気づいたら大自然 小心者の異世界闊歩   作:yomi読みonly

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ただいま戻ってまいりました、長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。

※去年の夏から起きておりました事件について、活動報告で新しい報告を挙げておきました。階下の住民の天井修復工事は下から訴えがあってからキッカリ120日目で完結はしましたが…被害住民の支払い(請求書が届くの)は年明けになったのだとか…
私の所だけですかね?みなさんのマンションの管理会社もこんなのんびりしてるんでしょうか?

 …とまぁ自分の話はこれくらいにしておいて。

 一応、コメントをしてくださった方もいらっしゃったので、事後報告ですが、ざっとまとめて書いておきました。

ついでに、感想にもありました、指摘されてる範囲、さらには自分で読み返してみて手直しが必要と思われた部分には修正を細かい部分で手を入れておきました。

さらについでで恐縮ですが、どこかで書いたつもりだったけど、どこにも全く書かれていなかった
「ネックレス・オブ・アインズ・ウール・ゴウン」を作成するに至った経緯、説明なども追記しておきました。
 第30話 カルネ村行き、前夜。の本文、一番最後に書かせていただいております。

今更ですが、お暇な方はご一読されてみてもよろしいかと…最後の解説だけ見て58話を見てもいいし、58話を読んでから、見に行ってもどちらでも問題ない内容ですので…いつも添削ばかりでツッコミどころの多い作品ですが、これからもよろしくお願いします。


 それはそうと…

 ようやく第一戦のシャルティア、終盤まで持ってこられました。

 いやはや長かったです。

 決着は…どんな感じで落ち着くんでしょうね?

 そして、毎度のことながら、丁寧に間違いを指摘してくださる冥﨑梓さん、鳩ぽっぽ2様…
 至らない部分を指摘してくださり感謝の極みです。

 指摘されて初めて「こんな恥ずかしい間違いを放置していた」という状況に身もだえそうに
なりながらも、ずっと気づかないより正しく直せた事に感謝しております。

 なるべくお手を煩わさないようにしたいですが、文才が無いもので、ご迷惑かけたりしたら
…という考えたくもない想像もあったりするので。

 この場を借りて、前もって謝罪しておきます。

 申し訳ございません、いつもお世話になってます。毎度有難く思っております

 結局、最新話が年が新しくなってからになってしまいましたが、1月の内にはアップしたかったので、何とか間に合わせました。

 楽しんで読んでいただけたら幸いです。  ではどうぞ。




第58話 先鋒戦 シャルティア VS ベル〔エピローグ〕

 それは突然、私の前に現れた。

 

 私はその瞬間、自分の目を疑っていた。

 

 

 自分が待ち焦がれ…決して叶わないだろうとずっと「無いものねだり」を向けていた相手。

 

 そのお方と瓜二つの存在が現れて…いや、降臨されたと言った方がいいのだろうか?

 

 あまりの衝撃に思考が追い付かない自分が情けなく思うも、それは仕方のないことかもしれないとも思う。

 

 そう…それは自らの創造主と同じ…いや、かなり薄まっているが、その存在からは御方から感じていた確かな繋がり…至高なる御方々が例外なく纏っていた空気…雰囲気を感じ取れたのだから…

 

 でもなぜ薄まっているのだろう?

 

 アインズ様でさえ、強大なお力をそのまま、その身にまとわせているというのに…

 

 まるで、力を失い…今にでもその身が消えてしまいそうな儚さすら感じられた。

 

(まさか…相当のご無理をされて、この世界に顕現されたという事でありんしょうか?)

 

 宙に浮かび、雷光の羽根を高速でエイン・ヘリアルに撃ちだしているそのお姿。

 

 凛々しいその立ち姿が…。

 

 麗しきその翼が…勇壮なるその羽ばたきが…。

 

 その身からほとばしる、神々しいばかりの煌めく光の粒子。

 

 雄々しい一挙手一投足に見惚れてしまう。

 

 自分が生み出した存在、エイン・ヘリアルが消えていなくなった瞬間、「ハッ!」と我に帰った。

 

(そうでありんす!あの御方がここにお出でになられたのなら全霊を以って労いに行かねば創造された者として、顔向けが出来んせん!)

 

 そう…こんなどうでもいい存在のことなど構っている時間すら惜しいとばかりにベルの存在をわざと無視をするように顔を背け、雷光で形作られたバードマンそのものの姿をとったその者へと…飛び込もうと足を踏み込んだ時、自らの状態に目をやる事が出来たのは幸運だったかもしれない。

 

 なにしろ、創造主様によって授けていただいた、この「真紅の鎧」

 

 それがこんなにも細かい傷を負い、所々損傷も見受けられた。

 

 このままの状態で目の前に自分が現れたら…創造主様はどう思われるだろうか?

 

 最高の理想像として生み出された自分が…普段の振る舞い、趣味嗜好…更に戦闘においても「理想」とされ創られたはずの今の自分の状態を見たら、失望されてしまわないだろうか?

 

 そう思い当たると、どうしてもこのままで飛び込んでいくコト自体はばかられる気がした。

 

(なら…この鎧を解除してしまって、元の「完成された体操服」に戻れば…あれならまだ傷もついていないから…問題はない筈…)

 

 そう思い至り、装備を変更…というよりアンダーアーマー状態であった体操服姿に戻る為、防具である鎧を解除。

 

(よし、これで準備は万端でありんすね♪)

 

 

 そうして、いよいよ待ち望んだ瞬間に胸を高鳴らせ…完全快復した白い翼をはためかせると、踏ん張った足で地面を蹴り、離れていた距離を一気に詰める。

 

 シャルティアは、弾丸のような速さでそのまま目標を撃ち抜かんばかりの速度で、その胸へと飛び込んでいった。

 

 

   「ペロロンチーノさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

                   ★★★

 

 

 

 イミーナは突然、耳に届いた声の方へと顔を向ける。

 

 いきなり、自分が生み出した魔法的存在である…自分が命名した存在「エルド」、それに体当たりをぶちかましてきた存在が居たためだ。

 

 その勢いはどこまでのものを内に秘めていたのか…エルドにタックルの様に腰につっこんできた影は…そのまま後ろの方へと…闘技場の壁に背中がぶつかるまで止まることは無かった。

 

 エルドの足を引きずった跡が、まるで電車の通った道の様に見事な直線となり、線路の様に地面に刻み込まれている。

 

(え? いきなりなに?攻撃しにきたってこと? 私と距離を離させることで各個撃破でも狙ったという事? だとまずい、私とあの子ではレベル差があり過ぎる、多分一発でも攻撃が当たれば私はそのまま即死しちゃいそう…)

 

 そして、電流で作られた身体を持つエルドは、シャルティアにタックルされたようでもあり、すがりついているようでもあるその行動に、ただただ無感情で立ち尽くしていた。

 

 今のエルドの行動方針はただ一つ、自分を生み出す素材となった装備の所有者、もしくは装着者に降りかかる脅威を排除すること…それ一点のみだった。

 

 イミーナ自身、エルドを使って力を行使しようなど、頭の片隅にも存在しない。

 

 その為、親譲りの魔法を構成させる際のイメージトレーニングの応用で、生み出したエルドに、その一点だけを設定したのである。

 

 しかしイミーナ自身は魔法は全く使えない。

 

 そもそも、親の遺伝子を受け継いだはいいが、MPが全く遺伝しなかったのだ。

 

 魔法を構成させる手順、イメージでなんとなく形成させることは出来るが…MPがない為、宝の持ち腐れなのである。

 

 それがこんな形でどうにかできるようになるなど、イミーナ自身も思っていなかっただろう。

 

 しばらく見た感じ、エルドに飛びついてきた存在は、ずっと抱きついたまま攻撃の意思を見せることは無い。

 

