気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩 作:yomi読みonly
結局10人で挑むことになったものの、現地の人間で一番高いLVはブレインの30ちょいくらいでしょう。
それでユグドラシルモンスターと渡り合えるのか?
第38話 みんなで特訓、レベリング![3つの扉]
アルシェは暗い部屋でベッドに横になっていた。
アルシェが早寝という訳ではない、そのベッドには3つの小さいふくらみがあり、真ん中にはネム、そして右にはウレイリカ、左にクーデリカがネムを抱き込むようにして「すー…すー…」と寝息を立てている。
(ようやく寝てくれた…)
最初こそアルシェもどうしようと戸惑った物の、結局この家に手伝いに来てくれている「元村長夫妻」の口利きによりリイジーにもこのことは通達され、現在のこの状況となっている。
一時期は確かにリイジーも養母代わりに色々面倒を見てくれたが、最近はポーション作成に掛かり切りとなっており、そうなると他のことがおろそかになるのは一族の特徴なのだろうか…?
それともポーション職人はみなこうなのだろうか?と元村長夫妻も首をかしげていたが、最近は村の皆までもが「そういう人たち」という認識になっている。
そのため面倒を見られる人が世話をする、という認識になっていて、ネムもウレイリカもクーデリカも、いつでも一緒みたいに仲良くなっており、二人に「もう寝ましょうか」というと「じゃ~私も…」と寝る支度をネムも始めてしまうようになってしまった。
実の姉であるエンリも時々は様子を気にしてくれるものの、実の所、カルネ村の村長、カルネ部族の族長、さらには一家の妻、主婦としての顔を使い分けて生活をしなければならないエンリに、さらにもう一つ「姉」という立場を負わせるのは何となく気が引けるというのが村の総意だった。(他にも「エンリの姐さん」という物もあるが…)
ネム自身もそれは分かっているようで、アルシェの家となったこの空き家だった場所も、片付けや荷物の運び込みなどの際は、彼女なりに小さいながらも力になろうとしてくれていた。
食事の時も、食器やお皿など、手伝えることは手伝ってくれ、自然と「私も~」とクーデリカもウレイリカもアルシェを手伝うようになってくれていた。
毎日、ネムのそういう健気な所に引っ張られ、お手伝いを始めた双子の妹たちも疲れが出たのだろう、すっかり眠ってしまった。
いつもであれば、そのタイミングで寝室として用意された部屋を出て元村長夫妻に「もう寝ました。」という報告をすれば、「それじゃ、もう大丈夫だね」と言って、夫妻の本来の家に帰っていくという流れで一人の夜が訪れるはずだった。
しかし今夜はそうは行かず、3人が眠りの世界に入り、アルシェも扉の音で目が覚めないようにと気を付けながらリビング代わりの少し開けた空間に移動しようと扉に手をかけた時、まだその広めのテーブルに座る元村長夫妻が居るタイミングで扉がノックされた。
「はい?どちらさま?」
そう言って奥さんが扉を開けて対応に出る。
すると、そこに居たのは自分のチームメイト、ヘッケランとイミーナ、ロバ―デイクという顔ぶれ、それにいつの間に村に出入りを許されたのか、最近の村の話題の人、流浪の剣士さんに…ジエットくんの雇い主のゴウン様…なぜかその人まで立っており、その横には異国風の衣装に身を包んだフレイラという女性が着いて来ていた。
はっきり言ってアルシェからすればよくわからない状況の上、その面子、一体何ごとか?と思い、奥さんに「私が対応する」と短く告げ、扉を閉めて外に出る。
「一体なにごと? こんな時間に?」
(さすがにあのゴウン様がここに居るのは違う気がする、みんなにゴウン様とのつながりがあるとは思えない…でもあの姿はどう見てもゴウン様?)
