気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩   作:yomi読みonly

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みなさんアンケートの回答ありがとうございます。
ドキドキしていましたが、そっちが大多数だとは、書き甲斐があるといいますか、なんといいましょうか…期待に添えるようがんばります。

でもまだ締め切ってないので、意見があれば、アンケート、まだ間に合います。

※ アンケートの途中経過ですが、アップしてから約5日経過した現在、ペロロンさん作装備の方を望む声が(今のところ)多いので、そっちの方の路線で話を書いていきますが、実際の話の確定を書き終わるまでに少数派が追い上げを見せて、結果が逆転なんかしたら急に話の流れを変えたりするかもしれません。

 とりあえず、お話しは再開させます。



第41話 みんなで特訓、レベリング![次は難度93]

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 ベルは扉のパネルを操作しながら、次に出すモンスターについて想いを巡らせる。

 

(さて…どうするかな…30~35弱のレベル帯って言っても色んなモンスターが居るからなぁ~…ボクもほとんど知らない別サーバー世界でしか出なかったんだろう名前もあるし…、そういうのは選ばない方がいいだろうな…現地民からしたら、ほんの少しの強さの違いが決定的な勝敗に繋がったりもするだろうし…)

 

 悩みながらも、(かたわ)らにはフレイラが付き添い、特に何かを言う事はないが、常に主人であるベルリバーの動向を見守っている。

 

 そこに小走りにアルシェが近づいて来た。

 

 一旦パネルの操作を止めて、そちらに意識を向けるベル。

 

「どうしたの?何かあったかい?アルシェちゃん。」

 

 仮面ごしでもいつもの優し気な声、そう思ったアルシェはイミーナからの距離は離れていたが普通に意識を向けていれば聞くことの出来た、先ほどの話の内容について問いかけてくる。

 

「その…さっきの、全身じゃない方のヨロイ、それについて興味がある…あれって魔法使いでも身に着けることは出来る? レンジャーだけ?」

 

 まさに驚いたのはベル本人である、まさか女の子であるアルシェ自身が興味を持つとは思っていなかったからだ。

 

「あぁ…え? あれに興味があるの?なんで?」

 

 ついそれを聞かずにはいられなかった、よりにもよってなんでペロロンさんの方の作品をアルシェちゃんが気に入るのだろうと…

 

「え? あ…ベルさんの気持ちは嬉しい、私たちが生き残れるように…精一杯色々してくれようとしてくれるのは分かってるから…。」

 

 真剣な眼差しでベルを見上げてくるアルシェ、その瞳には彼女なりの信頼が見て取れた。

 

(よかった、あの装備を気に入ったからとか、そういうんじゃなかったんだ…まぁそれなら話してもいいか…)

 

「いいかい?アルシェちゃん…アレについては多分…だけど、装備できる性別は限定されてると思うけど、職業で分け隔てるような設定はしてないはずだ…そんなことで差別するような人じゃなかったからね」

 

(『エロゲ女子、万歳!みんなオレの嫁!』的な勢いがあったし、それなりにストライクゾーン広かったからな…、唯一、お姉さんが声優やってたキャラだけは敬遠してたみたいだけど…、それでもそれに抗えないくらいのキャラ的魅力に惹かれて…「使ってしまった…」ってそうとう落ち込んでたこともあったしな…あの人はホント、せっそu…じゃなかった、博愛的だったからなぁ…)

 

「良かった、なら私でも着られる…かな?」

 

「ん?なんで、アレ着てみたいの?」

(確かにペロロンさんなら、アルシェちゃんみたいなロリ属性持ちで、かつ…「ひんぬ~」女子が身に着けてくれるなら!…とかって感じで標準設定以上の「謎仕様」で、『ペロロンさんボーナス』でも付いちゃいそうな感じはあるんだけどな…ユグドラシルから離れたこっちの世界での仕様に変わったのなら尚更、ペロロンさん的性質を受け継いだ装備になってる可能性も…)

 

 

「だって、ベルさんのあの説明じゃ…きっとイミーナは一生着ない…だから私がちょっといい面を引き出して見せることで興味を持ってもらおうと思って…」

 

 

「ん? あぁ…それは気を使ってもらっちゃったかな…でもいいのかい?装備は出来ると思うけど…魔法詠唱者(マジックキャスター)のアルシェちゃんがその装備を着たりしたら…多分魔法の詠唱にかなりの制限が課されて、第一位階分でも詠唱できるかわからないし…素早い動きの方もかなり重くなってくると思うけど…ひょっとしたら身動きできるかどうかも…」

 

「なら…どうせ私は後方支援、ベルさんからって言われてロバーから受け取ったこのスリングスタッフもある…それに…勝手に動いて守ってくれる装甲があるんだよね?」

 

(ん~~~…できればアルシェちゃんに危険が及ぶようなことは…色々と考えちゃうよな…きっと自分に妹が居たら、こんな気分なんだろうけど…まぁ…そういうことなら少し任せてみるか…)

 

「それじゃ、お願いできるかな?アルシェちゃん。」

 

「うん、わかった…着替えはどこでやればいい?」

 

(あ、そっかアルシェちゃんには、まだその説明してなかったっけ?)