 エルドも、防具の所有者に危害が及ばないのであれば、行動に移す要因がない為、立ち尽くしているのみであった。

 

 

「あぁぁぁ…ペロロンチーノ様…我が創造主、至高の御方々の中でも私だけの特別な…待ち焦がれていた御君…この時をどれほど待ち望んだことか…ここまで近づけばわかりんす…確かに感じるこの波動、伝わる威厳、まさしく偉大なるただ一人のお方に相違ありんせん…疲れていんすなら、お力が戻るまでいくらでも休んでいてくんなまし…」

 

 抱きつきながらもシャルティアは1人の世界に入り込む。

 

(あぁ…この感じ…以前、ペロロンチーノさまも仰っておられた…全身を電流が走り抜ける程に惚れ込んだ、というやつでありんすね。つま先から脊髄を通り…脳髄に至るまで流れてきているこの刺激、全身にこの甘いしびれが味わえていい心地でありんす)

 

 その光景を見て唖然としているのは、先程まで戦っていたベル当人である。

 

 本当はNPC達が心の中ではどんな想いで居るのか、普段は押し込めているだけで実は解消することの出来ない負の感情があるのではないかとどこかで疑っていたのだ。

 

 きっと含むところがあるのならば、いざという時になればそれが噴き出すのではないかと…そう思いシャルティアにその場を用意してみたのだが…予想とは全く違う展開になってしまっていた。

 

(アインズさんからはカルネ村の夜に聞かせて貰ってはいたけれど…ここまでNPCの想いが強いなんて…どうすればいいんだ?これ…)

 

 

 そう思いながら、状況を見ていたベル…、そしてエルドに抱きついていたシャルティアが同時に、突然の変化を感じ取っていた。

 

(体が薄くなってきている?)

 

(痺れの感覚が弱くなってるんでありんすの?)

 

 

 エルドの体を構成している雷の電流、それ自体が、先程の「稲妻 太陽落とし」の際に使った『全魔力解放』により、自分の体を保つだけの力が失われてきているのだ。

 

 それと気づいているベルと、そうとは知らないシャルティア…

 

 両者の違いが真っ二つに割れて態度に現れる。

 

「いやぁぁぁぁ!!!! ペロロンチーノ様ぁ!! 置いて行かないでくんなまし! また去られるおつもりなら…せめて…せめてこのシャルティアを…わらわを一緒に連れて行って欲しいでありんす! ペロロンチーノ様!ペロロンチーノさまぁぁぁぁ!!!!」

 

 体を保つことも出来ず…しっかりとつかもうとするシャルティアの手もすり抜ける様にエルドの体が景色に溶けていく。

 

 何度も何度も、その手に…今にも消えそうな大切な人を掴もうとするシャルティアだが…その手は虚しく空を切ってしまう。

 

「ペロロンチーノ様! せめて、この想いが叶わないのであれば、御君よりのお言葉だけでも…私だけに残していただけるお言葉だけでも!!」

 

 すでにそこに先ほどまでのシャルティアの余裕はない。

 

 創造主より決められている「間違った廓言葉」という設定でさえ、その焦りから使うことも忘れて叫ぶ。

 

 

 

 そこに後ろから見ていたイミーナがいたたまれずに、シャルティアへと声をかけて来た。

 

「あの…さ、取り込み中に悪いけど…エルドって、言葉、発したことないのよ…多分、話すって意識がまだ…」

 

 とシャルティアからすれば慰めにもならないような言葉をかけられているその瞬間…

 

「………ぶ………」

 

 シャルティアの前からすでに霞程度しか体を保てていないエルドから、音声が発せられる。

 

「ペロロンチーノ様! わらわでありんす! 御君のご寵愛により生み出されたシャルティアでありんす、なにとぞ、なにとぞお言葉を、ペロロンチーノ様からの直々のお言葉をぉ~!」

 

 待ちに待った、「創造主からの言葉」

 その念願が叶う、ムネを高鳴らせ、次に続く言葉をひたすら待ち受けるシャルティアに向けて…

 エルドが発する初めての言葉が、シャルティア、イミーナ、そしてベルの耳に届く。

 

「………る……ま……。」

 

 凍り付くベルリバー

 

 エルドが言葉を発するという異常事態に、驚きを隠せず、狼狽え、言葉の意味も理解できていないイミーナ。

 

 そして、この場にただ一人、その意図を汲んだ存在が喜びの表情の中に悲しみの涙を湛え、必死に笑顔を取り繕いながら、声をかける。

 

「はい! ペロロンチーノ様より賜りし、この完成された体操服、この場にて着用させていただきました! もっと、もっとお声を…もっとそのお姿を…私の…私の為に…!!」

 

 悲しみの慟哭と化しているその切なる願いがこもった言葉を最後に、エルドの姿が空気に混ざって消える。

 

 空に手を伸ばし、必死に手を動かすも、その手になにも掴めない事実に、希望を見せられた直後の絶望、そして喪失感を味わい、地面にヒザと手をつき、アンデッドであるにも関わらず、とめどなく涙をこぼし続けるシャルティアを、イミーナだけが事情が分からずオロオロとして見ていた。

 

「あ…あの…さ…えと…。」

 

 何と言って声をかけていいかわからないイミーナが何とか絞り出してその言葉だけをシャルティアに発した直後、その様子に変化が現れた。

 

 

「お前でありんすね…?」

 

 

「……え?」

 

 唐突に問われた質問に、何のことが分からないイミーナが答えに窮していると、ゆらりと立ち上がったシャルティアが、イミーナにその目を向けると、一気にまくしたてる。

 

「お前が!…この世界に来る為に力を使い果たした、かの御方を封じたのでありんしょう!! どうやったのかまでは解かりんせんが、マジックアイテムでも使いんしたか!それともタレントといわす技かなにかでありんすかぁぁぁ!!!」

 

 シャルティアの表情が一気に「本気モード」になっているのがベルには理解できた、もはや一刻の猶予も無い、一瞬でも戸惑えば、イミーナがその爪で首を飛ばされる。とイメージ出来た彼は…元から用意していたアイテムを懐から取り出し…シャルティアへと向け…その頭をポン…と軽くたたく。

 

 シャルティア自身はそのアイテムに意識など向けていない、イミーナに対する敵対心、そして彼女を殺せば、きっと御方が囚われている封印が解けるはず、そうすればきっと元の主人に戻って、帰って来てくれるはず…自分の下に戻るはずだと確信めいた想いが先立ち、つゆほども疑っていない。

 

 

(なんかいきなり突拍子もない事を思いついたものだな…、そんなこと、全く考えもしていなかったけど、どうやったらあそこから決着まで持って行くつもりだ?ベルリバーさん…ちょっと気になるな、もう少し見守っていよう…)

 

 審判として、空気となるべく務めているナインズは、この場においても全く動じていない、この戦いの終着点がどこに繋がっていくのか…少しワクワクし始めているのもあり、よほどのことが無い限り、観客に徹していようと行動方針を決めていた。

 

 

(まぁ、シャルティアや、NPC、ベルリバーさんとかに致命的な被害が及びそうになったら割って入るけど…それまでは成り行きを楽しませてもらおう。 最終的には危険が及ばない範囲で決着させるってのは聞いてるしね。)

 

 

 そして、わずかにシャルティアが前かがみになりかけた時、シャルティアにどこからか声がかかる。

 

「やぁ! シャルティア…元気でやってるか?」

 

 それは、怒りの頂点に居たシャルティアですら、一気にその熱を冷ますのには充分な衝撃だった。

 

 それは…何よりも待ち望んだ人、その者の声だったためだ。

 

「ペ…!!」

 

 イミーナのことなど意識の外に追いやり、声のした方へと首を反転させる。

 