「あぁ、なんかこの人が面白いものを見せてくれるって話でな、もしそれが本当なら、これから俺たちを今までより強くしてくれるらしいぞ?」
軽い調子でヘッケランが口を開いて事情を簡単に説明をしてくる。
「私は信じてないけどね? ヘッケランがね?賭けをしてるんだってさ…だから勝ち負けがはっきりするまでは見届けたいんだって。」
隣に立っているイミーナも言葉を引き継いで聞かせてくれた。
「見たところ、フレイラさんからの信は篤いようです、そんな人がどのようなことをなさるおつもりなのか、私としては少し気になる所ではありますので…」
気まずそうに言うロバーデイク、よほど、自分のできない信仰系の御業に刺激を受けたようだ、まぁ3人がそれでいいなら…と、眠っている3人を見ていて欲しいと夫妻に告げ、こちらもそれに付き添うことにした。
「さて、ベルさんよ、ちょ~っとだけ寄り道させてくれないかな?」
(ベル? その人の名前? やっぱりゴウンさまではなかった…ん? ベル? ベール…ヴェール?…もしかしてヴェールさん?)
アルシェの思惑など特に気にも留めていない様子で仮面の男はそれに対して了承の言葉を剣士に返していた。
「あぁ、そうだね、キミの場合、無断で下手なことをしたらボクの魔法が発動しちゃうかもしれないし一言、言っておかないと…かな?」
軽く肩をすくませ、両手を上に持ち上げる仕草をして「ま、そういうこと、この村に仲間入りするにはその条件を飲むしかなかったからな。」と言った後、続く言葉もシンプルなものだった。
「それに本当に強くなれるんなら放っておかれちゃ困るからな、特訓なら大歓迎だ。」
「特訓?」
不意に聞こえて来た、聞き逃してはいけない言葉を聞いた気がして疑問を口にした。
「あぁ、この人が何かどえらいことをするみたいでな? 明日の夕方になるくらいまでには数ヶ月分の訓練を積めるって話なんだ。」
その剣士はそう教えてくれたが、私は早速ヘッケランに抗議をする。
「何それ? 私は聞いてない…。」
「や~、どう考えたって、そんなのペテンだろ? 何するか知らねぇが、どっちにしたってこっちの有利なことには変わりないから大丈夫だ。」
「ヘッケランは…この人の凄さがまだわかってない…、この人の引き出しには他になにがあるのかわからない不気味さがある。」
その言葉に「アルシェも私と同じで初対面」だと思っていたイミーナが聞き捨てならないと突っ込んで聞いてくる。
「あれ? アルシェってこの人のこと知ってるの? 私は初めて会ったんだけど?」
「私は…今のその姿では初対面だけど、そうじゃない時に何度か会っている…。」
(本当の姿をしてる時にみんなも会ってるはずだけど…それはヴェールさんも隠しておきたいみたいだし、言わない方が…いいよね。)
アルシェはそう言うと、ベルと名乗る男に向けて腕を持ち上げる。
その持ち上げた腕には夜でもわかるような淡い輝きを発する見たこともない金属のような光沢を有した腕輪。見やすいように鮮やかにカットされたピンクの宝石部分を見せる。
それはヴェールから直接アルシェに渡された物、「お守り」として、と言われ、身に着けていたものだ。
「あ! それ! ちゃんと身に着けてくれてるんだ、アルシェちゃん、嬉しいな、もし何かあったら遠慮なく使っていいからね?」
(やっぱり…この人、変装してるのに隠すつもりは無いのね…)
「あんたら、いつのまに交友関係を築いてるのよ? それ、なんのアイテム?」
男2人と女2人のチームで、(女では)自分だけが相手のことを知らず、アイテムももらっていない、「お守り」程度とは言え、その差に愕然としてつい口から出てしまったその言葉を聞くも、アルシェは何も返せなかった。
「私も…これがなんのお守りなのか知らない。」
チラリとベルの方に目を向けるアルシェに、彼からの言葉はそれ以上詳しくは教えてはくれない内容だった。
「まぁ、その時が来ればわかりますよ、一応作り手の想いがたくさん詰まってるので、不意打ちでも危なくなったら効果は出るハズだから。」
「答えになってない…。」
