No Answer   作:報酬全額前払い

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段落下げ出来ないおま環不具合はいつの間にか直ってました。誤字報告機能を使って段落下げに協力して下さったユーザーさん有難うございました。

さて、今回は焔薙さん家の『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』の世界にお邪魔する…………ための前段階です。読んだことの無い人は是非是非一度ご覧あれ。


マッチポンプ

依頼主:SG社

どうもレン指揮官。まずは負け犬たちの排除、お疲れ様でした。

その問題が解決して早々で申し訳ありませんが、更に追加の依頼をさせていただきます。

ご存知の通り、我々SG社は食糧のシェアをかなり握っている大企業です。下は小売店、上はグリフィンのような特権階級の皆様にまで、幅広くご愛顧を頂いています。

ですが、競合している企業が無いわけではありません。中でもヒューマンフード社(以下FF社)はその最たる例でして、最近になって現れた新興企業にも関わらず、数々の企業を吸収合併できる程に成長しています。
もちろん、この成長ぶりにはカラクリがあります。FF社は我々や他社の社員をなりふり構わない引き抜きなどの違法スレスレな行為によって、ノウハウなどを盗んでいるのです。

当たり前ですが、どの会社にも、その会社が築き上げた独自のノウハウや顧客があります。我々のように会社と誠心誠意お話をしてちょっとノウハウや顧客を借り受けるならまだしも、それらを無闇矢鱈に奪うのは善い行いとは言えません。

しかも、どうやら彼らは成功したことで調子に乗っているようで、無謀にも我が社を追い落とそうとネガティブキャンペーンまで行い始めたのです。

我が社の支持基盤は、あのような弱小企業の戯言で揺らぐほど弱くはありません。しかし、このまま放置して好き放題やらせていると、虚言に惑わされる方々が出てこないとも限らない。
競合他社の存在は目障りですし、更なる力をつける前に叩き潰します。ですが理由も無しに喧嘩を売ると外聞が悪いので、こちらから攻め入る大義名分を作るところから始めます。

先日、FF社を装った我が社の社員が、今日の食事にも困るような浮浪者たちに声をかけ、彼らをテロリストに仕立てあげました。
彼らには、地方にある我が社の直営店舗を襲撃してもらって被害を出してもらいます。店舗の警備担当者次第ですが、お客様の犠牲は最小限に抑えられるつもりです。

ですが万が一で、即席のテロリストもどきに遅れをとるようなことがあるかもしれせん。レン指揮官にお願いしたいのは、その万一が起こった時のためのセーフティなのです。

これは警備の抜き打ちテストも兼ねていますから、出来る限り手だし無用でお願いします。出番があるまで、近くのカフェでお茶でも飲んでくださって結構ですよ。領収書をSG社名義で切ってくれれば、余程の金額でなければ此方で仕事の報酬として飲食代を払います。

もし万一の事態が起こった時は、追加で報酬を払う事を約束しましょう。

これはFF社を蹴落とすための計画の初手です。レン指揮官に本格的に仕事を頼むのは次の一手からになりますが、初手からつまづかずに安定して計画を進めるためにも今から宜しくお願いしますね。


成功報酬:飲食代(10000まで)
追加報酬:弾薬200




S09地区のP基地へ

 

 作戦前日の夜、指揮官とネゲヴは59式の研究室に来ていた。何故かペルシカに呼び出されたからだ。

 

 点灯している幾つものモニターの中でも一際大きいそれには、2人を呼び出したペルシカの姿が映っている。

 そのペルシカから放たれた言葉は、指揮官の頭を混乱させるのに十二分な威力を持っていた。

 

 ペルシカが養子縁組をしたらしい。それはいい。いや、結構な大問題であるが、それは一先ず置いておく。

 その養子縁組をした娘が人形との子供を作ったらしい。それもいい。いや、それだってかなりの大問題であるが、それも一先ず置いておく。

 

 分からないのは、そんな話を何でS03に持ってきたのか。そして、その話を聞いた指揮官に何をして欲しいのかだ。

 モニターに映る大天()の真意が分からない指揮官は、素直に疑問を投げかける。

 

「……つまり、なんだ。どうしろと?」

 

《一言で言えば力になって欲しい。正直、手段を選んでいられる状況じゃないの》

 

「でしょうね。あんたが恥も外聞も無く真剣に、しかもウチに頼んでくるってことは、つまりそういう事でしょうから」

 

 関わるだけで外聞が悪くなるのがS03という場所だ。真っ当な基地なら関わろうとしない此処にわざわざ頼みに来るということは、外聞を気にするだけの余裕が無いということの証明でもある。

