ほら、ジョージ休み終わったぞ(無慈悲
トカレフの歓迎会も済み、彼女は無事にS-12地区所属の戦術人形となった。
…特に大した引き継ぎ等もなく、元々ここに寄越す腹つもりだったのだろうなと邪推するが。
戦力の強化に貢献されているのは確かなのでここは素直に喜びたい。
「ジョージ。本部から招集命令だ」
襲撃からもう1週間が経とうとしていた。
そんなある日、ローニンから渡された1通の手紙。
本部から、ドリーマーについての事情聴取だそうだ。
「…これ、俺が行かないとダメかな」
「何言ってんだお前」
「いや…だってさ。こっから本部まで片道8時間だぞ?」
「まぁ、確実に向こうで泊りだな」
「基地の運営止まらねぇか?」
「指揮官、こっちの書類目を通してください!大至急です!」
「分かったよGrG3、そこ置いといて」
「指揮官指揮官!大変にゃ!糧食班で火災にゃ!!」
「嘘だろ!?IDWそこの消化器持ってけ!あと火災起こした馬鹿呼んで来い!」
「指揮官さん大変です!16LABの試作品の一つが爆発しました!」
「何でだよ!?」
「ボスヤバいぞシュリケン?投げたら爆発した!」
「お前のせいか!!一応グレネードだからなファイアスターは!!」
…と、まぁこんな有様である。
とてもじゃないがこの基地を離れるなんて出来ない。
「まぁ確かに何の為の作戦報告書だって話だわな」
「だろ?…まぁ俺の出した奴人形に使えないから突っ返されたんだけど」
「え?何でだよ」
「…指揮官が生身でハイエンドと相対してあまつさえ接近戦で倒したんだそ?」
そう、頭の痛くなる話はこれなのだ。
人形が倒したのではなく比喩抜きで指揮官が倒してしまったこと。
十中八九違法薬物の興奮剤に糾弾されるんだろうな…。
そこまで思考して、ふと思い出した。
「ローニン?前に俺に投与したやつは一体何だ?効果も長かったし副作用もだいぶ軽かった」
「何って、普通に興奮剤だぞ?
「…希釈した?」
「ああ。アレは常人がそのまま投与すると二ヶ月不眠症にかかるレベルの代物だ。だから希釈する」
…あれ、変な汗が止まらないな。
そう考えると俺、あの時原液を自分に投与したって事に…。
「あんなの原液で使うなんてよっぽどの馬鹿だろう」
「うぎっ…」
その馬鹿がここに居るんだよなぁ…。
「ま、まぁ…本部か。三ヶ月にまたあそこに行かなきゃいけないのか」
友人達は、元気にしているだろうか。
「あ、ジョージ。社内報貰ってきてくれよ。連中ウチまで届けてくれねーんだ」
「社内報?そんなんまであんのかこの会社…」
何はともあれ、また本部に行くことになるな…。
「護衛の人形はどうすんだ?」
「ハンドガンタイプにするつもり。だからG17かな」
「トカレフじゃないのか」
「…なんか、含みがある言い方だな」
ニヤニヤしながらローニンが続ける。
「本部から派遣された救世主がやけにお前にゾッコンだからな」
「…本部で研修してた頃の友人さ」
「本当かよ?」
「本当だよ」
面白くなさそうにため息を吐かれた。
解せない。
「友人ねぇ。本部にいたの短いからお前がどんな事してたか知らねぇが…一部で有名だったからな」
「有名?俺が?」
「デカイ借金と重い女に好かれる男」
「何でや!?」
これにて日常は終了。
次回からまた迷惑ハイエンドによるちょっかいが始まります。
おい、ジョージ…美人に完全に目をつけられたぞ、良かったな。