会ってまだ時間は経っていないにも関わらず、チームメイトの自分らとそう変わらない心の距離感で話しているアルシェにチームの3人は「本当に知り合いだったんだ…。」と改めて実感していた。
「あ、そうだ、いっけね、一応行く前に一言伝えとかなきゃな、お取込み中だったら困るだろうし…。」
と、歩きながら会話していると、急にこめかみに指を持っていき独り言を言い始めたかと思ったら、ベルさんは誰かに何ごとかを話していた。
「よし、これでオッケ! それじゃ行こうか?アングラウスさん、エンリさんとこに。」
そう言って自分だけで状況が分かってるベルはみんなを連れて、そう長くない距離を歩く…そしてエンリの家まで行くと、「アングラウスさんを貸してもらっていい?」と、いう許しをもらっていた。
★★★
「ありがとう、エンリちゃん、それじゃ~後のことはよろしくね。」
ベルは、事前に「今からそっちに行っても大丈夫?」というシンプルな問いかけと共に、いくつかの要望を聞いてもらいに家の方まで訪問しに来ていた、ついでのプレゼントも手土産に持って…。
エンリは「よければ家の中で…」と言ってくれたが、万が一にもンフィーレアには聞かれたくない内容も含まれている為、それをやんわりと断り、「すぐに終わる話だし、新婚の家にお邪魔するわけには行かないよ」とイジリ半分のような言葉で誤魔化した。
エンリに伝えられた内容は以下の通り。
・今夜これから広間の方で大きな儀式をする、そうしたら、大きな扉が3枚現れるけど誰も近づかせないで欲しいこと。
・「どんなマジックアイテムでも使用可能」なンフィーレアをその扉に触れさせないように…、そこに吸い込まれたら自力で戻れるか自分でもわからないこと
・自分たちはその内の1枚の扉の向こうに居るが、昼過ぎ…夕方になる前には戻るからそれまでは誰にも近づかせず、いじらせないで欲しいこと。
その3点のみを伝えたところ、「それなら広間じゃなくもっと目立たないところの方がいいんじゃ…」と言われ、「それもそうか…」と思い直し、どこがいいかと聞いた所、「それなら森側の防壁沿いに裏口があります。」というコトが聞けたので、そこにした。
エンリ曰く、元村長さんと、現村長の自分、それから森に出入りするラッチモンさんとかくらいしか普段は使っていない場所らしい。
それを教えてもらったベルは「これ、エンリちゃんに差し入れ」と言ってエンリに渡したのは片耳分だけの耳飾り。
これは?とエンリが気にすると、非常時の通信用で、ボクらがその扉の向こう側に居ても、通信できる優れもの。
というモノだった。
アニメ好きなギルメンが、こういうのも作っちゃった、と言って見せてくれたが、すぐに熱が冷めたようで1ヶ月もしない内に自分の手元に来たユグドラシル製アイテム、その名も「通信用イヤリング」という名称だが、外装としては全くイヤリングではなく耳たぶに着けると、違和感なくぴったりフィットし、デザインは菱形、アクアウォーターというレアのパワーストーンにデータクリスタルをハメこみ、その宝石を保護するかのように土台となっているのはLV10金属で作られた素材。
効果は単純で装備している者同士で<
わかりやすく言うと、「トランシーバータイプ」と言えば伝わりやすいだろうか…。
装備者に連絡が来る時はお馴染みの音と共にブルブルと耳たぶでそれが震える、そして、その宝石部分に触れると相手側の<
こちら側が返事をしたい時は、宝石部分を指で押すようにすると、押している間、自分の言いたいことが伝わるようになる、という単純なアイテムだ。
魔法が使えないクラス構成のアバターで<
なぜなら、結局、特定の1人を相手にするしか使い道がないということに気が付いてしまったからだ。
本当はこのアイテムはアルシェちゃんに持っていてもらおうかな?とも思ったのだが、今アルシェが暮らしているのはこの村であり、この村がピンチになれば必然的にアルシェの妹たちも危機的状況になる。
それにせっかくポーションを作れる環境が整ったばかりだというのにこのチャンスをふいにしてしまうのはあまりにも惜しすぎる…。という結論から…やっぱりエンリちゃんに持っていてもらおうという結論に至ったのだ。