 

「ボクの装備はわざわざ着替えのために更衣室を使ったりする必要はないよ? その手間をかけたいって思うなら、そうすることも出来るけど、時間や着替える場所がない場合は…こうすれば…。」

 

 そう言いながら、取り出した一式装備をアルシェの身体の前面に接触させる。

 

 すると、今まで身に着けていた装備(武器以外)は全て背後に弾き出され、ベルが差し出した装備が一式…、その身に丁度良くフィットするように装着されている…ズボンから下は、特に何も言うことはないようだが、そこから上はやはり少し恥ずかしいらしい。

 

 すぐにマントを拾い上げると肩から掛け直し、そのマントを持ち上げる仕草でお腹部分を隠すようにして覆ってしまっている。

 

「やっぱりベルさん…この見た目…どうにか、ならない?」

 

 相当恥ずかしいようだ…確かにこれだと戦闘に入る以前の問題のようにも思う。

 

「それじゃ~アルシェちゃんは、周りで浮かんでいる装甲版が…身に着けた瞬間の時より2回りくらい大きくなってることに気づいてるかな?」

 

「え?あ…そうだったの? そこまで意識を向けてる余裕がなかった。」

 

 

「まぁ、多分アルシェちゃんの恥ずかしいって意識が、「なにか隠せるものを」って気持ちと被る感じで、その装甲に左右してるんじゃないかって思うんだ。だからそれを動かして自分の周囲に展開させるとか…出来そう?」

(ロリ属性+「ひんぬ~」のコンボで性能アップしたって可能性もあるけど、そっちは言わないでおこう…その方が色々と丸く収まりそうだし…。)

 

 

「わかんないけど…やってみる。」

 

 そう短く言うと、彼女の周囲に浮かんでいただけの装甲板は彼女の周囲を旋回し始め…最終的にモロ肌が見えていたウエスト部分をすっかり覆ってしまった。

 

 見事に、装甲板としての形も彼女のウエストのくびれにフィットするように密着して隠している…これなら見た目、特殊なレザーアーマーっぽい感じにしか見えないかもしれない、お腹部分だけ金属板で補強してる感じに見えなくも…ない、か?  それに口でヒントを与えただけで即実行できるとか…さすが天才少女って言われてただけのことはあるって感じだな。

 

「で?どう?動けそう?」

 

 ベルがそう問いかけると、腕とか足とか…動かそうとしているようだが…色々と上手く行かないようだ…

 

「ちょっと無理そう…、動こうと思えば動かせそうだけど…重心とか、すぐ崩れて倒れちゃいそう…。」

 

「そうか…それなら、それに対応したモンスターを呼び出そうかな。 アルシェちゃんが動かなくて済むようなヤツ。」

 

 

 そう言いながら、ポチポチとパネルを操作しながらベルはフレイラに指示を出す。

 

「悪いけど、フレイ、黒装束を一度身に着けて、シェイドスピリットを2体呼び出してくれないか? 前にサラマンダーを2体呼び出した時のポイントにそれぞれ、そいつらを配置しておいてくれ。」

 

「ハイ!わかりました!マスター!」

 

 久しぶりに主人からの直々の指示に、喜色満面のフレイラ、「ベルさま」呼びすら忘れ、『マスター呼び』になるくらい冷静で居られていないのが丸わかりな程ウキウキだ。

 

 

 フレイラが指示通りに黒装束に身を包み、指定場所に2体を配置すると、他の7人のメンバーは一瞬、「またモンスターか?」と身構えたものの、すぐにベルからの言葉で警戒を解く。

 

「あ、警戒しなくて大丈夫、それはフレイラが呼んだ者たちで、今回呼び出すモンスターがその辺りに出現するはずだから、今の内にそのポイントを参考に配置を考えていてくれ。 もうすぐ呼び出すからね。」

 

 そう説明されると、今回出現するのが2体だという意図が伝わったのだろう。

 

 フォーサイトの面々は、どうやら、何かの都合で動けないらしいアルシェの周囲に来て、アルシェを起点にする。

 

 そのモンスターが現れるだろうポイントの直線状に上手くヘッケランが前衛として立つ感じで隊列を整えていた。 

 

 対して、ブレインは残されたエルフの3名の前に出るようにして、前衛としての立場を活かすように敵が出現するだろうポイントを目の前にする。

 

 距離は出現してすぐ攻撃されても対応できるよう、もちろん<領域>の範囲に敵が出て来るような立ち位置でだ。

 

 

 それぞれのメンバーが4:4で2チームに分かれたことを把握したベルは、それぞれに宣言するように説明を始める。

 

「それじゃ、これから新しいモンスターを呼び出すけど、難度は93だ、100には届かないけど、アンデッドだから、傷ついたり体力が削られても負傷によって動きが鈍ったり、行動のペナルティが起きたりすることはないから、注意して当たってくれ。

 

 それと、今回の奴はアンデッドとしては特殊な性質を持っていてな…最初に目の前に立った最前線の前衛を標的にすると、そいつと戦うことしか眼中になくなる性質を持つ、もし前衛が倒れたら、その後ろに位置する者に標的を変更する流れに移行するから、前衛は踏ん張ってくれ。」

 

「責任重大だな」とヘッケラン

 

「1対1のサシ勝負か…望むところだ!」とブレイン。

 

 

 意気込むブレインに「さっきも言ったことだが」と、一応注意として忘れないようにと、釘を刺して置くべく忠告を発する。

 

「アングラウス君は、〝カースド〟のクラスを取得したため、まだその性能自体をカットする感覚がまだ出来ていないだろう、だから武器の神聖属性と、自前の「負の攻撃」が、どっちがどのくらいのダメージに差があるかわからない、大きいダメージは後ろのエルフのみんなに任せる感じで、敵モンスターの攻撃を凌ぐことに意識を持っていくことを勧めておくよ。」

 

「あぁ…そういえば、そうだったな…武器のダメージと、クラス効果…どっちが上か、まだわかんないからな…「負の」回復量の方が大きかったら、いくら斬り結んでも決着はつかないだろうし…仕方ないか…」

 

 

「なんだよぉ…こっちにはアドバイスは無いのかい?ベルさんよぉ」とブ~たれるヘッケラン。  

 

 

「キミにはすでに「炎熱剣」が2本もあるだろう?基本的にアンデッドは「神聖」と「炎属性」が弱点に設定されてることが多い、こいつもそれは例外じゃないからな、前衛としてはキミの方が有利なんだぞ?」

 

「でもよぉ…他になんか有用な情報はないのか?どんな攻撃方法があるとか、特殊な攻撃してくるとかよぉ…」

 

 食い下がるヘッケランに、ベルも渋々とだが口を開く。

 

「ヘッケラン君はそれでいいかもしれないが…キミがこの部屋から出てすぐ向かうことになる調査の仕事は、この世界で出て来るモンスターの基準なんて「勝手に発生し続ける」タイプのモンスターばかりだからね?

