レイシフトの私的な使用は法律で禁止されています   作:ペニーボイス

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とりあえずタイトル回収する事にしました(圧倒的今更感)
例によってキャラ崩壊気味で設定ガバ気味です…苦手な方は回避推奨で…汗
レイシフトの概念んんんんん…



21 〜レイシフト編〜 思いがけぬ事故

 

 

 

 

 

 

 

 マスターがレイシフトするとなると、カルデアのスタッフ達はその準備に追われる事になる。

 誰もが皆それぞれ役割を与えられているし、どの部署も定員割れを補えるよう最大限の努力をしているが、しかし状況が良くなったわけではない。

 元々定員が少なかった上にレフ・ライノールの爆弾テロ事件で多くを失った"電力部"にとっては、殊の外人員不足は深刻だった。

 だって、定数30名に対して現在員2名なんだもん!

 もう絶望でしょ!

 

 

 

 そんなわけで、大抵レイシフトが行われるとき、俺と爺さんは大忙しになる。

 色んなところを駆け巡って、点検して、試運転して、修繕して…もうやんなっちゃう。

 この日はエジソン博士とテスラ博士のヘルプがあり、その上俺には電動スクーター2号機もあったから普段よりかは楽になったが…しかし、それでもしんどい。

 何なら今すぐにでも逃げ出したいが、そうもいかない。

 何故なら、()()()()()()()()からだ。

 

 このクソ忙しい職務から解放されるには、焼却されてしまった人理を元通りにしなければならない。

 だから俺はそれまで可能な限りの手を尽くして、ベストを尽くすしかないのだ。

 

 

 俺は無線機を片手に、コントロールルームにいるダヴィンチちゃんに連絡を取る。

 

 

「あー、あー、こちらシマズ。第14ブロックの点検完了です。異常は見受けられませんでした、もう一度自己診断をお願いします。」

 

『ダヴィンチちゃん了ーッ解!もう一度プログラムを実行するから、少し下がっていたまえ」

 

 

 

 この日は幸運なことに、問題が起きた箇所は一つだけで済んだ。

 普段レイシフトするって時には平均して5、6箇所は問題が起きる。

 設計時には完璧なシステムだったのだろうが、あの9.11のゼロ・グラウンドは前局長の足下であり、つまり、電気機械室の直上でもあったのだ。

 これが、定数30に対する現在員2名の答えでもある。

 あの時俺はサボ………タバコを吸いに喫煙室へ、爺さんも私室に忘れ物を取りに行っていたがために生き残った。

 

 とにかく、その時の被害のせいでシステムのあちらこちらに綻びが出ていた。

 エジソン博士は俺の特別休養期間に(結局失敗したが)全システムを直流化しようとしていて、そのおかげか彼好みに改装されたシステムの不具合は減りつつある。

 だが、やはりあの時の爆発の衝撃は、未だに爪痕を残しているのだろう。

 

 

 

『……うーん、やっぱりダメだ。すまないが、もう一度点検してもらえないかな?』

 

「承知しました。」

 

 

 俺はため息を吐いて、もう一度問題が起きていると思われる配線を点検する。

 確かにこの区画はエジソン博士が彼好みの改装を施していない数少ない区画でもあるのだ。

 やっぱり何かしらの原因があるのだろう。

 

 

『シマズくん、こちらエジソン。抵抗器の様子を見てみたまえ。』

 

「分かりました、博士。テスターで計ってみます………おおっ!さすが博士です、抵抗器に問題アリですね。…コントロールルーム、聞こえてますか?」

 

『ああ!了解した。マスター達はまだブリーフィング中でまだ時間がかかりそうだから、慌てずにやりたまえ。』

 

「そりゃ有難い」

 

 

 区画のパネルを取り外し、ライトで配線ボックスの中を見る。

 幸いな事に抵抗器は取り外しが容易な位置にあるが、慌ててミスをしてしまえば元も子もない。

 だから"慌てずにやっていい"という助言は、皮肉なしに有難かった。

 

 俺は取り外したパネルを下に置き、工具ボックスを……

 

 

「シマズさん、スパナですか?レンチですか?」

 

 

 はた●く細胞の白血球みたいな作業着を着る皇女殿下が、スパナとレンチを持ってこちらを見ている。

 可愛らしいっちゃ可愛らしいんだが、俺としちゃあ普段両手に持っているヴィイを作業着の谷間に挟んでいる方に目が行って仕方がない。

 ………ダメだ、ダメだ、落ち着け、俺。

 イエス皇女ノータッチ!

 イエス皇女ノータッチ!!!

 

 

「で、殿下。工具はボックスの中に置いてくださればよろしいので」

 

「いいえ、シマズさん!私はこの前あなたに無理を言ってしまいました…せめてもの償いです。どうか手伝わせてください!」

 

「お気持ちは有難いんですが、殿下…」

 

 

 おい、泣くな

 お泣きになるな

 どうかお泣きにならないでください、皇女殿下!

 いつからそんなにあざとくなられたのですか、殿下!?

 いつからそんなに可愛らしいお顔を巧妙に変化させて人心を掌握するような術をご習得なされたのですか、殿下!?

