスケさん kurasita86no3さん redpickさん kazunohさん、お気に入り登録感謝です。

これからご期待に添えるかわかりませんが、どうぞお付き合いの程よろしくお願い致します。 
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