レイシフトの私的な使用は法律で禁止されています   作:ペニーボイス

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キャラ崩壊どころかキャラ設定弄りましたごめんなさい許してくださいなんでもしますからなんでもするとはいってない。


Ⅲ サン・フアン・ヒルの予言者

 

 

アメリカ合衆国。

 

 

 

 

この名を聞けば、皆さんは何を連想するだろうか?

 

ハンバーガー、フレンチフライ、コカコーラ?

ナ●キ、ア●ダーアーマー、ニュー●ランス?

 

ビヨ●セやTO●Oと言った歌手を思い浮かべるかもしれないし、世界一の軍事力を思い浮かべる人も多いだろう。

 

最近だと、カ〜モンベイベ〜ナンタラ〜ってのを浮かべる人もいるかもしれない。

 

 

この国が独立宣言を出したのは1776年の事。

1.5世紀後には第一次世界大戦で決定的な役割を果たし、その10年後には世界恐慌の震源地になった。

そしてさらにその13年後には第二次世界大戦に参加して、4年でナチス・ドイツと大日本帝国を打ち破り、冷戦における自由主義社会のリーダーたる地位を確固たるものにした。

 

冷戦が崩壊するとアメリカは1人勝ち状態になったが、リーマンショックとロシアの再興・中国の台頭により『新冷戦』と呼ばれる時代が見え隠れするようになり、そして、人理焼却サヨナラバイバイ、オレはコイツと旅に出る、ピ●チュー。

 

 

 

 

 

まあ、いずれにせよ、アメリカ合衆国ほど短い歴史の中で確固たるスーパーパワーに上り詰めた国もそうそうないだろう。

 

それはつまり、歴代のアメリカ大統領達は絶えず良質な判断を求められてきたという事にもならないだろうか?

 

危機管理、安全保障、経済政策、治安維持、人種問題等々、国家の元首が向き合わなければならない問題はそれこそ星の数にも登る。

そして下される判断が誤っていればいるほど、その国が発展する事はあり得なくなっていく。

アメリカ合衆国が短期間で世界一のスーパーパワーに上り詰めたのは、きっと歴代大統領によるところも大きい事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その"大統王"は巨大な肉体を、俺の小さな私室で縮こめるようにしながら座ってタバコを吸っていた。

 

公共の喫煙所なら彼も背筋を伸ばして吸えるハズなのだが、最近は大英帝国の"威光"が巡回期間を短縮し始めており、安心して吸うことが難しい。

 

よって俺は私室でタバコを吸うことが多くなった。

そして、そればかりか喫煙者サーヴァント達が立ち寄る休憩所みたいになっていってる。

 

ちょっとばかし勘弁していただきたいかなぁ。

既に俺の私室には、邪ンヌとエドモンさんにご来場いただいた。

この2人なら体格的にも標準の人間サイズであり、そんな困ったなぁというようなこたぁない。

ただ、大統王ことエジソンとなるとちょっと困る。

デカいんだもん、サイズが。

俺のベッドに腰下ろしてるけど、ちょっと動く度にみしぃって言うし。

そもそもライオンがタバコ吸ってんのよ、俺の部屋で。

軽く安全保障上の危機だわ。

 

 

「すまんな、シマズくん。最近はあの看護婦が『カルデア禁煙☆キャンペーン』なるモノを始めてな。喫煙所で吸おうものなら殺される。」

 

「ど、どうか、お、お気になさらず。」

 

 

エジソンは案外ヘビースモーカーらしく、既に2本目のタバコをチェーンスモーキングしていた。

一方の俺の方は今日も業務を終えており、彼が出て行ったらゆっくりと寝る気でいる。

まあ、正直早う出てけやと思うところがないわけでもない。

ただこの人も婦長に追い回されて大変だなぁと思うところもあるので、俺はそれを態度に出さないようにした。

 

 

エジソンの喫煙はまだ当分終わりそうになかった。

うぅん、どうすっかなぁと思った矢先、昨日

の邪ンヌとの会話を思い出した。

そういえば、大統王って、エジソンの霊基をベースにアメリカ歴代大統領の霊基を合成して出てきたモンじゃなかったっけ?

