借金指揮官、上司を口説く。
状況終了。
「ふぅ…」
眼鏡から目を離す。
戦場から少し離れた…所謂狙撃スポットに今潜伏していた。
今回は狙撃手の観測手としての研修であった。
即席タッグを組む事になった人形に話しかける。
「全弾命中…流石だな、WA2000」
「当たり前よ。私は殺しの為に生きてきた女よ…この程度、当然だわ」
勝ち気に笑う戦術人形、WA2000。
義体性能堂々の最高ランクであるライフル人形だ。
いろんな指揮官から『扱いにくい性格』と話は聞いていたが、まぁ要するに自信家なだけみたいだ。
「さて、帰ろうか」
「ねぇ」
「どした。お互い雑談に花を咲かせる仲でもないだろ」
「…へリアントス口説いたって本当?」
近くの木の幹に足を引っ掛けて、盛大に転んだ。
「む…」
「げっ」
今回の作戦の報告書をまとめ、提出しようとした先にヘリアンと遭遇した。
「あ、あはは…どうも」
「貴様か。どうだ調子は」
「ボチボチ…ですかね」
「煮えきらんな。あの夜私に迫った姿は何処に行ったんだ?」
めっちゃ弄ってくるやん。
これはさっさと切り上げて逃げた方が懸め…。
ガシャン。
「指揮官…」
「え"っ、M4…」
「今の…本当ですか…」
「えっ、あはは、どうなんですヘリアンさん?」
「いやだなM4…冗談で」
ガッ。
ぐぇ、首が。
「指揮官…説明してください…私は今、冷静さを欠こうとしています」
「元々冷静じゃなぐえええ締まる!締まってる!!」
「じゃあ私はこれで」
あの女!!!
「今朝も、他の人形とバディを組んで戦場に出られて…………………私とは、組んでくれたことないのに」
「いやお前メンタルの療養中だから戦場出ちゃ駄目だろ」
「スプリングフィールドさんには感謝してますけど、あの人はちょっと危ない気がしますし…」
「それは同感だ…」
あの時のスプリングフィールドは完全に捕食者の目をしていた。
「私は、指揮官がこのまま離れていきそうで…」
「…大丈夫だ。少なくともお前が治るまでは付き合うよ」
俺が傷付けてしまった責任は取らなきゃいけない。
「…それで、ヘリアンさんとは何を?」
「あっちくしょう蒸し返しやがった」
いい話で終われる雰囲気に出来たのに。
制服の襟を掴まれて前後に揺すられる。
「まさか、あの合コン時代の敗北者に懸想してるんじゃ…!」
「結構ボロクソに言うな!?」
「指揮官!私というものがありながらー!!」
「いででで俺とお前そんな関係じゃないから!」
「毎日一緒に同じ布団で寝てます!」
「どんだけセキュリティ強化しても夜中勝手に入ってくるだけだろ!!」
「バレンタインに贈り物しました!」
「あー…うん、ありがとう。美味しかったよ」
「え…あ、はい…それは良かったです」
「お返しはまた考えとくから」
「はい…待ってます…」
なんだこれ。
余談だがこの基地にいる人形達から、俺達は完全にデキてると思われてるらしい。
この前ベネットから聞いた…おのれベネット。
「あ、指揮官」
「うん?」
「埋め合わせ、お願いします」
「……………………………あ"っ」
次回、借金指揮官。
??「立ったまま○ね!!」