さすがに30…じゃなかった「難度90」を超えるモンスターは勝手に自然発生する訳じゃないが…その都度ボクが「この敵の弱点は…」って言える訳じゃないことを覚えておいてくれ、まぁ慣れるまでは教えるけどね。」

 

「おいおい、アンタ、なんでそんなことまで知ってるんだ?あそこの関係者か何かか? それはいいが、「難度90」までが自然発生?おかしいだろ?色々と壊れてるだろそれ!」

 

「そうは言われてもな…それは、そこを作った運営…じゃなかった、「un-A」と言われた大魔術師に文句を言ってくれ、そいつがそう作らなかったら、そもそもそういう物にならなかったんだから…」

(こっちだって、あそこを攻略する時に、どれだけ苦労したか…同時攻略タイプなんてふざけすぎてるだろ!ボクらに編成されたチームは主力編成じゃなかったから死にかけたって言うのに…

それに比べたら、ワーカー連中に用意されてる攻略難易度なんて明らかにイージーモードだろ、全く……。)

 

 

「大魔術師、「un-A」か、覚えておこう。」

 

「まぁ、その話はこの際、置いといてだ、とりあえず、呼び出すモンスターの予備知識だな」

 

「ありがとよ、さっそく頼むわ。」

 

「これから呼び出すのは「死の剣闘士(デス・グラディエイター)」と言って、遠距離攻撃、中距離攻撃はまず仕掛けてこないが…、抵抗力(レジスト)の数値が低い相手には遅効性の毒を与える攻撃が常時発動式(パッシブ)能力として普通に攻撃に上乗せしてくる…毒とは言っても、生きてる間は効果は発しない、このモンスターの手によって死んだ場合、【死の盾持ち(デス・エスクワイア)】となってアンデッドとなる。

まぁ、生きてるうちに<毒類治癒(キュア・ポイズン)>をかければ、問題ない程度だから、毒を受けてもあわてることはない、ターン毎のダメージもないから毒というより「呪い」っぽい感じだね。

 攻撃手段は、直接戦闘での攻撃のみ、武器はグラディウスだが、身長はトロールより少し大きい程度(デスナイトより一回り小さいくらい)だ。そのため、普通のグラディウスよりも大きく、重い、つまりはそのモンスターの体の大きさに合わせてある感じだから通常のグラディウスよりリーチがある。ってくらいかな? …あとは実力勝負だ。」

 

 それを聞いたヘッケランが礼と共に、最後の確認をする

 

「ちなみに攻撃と防御の割合はどのくらいだ?」

 

「そこまで聞きたいのかい? しかたないな…攻撃に特化してるアンデッドだから…(え~っとLV31で、攻撃力はLV35モンスター並だった気がするから…)標準難度のモンスタ―基準で言えば攻撃力は難度100を下回ることはない程度だね、その代わり防御は極端に低くて、難度75のモンスター並の耐久力だと思っていてくれ…」

 

 

 そこまで聞いたヘッケランは少し肩を落とした調子でベルに愚痴をこぼす。

 

「自分で聞いといてなんだが…聞くんじゃなかったよ。それで素早いとかだったら生きていられる気がしないぜ…ロバー…もしもの時はちゃんと<毒類治癒(キュア・ポイズン)>…頼んだからな」

 

「大丈夫です、後ろは任せてください。万が一の時は骨は拾ってあげますから、遠慮なく。」

 

「だから骨(アンデッド)になりたくねぇから言ってるんだよ、ホント、頼んだぜ…。」

 

 

 

「じゃ~、呼び出すよ? ポチっとな!」

 それと同時にフレイラは、その場にいたシェイドスピリットを回収、引き上げさせた。

 

 

 ベルがそう告げると同時にブレイン、ヘッケランの目の前に、おなじみ闇色の渦巻きのようなものが現れ、そこから黒い物がふくらみ始める…次第に形に色がついて来ると、その者「死の剣闘士(デス・グラディエイター)」が現れた。

 

 

 その者は、ボロボロの腰巻きの布だけを身に着け、剣を持つ方の腕にはこれも朽ちかけている布をぐるぐるに巻き付けた申し訳程度の小手状にしている。

 

 剣は情報通りのグラディウスだが、身長に見合う大きさのグラディウスとなっており、普通の人間サイズから見れば充分バスタードソード並に見える。長盾も持っていて、足元に立ててみれば腹部分がすっぽり隠れるくらいの大盾仕様…せめてもの救いは、鎧を身に着けていないところか…確かにこれなら「難度75のモンスター相当」というのも頷けた。

 

 ヘルムは被っているが、これも朽ちてきており、盾を持つ左側の顔半分が露出し、真っ赤な…瞳の無い眼窩に炎とも光のとも取れない揺らめきが見える。

 

 そこ以外は顔のほとんどがフルフェイスに近い状態のヘルムを被っており、右半分、剣を持つ利き手側の視界はかなり悪そうだ。

 