一通りのアイテムの使い道を説明し終えると、イヤリングのもう片方はフレイラが装着していることを告げ、なにかあれば…というコトだけを告げて、裏口へと向かう。
エンリに見送られ、一行が来たのはカルネ村の裏口を通ってすぐの森との境界部分、必然的にこの扉を通れば森に行くというイメージがつきやすいような位置取りでさっそくコトを進めようとして、メンバーの確認をする。
「フォーサイトの4人に、ボク、フレイラ、アングラウスくん…の7人か…それならギリギリだな」
「ん?これからする特訓って人数制限でもあったのか?」
特訓と聞いてワクワクしているブレインが、その言葉を聞いて気になったようで確認をしてきたので返答をする。
「入れるのは1枚の扉で10人が限度だ、ちょっとこっちもあと少しだけ実力を付けさせてあげたいメンバーが3人いてね、ギリギリ限度の上限だなと思ったのさ。」
「ベル様、彼女らも一緒に鍛え上げるおつもりですか?」
静かに着いてきてあまり余計な事を言わなかったフレイラだが、少し心配をして居るようだ。
「あぁ、これからするのはユグドラシル形式のレベリングだからね、人数が多いに越したことはない、経験値も人数で分割されるけどみんなに割り振られるから…「難度」も上がりやすい、その分気を付けて挑んで欲しいんだよ。」
その言葉を聞き、少し思案しているようだったが、思い切って提案することにしたようだ。
「それならば、この場で彼女ら3人と顔合わせだけでもさせた方がよろしいかと…。」
「そうだな…そうしようか…」
(あ、そうだ、この前フレイラに提案した<
そう判断したベルは地面に手をつく…そして小さく<
(通常、敵の眼前に発生させて視界を奪う魔法だが、こういう使い方も、応用次第って事なんだな…)
そのタイミングで、それも小さくつぶやく声で<
その魔法の効果中にベルは、元の自分の姿、「ベルリバー」へと変わる。
その瞬間、体中の口を一か所に集め、大口となった場所から3人のエルフを光の円の上に吐き出し、素早くそこに立たせてやる。
3人を光の円の中に立たせると、すぐさま自分の外見を仮面の
もちろん彼女らの装備は自分が分け与えた一式全てフル装備状態だ、あと一応<
そこまで整えてややすると、効果時間が切れた。
ランダムで効果時間が変わるので、10秒程度の休止から30秒の休止という、幅の広い落差があるが、今回はなんとか20秒だったらしい、その行動時間が1秒という時間に凝縮されるのだ、目で追える速さのはずがない。
そうして時間が動き始めると、いかにも光の魔法円から、3名のエルフが現れたように映ったかと思う…というか、そう見えて居て欲しい、という祈りを込めて姿勢を正していく。
「さて、今私が呼び出したのは、私と共に旅をしてくれているエルフの3名です、みんな、自己紹介を。」
「はい、ご紹介に預かりました、ワタクシ、ルチルと申します、まだワーカーとしては若輩者ですが、クラスはドルイド、よろしくお願いします。」
その身にはどの革を使ったのかわからないが、とにかくすごい魔力を感じるハードレザーアーマー、そして武器はドルイドに合っており、太く長い木の枝の上になにやら植物のような何かが球状に密集しており、その中央にも魔力を感じる「核」とも言える星のような金属?っぽいなにかが入っている。
そして、その金髪はきらめく様で…青いその瞳は、深い海の様だ。
「次は私、セピアと申します、レンジャーと
セピアと名乗った女性は背中に一見、ロングボウに見えるが、矢を番え引き絞った際、ちょうど矢の先端に当たるような位置に見事な赤い燃えるような宝石がはめ込まれているものを背負っている。
それとは別に
ローブの方は風も吹いていないのに緩やかに小さくはためいていて、その下にはミドリ色を基調、そして所々金の装飾が嫌味のない程度に施された服を着ていた。
茶髪に近いブラウン色の髪に同色の瞳、その髪は肩にかかるくらいのセミロング、どことなく明るさを感じさせるような表情で立っている。
「最後になりました、わたしはディーネ。 神官を務めており、クレリックの位階を第2位階まで覚えております。」