 すると、そこには…ベルという男の手にある真っ黒な珠、そこから発せられる光の中に、<水晶の画面(クリスタル・モニター)>に似た、映像を投影する窓が映し出され、その中にシャルティアが待ち望む人物が映りこんでいる。

 

 

「ペロロンチーノ様!!」

 

 

 シャルティアの顔が驚愕に彩られる。

 

(なぜ?あの時のペロロンチーノ様は淡くとは言え、間違いなく御方としての雰囲気を出されていた、それに今、目の前の画面にいるペロロンチーノ様からはなんの威光も、波動も感じられんせんのに…画面の方が本物だとわらわの女として…いや、創造物としての直感がそう訴えているでありんす。)

 

 

「惜しかったな、いいところまでは行っていたが…彼をここに留まらせたのは、私の方なのだよ…」

 

 画面の中のペロロンチーノが次の言葉を言い出そうとした瞬間、その珠の頭にもう一度軽く手を乗せると、ペロロンチーノを映していた画面は消え、元のただの黒い珠へと戻ってしまう。

 

 

「お前! それをどこで…いや、どうやって…、何故!…いや、お前は一体何者なんでありんすか? 一体、どんな卑怯な手を使ったぁ!!!」

 

 

 頭の中の整理が追いつかず、いくつもの質問を同時にぶつけようとするも、自分でもどの質問を優先すればいいかわからず、思いつく順番でベルに問いをぶつけた。

 

 〝それをどこで手に入れた?〟

 

 〝どうやって至高の御方を封じるなど出来る?〟

 

 〝何故、途中でペロロンチーノ様を消した?〟

 

 その三つの質問は途中で問うのをやめ、後で聞いてもいいことだと判断し、最後の問いかけに繋げる方を選択する。

 

 何故なら、まだ微量ではあるが、至高の御方、我が主人、ペロロンチーノ様の残り香は、未だに漂っている。

 

 物理的に存在ごと消されたワケではないと信じられるために、それ以上の醜態をさらさずに済んでいた。

 

 

「卑怯な手とは人聞きが悪い…、私はただ新鮮な…おっと、失礼、最盛期のままの彼の姿を衰えることの無い世界でずっと安寧に留まってもらっているだけ…、彼の為になっていることなのですよ?」

 

 外野で聞いていたアインズは、吹き出しそうになるのをこらえていた。

 

 それというのも、彼が取り出していた真っ黒な珠に見覚えがあった為だ。

 

(あれってそれぞれのNPC達に宛てた、メッセージを記録させたアレだよな…確かあの珠には後半で「あの人」も一緒に記録していたはず…でも、ベルリバーさんも正直に「映像として記録している」って言えばいいのに、持って回った言い方をして…シャルティアをいじって楽しんでる?)

 

 かつて、ユグドラシルで遊んでいた時、ベルリバー以外のギルメンのそれぞれが、一通りNPCを創造し終わった頃、ギルメンの誰かがふと漏らした言葉。

 

「せっかくここまでして創っても、ユグドラシルのサービスが終わる日が来たら…失っちゃうんですよね、それも寂しい気がします」

 

 そんな言葉がポツリと漏れた時のこと、その言葉を「いつ言ってくれるか」と待っていたベルリバーが発案して、催されたギルド内イベント、「自分で創ったNPC達に、それぞれに向けたメッセージを記録しよう!」と銘打った、ある意味『羞恥プレイ』が行われたことがあった。

 

 複数のNPCを作成したプレイヤーも居たので、そういうギルメンには、作成した人数分、ちゃんと記録してもらっている。

 

 一番苦労してメッセージを吹き込んでいたのが、ヘロヘロ、ホワイトブリム、ク・ドゥ・グラースの3名、それぞれが作成した一般メイド達に対して、個別に一人一人名前を出して吹き込んでいたからだ。

 

 一般メイド達一人一人の名前をきっちり記憶して、すらすらと3名で41人分、1人たりとも被らず、抜けもせずに言いきった時は、さすがの発案者であるベルリバーも閉口したものだ。

(ヘロヘロだけは、さらに加えてソリュシャンにも伝えているので、正確には41人以上の名前が出ていたが…)

 

 発案した、提案者であるベルリバーが、映像記録用のクリエイトツール、及び、音声記録用のセットも含めて、予め40人分用意していた(半ば、自分がNPCを認めてもらえなかったことに対する仕返しの側面も大きかったのだが、多数決の場に居なかったメンバーからすれば「とばっちり」である)ので、さすがにその場でツールと宝珠の紐づけを40人分こなすのは難しい、と言うことで、後日、それぞれの個別ギルド内メールポストに添付して送ったことで完結しているはずと、みんなが思っていたのだが…。

 

(そっか、考えてみれば「添付」で送信したんだから、オリジナルは変わらず、ベルリバーさんの手元にあってもおかしくないんだよな、自分はほとんどインしてたから、手渡しで現物をもらえていたけど…まさか、コピーしてないですよね?ベルリバーさん!)

 

 

「ふざけるなよ、てめぇ!今「新鮮な」って言ったなぁ!お前…それを今すぐ渡せ!さもないと…」

 

 すでに、沸点に達したシャルティアが、激高した言葉を投げかけるも、ベル自身は涼やかな風で答えを返す。

 

「手渡すのはいいですが、これ、一応マジックアイテム扱いですよ?あなたがその手で受け取っていいんですかね? 大事なこと忘れていませんか?」

 

「………!!!!」

(そうだ、あれがマジックアイテムなのだとしたら…自分が直接触るわけにはいかなかった)

 

 そう、それがシャルティアのデメリット、「カースドナイト」のクラスを所持する者が一定以上のレベルに達すると洩れなくついて来る「一定のレベル以下のマジックアイテムの破壊」だ。

 

 無論、「真紅の鎧」も「スポイトランス」も大きく分ければマジックアイテムというくくりに入るのだが、どちらもレジェンド以上であるために、その対象に入らない。

 

 今、着ている「体操服」はと言えば…、それはただ「LVいくつ生地」などの材料から作られた純粋な素材作成アイテム。

 マジックアイテムではない以上、破壊されることは無い。

 シャルティアの手持ちの中にはペロロンチーノの残した「課金して買った衣類、アクセ」もあるのだが、それも「課金装備」という扱いで、マジックアイテムとはならない為、それも壊れることは無い、無論いつも装備しているペロロンチーノから持たされた『即時蘇生の効果が発生する指輪』もそうだし、さらにいつものボールガウンも課金装備である。

 

 しかし、ベルリバーが持つ映像投影装置は別だ。

 

 魔法的な要素が、作成時に絡んで入れば、間違いなく「マジックアイテム」である。

 

 軽くつまんだりする程度なら、発動しないこともあるが、しっかり手で持ったり、装備しようとしたりすれば…結果は推して知るべし、である。

 

「ぐ…ぐぅ…なら、シモベに持たせるわぁ!」

(こっちには吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)がいるでありんすから、そいつらの誰かに持たせて操作なりさせればいいだけでありんすからねぇ)

 

「そうか、なら、これをしっかり持ってみてもらえないかな?」

 

 そういうと、シャルティアにポンと放り投げられた小手状のもの、この世界に来て初期に作った鉄でコーティングした木製のガントレット状のバックラーである。

 

「ん?…なんでありんすか?」

 

 放り投げられたソレをしっかりと受け取るシャルティア…しかし、変化は無く、そのまま存在し続けている。

 

(ふむ…あれは一応「魔法」で作った現地素材100%の装備だから、どっち扱いなんだろうと持たせては見たが…壊れる様子はないな…こっちでは「魔法」での作成であっても『魔法金属』などが絡まなければ、マジックアイテムと判断されないのか…? それとも…)

 

 少しだけ思案して、アイテムボックスから新たに取り寄せた物をベルが、シャルティアに放って寄こす。

 