 肌はどす黒く変色しており、腐臭や、膿みなどは見当たらないがアンデッドらしからぬ筋骨隆々の身体から、所々、骨が露出している。

 

 その赤い眼窩が、目の前の前衛戦士をそれぞれ目で認めると、その者に向け、大きな咆哮をあげる。

 

「ヴォォォォォ~~~~~~~~!!!!!」

 

 大きな口を開け、威嚇するように叫ぶと、それが戦闘開始の合図となった。

 

 

●サイド:フォーサイト

 

・第一ターン

 

(まずは、特別ボーナスでアルシェちゃんにちょっとだけサービスしてあげよう)

 

 ベルがすぐ後ろから防具の為、うまく体を動かすことの難しいアルシェに、不意に声を掛けた。

 

「これ、サービスだから、受け取って?多分、ダメージは通らないと思うけど…<雷撃(ライトニング)>!」

 

 うまく振り向くことも出来ないまま背中でそれを受け止める形になるが、背に何かが当たったような気はしたがそれはすぐに霧散する。

 

 それと同時に身に着けている鎧自体に、何か、得も言われぬような…なんとも言えない波動を感じ、思わず{生まれついての異能(タレント)}で見てしまう、鎧全体が第3位階をわずかに上回る魔力量に満ち満ちていた。

 

(ヴェールさん…ありがとうございます。)

 

 そう思っていると、先手必勝とばかりにヘッケランが敵に向かって駆けだしていく。

 

 ヘッケランは駆けながら、自分の顔の前で両手に持った剣を交差し、<炎熱剣!>と叫ぶ…すると2本の剣に、まるでその身に炎を纏っていたあのモンスターかと見まがうような炎が2本の剣両方に吹き上がり纏わりついている。

 

「行くぞ!<空炎斬>!」

 

 ヘッケランがそう言い、片方の剣を離れた距離から届くはずのない剣閃を見舞う。

 

 すると、死の剣闘士(デス・グラディエイター)に向かい、剣を振りぬいた形を絵にしたような半月状の炎が向かう…が、それは顔にまで持ち上げられた長盾で防がれてしまう。

 

 しかし、それを見逃さないヘッケランが盾の下部分をかいくぐり、<炎斬撃>!と足に向けて振るうと、片足を炎のダメージで焼かれながら、苦悶の声を上げる、そのまま軽戦士特有の素早さで、相手の死角に回ることで瞬時に居場所のかく乱を計る。

 

 イミーナは持ち前の弓の腕で、引き絞った矢を<二連速射>を使って矢を放つ。

 その矢は、ヘッケランの攻撃により、足の傷ついた敵が足元へと盾を下ろしてる隙に、腕と肩口に放たれ、見事に刺さる。

 

 しかしダメージ自体は通っているようだが、内臓自体の機能も無い動死体(ゾンビ)同様のモンスターに刺突効果が薄いのは今までのカッツェ平野でのアンデッド狩りでもイヤと言う程に戦力不足を痛感し、悩んで来た。

 

 これがスケルトン系のヤツなら、「殴打属性の矢」で補えるが「…やはり力不足は否めないわね」と思っているところに更に後方のアルシェから雷撃が飛ばされる。

 

 だがそれは今までに見たことのあるアルシェの雷撃魔法では無い、その違和感に、後ろを振り返ると、(ほとばし)るような電流で作られた弓を発生させている左手…そして、今打ち出したのだろう右手には、今、弓を放ちましたよ、と言わんばかりの指のまま、固まっている。

(レンジャーの技能は持ってないけど、魔法の投射関連なら心得はある、射出なら、それを応用することも可能…。)

 

 

「アルシェ…それ…」

 

「話はあと! まだ完全なダメージには至ってない!」

 

「え…えぇ…」

 

 

(身動きしにくいと思ってたけど、直立したままであればまだ腕を動かすくらいは何とかなる…、これならヴェールさんからの雷撃(ライトニング)は無駄にせずに済みそう。)

 

 肩と、腕にそれぞれ矢が刺さり、痛み自体の感覚は薄いものの損傷は受けている認識はあるため、剣を引き、盾を構える姿勢を取ると、アルシェの雷矢が、死の剣闘士(デス・グラディエイター)の顔面に直撃する。

 

 が、しかし相手はアンデッド、電撃系のダメージにはダメージボーナスはつかない為、あまり効果的と言うほどでもないようだ。

 

 ロバーデイクが、準備の終えた<下級筋力上昇(レッサーストレングス)>を発動させる。

 

 相手はもちろん、前線でダメージを与える役を一身に受けている、ヘッケランにだ。

 

 そこで死の剣闘士(デス・グラディエイター)は大きくムネを張り、上体を反らせ、大きく振りかぶる。

 

 自分の周囲をコバエのように動き回り、鬱陶しい速度を苦々しく思いながら剣を振り下ろす。

 

 しかし、盾の影、兜の被っている視界の悪い面の側へと、条件の悪い方に動き回ることでうまく敵の目を逸らすヘッケランを目で追うのは難しい。

 

 結果、相手の攻撃は空振りに終わっていた。

 

 

 

・第二ターン

 

 ロバ―デイクが徐々に敵に近づき、ヘッケランの広範囲の動きをカバーしつつも支援魔法の範囲に入る位置に移動、ヘッケランは、敵の目がロバーに向かないようにわざと視界をかすめるような位置で動き回る。

 

 <下級敏捷力上昇(レッサー・デクスタリティ)

 

 ロバ―デイクの支援魔法がヘッケランに飛ぶ…と同時に後ろに回ったヘッケランが死の剣闘士(デス・グラディエイター)の背に大きく跳躍してからの攻勢に移る。

 

 <双炎斬撃>!