クレリックに相応しく、その手には両手持ちのフレイルが握られており、見た感じそれほど変わった所はなさそうだが、どことなく目が離せない何かがあるように見える。
そして、その身に着けている鎧は、女性が身に着ける装備としてはこれ以上ないという程の煌めき、そして、身に着けた者の魅力を引き出すような意匠で、見ているとため息が出そうな程に美しい
さらに、その鎧に負けない水色の髪は透き通るようで、カールしたような毛先の印象がまたその見た目を際立たせているが、それとは対照的な力強く切れ長な瞳、それがなにより強く印象に残った。
(まぁ、墳墓に行くときは耳が切られたような幻影を纏わせるし、衣服もみすぼらしい見た目に変えるから、バレないと思うけど、一応…な)
先程の顔の造作とパーツ選びで、ベルリバーが選択したのが、ルチルは青い瞳、目元は変えてない。
セピアが髪型、本当はショートヘアな所、セミロングに変えてある。
そしてディーネが一番、鎧の効果で印象が残りやすいかと思ったため、真逆で切れ長の、目ヂカラが強いデザインにしてあった。
「さてさて、これで、お互いのことはある程度わかったでしょうから、あとはこれから行く特訓の場で色々と知って行きましょう。」
そんな中、仮面の
それは見た感じ、なにかの模型として作られたドーム状の建物のような物、その見た目とはそぐわぬ名前を持ち、見た目からは効果の内容はまずわからない。
その名も「時の歪む異世界」 それはどのモンスターが持っているのかすら公表されておらず、ドロップ率も、脅威の0.021%という確率とアイテム名しか知らされていなかった物…、ユグドラシルのWikiでも誰も見たことがないという話ししか出てこなかった話題のアイテム。
それをベルリバーはユグドラシルを引退する日、どうにもギルドからの脱退という現実をモモンガに見られ、失望させることに臆病になっていたベルリバーは、ギルドに名前を残したまま、引退することを決めた。
そして、そんな心境の中、「どうせ引退するんだし…」という想い、どうせレベルが下がっても引退するんだ…というやけくそな気持ちで、レイドボスに挑戦した、どうせ勝ち目などないと思っていたが、運よく乱入(協力)プレイヤーが入って来てくれたことでそのボスを死なず(レベルダウンも起こさず)倒せたものの、今は名前も思い出せないそのプレイヤーは倒せたことに満足したのか、ドロップ品の確認もせずにアウトしてしまった。
結果、出たアイテムが…その「時の歪む異世界」
その効果は、目の前に出て来た3枚の扉のどれかを選び、入ることによってゲーム時間の基準で一日を消費すれば、一年分の時間をフルに使い、経験値稼ぎをすることが出来た。
しかも3枚の扉という触れ込みの通り、それが3回まで使えるというある意味シューティングスターの経験値稼ぎ版とでも言える物、それがこれだ。
しかし、その時、そんなものを手に入れても引退する当日と決めていたベルリバー、さらにはレベルもカンストしており、それ以上なんて上げる必要がなかったのだ…。
結局、一度も使うことなく死蔵され、ユグドラシルのサービス終了と同時にアバターも無くなったはずだったのだが…アイテムボックスに突っ込んでいたのだろう、捨てたと思っていたのだが、それはイベントリに保存されていた。
それを先日、何の気なしに整頓でもしようかとヒマな時、いじっていたら発見したのだ、どの道、ナザリックではレベルも上限のアインズさん、レベルが完結しているNPC達、どちらにしろ結局は使い道などないと思っていたのだが…どうせ自分が持ってても一生使うことなないだろう…と思い、ここでどうせなら使ってみようと思った、どうせ自分には効果はないが、自分以外のみんなには有益なのだ。
そして、ベルリバーがそれを使うと…森の境界の辺りに森の木の高さと同じ高さの扉が3枚横に並んでそびえ立っている。
扉の表札らしき部分には〝(0 /10)〟と表示されている、きっとそれがこの扉を通れる上限ということで間違いないだろう。
それが何の冗談か、左から青の扉、黄色の扉、そして赤の扉がある。
(これって絶対に難易度…だよな…「Easy」「Normal」「Hard」といった具合か?)