 

 

「そ、それでは、殿下…恐れ多いのですが…ドライバーをいただいても…」

 

「マイナスですか!?プラスですか!?」

 

「ぷ、プラスで…」

 

 

 皇女殿下の高貴なるお手を拝借しながらも、抵抗器を取り外す俺。

 その後、抵抗器は高貴なる白いお手によって部品ボックスに運ばれ、そして替えの抵抗器はまたしても高貴なる白いお手によって運ばれてきた。

 もうワンアクションワンアクションに緊張感が加わってやがる。

 間違ってもこの高貴なるお方のお手を傷つけたくなどない俺は、意図せずとも慎重になり、これまでにないほどの集中力を発揮していた。

 

 そのおかげか抵抗器の交換は何らの問題もなく終わり、思っていたよりも早めに復旧も終わる。

 

 

「こちらシマズ。コントロールルーム、抵抗器を交換しました。自己診断を起動してください。」

 

『了解!……うん、問題なし。お疲れ様、シマズくん。』

 

「ふぅ、良かった。では、パネルを復旧して撤収します。」

 

 

 どうやら、やはり問題は抵抗器であったようで、ダヴィンチちゃんからは問題なしとの返答をいただく。

 さてはてパネルを元に戻すかなぁと思っていた矢先、思ってもみなかった音を聞いた。

 それはママチャリのベルの音で、何事かと思えば廊下の向こうから邪ン姉さんがバスケット片手にこちらへ向かってきている。

 

 

「シマズ〜!差し入れ持ってきたわよ〜!」

 

「おお、ありがとうございます邪ン姉さん!」

 

「だから誰が邪ン姉さんだっつーの!…って、そこの皇女サマは?」

 

「高貴なる者として、その義務を果たさねばなりません。…シマズさんのお手伝いをしていました。」

 

「ふ〜ん。本当に仲良いのね、アンタ達。3人分持ってきて正解だったわ。シマズの仕事がひと段落したら皆んなで食べましょ。」

 

 

 え、何このアヴェンジャー。

 ついこの前まで彼女とはいかないまでも腹を割って話せる女友達あるいはオサナ=ナジミ感半端ない存在だったのに。

 今の彼女ときたらオカンのそれである。

 何というか、自分の息子と同い年の女の子が遊んでるから何かしてるのを微笑ましく見てる感じのオカン

 カノジョすっ飛ばしてオカン

 何一つ違和感がないのが恐ろしい。

 

 

邪ンカァチャン…」

 

誰がカァチャン。」

 

「邪ンヌさん、シマズさんのお仕事は今終わったところですので、これから3人で食堂へ行ってティータイムにするというのはどうでしょう?」

 

「そうね。こんなところでお茶するのも何だし、行きましょうか。…シマズ、とっととそのパネル元に戻しちゃいなさい。」

 

「はい、カァチャン。」

 

「だから。誰がカァチャン。」

 

 

 俺はパネルと向き合って、そいつを取り付けようとする。

 だがその時、無線機からダヴィンチちゃんの声が聞こえてきた。

 

 

『それでは、レイシフト開始!』

 

 

 は?

 

 ちょっと待ってダヴィンチちゃん。

 こちとらまだパネル復旧せなあかんねん。

 復旧する言うたやろうが。

 何してんねん。

 何で確認もせずに勝手にレイシフトおっ始めんねん。

 

 

 俺は大慌てで無線機に手を伸ばす。

 パネルだから多分感電のリスクは低いとは思うけど、万が一の事があっては危ない。

 しかし無情なことに、俺が無線機のボタンを押す前にレイシフトは開始されてしまったらしかった。

 

 

 開けっぱなしの部分から、何らかの理由で電気が漏れ出たらしい。

 パネルを復旧していれば俺自身の感電は防げたかもしれないが、肝心のパネルは俺の手元。

 手元のパネルは漏れ出た電気を吸い上げて、俺に向けて遠慮することなく電気の流れを伝えやがった。

 

 

あぶべべべべべべ!!!

 

「し、シマズ!?」

 

「シマズさん!?」

 

 

 視界があっという間に霞んでいく。

 意識も徐々に遠のいて…

 最後に見えたのはビックリ顔の皇女殿下と、慌ててこちらに手を伸ばす邪ンカァチャン。

 でも最後には何も感じなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつくと、荒れ果てた土地の、よく分からないクレーターの中にいる。

 頭が痛くて、キーンという耳鳴りが響く。

 視界はまだ霞んだままだが、何回か瞬きをすると徐々にそれも回復してきた。

 

 どこからか滑空音が聞こえる。

 機関銃の連射音や、兵士の叫び声、爆発音にエンジン音まで聞こえた。

 一体全体、何が起こっているのやら。

 だが、それを確かめる前に、先ほど聞こえた滑空音が徐々に近づいてくるのを感じた。

 俺は両の手を頭の後ろに置いて、その場に突っ伏した。

 程なく爆発音が響いて、熱せられた土が俺に被さる。

 直撃で死んだか思ったが、幸いにも俺は生きているようだった。

 

 

「く、くそっ…ここは一体…」

 

 

 何処なんだ?