 

 吹き上がる炎を両手の剣それぞれに纏わせ、剣戟と共に炎での大ダメージを見舞う。

 

 大きくのけ反る敵を前にして、イミーナが限界まで大きく引き絞った弓から武技を選択。

 

 <強撃射>!

 

 威力の強められた矢が尾を引くような速度で一直線に進んでいく。

 

 しかし、それは易々と盾によって防がれる。

 

(それも、防がれたなら防がれたで他の手に活かす手段はある…、矢を防ぐために盾を持ち上げられたなら、足元が (おろそ)かになる。)

 

 そこへ、さっきヘッケランがダメージを与えた方の足へと、アルシェが二発目の雷矢を射出する。

 

 矢を防ぐ方に意識が行っていた敵は、それを防ぐことは出来ず、片足に直撃を受ける。

 

 しかし、死体とはいえ、まだ太い骨には深刻なダメージを負わせるところまでは行っていないため、まだまだ動きに変化は見られない。

 

 さすがにかぶっているヘルムの半分で視界が悪いためか、見づらい方(剣を持つ方)の剣速は、眼窩がむき出しの方(盾を持つ方)へと剣を振り下ろす時に比べて、精彩が欠けているように見える。

 

「まだ倒れねぇのかよ、このデカブツ!」

 

 ヘッケランが悪態をつくとそちらの方へと目を向けるが、既にその時はそこにヘッケランは居ない、そんな攻防を何度も繰り返すうちに死の剣闘士(デス・グラディエイター)も学習している。

 

〝戦っている相手は生者、それなら目で追うのではなく、相手の存在自体を感じればいいのだ〟と…

 

 眼窩の赤い揺らめきが失われたかと思うと、鋭い剣速が、ヘッケランへと的確に振るわれる。

 

 通常のバスタードソード並の大きさを誇る、相手のグラディウスの重い一撃がヘッケランに襲い掛かるも、2本の剣を交差させることで、その一撃を受け止める。

 

(これも炎の精霊が宿ってるおかげか?前の状態の剣だったら、今ので、ポッキリ折れてておかしくない一撃だった…)

 

 ヘッケランはまだ自分の剣の素材が、魔法金属で作られたものにすり変えられてる事には気づいていない、そのため、能力も耐久値も底上げされてるものと思い込み、炎の精霊に感謝の念を覚える。

 

 

(ありがとよ、精霊さん達…)

 そう思っていると、その気持ちが通じたのか、2本の剣それぞれが両方とも一際強い勢いの炎に包まれる。

 

 

 その瞬間、ヘッケランの中にイメージだけが伝わってくる…

 

 それは、二本の剣を✕の形にして、相手に突きつけ、自分が何ごとかを言うと、敵が炎の渦に包まれるイメージだ。

 

(出来るのかい?それ…、それとも俺に力を貸してくれるってか…嬉しいね…そっちの魔力だって無限じゃないんだろうに…)

 

「じゃ~…その提案、ありがたく使わせてもらうとしますか!」

 

 

 

・第三ターン

 

 ロバ―デイクが数歩下がり、それでも射程の中だと判断する中での、アンデッドに対する効果的な手段、防具によるダメージ減少を気にせず傷を与えられる手段、それを発動させる。

 

中傷治癒(ミドル・キュアウーンズ)

 

 本来は傷を癒し、治すための魔法、それが負の生命であるアンデッドには真逆に作用する、神聖属性に対する脆弱という特性もあるアンデッドには特に効果を発揮した。

 

 体から血は流れないが身体の各所がずぶずぶに…グズグズに崩れ始めているのが見て取れる。

 

「みなさん、畳みかけるなら今ですよ!」

 

 チームに聞こえるように号令を出すロバ―デイクに真っ先に応えたのはヘッケランだ。

 

「そんじゃ、とっておきをお見舞いしてやりますか!」

 

 そう覚悟を決めると、敵の真正面に立ったヘッケラン、そいつに向け、イメージの中に出て来たような…2本の剣を✕の形にして、相手に向け、大きく発動の意志を告げる。

 

<猛火噴炎>!

 

 そう言うと、死の剣闘士(デス・グラディエイター)の足元から全身をすっぽりと覆い、さらに天空に噴出するかのような炎が吹き上がる。

 

 盾で防ぐという手段も間に合わなかった死の剣闘士(デス・グラディエイター)は、神聖属性により大ダメージを受けた直後、第2の弱点である炎に包まれ、焼かれていく。

 

 

 その様子を見守っていたベルは、内心で感心する。

 

(ダメージの総量では、及ばないが、あれは正に<吹き上がる炎(ブロウアップ・フレイム)>…レベルは明らかに及ばないはずなのに…精霊が力を貸したか…なかなかに面白い展開だったな。)

 

 密かに<生命の精髄(ライフ・エッセンス)>を使い、相手のダメージ総量を常に見ていたベルは、精霊の力を借りるだけで、ずいぶんと勝率が上がるんだな…と認識を改めていた。

 

 

 

 死の剣闘士(デス・グラディエイター)は両膝をつき、力なく盾を手放し、グラディウスも地面に着いてしまったいる。

 

 眼窩の赤みはすでになく、もう動くことはないだろうと思われた。

 

 フォーサイトのメンバーが喜び、勝利をお互いにたたえ合う中、完全に油断していた瞬間を見ていただろう者が最後の力を振り絞り、武器を振り上げる。

 

 その者は、完全に油断した瞬間を狙って両手で握り直した己の武器を、最後までまともにダメージを与えることのできなかったヘッケランに向けて振るう。

 

 勝利を確信して、武器をしまっていたヘッケラン。

 

