久しぶりなら、悪くないのかもしれない。
空に星が瞬いている。
こうやって空を眺めるのも悪くないが…。
場所は基地のすぐ近くにある廃墟。
元々教会だったらしいが…鉄血の襲撃で破壊され、暫く占領されていた。
こうしてグリフィンの手に渡っても、直す人間は居なかったらしいが。
こういった建物には詳しくないが、昔、婚姻を結ぶ際にはないこの場所で契を交わしていたとか。
そんな話を母から聞いていたので…何となく誘った。
しかし、待ち人は遅い。
時間をそう言えば指定していなかったなと思いつつ…こうやって誰かを待つのも、悪くはないと思える。
「…遅いな」
彼女は来ない。
…まさか、今更尻込みしている訳でも無いだろうに。
今、俺はグリフィンの指揮官に支給される制服をきっちり着ていた。
何となく、着崩すのは違う気がした。
ポケットには、誓約の指輪が入った封筒が入れられている。
流石に数が用意できなかった様で、1つだけ先に届いたのだ。
「…お、お待たせ」
「おう、来たかリ、サ…!?」
振り返り、待ち人の姿を見て…言葉を失った。
いつものリボンは解き、髪は全てストレートに降ろし…肩と胸元を出した、大胆な白いドレスを着ていた。
頬に朱が指してあり、少し化粧もされている様だ。
「…何よ」
「何でまたそんな…」
「モナークとか、ノーススターにスプリングフィールド達が…その、せっかくなんだからって」
「…そっか」
ポケットの中から、封筒を取り出す。
「リサ」
「な、何…」
「綺麗だよ」
「ありがと、う…」
手を差し伸べる。
リサが遠慮がちに、左手を差し出してきた。
封筒から取り出した指輪を、彼女の薬指に嵌めた。
「…愛してるよ、リサ」
「…遅いわよ、言うのが。そっちから言われるの…ずっと待ってたんだから」
「ごめんな」
左手に添えた手をお互いに握る。
…リサを、抱き寄せた。
「お前は、俺の物だ」
「ええ…私は、貴方の人形」
「…リサ。あいつを片付ける為に、力を貸してくれ」
「勿論…私と貴方は、二人でひとつの商品。そうよね…
リサが俺を見上げて、目を瞑る。
「ああ」
俺は、そんな彼女に顔を寄せて、キスを落とした。
「ちょっと小慣れてきた?」
「ムードも何もぶち壊しだよ」
「そう?私達には真面目過ぎるのも似合わないわ」
「言えてる…お前と会って、1年か」
「ええ。覚えてるわ…貴方と会った日」
リサが俺の胸に顔を埋める。
まるで、赤くなった顔を隠すように。
「随分と素直になったな」
「そうね…素直な私は、好き?」
「好きだよ、リサ」
「ありがと」
もう一度キスをする。
「ねぇ、ジョージ」
「なんだ?」
「暗いわ」
「そうだな」
「私、暗いのダメなの」
「知ってるよ」
「だから…今夜は、一緒に居てくれないかしら」
俺も、勿論離すつもりは無かった。
「帰ろうか、
誓約、締結。
俺達は、名実ともにパートナーになった。
ジョージ、誓約をここに果たす。
やっと誓約出来た…道のり長過ぎたよ…。
あと9人はさっと片付けるか一人ひとり描写するかどうしよう…。
後者だとまた完結までページ増えちまう…。