「次はこっちも少し、持ってみてもらっていいかな?」

 

 放って寄こしたのは、バングルと呼ばれる腕輪の形をした装備、ユグドラシル時代、「持っていた方が何かと便利」と言われ、なんとなく持っていた数個の内の一つ、一番効果の低い方。

 

「装備生産効率上昇」と「装備生産速度上昇」の効果の宿ったデータクリスタルを入れた物。

 

 地金となっている素材は単純な「LV金属」

 

(データクリスタルが「マジックアイテム」として大きく左右しているかどうかだな…、一番効果の低い方だし、ナザリックに戻ることになれば、装備の作成なら任せられるNPCが確か居たはずだしな…)

 

 これが2個あったので、ベルリバーとフレイラの2人で装備して、彼の鎧を新たに作れたが、そうでなければ作成系のクラスもスキルも持ってないベルリバーと、「作成者」というクラスを持っていても、装備に特化したクラスじゃないフレイラでは、間に合わせとは言え、鎧を作るとか…まず無理だったろう。

 

 それを受け取った瞬間にシャルティアの手の中で、その腕輪が砕け散る。

 

(予想通りと言うべきか、さらに検証することが増えたことに悩むべきか…だな)

 

「なんのつもりだ?あぁ~ん? まさか、遊んでるんじゃねぇよなぁ?お前ぇ?」

 

(シャルティアもそろそろ限界だな…、そろそろ渡すか…でもその前に…)

 

「大丈夫ですよ?万が一がないように、ちょっとした検証をしていただけですから…、あ、そうだ、これは返してくださいね?」

 

 そう言って、最初に渡した、小手状のバックラーをシャルティアの手から受け取ると、アイテムボックスにしまい込む。

 

 そうして、次にアイテムボックスから有り余っているLV25金属を取り出し、<道具作成(クリエイト・アイテム)>を唱え、金属糸を作成し、さらにそれに同じ魔法をかけ、真っ黒な珠を包めるだけの大きさをした布を作り出す。

 

(とりあえず、魔法で作り出した物でも、データクリスタルが入ってない状態では壊れないことだけは分かったからね、間に合わせだけど、これでシャルティアが持ち歩く時でも壊れることは無いだろう。)

 

 そう思いながら、黒い珠をそのまま布で包みこみ、シャルティアの方へと腕を伸ばして見せてやる。

 

「こうすれば、あなたの手で持ち歩く時でも壊れることはないかなと…それの検証をするためですよ。」

 

「それならそうと最初から言えばよかったんじゃないかと思いんすが?」

 

 少し、落ち着きを取り戻したのか、言葉遣いが荒いものからいつもの言葉遣いに近いものへと変わっていく。

 

 しかし、シャルティアがそれを受取ろうと手を伸ばした瞬間、ベルの腕はシャルティアの手に渡さないように、その包みを大きく持ち上げる。

 

「な…なんでありんすか? 渡してくれるんじゃなかったんでありんすか?」

 

「いや、コレは私の感じたところ、あなたにとってかなり価値のあるものと見ました。となれば…こっちの要求にも応えてくれないと割が合わないと思いませんか?まさかタダで、これをもらおうと思っていたわけじゃありませんよね?」

 

 しずかに見下ろすようにシャルティアにそう告げると、うなるように黙り込んでしまう。

 

「う…うぅ…、何が欲しいでありんすか? 何と交換なら、それを渡してくれるつもりでありんす?」

 

「話が早くて大変助かります、なぁに、そんなに難しいことじゃありませんよ、ただこちらの要求を一つだけ、飲んでもらいたいだけですから、それさえ了承してくれれば、これはこのままお渡ししましょう。」

 

「一つだけ? なんでありんすか? 何を望んでいるでありんす?」

 

「私が、このまま、これ以上ダメージを負わずに、傷もつかない状態のまま…」

 

(なんでありんすか?私に負けを認めろとか…そんなことでありんすか? もしそうなら口惜しいでありんすが…、いや、そうだった場合、ナザリックの…、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの名に傷をつけることに…もしそういう条件なら、アインズ様にお聞きした方が…)

 

 そうベルの言葉を聞きながらも、思考を巡らせるシャルティアに冷たい、静かな言葉が告げられる。

 

「私、ベルサイドの陣営の負けを受け入れ、負け星を1つ…という条件で、次の対戦相手との立ち合いを望みます。 …端的に言いますと、私の負けを受け入れろ…つまりそう言いたいわけです。」

 

「はぁ?? 勝ちが欲しいわけじゃないんでありんすか? 負けを認めろ?そんなことで、それを渡してくれるということでありんすか?」

 

 信じられないという顔をするシャルティアに対して、ベルからの返答はさも当然という風に紡がれる。

 

「あなたのような化け物じみた…あ、いや失礼、魔神じみた、あ、いや…神にも迫る実力の方とこれ以上の交戦をしてもこちらの被害が大きくなるばかりですからね、それにあなたがさっきまで使っていた武器、ダメージの回復がされるのでしょ?」

 

「な…、なんのことでありんすかぇ?」

 

 ぎこちない返答を返すシャルティアに対し、確信を持っている情報だがあえて、推測と言う風を装い、状況証拠を提示していく。

 

「隠さなくともわかりますよ、戦っている中、<生命力持続回復(リジェネ―ト)>の魔法を使ったのは、ただの数度、それなのに、効果時間が切れても、あなたの傷は戦っているうちに自然に回復する場面が見受けられました、終盤は<大致死(グレーターリーサル)>を一切唱えていないにも関わらず…です、つまりそこから導き出される結論はただ一つ…『回復効果のある武器』を所有している、違いますか?」

 

 しっかりとシャルティアの方へと指をつきつけるベルに対し、苦い顔をするシャルティア。

 

 そのやりとりに対して割って入ってきた存在が、間に入って言葉を投げかける。

 

「そこまでにしてもらえないかな? さすがにそれ以上の詮索はこちらとしても黙って観ている訳にはいかないというものだ。」

 

 声のする方を両者が振り返り、そしてシャルティアはホッとする表情と共に、申し訳ないという顔になっていく。

 

「ア…、ナインズ様、申し訳ありんせん、この度のような見苦しい戦いをお見せしんして、恥じ入るばかりでありんす…。」

 

 かしこまるシャルティアの横にいるベルが、やってきた相手に向き直って声をかける。

 

「あぁ、こちらの支配者様直々にお出ましとは…決着の裁定でもしていただけるのでしょうか?」

(なんか言い慣れないな…支配者様…だなんて、どうにも言いにくい…早くいつもみたいに話しかけたいけど…今はまだ我慢、我慢)

 

 ベルがそう声をかけると、ナインズと名乗っているアインズもまた、その言葉に対して返事をする。

 

「あぁ、そうだな…、こちらとしては初戦のシャルティアで、戦う意思がポッキリと折れてしまわないかと、そこが心配だったのだが…まさか、『負けを認めろ』という条件で負け星を背負い、さらに次の対戦を望むとは…どこまでが計算なのだか…さっぱりだよ、食えない男だな、キミは…。」

 

(こっちも「キミは」だの「ベルと言ったかな?」だなんて呼びかけ、ハッキリ言って言いにくいですよ、早いとこ、守護者のみんなとすっぱり対戦して、ネタ晴らししてくださいよ?もう…)

 

 両者の想いを露知らず、守護者たちは、二人の芝居には全く気付かず、事の流れを見守っている。

 

「では、ここに『ナインズ・オウン・ゴール』の名において宣言する! 第一回戦、ベルチーム対第一~第三階層守護者シャルティアの決着はここに着いた! 勝者は…シャルティア・ブラッドフォールンとする!!」

 

 

 オォォォォォォォォォ~~~~!!!!!