 愕然とした表情で固まるメンバー。

 

 その中で一人、その状況を見ていたアルシェ、彼女は身動きが出来ないので、ただただ、相手の挙動を見ているしかなかったのだ、油断していなかったというより、3発めの雷矢(サンダーアロー)を準備したまま、解除…キャンセルさせる方法が分からず、タイミングを逸していただけだったのだが…。

 

 その決定的な状況で、彼女は最後の攻撃を見舞う。

 

 大きく振りかぶった瞬間を狙っていたため、心臓は無いが、相手のムネのど真ん中に、その雷矢(サンダーアロー)が突き刺さる。

 

 

 その一撃を最後に…、一体目の死の剣闘士(デス・グラディエイター)はついに力尽きた。

 

 アンデッドの最後に相応しく、全体が崩れ、黒い砂のようになって地面へと消えていく。

 

「あっぶねぇ…助かった、アルシェ。」

 

「やれやれ、美味しい所を彼女に取られてしまいましたね。」

 

「私なんて、ずっといい所ナシよ…まったく…それにアルシェのその装備、ってさ…ベルさんの言ってたヤツ…でしょ?お腹出てないじゃない…それ私にも着させてよ♪」

 

「そんなことない、私はたまたま、動けなかったから、武器を下ろしてなかっただけ…運が良かった。」

 

(それにしてもこの鎧に込められた魔力量は凄い…私の魔力で打ち出す雷矢(サンダーアロー)は、撃ち出した感覚からして、<雷撃(ライトニング)>にも匹敵する威力で、多分魔力の消費量も同じくらい…なのに、ヴェールさんの<雷撃(ライトニング)>一発の総魔力量は、私の<雷撃(ライトニング)>3発分よりも大きい、まだこの鎧に魔力の残量が存在してる。)

 

 

 アルシェ自身は暫定的に「雷矢(サンダーアロー)」と呼んでいるが、実際に込められている魔法は第4位階の<雷電(サンダーライトニング)>で構成された、ペロロンチーノのお遊び装備なのだが、魔力自体は使用者のレベル、魔力を基準とするので、消費量は第3位階相当となっていた、詳しい設定内容はベルリバーも教えてもらってないし、調べてもいないので、ガチな威力で作られてはいないだろうという認識で「こんなものだろ」と気軽に考えていたという背景があるので、想定の範囲内という感じ。

 

 さらにはアルシェの<雷撃(ライトニング)>と、レベル100のベルリバーの<雷撃(ライトニング)>では基本となる魔法攻撃力の数値自体がかなりの開きがあるので、難度70ちょいだとしてもアルシェのレベルは25にも届いていない計算なので、まだ魔力量は余っている計算になる。

 

 

 

 自分が動けなかったから、下ろしていなかっただけ、とチームメイトに謙遜していたアルシェであったが、不意に武器をなんの抵抗もなくスルリと下ろせたことに驚く。

 

 「え?」

 

 と疑問に思っていると、気が付いたら、手足を動かしても、さっきまでの装備の重みを気にせず、普通に体を動かせることに戸惑いを隠せない。

 

「ベルさん!…なんかおかしいです、さっきと違って身体が動かせるようになってます!」

 

 思わず、叫ぶ…今の状態でそれを叫ぶのが正解だったかわからないが、なんとなく今の状態を説明できるのは彼しかいないのではないかと言う直感から、つい助けを求めてしまった。

 

 それを聞いたベルは「え? まさか…そんなこと、起こりえるのか?」と言いながら近づいて、<職業構成の精髄(クラス・エッセンス)>を発動させた。

 

 

 しばらく、立ち尽くしていたベルだが、アルシェに理解した真相を告げる。

 

「おめでとう! アルシェちゃん! キミは晴れて「アーマードメイジ」を1レベル体得したね、これで鎧を着たままでも、問題なく魔法の詠唱も出来ると思うよ?」

 

 

「え? …あーまーど? なに?」

 

 

「あぁ…え~っと、それはね…?」

 

 ベルは、その職業の概要をわかりやすいようにアルシェに聞かせた。

 

 

●サイド:ブレイン&エルフチーム

 

・第一ターン

 

(武技<領域>!)

 

 剣を構えて腰を落としたまま、無言で自らの武技を発動させる。

 

 雄たけびを上げた直後、死の剣闘士(デス・グラディエイター)が大きくブレインに向かって足を踏み出し、剣を上段から振り下ろす…しかし、ブレインは悠々とそれを体をひねることで、紙一重で回避した。

 

 その瞬間を狙い、ディーネが<中傷治癒(ミドル・キュアウーンズ)>を放つ。

 

 大きく悲鳴のような叫びをあげる敵に目掛け、ルチルが<自然の精霊(エレメンタル)召喚1st>を唱え、レベルは7のファイアーエレメンタルの召喚に成功した、近くにサラマンダーの存在があるため、1LV上昇した精霊を呼び出せたようだ。

 

 そこで、セピアが標準仕様の「コメットインパクト!」を高らかに宣言すると、敵の頭上、前方から敵の盾くらいの大きさの彗星が空から墜ちてくる。

 

 前方からそれが見えていたため、相手は盾を構え、それに備えるも、はるか上空から墜落してくるソレを受け止めるには、勢いが乗った落下物を防ぐには足りなかったようだ。

 

 構えた盾は壊れはしなかったものの、変形してしまい、燃え上がる彗星が足元に転がり直撃する。

 

 わずかにバランスを崩し、膝をついた相手は、足の骨に小さくはない損傷を受けたと自覚を持ちながら、目の前の剣士に対し、引き続き、攻撃の意志を固めていた。

 

 

 

・第二ターン

 

