ジョージの薬について。
「指揮官、ちょっとお体の事でお話が」
あれから、GrG3にひたすら弁解をしてグリズリーを宥めてカラビーナに追われて一日が終わりかけた頃。
ここS-12地区基地の衛生兵長に呼び止められた。
「なんだ?」
「いえ…鉄血工廠破壊作戦の後の治療のデータから少し気になる事が有りまして」
「それは…手短に終わらない話か?」
「そうですね…」
「分かった。診察室で良いか?」
「はい」
なんの話だろうか…?
ーーーーーーーーーー
S-12地区、診察室。
ジョージと衛生兵長は向かい合って座っている。
「率直にいいましょう。指揮官、貴方に薬物に対する完全耐性が発現しています」
「…………は?」
薬物への完全耐性?
「どういう事だ?」
「そのままの意味です。指揮官に対して風邪薬から媚薬まで何を使っても全く効果があらわれなくなる…と、言う事です」
先日の実家でカラビーナに盛られた事を思い出す。
…先天性じゃ、ない?
「…まて、人間がそんな風になるのか?」
「指揮官、これ飲んでみてください」
「え?ああ…げほっ!?不味っ!?なんだこれ!」
「下剤です」
「給料減らすぞてめぇ!!」
この前から部下がスナック感覚で薬盛ってくるのはどうしてなのか…ん?
「…何ともない」
「そういう事です」
「嘘だろ…」
腹の調子はいつも通りだ。
「指揮官がダウンしてる間に色々実験しまして」
「おい」
「どうにも、興奮剤以外の薬物に麻酔等効果が見られなくなっています」
「マジかよ…え?興奮剤だけ効果あんの?」
「と、言うより興奮剤の効果だけ極端に高くなっています」
…打ち過ぎたかな。
「指揮官が指す頻度を教えてもらえますか?」
「ここに来る前に一本行ったわね」
「ここでの戦闘で二本打ってますね」
「「え?」」
「えっ」
後ろに居たWA2000とカラビーナが同時に別々の数を申告した。
というかいつの間に…。
「…待ちなさいジョージ。まさかアレから二本追加で挿したって事かしら」
「指揮官さん?まさかとは思いますけど正確な数を教えて下さらなかったと…そういう認識で宜しいですか?」
「…いや、そのだな」
「要するに三本ですね。最初の一発目で体質が変わったんでしょう」
…原液の摂取が一番不味かったのか…。
「後これなんですが」
差し出されたのは、一枚のレントゲン。
…右肩の位置に…何か、ある?
「何だこれ…」
「歯です」
「歯ぁ?」
「しかも人形の。心当たりはありませんか?」
何でまた人形の歯何か俺の体内に………………。
そこで、あの黒い人形が脳にフラッシュバックする。
思わず頭を抱えた。
「ジョージ!?」
「あー、いや、何でもない。…そうか、ドリーマーか」
ちょうどその位置は、奴に噛み付かれた痕の近くだ。
「…興奮剤と何かしら作用し合っているようです。摘出しようにも…指揮官には麻酔が効きません」
「麻酔無しで切開…ゾッとしねぇな」
「流石に負担が大きいとの事で見送っています…何か、異常があれば必ず申し出て下さいね。絶対にですよ」
「…分かった」
奴に踊らされっぱなしだな…本当に。
「指揮官さん…」
「大丈夫だカラビーナ。身体は動くし頭も回ってる。すぐどうこうにはならないよ」
しかし、薬物への完全耐性か…これが吉と出るか凶と出るか。
そんな訳でジョージが薬物への耐性を身に着けました。
麻酔に耐性まで付いちゃったので負傷した時のリスクが凄まじい事に。
やったねジョージ!媚薬盛られても漏れなく全カット出来るよ!