 立ち上がりながら、そう言うつもりだった。

 だが立ち上がったのは不味かった。

 

 

 目の前にシュタールヘルム…そう、ドイツ軍を象徴するあの特徴的な形のヘルメットを被った男達が3人いた。

 そのうちの1人はMG34機関銃を携えていて、俺と目があった瞬間にポカンと口を開ける。

 "こんな近くに敵兵が居るとは思ってなかった"といった顔をしていて、彼は大慌てで機関銃の銃口を俺に向けた。

 

 

「何やってんの、シマズ!!」

 

 

 強烈な閃光と共に7.92mm弾が飛び出る直前に、俺は誰かによって再びクレーターの中へ倒しこまれる。

 頭上ではMG34の強烈な射撃音が聞こえたが、それは若干くぐもって聞こえた。

 何故なら、今俺の頭は…後頭部から耳にかけての頭は柔らかくて暖かいモノに覆われていたからだ。

 

 くんかくんか…この匂いは…

 

 

「邪ンカァチャン!?」

 

正・気・に・も・ど・れ!!

 

 パッチィーン!!

 

「…邪、邪ン姉さん?」

 

「正・気・に…」

 

 

 またもクレーターの近くに砲弾が落着したようだった。

 邪ン姉さんは俺に覆いかぶさったまま呻き声を挙げ、またしても土が上から降ってくる。

 次いで、余り見たくないものも降ってきた。

 先ほどの3人のドイツ兵の誰かが被っていたであろう、シュタールヘルムである。

 

 

「…シマズ、大丈夫?怪我は?」

 

「ないです、邪ン姉さん。姉さんも怪我は?」

 

「だから、だれが姉さん…もういいわ、姉さんで。竜の魔女がこの程度で怪我をするわけないでしょ。…しかしまあ…とんでもないところにレイシフトしちゃったみたいね。」

 

レイシフト?…俺が?」

 

「よくは分からないけど、"巻き込まれた"って感じかしら。…私が近くにいて良かったわね。」

 

 

 いやぁ、ほんとにその通りです。

 しかしながら、何処なんだここは。

 確かついさっきまで抵抗器の交換をしていて、その後に感電してしまったのは覚えてる。

 だがまさかレイシフトに巻き込まれるなんて、思ってもみなかった。

 …てかさ、レイシフトってどうやったら帰れるんだっけ…?

 

 

「え、ヤバないですか、この状況。訳の分からん時代の、それも戦場のど真ん中にレイシフトですよ?ヤバないですか?」

 

「落ち着きなさい、シマズ。とにかく状況を見極める事が先決でしょう?」

 

 

 邪ン姉さんはそう言うと、俺の上からどいて、先ほど土と一緒に落ちてきたシュタールヘルムを拾い上げて俺に渡す。

 

 

「…見た感じ、血も肉片も付いてないわ。」

 

「うへぇ…」

 

「私はサーヴァントだけど、アンタは生身の人間でしょう?…ほら!さっさと被る!」

 

 

 俺は嫌々ながらもロシア式作業帽を脱いでシュタールヘルムを被った。

 まだ何となぁく残っている暖かさに少しゾッとする。

 だが、砲弾片が飛び交う戦場ともなれば贅沢は言っていられない。

 いつ鉄の破片が頭を直撃してもおかしくないのだ。

 

 

「シマズ、アンタなら分かるんじゃない?ここが一体いつで、どこの戦場なのか。」

 

「このヘルメットと、さっきの兵士が持ってた武器からして、第二次世界大戦だと思います。ただ、前線までは。ここがフランスなのか、北アフリカなのか、ユーゴスラビアなのか…」

 

 

 恐る恐るクレーターの中から周囲の様子を伺って見る。

 答えはすぐに得られた。

 

 

 

ypaaaaaa!!!(ウラァァァア!!)

 

Russisch!! (ロシア人だ!!)Feuer!Feuer!!!(撃て、撃てぇ!!)

 

 

 

 クレーターから向かって右側には、大勢の歩兵がいる。

 ギムナスチョルカに身を包み、手にはM1891ライフルやPPsHサブマシンガンを持って、向かって左手に見えるドイツ軍陣地に向かって集団突撃を行なっていた。

 対するドイツ軍は機関銃のフルオート射撃を機軸に、敵の突撃を破砕せんとしている。

 

 

 これだけで、年代と前線が概ねわかった。

 俺と邪ン姉さんは第二次世界大戦の、それも一番最悪な前線にいる。

独ソ戦』。

 この前線の死者数は、他の前線に比べて、群を抜いていた。

 

 

 

 

 




ま、まあ…アレですよね、サーヴァント現界してるってことはその…
立香ちゃんファイト!(←このゲスどうにかしろ)


オリジナルレイシフトさせてすいません。
何で第二次世界大戦にレイシフトする事になったかは、次話以降書いていきます。
作者としては皇女殿下絡みであるエピソードについて書きたかったので独ソ戦にレイシフトさせました。
お楽しみいただければ幸いです
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