(アンデッド相手で、これだけ身長差があると、オレの「秘剣」もさすがに届かないだろうし、ノドを切り裂けても何の意味もないな…守備に徹するか…)

 

「<能力向上>!」

 

 今のままでも攻撃は当たらないとは思っているが、万が一でもアンデッドになるなど御免だと判断して、万全を期して能力の底上げを図る。

 

 そこへ目の前の相手からグラディウスの横薙ぎが襲い掛かった。

 

 ブレインは器用に自分の刀、相手のグラディウスの大きさ、刀身の分厚さから言うと、爪楊枝ほどの自分の刀をナナメにすると、自分の足元に滑らせるようにして受け流す。

 

 まともに受ければ自分の武器が折れてしまうので、自分も後ろに軽く飛ぶ形で力を逃がすと、勢いに乗った相手の剣はそのまま地面に振り下ろされてしまった。

 

 

 その体勢のわずかな不利を見たエルフの3名はそれぞれ行動を開始する。

 

 発動から直撃までのわずかな時間差を惜しんだセピアは、先日覚えたばかりの魔法を唱える。

 

 <火の雨(ファイアーレイン)>!

 

 発動と同時に、天から拳大ほどの火の玉が雨のように降り注ぐ。

 

 体勢を立て直す時間もなく死の剣闘士(デス・グラディエイター)は自らの弱点である炎属性を背で受ける形になる。

 

 防御もままならない状態で、背中が焼け焦げていく。

 

 

 次に襲い掛かるのはルチルが呼び出した火の精霊(ファイアーエレメンタル)だ。

 

 自らの身体を使い、死の剣闘士(デス・グラディエイター)の背中にすがりつく、そうすることで、引きはがせないまま、継続ダメージをジワジワ受けることになる。

 

 

 ディーネも再度、再び同じ手段を試みる。

 

中傷治癒(ミドル・キュアウーンズ)

 

 自分も芸がないとは思っているが、<慈悲の雨(マーシーレイン)>はMPの消費量が意外に多い、そのため乱用はしたくないのだ。

 

 

「グギャァァァァァァァ!!!」

 

 

 盛大な苦悶の悲鳴を上げ、傷ついていくアンデッド。

 

 

 ヨロヨロと起き上がり、力なく体を揺らめかせながらブレインに襲い掛かる体勢をとった。

 

 

 

・第三ターン

 

 相対する相手に対して万全の体制をとるブレイン、半死半生の死の剣闘士(デス・グラディエイター)

 

 最後の足掻きとばかりに、最大の攻撃を準備している様子のアンデッド、その直後、目の揺らめきが強くなったかと思うと、今までより早く、鋭く、重い一撃が繰り出される。

 

 それは<剣闘士の一撃>

 

 そのモンスターが下級クラスの存在でも最初から覚えているスキル。

 

 上級で同種のものは、もっと上のスキルを使えるが、31レベルの彼からすれば、攻撃で有効なスキルはこれだけなので仕方ない。

 

 

 しかし、その鋭く、重い一撃も、ブレインは通常より身体性能が上がっているうえ、<領域>で相手の攻撃などすでに把握している。

 

 余裕綽々で、その間合いの外へと出る形で回避していた。

 

 

 

 そこに、予め、トドメとばかりに用意していた、セピアが<第三位階>相当のMP消費により、発生させた「コメットインパクト」を、発動させると、先ほどより一回り大きくなった彗星が死の剣闘士(デス・グラディエイター)に襲い掛かる。 

 

 直撃まで時間はあるものの、よけるだけの体力的余裕はない為、盾を持ち上げて、防ごうと身構える。

 

 しかし、それは先ほどの<第二位階>ではなく<第三位階>相当の威力の直撃だ。

 

 さっきはひしゃげただけで済んだ盾も、まともに受けては盾ごと押しつぶされるようにして、身体が地面にたたきつけられるとそのまま、炎上し、黒い灰のように周囲に広がっていくと、すぐにそれは霧散する。

 

 

「やった~! 私がトッドメ~♪」

 

「あぁ~~あ、結局ワタクシは削り役で終わってしまいましたね。」

 

「わたしなんか一番ダメージ与えたのですから、えむぶいぴ?ってものをもらってもいい気がするんですが…」

 

 

 いつものように3人の日常的会話を繰り広げながら危なげなく戦闘を終了させた4名は、ひとまず安心して、一か所に集まりそれぞれの活躍をたたえ合う。

 

 

「お疲れさん、結局、俺は何の役にも立てなかったな、あそこまで一方的だといっそ清々しいぜ」

 

 

 苦笑いを浮かべながら、エルフの3名の健闘を称えるブレイン、それに対してエルフのみんなも労いの言葉をかける。

 

「そんなことないですよ、あそこまで一方的な運びで引きつけてくれて、傷1つ負わず、その武器にも損傷はないじゃないですか…それってすごいと思いますよ?」

 

 

「そうか? …まぁ、一応相手は「難度93」って話だったからな…念には念を入れて防御に専念させてもらっただけさ」

 

 

 そんな会話をして居ると、どうやら、向こうが騒がしい、なにやら起こった様子だ。

 

「なんだ? 向こうで何か起こったのか? 誰かが新しい武技か魔法でも覚えたか?」

 

 

「ん~~…聞くところによると、新しいクラスを覚えた人がいるらしいですよ? 話の様子からして、あのちっちゃい子? アルシェさんと言いましたか?あの子のようですよ?」

 

 レンジャーのクラスを持ちエルフ特有の聴力の良さも併せ持つセピアが遠くでの会話を聞いて、内容を教えてくれた。

 

「それじゃ、どんな会話してるのか行って、聞いてみるか!」

 