 だけど、とネゲヴは一呼吸置いてペルシカを睨んだ。

 

「こっちのメリットは?」

 

《………………》

 

「養子縁組に関してはおめでとうと言っておくわ。その娘が孕んだのもおめでとう。お祝いするわ、言葉でね。

 で、それが私たちになんの関係がある?」

 

 善意で経済は回らない。好意で世界は動かない。

 

 善意より金銭を。好意より悪意と憎悪を。それぞれ要求するのが経済と世界である。

 当然ながら、ペルシカのお願いなんかでS03は動かない。

 

「いつから私たちの関係が仲良しこよしのお友達関係に変わったのかしら。

 私たちはあくまでも契約で関係を続けているだけでしょ?そこに友情は無いし、もちろん親愛も無い。あるのは互いの利益だけ」

 

《…………そうね》

 

「ウチにこの話が来た理由、なんとなく分かるわ。アンタとは関係が深いから、こういうものを頼みやすいとか思われたんでしょうね。

 だけど、肝心なことを忘れてる。私たちにも拒否する権利くらいあるってことを」

 

 つまり、ここで指揮官やネゲヴが「嫌だ」と言えば話はそこで終わってしまうのだ。

 もちろん今後ペルシカとの関係は悪くなるだろうが、そのデメリットを受け入れてでも断りたいと思っていたならば、断ることは出来てしまう。

 

「アンタなら分かってるでしょうけど、あえて言わせてもらうわ。この案件、相当な厄ネタよ。アンタの身の安全も怪しくなるだろうし、最悪の場合、権力闘争の末に巻き添えを喰らった基地が全て解体されかねない」

 

《でしょうね、それは分かってるわ。だから頼んでる》

 

「同じことを何度も言わせないで。私たちは友達じゃない。そして、頼まれたから"はい分かりました"って手を貸せるほど、我々は暇でもなければお人好しでもないの。

 もう一度だけ言うわ。私たちを動かしたいならメリットを提示しなさい。こんな特大の厄ネタに関わっても良いと思えるだけのメリットをね」

 

 ネゲヴとペルシカがモニター越しに目線をぶつけ合わせる。ここで退くわけにはいかないペルシカは強気に言葉を紡いだ。

 

《いざとなったら向こうの協力を得られるわ。あっちは色々と特異な基地だから、あらゆる意味できっとS03の助けになれる》

 

「絶対に?」

 

《……それは……》

 

「答えられないわよね。今の世の中、絶対なんて何処にも無い。そしてアンタは、その娘の義理の親でしかない。

 アンタがその娘に働きかけたとして、その基地を動かせる保証は無いし、その娘が助けてくれる保証も無いのよ」

 

 企業同士が印鑑を押して取り交わした書類すら信用できない世界だ。口約束など、とても信じられたものではない。ましてや指揮官ではないペルシカとの口約束など、余計に。

 口ごもったペルシカにネゲヴは厳しい目を向け続ける。そんなネゲヴの横で、指揮官は人差し指を立てながらペルシカに言った。

 

「一つだけ確認したい。それはお願いか?それとも俺たちに対する依頼か?」

 

《……なるほど。そうね、これは依頼よ》

 

 指揮官の一言で何が言いたいのかを理解したペルシカは、思わず悪どい笑みを浮かべながら頷いた。

 さっき言っていたネゲヴの"メリット"とは報酬のことであり、つまるところネゲヴは『助けて欲しいなら金払えやオルァ』と遠回しに言っていたのだ。

 

「報酬は?」

 

《私が出すわ。依頼の長さによって額は変わるけど、少なくない金額を約束する》

 

「その長さは?」

 

《応相談。娘と……ユノとも話をしないといけないから》

 

「仕事内容は?」

 

《それも応相談。もしかしたら、どこかのお偉方を吹き飛ばす仕事かも》

 

「なんだ、いつも通りじゃないか」

 

 そう、いつも通りだ。仕事内容と期限が分からないだけで、やる事は変わらない。むしろ依頼主が知っている奴なだけマシですらあるかもしれなかった。

 

「なんにせよ、殺し殺されの仕事である事に変わりはないんだろ?だったら、成果に見合うだけの対価を出してくれるなら俺たちに文句は無い」

 

《要は金出せってことね……なんか、改まって頼んでたのがアホみたいじゃない》

 

「実際アホだったぞ。なあネゲヴ」

 

「ええ。つべこべ言わないで最初から依頼として持ち込めばいいのに、何やってんのって思いながら見てたわ」

 

