【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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お久しぶりです。
最近少し更新が滞っていましたが、合間を塗ってなんとか投稿できました。


窮地、覚醒

『ハァイ、ジョージィ?元気かしら』

 

無線に嫌というほど苦しめてきた女の声が木霊する。

 

「憎たらしいほどキレイな声しやがって」

『あら、嬉しいわね。頑張って向かってきている様だから……プレゼントを用意したわ。気に入ってくれると良いけど』

「プレゼント……?」

相棒(パートナー)!前方から……ダイナゲートがとにかくたくさん!!』

「二人共、ダイナゲートだ。厳しいかもしれないが手こずる相手じゃ……」

 

ない。

 

そう言い切ろうとした。

……が、よく見ると背中に付いている火砲が無い。

 

その代わり、ケーブルに繋がった()()()()()()のような物がマウントされている。

 

「……ねぇちょっと何あれ!?」

「撃て!アレは絶対ヤバい!近付けるな!!」

『グラップル射出!興奮剤追加投与!!』

「お、らぁっ!!」

 

近くの廃コンクリ柱にワイヤーを打ち込み、強化された身体と外骨格の出力で目の前に引き倒した。

簡易的なバリケードだ。

 

「トカレフ!リサ!撃ち漏らすなよ!」

「「了解!!」」

 

俺もフラットラインを構えて撃ちまくる。

アサルトライフルの掃討力と、ハンドガンとライフルにしては比較的早めの射速を持つリサが合わされば凌げない筈は……。

 

「ジョージッ!!?!」

「リ、サ……!?」

 

不意に、突き飛ばされる。

人形の全力で突き飛ばされたので、少し床を転がるが……すぐに立ち上がり、

 

「い、嫌ッ!?はなれ、このっ!!」

 

チェーンソー付きのダイナゲートに群がられ押し倒されたリサが見えた。

 

「て、めぇ!!俺の女に触んじゃねぇ!!」

 

すぐに真上に乗っていたヤツを蹴り飛ばし、周囲に群がっていた奴らを片っ端から撃ちまくった。

リサの手を引く。

 

「なんで来たのよ!?」

「見捨てられるか馬鹿っ!!」

 

幸い目立った外傷は無さそうだ。

ただ、あちこちに浅い裂傷が付いてしまっている。

一度引くべきかと思案した時、

 

相棒(パートナー)上っ!!』

「指揮官ッ!!!!」

 

二人に喚起され、上を向く。

 

……ダイナゲートが、大量に降ってきた。

 

「う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーside:M4A1

 

 

指揮官からの連絡が、途絶えた。

止まりそうになる思考を必死に繋ぎ止める。

 

「M4!」

「大丈夫です……姉さん、皆。ごめんなさい、少し時間を稼いで」

「……何か考えがあるの?」

「ええ。指揮モジュールを使うわ」

「!M4、それ……」

「お願い、出来るかしら……皆」

 

この作戦前に指揮官……ジョージさんから言われていた事がある。

『もし、指揮が取れなくなった場合』について。

 

「……可愛い妹と、憎たらしいその旦那の為だ」

 

M16姉さんが苦々しく呟いた。

……私は、この人たちの家族で本当に良かった。

 

「ローニンさん、聞こえますか」

『聞こえてる。あのクソ指揮官の報告書に指揮簿は全て読み込んでるな?』

「はい」

『これより戦術人形M4A1に現場指揮権の一部を譲渡する』

「承認……申し受けました」

 

私の中の指揮モジュールが起動する。

戦術人形を指揮できるのは、人間だけではない。

 

私という人形は、戦術人形を指揮する権限と装置を与えられている。

 

だから、グリフィンのハイエンドモデルと称されている。

 

私は、この評価が嫌いだった。

 

けど、

 

「みんな、行くよ……!」

 

指輪をくれた貴方のためなら、そんなものどうだって良い。

 

 

貴方のために、戦います。

 

だから、無事で居て……ジョージさん。

 

 

私は私の戦場で、貴方を助けます。

 

 

 




M4、吹っ切れる。
チェーンソーダイナゲートとか普通ならただの的ですが、閉鎖空間+少人数+射速不足のこのメンバーにとっては充分に脅威となり得る。

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