 

 

 という歓声が観客席から沸き起こる。

 

 観客席のほとんどを占めているのが、ゴーレム達の為、声の発生源はそこではない。

 

 空いている席に座り、事の次第をつぶさに見ていた、他のシモベ達、さらにはこの闘技場で、準備や片付けなどを行っているドラゴンキン達、声を出せる種族のシモベ達からの歓声だ。

 

「さっきの言葉に対する私からの返答だが…何も気に病むことは無い、守護者の誰が何と言おうとシャルティアは良く戦った…私にはそう見えたし確信している…これからもお前の担当する階層は、侵入者に対する防波堤として大きな割合を占めることとなろう…今回のようにすべてのMPのほとんどを回復に回す戦い方は持久戦と言う意味では大きな意味を持つ、これからもよろしく頼むぞ?シャルティア。」

 

 そうねぎらいの言葉を投げかける支配者は、シャルティアの背をなでながら…『よくやったな』と褒める言葉も忘れていない。

 

 ベルリバーからすると『あぁいう所が、守護者たちを始め、NPC達の忠誠心の源になってるんだろうけど…気づいてなさそうだよな…モモンガさん。 あの人って昔からそういうの天然でやるところあるからな…計算してのことじゃないというのがタチが悪いんだよね、良くも悪くも…さ…』

 

 と、また自分の首絞めるようなことを…という感想を持ちながら、そのやり取りをみやりつつ「まぁ、部下の忠誠心が高くなっていくことは悪いことじゃないかもな…」という想いも同時に浮かべていた。

 

 そんな感想を持ちながらも、そうとは口には出さず、シャルティアに提案したアイテムを、作成した包みごと、ナインズと名乗っているアインズへ手渡すようにする。

 さすがにここまでお膳立てしておいて渡さないのも悪い気がしたからだ。

 

 

「それでは、敗者はおとなしく控え席の方へと下がらせていただきますよ」

 

「そうか…本来であれば強敵であるシャルティアとの健闘を称えて、<不死者の接触(タッチ・オブ・アンデス)>での副次効果によるHPかMPの吸出し…からの<精命気移行(トランスロケーション・エナジー)>でも使って、このアイテムの礼としてシャルティアのMPを少しでも分けてやりたいところだが…キミが次の相手と戦うにあたり、MPの何割かが回復しきらない状態からどのように立ち回るのか…楽しみにしているよ。」

 

 うなだれるシャルティアを伴い、アインズも自陣の控え席へと歩みを進めていく。

 

 遠巻きに見ていると、慰めながら、シャルティアにあのペロロンさんのメッセージが込められた映像と音声データが入った宝珠を包みごと渡している。

 

 その表情は、先程の沈痛な面持ちとは違い、少し、安らいだものへと変化した気がする。

 

 

 それを見届けたベルはと言うと…立ち尽くしたままのイミーナに声をかける。

 

「さて、ボクらも控え席に戻りますか?」

 

 そう声をかけるもイミーナからの返答は無く、ただただ立ち尽くしているだけ、よく見ると身動き一つしていない…一応呼吸の動作は体の動きから察知できるので死んでいる訳ではないのだろうが…?

 

「どうしました?イミーナさん…もしかして…あれですか?」

 

「……そ………う……よ………」

 

「良かった、辛うじて意識はあるみたいですね、前回は意識がなくなってたので、今回は慣れが幸いして意識が保てているみたいです…、まぁそれもこれから何度か経験すれば、きっと『生体細胞の電流活性化』の強化を使っても身動き一つとれなくなる状態からは解放される日もそう遠くないでしょう。」

 

(嬉しそうに言ってないで、とっとと私を運びなさいよね!!)

 

 なんて目で訴えているかのような眼光を浴びながら「仕方ないですね…」とわずかに肩をすくめたベルは、ひょいとイミーナを持ち上げると、肩にかつぐのは…お腹に負担がかかるだろうし、息苦しいかも…と悩みに悩み…一番無難な持ち方でイミーナを抱え込む。

 

 小脇に抱えるという表現がぴったりの状態で敗者の側の控え席へと帰っていく。

 

(こんな雑な扱いして…あとで覚えていなさいよ?)

 

 という心の声が聞こえたわけではないだろうが、そのタイミングでベルからもイミーナに声がかけられた。

 

「悪く思わないでくださいね? お姫さま抱っこなんてしてもどったりしたら、あとでヘッケランさんになんて言われるか分かったものじゃないですからね、せめてこのくらいで我慢してください。」

 

 その言葉にイミーナは納得したのか、していないのか…、とりあえず、気を失っているヘッケランはどうなってるかな?という程度には心配しながら、ベルは自分の控え席に戻るのであった。

 

 

 

                   ★★★

 

 

 

「さて、ヘッケラン君の様子の方はどうだい? ロバーデイクさん。」

 

「なんとか持ち直してますよ、さっきまで危なかったんですが、段々体温も戻ってきていますし、ひとまずは安心でしょう。」

 

 ロバ―デイクの言葉を聞き、少し安心したベルリバーは、ヘッケランの隣にイミーナも横にさせ、寝かせるようにした。

 

「やはり、あれ(・・)を使用した後、効果時間が切れた直後はそうなるみたいですね。」

 

 ロバ―デイクも、あの時間経過の違う異空間にてその修行の経緯を見ていたのだ、最初は意識を失う程度で済んでいたので、気にならなかったが、どうやら何度か使用するうちに体が慣れてきている様子で、今は意識までは失っていないものの、身体全体の自由が利かないようだ。

 

「まぁ、元々の限界値を超え、細胞レベルで反応速度や反射神経を無理やり引き上げる能力だからな…結果、すべての細胞が疲労困憊状態になって…今のこの状態…ということなんだろう、意識があるイミーナの成長を褒めるべきだな、大した成長だよ」

 

(好き勝手言ってくれるのはいいけど、治療は…ダメね、確か治癒魔法とかだと、焼き切れた体の機能をむりやり叩き起こすような真似をすると、後々もっと深刻なダメージを残すことになる…だったかしら?ベルさんが言ってたことだけど…明日の朝までに治ってれば「軽く済んだ」って感じよね、今までの経験から言って…。)

 

 などと、身動きの取れない状態ながら思案にふけっていると、すぐ横でベルが、懐をごそごそといじくりまわしている、どうやら何かアイテムでも探している様子だ、その仕草はいつものことなので、気にしないのだが、とんでもないものが「懐から」飛び出してくることがあるので、正直心臓に悪いことがある。

 

 懐になんて、入りきらないでしょ?それ!

 

 っていうのまで、ずるりと引きずり出すことがあるものだから…、最近はこういうヤツだと慣れ始めてる自分に溜息もこぼれることもあるが、今回は何を出すつもりだろうか?

 

「さすがに、地べたにそのまま寝かせてるわけにもいかないだろう?少しは寝やすい場所を提供してやりたいと思ってね、そんなに気を張らなくてもいいよ。」

 

 そう言うと、懐から出したのは手の平サイズよりは一回り大きめのサイズのおもちゃのようなベッド。

 

 まさか…ちょっと嫌な予感がする…

 

「さて…ホイっと!」

 

 ベルが懐から取り出したおもちゃのようなベッドを放り投げると、地面に着地した瞬間にダブルベッドくらいの大きさの物がいきなり現れた。

 

 

「さて、ちょうどダウンしてるのが二人だし、こんなもんだろ?」

 

(え?ちょっとまって? え! ダブルベッドに?何? まさかヘッケランと一緒に? えぇぇ?)

 

 

 別段、チームとしてはヘッケランとの関係は「そういう関係」と言うのもあるんだし、イヤなわけではないが、周囲の目もあるというのに、敵地のど真ん中で(身動きが全く取れないとは言え)ベッドを作り出し、そこに寝かされるというのは…相手の心情的に大丈夫なのだろうか?