 そう言いながら、結論は聞かず4名とも、騒いでいる方の6人が集まっている方へと向かう。

 

 

 近づけた頃にはフォーサイトのメンバー間、というより女性メンバーの間で色々と問題が起きてるらしいことが判明した。

 

 

「ダメ…これは私がベルさんから直々に着させてもらったもの、それに身に着けながら魔法が使えるなら、今までよりこっちの方がいい。」

 

 するすると、すがりつこうとするイミーナを軽やかに避けながら、アルシェが舞う。

 

 とは言え、イミーナも本気でアルシェを捉えようとしている訳ではないため、おふざけの延長でじゃれている程度の絡みの様であるが…でなければ魔法詠唱者(マジックキャスター)の身のこなし程度でレンジャーのスピードを躱し続けられるわけはない。

 

 

「ねぇ、お願いよぉ~アルシェ! ちょっとだけ、ちょっとだけだから試しに着させてよぉ…話に聞くより良さそうな装備じゃない? 試しに一発、ね?一発だけだからぁ」

 

「ダメ…この分だと、あと一発撃ったら打ち止め、新たに魔力を補充する必要がある! イミーナが<雷撃(ライトニング)>を私に撃てるんなら話は別だけど…?」

 

 普段、チーム内でも姉的立場であるイミーナからここまで何かをねだられたことのないアルシェだからこそ、こういう空気は新鮮だと、実はこのやり取りを楽しんでいた。

 

 

「ねぇ、アルシェちゃん?意地悪言わないで?ね? お姉さんに特別に…一回だけでいいから…ちょっぴりだけだから♪」

 

 

 

 などというやり取りを外から見ていたベルはなつかしそうにそのやり取りを眺めていた。

 

(あぁ、こういうセリフ、ペロロンさんが聞いてたら、きっとこう言うんだろうなぁ…「ねぇ、ベルリバーさん。この会話っていいと思いません?『ちょっとだけ、ちょっぴりだけ』ってやつ…どことなく『ね?頼むよ、先っちょだけ、本当に先っちょだけだからさ…ホントだって、一発だけ、一回だけだって』ってセリフみたいだと思いません?」だなんて爆弾発言をサラリと茶釜さんのいる前でも言い出しそうだったなぁ~…)

 

 

「でも、イミーナにはちゃんとレンジャー用の緑の全身鎧もあるって話、そっちでも問題はないと思う。」

 

 わざと意地悪を告げるようにして、話を引っ張り続けるアルシェ、本来はイミーナにそういう気持ちを持たせるためっていう目的があっての行動だったのは忘れていないのだろうが、それは限界まで勿体つけているようだ。

 

 

「でもさ、私は、どっちかを選んでいいよ?って言われてたのよ?それをアルシェが着ちゃうのはズルいんじゃな~い?」

 

 せめてもの抵抗でそう言うイミーナの言葉も、アルシェはそれを迎撃する。

 

「それはそう…、だけど、あの時は『どっちにしても着たくない』って話をしてた、私が着て、使ってなかったらそういう感想は一生待たなかったのは確実。」

 

 

「ちょぉ~~~…それ、ベルさんの聞いてる前で言っちゃうワケ?」

 

 

「でも事実…それでも着たいなら、後で私も考えなくもない…、でもそれはイミーナ次第…。」

 

 と、やっとそこでアルシェは一歩引く姿勢を見せた。

 

 

「なになに? 私次第ってどういうことよ?」

 

 

 その言葉にやっと表情を緩めるアルシェ、緩めるというより少しニヤっとしてる雰囲気が出ているのは気のせいだろうか…あの子がそういう駆け引きをするタイプだとは思えないのだが…何を言い出すつもりなのだろう…?

 

「それについては、次の戦闘が終わってからでいい? 私も、自由に使えるようになってからのこの鎧の性能、ちゃんと確かめたい。」

 

 それに関してはイミーナの方も特に反対する意思はないようだ、ちょっと借りるだけという意味もあり、その装備の性能がもっといい物なら、それはそれで借りるときの喜びもひとしおだろうと判断した為だろうか…?

 

「まぁ、それは構わないかな…ならアルシェ、約束よ?」

 

「うん、もちろん!」

 

 

 と言いながら二人は指切りをしている中、ベルは、適当なアイテムをごそごそと漁り、無料コインで良く買え、敵からも良く初期のダンジョンとかで落としてくれていた、死蔵アイテム、「たいまつ」を数本用意して、先端の炎の部分が中心に集まるようにして、準備。

 

 

 この後の戦闘の為にと、ヘッケランの武器の炎系魔力補充用として、焚き火のように設置して、フォーサイトの男性メンバーに暖を取ってもらっていた。

 

 …そういえば、みんな飲食って無効化してないよな…こっちで、なんとかする必要はあるか…キャンプ用の調理アイテム類で、代用できるかな…?

 

 などとベルリバーは今更ながら、特訓期間中の食事についても心配し始め、そこに気が付き始めていた。




とりあえずアンケートに従い話を書いている最中ですが、まだアンケートの内容の伸びが、続くようでしたら、まだ話の変更が効く範囲で、展開させていこうと思ってます。

なので、今はまだ確定ではない感じ、やはり同じ集団の中で、同性がうらやましくなると、ちょっと気持ちが揺らいじゃうってことありそうな感じがしますよね?

え?しませんか?

それは失礼、でも、この流れはアップしちゃったので、誤字は改めますが、話自体は大きく変えない方向で進めていきたい…そんな感じですが、いつも感想くださる読者様、楽しみに読んでくださっている方々にも、お礼をば…いつもありがとうございます。

今後ともよろしく~(メガテン感)
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