《あんたらねぇ……》

 

 どうやら、この二人に遊ばれていただけだったらしい。それについて文句のひとつも言いたかったが、今回は自分に非があるために何も言えなかった。

 

「ところで、ネゲヴと俺の素性って知られてないよな?知られてるとかなり面倒というか、付き合い方を考えないといけないんだが」

 

《多分知られてないと思うわ。レンはS03に篭ってるからデータも少ないし、ネゲヴは全ての書類で真実を隠蔽してるから平気なはず。

 もちろん私から漏らしたことは無いわ。内部パーツさえ見せなければ分からないんじゃない?》

 

「じゃあVendettaは置いてくか。もし見たことあるとか言われたら面倒だし」

 

「でも代わりの近接武器はどうすんのよ。とっつきは使い捨てだし、他に長物なんて……」

 

《あるわよ。最近になって出たんだけど、ネゲヴに支給される追加装備(スキン)に付属してるのが》

 

 その名を黒石姫。ゴブリンハンター(SPAS-12の追加装備)と同じコンセプトでデザインされた、西洋鎧と刀のセットである。

 

《手付金として、それを用意しておくわ。向こうに行く前に私のところに寄って》

 

 

 ◆◆

 

 

 企業間戦争

 

 SG社からの依頼を一言で表すのなら、きっとその言葉が相応しいのだろうと思う。

 元々その言葉は、かつては激化する情報戦などを比喩的に表現したものであったらしい。だが、昨今では文字通りの意味として使われる事が殆どだ。

 

 企業同士が戦争のような争いを繰り広げる……そう、今では企業も戦力を保持する時代になったのだ。

 各企業は自衛のためだ等と嘯いているが、使用目的がそれだけに留まらないのは誰もが知っていることである。競争相手を物理的に排除する、格下相手の脅しに使う。相手企業への侵攻など、数えだしたらキリがない。

 特に現在の依頼主であるSG社の戦力は凄まじく、平均的なPMCにすら遅れを取らないとすら言われているほどだった。

 

 …………そんな凄い戦力を自前で持ってるんだったら、なんで高い金を払ってまでグリフィンなんぞに頼るのか。自分でやれば良いじゃないか。という疑問を持つのは間違いではない。

 しかしこれには、やむを得ない理由があった。その戦力はあくまでも自衛のための戦力である、という建前だ。

 

 どれほど強大な戦力を保持していようと、名目上は自衛のための力。それを積極的に他所に出してしまうと、企業のイメージが悪くなる。

 

 常に付け入る隙を探して他社を蹴落とすのが常の世界でイメージの悪化というのは、それだけで致命傷になりかねないものだ。

 だからどの会社も大々的に部隊は動かせず、しかし他社を蹴落とすための難癖をつける機会を作るには戦力を投入する必要が出て来る。

 

 ジレンマのようなこの状況で輝いたのが、やはりPMCであった。金さえ出せば秘密を守り、自社より強力な戦力を使う事が出来る。そして誰でも使えるために、依頼主がバレる事も滅多にない。

 匿名性に優れているところが買われて、大戦が一時的に止まった10年ほど前からPMCは企業間戦争で使われ始め、今ではPMCの収入源の一つとして扱われるほど規模と市場が大きくなっていた。

 

「なんだか妙な依頼だな」

 

 とはいえ、このような依頼は流石に特殊な例だ。自分の会社を自分で襲わせておいて、それをお茶しながら見ていろなんて依頼はそう無い。

 SG社に指定された地方都市のカフェの壁際の席で、同じテーブルを囲んでいるネゲヴとM1895を見ながら、外行きの服を着ている指揮官は近くで買った新聞を広げつつそう言った。

 

「いいじゃない。こっちはタダで飲み食い出来るんだし、仮に何かあっても弾薬費は向こう持ちでしょ。こういう依頼ばっかりなら大歓迎なのにね」

 

 執務室に常備してあるクソ不味いものとは違うコーヒーを軽く口に含み、ネゲヴは満足そうに頷く。こちらは指揮官とは違い、"ネゲヴ"に支給されている白を基調とした服だ。

 そんなネゲヴの前で、M1895は微妙な表情を見せている。それは手元のケーキが口に合わなかったわけではなく、こうしている事そのものに原因があった。

 

「そうかのう……。わしはどうも好かん。特に、こうして黙って見ていろというのはな」

 

「ナガン。分かってるとは思うが」

 

「言うな指揮官。わしは仕事に私情を持ち込むほど堕ちてはおらんよ」

 