 

 という疑問が沸き起こる。

 

 しかし、イミーナの内心をよそに、ベルは2人をベッドへと運び込んで、そっと布団を上から被せている。

 

 まぁ、ゆっくりと休んでおくといい…そんな言葉を残して。

 

 

                   ★★★

             

 

「さて、そっちはどんな感じだ?シェイド?」

 

 声をかけたのは、命令通り、自分がやめろと言うまでずっと素振りを繰り返していたシェイド・ベールに対してだ。

 

「は!かれこれ、1000回を超えたくらいは振れたものと確信できております!」

 

 

「そうか…なら、それを渡してもらえないか? まだ確定ではないが、多分次の相手がボクの予想通りアイツなら…出来れば今回だけは自分が先発で挑みたいのだ。」

 

 そう告げると、しばし迷った様子のあと、手に持っていた刀を差しだし、こう言葉を発することで応えていた。

 

「御身がそうお望みなのであればシモベの我が身から言うべきことなどありませぬ、どの道この刀の所有者は御身でありますれば、頼まれなくとも一言、『使わせてもらうぞ』、その一言だけで十分でございます」

 

 そうシェイド・ベールから言われたベルは「無銘一刀 宜振」をその手に握り、数年ぶり(リアルでも道場の後を継ぐ者が絶えてからは握ってもいなかった)の手に持った感触に身を引き締めていた。

 

「頼んだぞ?わが愛刀よ、ずいぶんほったらかしにしてすまなかったが…これ以上ない活躍の舞台になりそうだ…どうか力を貸してくれ…。」

 

 そう言って、目の前に持ってきた刀に語りかける様に言い聞かせている。

 

「予想と違う相手だったら、その時は一旦また戻すから、それまで戦える用意だけはしておいてくれよ?」

 

 と、念のためシェイド・ベールにも〝決して気を緩めないように〟と伝えることも忘れない。

 

「は!承知いたしました!」

 

 はたから見れば一介の人間が異形種を従えてる様にしか見えないので、ナザリック陣営からどう見えているのかと言うのは気がかりではあったが、「それも成り行き次第で対応を変えて合わせていくしかないな」

 と、先のことはその時考えようと決めて、次の対戦相手の現れるのを待ち受けていた。

 

 

                   ★★★

 

 

「あの…ア…じゃなくてナインズ様?そ…それはどうするおつもりなのでありんしょうか?」

 

 シャルティアが気にしているのは、先ほど、自分と対戦していた男が〝ナインズ″へと手渡した、黒い宝珠のことである。

 

 一度だけ、お願いして手で持たせてもらったが、しばらくしてアインズに取り戻されている。

 

 なぜ、持ったままで居させてくれないのかがわからないシャルティアからすれば当たり前の質問だ。

 

「あぁ、これか、とりあえず私の見ている前でならシャルティアに持たせてもいいと判断したから包みごしに手で持たせはしたが…、もし取り扱いを間違えて万が一にも壊してしまっては二度と手に入らない可能性もある。 その上、あり得ないとは思うが、どのようなトラップがこのアイテムに仕掛けられ、どんな条件で発動するのかそれすらもわからん…なので精査した後、今回の殊勲賞としてでも褒美として考えてはいるが…不服か?」

 

 そう言われてしまえば、シャルティアにしてみればこれ以上ない正論だ。

 

 込められたトラップ如きで自分が致命的な状況になるとは思えないが、万が一、そのトラップか何かが発動し、包んである金属糸で編まれた大判の布、それが燃えてしまったりして、「素手で」自分がその宝珠を受け取ったりすれば、中の己の創造主をも、失ってしまう可能性はありえると、目の前の支配者は言っているのだ。

 

 万が一を考えてくれた上、それに応じなければ、創造主ペロロンチーノの身の安全に大きく関わる事態に成り得る。そう言われてしまうと頷かざるをえなくなってしまう。

 

「いえ、ナインズ様のご決定に異を差し挟むような不心得者はこのナザリックにはおりんせん。…ただただ、それの扱いをどのようにされるおつもりなのか…単純にそれだけが気になっただけでありんす。」

 

 跪いて臣下の礼をとり、「非礼をお許しください」と謝罪するシャルティアに対し、アインズもそれに対して答えを返す。

 

「まぁ、気になるのも仕方がない、お前の創造主だものな…実際にあの者が封印した本人かどうか…もしかしたら実はブラフで、中には実体のないただのデータだけが存在しているかも知れぬのだ、今からあまり過度に期待していては『そうでなかった場合』落胆も大きくなろう、どのみちこれはヤツも言った通り、お前の手元に来るのだ、そう慌てる事もあるまい。」

 

 そう言われて、初めてホッとするシャルティア。

 

 自分が何よりも大切に思っている存在を、自分と同等かそれ以上に思いやって取り扱おうとしてくれている支配者に感謝の念を抱きながら、再度、心の底からの「臣下の礼」で、今まで以上の忠義の形を示していた。

 

「失礼シマス、ナインズ様、一ツ、オ聞キシテモヨロシイデショウカ?」

 

「うむ、構わん、聞くだけ聞こうじゃないか、言ってみるといい」

 

「アノ者ハ、何者ナノデショウカ?アマリニモ、コチラニ対シテ脅威ト成リ得ル道具ヤアイテム類ノ数々…ソレヲ使ッテコチラヲ揺サブロウトモセズ、アマツサエ、負ケ星を背負ッテマデ尚、次ノ対戦ヲ望ムトハ…何ヲ得ル為ニアソコマデ身ヲ削ッテ戦オウトシテイルノカ…全ク意図ガ読メズ、ヒタスラ不気味デ御座イマス」

 

(ん~…なんて答えるべきか…ヒント出し過ぎだよな…でもあのベルリバーさんが何の計算もなしにホイホイ身バレの危険を冒しているとは思えないしな…一応、フォローしておくか)

 

「私も、あの者の存在については興味が尽きぬ部分はある、先だっての「写真」の件でも皆、わかっているとは思うが、我がギルドに何らかの形で関わっていた線は濃厚だ、ひょっとしたら『期間限定』でギルド入りはしたが、正式メンバーには認められず、補欠扱いとなったため、脱退した輩かもしれん…、ならば一時期でも我らと交流があったという部分の説明はつくか…。」

 

「ナインズ様、貴重な思案の最中、口を差し挟む無礼をまずお許しください。」

 

「まだナインズ様がご思案の最中なのよ? 勝手な言動は慎みなさい!デミウルゴス!」

 

「アルベドよ…なにもそこまでのことではない、私が何も言っていないのだ、お前がでしゃばる問題ではない、一先ずは控えておれ…。」

 

「は…申し訳ございません…。」

 

 一言だけそう告げ、頭を下げたアルベドは一歩下がることで所定の位置まで戻って、指示に従う。

 

 

「さて、すまないなデミウルゴス、何か聞きたいことがあったのだろう?…かまわん、どの道判断材料が足りん内はいくら考えようと結論は出ないのだ、『下手な考え、休むに似たり』と言うが…どうせ今は次の対戦までの休憩時間なのだし、誰がその時間をどう使おうとそれに文句などは言わせんよ、質問があれば言ってみるといい」

(頼むから、変なことは言い出さないでくれよ? お願いだから答えられる範囲の質問にしてくれないかな…デミウルゴスはただでさえ深読みしやすいタイプなんだから怖いんだよな…)

 

「至高なる御方々に『補欠』などという不敬な地位があったのでしょうか?」

 

(良かった、そっちか、それなら答えられるぞ! その範囲なら変な深読みも入らないだろう)

 

