【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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人を待つという行為を、ついぞしていなかった。

久しぶりなら、悪くないのかもしれない。


誓約 WA2000-LISA

空に星が瞬いている。

こうやって空を眺めるのも悪くないが…。

 

場所は基地のすぐ近くにある廃墟。

元々教会だったらしいが…鉄血の襲撃で破壊され、暫く占領されていた。

 

こうしてグリフィンの手に渡っても、直す人間は居なかったらしいが。

 

こういった建物には詳しくないが、昔、婚姻を結ぶ際にはないこの場所で契を交わしていたとか。

 

そんな話を母から聞いていたので…何となく誘った。

 

しかし、待ち人は遅い。

時間をそう言えば指定していなかったなと思いつつ…こうやって誰かを待つのも、悪くはないと思える。

 

「…遅いな」

 

彼女は来ない。

…まさか、今更尻込みしている訳でも無いだろうに。

 

今、俺はグリフィンの指揮官に支給される制服をきっちり着ていた。

何となく、着崩すのは違う気がした。

 

ポケットには、誓約の指輪が入った封筒が入れられている。

流石に数が用意できなかった様で、1つだけ先に届いたのだ。

 

「…お、お待たせ」

「おう、来たかリ、サ…!?」

 

振り返り、待ち人の姿を見て…言葉を失った。

 

いつものリボンは解き、髪は全てストレートに降ろし…肩と胸元を出した、大胆な白いドレスを着ていた。

 

頬に朱が指してあり、少し化粧もされている様だ。

 

「…何よ」

「何でまたそんな…」

「モナークとか、ノーススターにスプリングフィールド達が…その、せっかくなんだからって」

「…そっか」

 

ポケットの中から、封筒を取り出す。

 

「リサ」

「な、何…」

「綺麗だよ」

「ありがと、う…」

 

手を差し伸べる。

リサが遠慮がちに、左手を差し出してきた。

 

封筒から取り出した指輪を、彼女の薬指に嵌めた。

 

「…愛してるよ、リサ」

「…遅いわよ、言うのが。そっちから言われるの…ずっと待ってたんだから」

「ごめんな」

 

左手に添えた手をお互いに握る。

…リサを、抱き寄せた。

 

「お前は、俺の物だ」

「ええ…私は、貴方の人形」

「…リサ。あいつを片付ける為に、力を貸してくれ」

「勿論…私と貴方は、二人でひとつの商品。そうよね…相棒(パートナー)

 

リサが俺を見上げて、目を瞑る。

 

「ああ」

 

俺は、そんな彼女に顔を寄せて、キスを落とした。

 

「ちょっと小慣れてきた?」

「ムードも何もぶち壊しだよ」

「そう?私達には真面目過ぎるのも似合わないわ」

「言えてる…お前と会って、1年か」

「ええ。覚えてるわ…貴方と会った日」

 

リサが俺の胸に顔を埋める。

まるで、赤くなった顔を隠すように。

 

「随分と素直になったな」

「そうね…素直な私は、好き?」

「好きだよ、リサ」

「ありがと」

 

もう一度キスをする。

 

「ねぇ、ジョージ」

「なんだ?」

「暗いわ」

「そうだな」

「私、暗いのダメなの」

「知ってるよ」

「だから…今夜は、一緒に居てくれないかしら」

 

俺も、勿論離すつもりは無かった。

 

「帰ろうか、相棒(パートナー)。暗闇も気にならないくらい、愛してやるよ」

 

 

 

誓約、締結。

 

 

俺達は、名実ともにパートナーになった。

 

 

 




ジョージ、誓約をここに果たす。

やっと誓約出来た…道のり長過ぎたよ…。
あと9人はさっと片付けるか一人ひとり描写するかどうしよう…。

後者だとまた完結までページ増えちまう…。

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