 思うところは当然ある。が、それで引き金を引く指が鈍ることは無い。どこまでいっても自分は道具なのだ。そして道具は人に使われるためにある。

 そんな自分が、持ち主の意に反するような事を出来るはずが無かった。

 

「それより、俺は向こうで歓迎されるのかね。担当地区を明かした瞬間に帰れとか言われないよな」

 

「以前わしらが行った時に拒否はされんかったから、少なくとも門前払いは無かろう。依頼主も説得してくれておるだろうしの」

 

「ただ、門前払いはされないのと、歓迎されないっていうのは矛盾しないのよね。態度や目線で露骨に見下された事が何度あったかしら」

 

「あの娘に限ってそれは無いと思うがのう」

 

 ワザとらしい甘さが人形・人間を問わず不評の飴玉をこよなく愛する甘党のM1895は、同じ飴を好む者に悪い者はそんなに居ないと思っている。

 そしてその飴玉を好きよりの普通な感じで消費する向こうの指揮官に、M1895は謎の親近感を覚えていた。

 

「直接行った事のあるナガンの言葉だから信じるけど、なんか緊張すんだよなぁ」

 

「そう気負わなくても良いわ。私もフォローするし、最悪ペルシカがモニター越しにフォローしてくれるでしょうしね」

 

 別の地区の指揮官と直で会うのが久しぶりだからか、珍しく緊張しているのを隠さない指揮官にネゲヴが優しく微笑みかける。それを見た指揮官は安心したように顔を綻ばせ、頷いた。

 

「安心した……そういえばアイツ、なんで来ないんだ?向こうの指揮官を義理の娘にしたんなら、また会いに行けばいいのに」

 

「他所に連絡取ってるんでしょ。こういう話が来てるのは私たちだけな訳ないし、通信を秘匿するなら16Labは最高の環境だもの。はい、あーん」

 

 チョコケーキを指揮官の口に突っ込みながらネゲヴは予想を口にする。

 何か忙しそうにしていたのは、今ネゲヴの足下に置いてある追加装備(スキン)の入った棺桶みたいなトランクケースを、此処に来る前に16Labまで受け取りに行った時に確認済みだ。

 

「それもそう……おっ?」

 

 唐突に地響きが起こったかのような衝撃と爆発音が聞こえる。ここからそう遠くない場所だ。

 いきなり起こったドンパチの予感に周囲の客や店員が狼狽えている中、指揮官たちは動揺することなくティータイムを続けている。

 

「始まったかな……ナガン。悪いが」

 

「うむ、承知した。行ってこよう」

 

 M1895はちまちまと消費していたケーキを急いで食べると、口元クリームが付いている事を気付かずにカフェを出た。

 このあとM1895は物陰から様子を窺い、場合によってはテロリストもどきを皆殺す仕事がある。

 

 ネゲヴは指揮官の護衛なので指揮官から離れられず、その指揮官は戦場に出していい立場の人間ではないので、こうして別行動だ。

 

「さて。俺らは向こうへの手土産にケーキでも買っておくかね」

 

「予算内で済ませてよ?」

 

「まだ5000も余裕あるんだから流石にオーバーはしないだろ」

 

 流石に手土産の一つもなしに出向くのは、元から悪い印象を更に悪くする行為でしかない。だが何を持っていけばいいのか分からない。

 迷った末に辿り着いた「向こうの指揮官は女だって聞いたし、甘いものでも持っていけばいいだろ」という安直な考え。それが正解だったのかどうかは、向こうの指揮官の反応で分かるだろう。

 

「さてさて、警備責任者が首を切られるか否か」

 

「何かあったらナガンが制圧する手筈になってるんだから、どう考えても首切られはしないでしょ。少なくとも物理的にはね」

 

「そうだな。物理的にはな」

 

 命は保証するが、それ以外の首切りは契約範囲外なので知ったことではない。だからあくまで他人事として2人は話していた。

 襲撃をされた時点で顔色は真っ青になっていそうだが……文句は自社の若社長に言ってもらいたいものだ。

 

「ところでネゲヴ。追加装備には鎧もあったけど、なんで貰わなかったんだ?」

 

「いらなかったからに決まってるじゃない」

 

 今、ネゲヴの足下にあるトランクケースには、追加装備の刀一振りしか入っていない。

 そのため、本来鎧を収めるために多く取られたスペースが丸ごと空き、今はこの地方都市で買ったお土産が代わりに詰まっていた。

 

「あれ買うと高いんだぞ。保証付きとはいえ25万もするんだからな」

 