「うむ、これは敢えてお前たちには聞かせてなかったことだから知らずとも仕方あるまい…この世界に転移するより以前は、我がギルドに加入しに来る者の中には、内部から情報漏洩を目論む輩や、ワールドアイテムや、超希少鉱石や金属など…様々な物を盗みに来るために加入しに来るヤツらも居たのだ…それを防ぐため、新人をしばらく泳がせ、正式なポジションではなく『補欠』という地位を作って、様子見の期間を設けていたのだよ、その上で何ごとも無く、我らのギルドの損失にならない人材だと判断したその時に、正式にギルドの指輪を進呈していた…という歴史もあったのだ。」

 

(本当は『補欠』なんて名称じゃなく「据え置き」とか「体験加入」とか表現してたけどな…。)

 

 そこで、守護者ら全員の顔色が変わり、嫌悪感で一色に染まる。

 

「よもや、至高なる御方々が作りし、我らがギルドを内部から食い散らかそうなどと考える輩が居ようとは…そのようなヤツらは万死…いや、万年に渡って恐怖公の元に置いておくべきでしょう。」

 

 デミウルゴスがそう言うと、すかさずアウラからも発言が飛び出す。

 

「デミウルゴスは甘いんじゃない?そこはやっぱり餓食狐蟲王のとこが一番じゃないの?」

 

「ぼ…僕もお姉ちゃんの言う通りだと思います。」

 

 その言葉を聞き、機嫌の良さそうな声でデミウルゴスが意見を返す。

 

「もちろんそれも候補に入れてあるさ、「万年」の時間があるのだから、全ての「最悪」の元に送り込んでそれぞれ千年ずつの時を過ごさせ、都度治療を施した後、残った数千年は私の牧場行きなどという道も考えては居るのだが…いやはや、悩ましいね、どの順番でそれぞれをどう過ごさせる道程で手順を進めれば一番喜んでくれるだろうか?というのが…いや、敢えてこのナザリックでレベルを上げさせて…灰にならない程度に鍛えた後、「最悪」送りから始め、蘇生させて五体満足に戻してから再びどれから始めるかくじ引きで選ばせてから始める…という手もあるね。」

 

「それならば、万年といわず、数万年でも楽しませてもらえそうでありんすね。」

 

(なんで、みんなそういうえげつない方法を楽しそうに話すかな~? まぁ、こっちもナザリックに害を及ぼす存在を放置するつもりはないけど…さすがに守護者たちは行き過ぎな気がするよな~…。)

 

「まぁ、今はそいつらとて以前の世界に囚われたままであろう、恐らく今となっては生存してるかすら怪しいものだが…、もし何かの運命のいたずらでこっちに来ているのなら、相応の返礼をこっちの世界でもさせてもらうつもりではあるがな…」

 

(さすがにあっちの世界がとっくに破滅してるなんて言えないよな、そんなこと言ったら「他の40人の御方々は?」とか言い出しそうで怖いし…)

 

「さすがは愛しのナインズ様、それでこそ、我がナザリックの威厳が全世界に浸透し、全てを支配する日もそう遠くないかと愚考いたします。」

 

「アルベドの言い分もわかるが…私は以前にも言ったと思うが、「仇には仇」で返す主義だ、何もこちらに害を及ぼしても居ない者らにまでナザリックの厳しさを教えるつもりはない、こちらに(こうべ)を垂れ、支配下に入るという事であれば相応の繁栄を約束する程度の度量はあるぞ?」

 

(そう言わないと、どこまで被害を広げるつもりなのかわからないからな、その部分は今の内にきっちり釘を刺しておかないと、とりあえず、コキュートスの質問は何とか言い逃れることが出来そうだな…。)

 

「あ、見て?シャルティア! あいつら、控え室の中にベッドなんて広げてるよ?どこから持ってきたのかな?」

 

「な…、なんてうら…いやけしからん者らでありんしょう!至高なる方々が作りし、この闘技場でその…いかがわしいことなど!」

 

 シャルティアとアウラの会話を横で聞いていたマーレがそれに対して遠慮がちに言葉をはさむ。

 

「あの~~…ベッドに横にされてる片方は、先程、ハムスケさんの武技で腕を落とされそうになってた人…ですよね?、多分まだ気を失っててそれどころじゃない気がします…あれはきっと、今は戦線離脱してるという意味なんじゃ…?」

 

(ん~~、多分マーレはまだ年齢的にも「いかがわしい」の意味が分かってないだろうから純粋な目で見ることが出来たんだろうな…普通にしてて、癒される守護者って実は少ないよな…茶釜さんはホント、さすがと言うべきか…)

 

「戦線を離脱して、しばらくは回復に専念する者にまで「地べたで寝てろ」と言うのはさすがに酷だろう、応急処置と言う意味でも…まぁ、ニューロニストの部屋にも普通にベッドくらいあるのだから、安静にさせてやるという意味では仕方あるまい、それくらいは許してやろうではないか」

(ニューロニストの部屋にあるのは正確には『拷問用』として趣向が凝らされたベッドだから、安静にするという側面では真逆なんだけどな)

 

 

「「「「「は! 御身の御心のままに!」」」」」

 

 守護者一同の声が一斉に唱和して控え席に響いていた。

 

 

 

「…、さて、それではこの後、向こうの準備が整い次第、次の対戦に入ることになるだろうが…先程も言った通り、次鋒に出てもらうことになるのは…コキュートス、用意の方は整っているか?」

 

「ハ! イツデモ心身共ニ、戦イニ赴ク準備ノ方ハ整ッテオリマス!」

 

「よし、ならば相手が所定の位置まで進み出てきたらこちらも出るとしよう、今回も審判の役目は私だ…、マーレ!先程のように私の身辺警護、サポートの方は頼んだぞ!」

 

「は…、はい、ぼ…ぼく、が…がんばります、ナインズ様」

 

 

「うむ、そう気張ることもないが、向こうの用意が出来るまでは我々ものんびりしていようではないか。」

 

 

                   ★★★

 

 

「さて、これで傷の方は問題なく回復できたようですね…ぁ、わん」

 

「いや、部外者のボク達の前でまで、無理に言葉を付け足さなくてもいいんじゃないか?」

 

 ついつい、創造主に「こうあれ」として設定された言葉遣いを最後に忘れそうになっていたペストーニャに対して、ベルが『無理をしなくてもいいんだぞ?』という意味で声をかけたが、戻ってきた言葉は淡々としていた。

 

「いえ、お気遣いなく、これは私のクセのようなもので、こうしなければ気が済まないからそうしているだけですので…ぁ、わん。」

 

 

「まぁ、貴女がそれでいいなら、そのままでも構わないけど…、いつでも普段通りにして構わないからね」

 

 気遣って、一応、そう声をかけるが、それに対しても快い返答ではなかった。

 

「いえ、私にとって、これが普段通りなのですわん。」

 

「そうか…、それならこれ以上は何も言わないけどね…。」

 

 

「いつも通りでいいと言われるならば…、失礼して、私から1つ、聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうかわん?」

 

「ん? ボクにかい? なんでまた…答えられることならいいけど。」

 

「あなたはなぜ、全力で戦おうとなさらないのですか? 自分から守護者の皆様との戦いを所望したにも関わらず…力を温存するような戦い方をしているように見えましたので…わん。」

 

「……、それはどうしてもココで答えなければならない質問かい?」

 

「いえ、どうしても答えたくないという事情であれば、無理にとは言いませんが…、明らかな敵意が無いにも拘らず、どうしてそこまでして戦おうとされるのか、そこが気になりましたので…わん」

 

「……そうだね…言わせてもらうとするなら…、せめてもの罪滅ぼしさ…、これ以上は今はまだ言えない、この5戦が終わったら、自然と答えを告げることになるだろうから、それまでのお楽しみ…という答えじゃ、足りないかい?」