そう思うも、果たしてどれを選んだものか…と迷う、LV100と50LVが一人ずついるとは言え、この現地民のレベルは…そこまで高くはないだろう。
おそらく10人中、半分もレベル30.…いや、20代の後半も行ってないかもしれない…。
そんな中、みんなを守りながら、戦いきることは出来るだろうか?…そう思うと、やはりここは「青の扉」だろうか?と選ぼうとする…自分はアインズさんのように[
「なぁ…これってそれぞれ色が違うが、一体なんの違いがあるんだ?」
興味津々で聞いてきたのは、特訓にワクワクしていたブレインだ。
そんなことを聞いているブレインの横でヘッケランはポカンと口を開けたまま「マジかよ…」と絶句している。
アルシェもそれを受けてヘッケランに「ね?…つまりはこういうこと。」と突き放していた。
そういう会話が続く中、ベルはブレインの言葉にどう答えるべきかと悩む。
(どうしようか…これで正直に説明したら、決闘大好きのこの男のことだ、絶対に「赤にしようぜ?赤が強いんだってよ!」とか言い出しそうだ。)
「これはな最初は青、二度目の人は黄色、三回目に来た人は赤にチャレンジできるって意味なんだ。」
「そうか…そういうルールなら仕方ないな…。」
なんとなくの気分でそう誤魔化して青の扉を選ぶ…つまりは簡単なんだろうな?と思った方だ。
扉を開けると、目の前にパネルが開かれる。
〝この中にいる予定の時間を選択してください〟
そして、数字が表れる。
「外の世界 ▼ 異世界時間▼ 総経過時間」
という項目ごとになっており、外の時間を選ぶと自動で、異世界時間が計算される仕組みになっているようだ。
最大の一日を選ぶと、もちろん異世界時間は一年と表示される。
しかし、どう考えても今は夜、今から24時間などの余裕はない、しかしまだ日付も変わるような時間でもない為、12時間以上は大丈夫だろう。
少し余裕をもって17時間にしておくか…と判断し、17時間を選ぶ。
すると異世界時間は「8.5ヶ月」と表示された。
(一年の3分の2以上か…まぁ、その辺が無難か?)
そう思い、「OK」と押そうとすると、その横に気になるものを見た、「設定」という項目だ。
気になって見てみると、冷や汗がドバっと出る思いがした。
「異世界の出現頻度」という項目だ…そこが「自動出現」になっていた。
やばかった…危なかった、自動出現なんてなってたらインターバルなしのひっきりなしに8.5ヶ月って…無茶だろう!
そこをポチっと選び、「任意」と設定を変える。
後は…まぁ、怖い所はないな…やっぱり「獲得経験値」は、青が「Easy」で、経験値獲得率が2倍らしい…。
そして意を決して、「OK」と選ぶ。
するとアナウンスが流れ、「おめでとうございます、異世界への扉が開かれました、あなたの冒険ライフに幸あらんことを!」
という言葉が終わると、扉が開き、それと同時に周囲一面が真っ白な闇とも言える世界に包まれる。
とっさにフレイラの腕をつかむ。逆の手では近くに居たルチルだ…ルチルがセピア、セピアがディーネの腕をつかんでいますように…と願いながら、その白い世界へと強い引力により引っ張り込まれるような錯覚に陥る。
……そして、異世界で目が覚める、いよいよ墳墓調査に赴く前のレベル上げ特訓が幕を開けた。
盆休みの間で、なんとか2話の更新、やっと時間操作の魔法が使えました。
エルフのみんなは自分の顔のパーツなどが変わっていることに気づいていません。
今さらだけど、ワーカー集合時間まで18~19時間って長い気がするのは自分だけ?
いつも思っていますが、読んでくださる読者の方々には感謝しております。
と、改めて文面にしての感謝~。
これの続編などは今の所、考えておりませんが、楽しんでもらえたら幸いです。