「でもタダとはいえ、あんな置物貰っても置き場所に困るし……コスプレ衣装以上の価値は無いわよ」

 

「……かっこかわいいと思ったのにな」

 

 指揮官的にはちょっと未練がある。しかしそれを着るネゲヴが拒否しているのなら無理強いは出来なかった。

 まあVendettaの代わりに堂々と使える近接武器が手に入った事を喜ぼう。とポジティブに考え直した指揮官はコーヒーを飲み干し、伝票を持って立ち上がった。ネゲヴもトランクケースを持って後に続く。

 

「ケーキの持ち帰りってやってます?……そうですか、じゃあそのスウィーツの宝箱を、保冷バッグか何かに入れて一つ。領収書はSG社で切ってください。うん?クッキー?じゃあそれも。

 あ、釣りは要らないのでチップ代わりに取っておいて良いですよ」

 

 この状態でも普段通りな指揮官を何か異様なものを見るような目で見た従業員は、しかし横にいるのが人形だと分かり、更に金払いも良いと分かると態度を一変させた。

 指揮官をSG社のお偉いさんだと勘違いした従業員から丁寧に頭を下げられながらカフェから出ると、そこは騒ぎから遠ざかろうとする人がごった返していた。

 

「ちょっと遠くで軽い爆発音がした程度でそんな反応するかって、言っちゃ駄目なんだろうな」

 

「感覚が麻痺してる証拠ね」

 

「ホントだよ。改めてS03がクソッタレな職場だと実感するな」

 

 人の流れに従って道を流されるように歩き、駐車場に停めてある車の後部座席に乗り込んだ指揮官は、ケーキ5ピースセットを膝の上に置いた。ネゲヴはその横に座る。

 そんな指揮官に、運転席に座って帰りを待っていたFive-sevenが振り返った。

 

「おかえりなさい指揮官」

 

「留守番お疲れFive-seven。クッキー買ってきたぞ」

 

「気が利くわね。あたし、指揮官のそういうところ好きよ」

 

「どうも」

 

 運転席から道行く男をねっとり視姦しながら留守番していたFive-sevenは早速クッキーの入った袋の封を切り、ぱくりと一口。

 

「うん、なかなか美味しいじゃない。これだけでも運転手を買って出た甲斐があったわ」

 

「進んで運転席を買って出たのは、FALが怖いから逃げたかったからじゃないの?」

 

「それも無くはないわね」

 

 ネゲヴのジト目混じりのツッコミを軽く受け流しながらFive-sevenは通行人を視姦する作業に戻る。

 その様子は何処までも普段通りに見えるが、FALの名前を出した時に一瞬だけ目が泳いだのをネゲヴは見逃さなかった。

 

「煽りすぎたアンタが悪いんだから、帰るまでにお土産の一つでも買ってご機嫌取りしときなさい」

 

「そうするわ……またガチで襲われるのは、正直勘弁して欲しいしね」

 

 FALのことだから、1回Five-sevenを犬神家のオブジェに仕上げた時点で機嫌を直していそうではある。が、それでもご機嫌取りは必要だろう。

 さて、何で機嫌を取ろうかとFive-sevenが考えだしたところで、指揮官が言った。

 

「ネゲヴ。向こうの戦況は?」

 

「店舗の警備が頑張ったみたいで、無事に鎮圧完了。ナガンの出番は無かったみたいね。もう撤退してるわ」

 

「そりゃ嬉しい話だ。面倒ごとは無いに限る」

 

「ナガンが出たら、なんでもっと早くに来なかったんだって絶対に文句言われるのが目に見えてるものね」

 

 その手の文句は言われ慣れているものの、積極的に言われたいとは思わないので、そういう機会が来ないことは幸いだった。

 そしてM1895が帰ってくるということは、この依頼が完了し、次の依頼に取り掛れることを意味している。

 

「それじゃ、ナガンが戻ったら早速行くかね。次の依頼場所の……」

 

 そこはペルシカに、らしくない態度を取らせるほどの存在が居る場所。そして、今後様々な意味で注目されるであろう場所だ。

 

「……S09のP基地とやらにさ」

 





ここから焔薙さんにバトンタッチ……という名の押し付けです。いや、ほんとすいません。私にはこれが限界なんじゃ……

指揮官とネゲヴさんとナガンばあちゃんとFive-seven(エロうさぎ)は向こうでどんな歓迎をされるんでしょうね。私も楽しみです。

この先どんな感じで進めましょうかね?

  • 既存キャラの掘り下げ
  • 新キャラを出す
  • 世界観とかを詳しく描写する
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