 

「いえ、それならばいいのです、真実を告げることがすでに確定しているのであれば、今すぐに聞き出さなくても自ずと明らかになるでしょう、わん…。明らかに自分より戦力が上の存在を前にくじけずに戦える理由がそういうことならば、今は敢えてこれ以上は問わないでいましょう…わん。」

 

 そうしてペストーニャは、顔の向きをフレイラの方へと向けた後、元の顔の向きへと戻して独り言をつぶやいた。

 

「そちらの方のコトについても、その時に話していただけると、こちらとしてもありがたいですわん。」

 

 

(ん~~…やっぱりNPCはNPC同士、なにかしらの共感、同調波形のようなモノでもあるのかな?気配だけで見分けてるみたいだし、セバスもソリュシャンも…疑うことなく受け入れてたみたいだったしな…同じギルド所属ってことで、通じてるものでもあるのかもしれない…。)

 

「そうだね、自分のことについての説明が終わって、まだ説明が必要だったら…って感じかな、多分その必要はないだろうと思うけどね。」

 

 それに対してのペストーニャの言葉もまた、平坦なものであった。

 

「そうですか…わん」

 

(はぁ…仕方ないよな、今は『外部からの侵入者』って位置づけなんだし、和やかに話せって方が無理な話なのはわかるけどさ…動物好きな自分としては、その淡々とした対応ってどうにかならないものかなって思っちゃうよな…、まぁ侵入者と普通に話してくれるだけでも「善良」のカルマ具合は窺い知れるって感じだけど…)

 

「でも、傷を治してくれたことには感謝をしますよ、こちらに戻って来るたびにお世話になると思いますので、どうぞよろしくお願いします。」

 

(こういう時はペロロンチーノさんの蘊蓄(うんちく)って、変に役に立つよな…『好感度が稼げていないうちは無難な話題とか、共通する話を振ったりしてフラグを立てるのが進展への第一歩』でしたっけ?)

 

「…それは至高なる御方に命じられたので、命令でそうしているだけですわん。 気になさらないでください…わん」

 

「そうか…そういえばそれもそうだったね。 それでも侵入者に施しをするなど、本来ならしたくもないことでしょうに、それなのにその気持ちを押し殺してまで仕えられるその忠義を評価させて下さい。」

 

「私どもは至高なる方々よりのお言葉こそ第一、自分の感情など取るに足らないことです…わん」

 

(取りつく島もないじゃないか!話が進展しないですよ!ペロロンチーノさん、何とかしてくださいよ!)

 

 などと現実逃避で、今ここには居ない相手に悪態をつくも…自分で何とかしなきゃいけないことだと思い直し、気合を入れ直す。

 

「ところで、こんな風におしゃべりに興じていていいのですか? 確か次に戦う相手との場に赴くのでは?わん」

 

「え?」

 

「え?」

 

 最初がベルの返事、そして2番目がペストーニャ、まさか疑問で返されるとは思ってなかったためだ。

 

(そうだったぁぁぁぁ!!! そういえば試合の形式やら、注意、警告、反則、敗北っていうルールとかばっかりに目を向けてて、次の対戦相手との立ち合いのタイミングを決めるの忘れてた! こんなことなら負けた方から次の対戦では相手に先んじて…とか、勝った方から先に…とか決めておくべきだった…これじゃ、次がコキュートスかどうか不確定のままで出なくちゃならないじゃないか!)

 

「そ…そうだったね、相手の方から顔を出してくれるのかと思ってたから、のんびり構えてたよ」

 

「最初の取り決めで、あなた方のダメージや多少の精神的な回復時間のための休息を挟むことは聞いておりますが…、至高なる御方は、「休息時間」の長短はそちらにお任せになるというお話でしたわん、こちらとしてもあまり御方を無為にお待たせし続けているというのは正直、いい気分じゃないので、早い所、どっちから先に歩み出るか、とっとと決めてもらえたらありがたいのですわん。」

 

(う~ん…言葉尻に、不機嫌な様子が所々見受けられるな…早いとこ話題を切り上げるか…)

 

「そう…ですね、それはこちらの手抜かりでした。お詫びいたします。」

 

「出るのなら、早めに出た方がいいと思うわん、私は我慢できますが、守護者の方々の中には特に気が短くていらっしゃる…というより御方を軽く見ていると判断したら即、行動に出られる性格の方もいらっしゃいますので…わん」

 

 

(あ~…そうかもしれないな~…NPCのみんなの性格設定までは細かくは覚えてないけど、アルベドやデミウルゴスなんかは「悪魔種」だからな…そういう側面があってもおかしくない…カルマが「悪」に偏ってるのは多分確実だったろうし…早く出ていかなきゃだな。)

 

「重ね重ね、身に染み入る進言ありがたい限りです、では私はそろそろ出るとしましょう。」

 

「……ご武運を…ですわん。」

 

「ありがとう…(多分表面だけだろうな…「お祈りしております」が省略されてたし…)」

 

(さてさて、次の次鋒戦は、先発として自分が出るとして…、最後の大将戦を見据えて、共に戦いに出る人員を連れていくって前例を作っとかなきゃな…「こいつならそうして当たり前だろう」って前提を今の内に植え付けておかないと…大将戦までは誰が来るかっていう予想はある程度想像がつくんだけど大将に誰が出るのかが、ちょっと読めないからな…少し交渉してみるか…)

 

 

 こうして、舞台に出る前、共にステージに立つことになる人選を考えながら、アインズ…もといナインズに<伝言(メッセージ)>の魔法を発動させるのだった。

 

 

 




大変お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

ここまでが、シャルティア戦になります、次からはコキュートス戦。

かなり「カタカナ言語」に苦戦しそうな予感、会話とかは武人としては口数は少なくした方がいいのだろうか、その方が楽だし…と思いながらも、ベルリバーさん的にはNPCに対してのアンケート調査のように、創造主をどう思っているのか?という部分は確かめざるを得ない心境なんですよね。

 話は変わりますが、ベルリバーさんは黒の宝珠を40個用意したと書かれておりましたが、ペロロンチーノさんの発言の終わり際、ちゃっかり姉のぶくぶく茶釜さんも「ペロロンチーノさん枠」で、作成NPC(アウラ、マーレ)に伝えたいことを収録してしまっております。

 そのため、まるまる未使用の黒の宝珠が1個あったりします。

 それが今後、出番があるのかないのか…気になるところですね。

 イミーナさんが行動不能になったのは、元ネタにした技の方も、そういう仕様だから、そのまま同じような仕様にしちゃいました。

 動けなくなったイミーナさんがどんな行動に移るのか…、ヘッケランは?

 そこら辺は次の話の頭らへんに書いて進めていこうと思っております。

 ちなみにオバロのアプリゲーム、マス・フォーザ・デッドでのコラボ企画。

 デート・ア・ナザリックⅡ…、一日一回の無料10連で出なかった★5キャラ。

 その中でも今回の目玉、「若気の至りVer.の狂三(くるみ)」さんが一日一回の無料1連で出まして、心の中で小躍りしちゃいました。

 一連で★5が出るなんて、ノーマルアルベドさんが初期に出て以来ぶりでした。

 まだまだオバロ熱は冷ましませんよ?

 周回の方はキツくなってきて、ポイント稼ぎが捗らず、交換所の高額商品に手が届かなくなっておりますが…

 (ギルド機能って言う新規導入はいいんだけど、ギルメンが一人も加入しに来てくれないw…まぁ、誰でも何の制限も無しに自分のギルドを作れるってなったら、みんながギルマスになるのは当たり前かもしれませんけど…モモンガさんみたいに毎日のようにインして、最終日まで…ってかなりの難行だと今更ながらに思い知らされてます。)

今回こそは誤字、脱字がありませんように…
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