 

ひょっとしたら…

 

 

「すいません、お伺いしたいお話があるのですが」

 

「ん?…ハハ、伝記本でも読んだのかな?…しかし、まあ、そう言った申し受けを受けるのは初めてだ。よろしい!何でも聞きたまえ。」

 

「うぅんと、こういうこと言うのもアレなんですが…」

 

「何だね?電球のフィラメントに京都の竹を使った時の感動的な話でもしようか?」

 

「えと、実をいうと、お話したいのはあなたじゃなくて…"彼ら"の方なんです。」

 

「…………」

 

 

エジソンが一瞬沈黙したが、すぐに馬鹿デカい笑い声をあげる。

本当に、何というか…マジでうっせえ。

 

 

「ふはははははッ!!そんな申し出こそ始めてだな!よかろう!少々準備に時間がかかるので、少しばかり待ちたまえ」

 

 

そう言ってエジソンは独り言モードに入った。

ただどうにも声量が大きく、まるで独り言の体をなしていない。

俺はコーヒーを2杯用意して、タップリのグラニュー糖とミルクを入れながら、デカすぎる独り言に否応なく耳を傾ける形となる。

 

 

「おうい!あんたらの話が聞きたいらしい!………ワシらに何の用じゃ………だから!あんたらの話が聞きたいんだと!………ワシらの話ぃ?そんな大した話はできんが………大丈夫だ、アンタらならやれる!」

 

 

段々とエジソンが多重人格者みたいになっていく。

どうやら合成した霊基の中から大統領達を呼び出しているらしい。

"交渉"がある程度まとまったようで、エジソンが俺を呼ぶ。

 

 

「シマズくん!誰と話したいかね!?」

 

「やっぱ1人ずつ?」

 

「ははははは!!それはそうだ、シマズくん!座にいる30人近い大統領を一気呼び出してみろ!私の口が足りなくなってしまうだろう!」

 

 

そ、それもそうか。

うーん、とりあえず…。

いや、とりあえずってのもおかしいけど。

 

 

「第26代大統領閣下を。」

 

「よろしい!わかった!少し待ちたまえ!」

 

 

俺はエジソンにコーヒーを手渡し、アメリカ第26代大統領セオドア・ルーズヴェルトが現れる時を待った。

なんだか恐山でイタコさんを頼ってるような気分になるなぁ。

いくらなんでもライオン顔のイタコさんなんて絶対にいないだろうけど。

 

エジソンが突然に口を開き、俺は少し仰天した。

口調と雰囲気が全く異なるのだ。

 

 

「おお、君が私の話を聞きたいと言ってるシマズ君かね?アメリカ合衆国第26代大統領、セオドア・ルーズヴェルト只今参上!」

 

 

まんまナイトミュー●アムじゃん。

まんまあの蝋人形のセオドア・ルーズヴェルトじゃん。

 

気づけば"大統王"は片眼鏡をかけている。

どっから出したかも、いつの間にかけたのかも想像すらつかない。

確かに、というか、受ける印象から言えることは、今俺の目の前にいるのがセオドア・ルーズヴェルトのマネをするエジソンではなく、本物のセオドア・ルーズヴェルトであるという事だろう。

うん、たぶん、本物。

試しに、あるエピソードの事を聞いてみるか。

 

 

「陸軍の小銃をM1903小銃にする際、銃剣を叩き切ったそうですね?」

 

「おう、そうだそうだ。そんな事もあったなあ。開発部の連中、主力小銃の銃剣をスパイク式なんぞにすると言い出した。あんなモンは銃剣と認められん!」

 

「クラッグ銃の銃剣で叩き切ったとか」

 

「ああいう連中には、実際に見せてやらんと分からんのだ。私はラフ・ライダーズの隊長として米西戦争に参加した。あんな銃剣では白兵戦で打ち勝てるだけの強度がない。」

 

「なんでスパイク式なんかにしようとしたんですかね?」

 

「当時の軍の予算が少なかったんだ。米西戦争もあって経済も芳しくなくてな。だが、それを理由にして、前線へ行く若者にあんな紛い物は持たせられん。」

 

 

 

今でこそ米軍といえば世界一を誇る軍隊であり、その予算は62兆円を超えている。

日本の陸上自衛隊の予算がおおよそ5兆円だから、その10倍以上。

ところが120年前まではそんなことなかったらしい、ちょっと意外だね。

 

どうやら、本当の本当にアメリカ合衆国第26代大統領セオドア・ルーズヴェルトご本人のようだ。

 

さて、さてさて。

 

 

「大統領職をやってた時、一番難しかった判断は何ですか?」

 

 

ありきたりの質問をしたつもりだった。

だが、エジソンもといセオドア・ルーズヴェルトは難しい顔をして黙り込む。

考えていると言うより、いうべきかどうか悩んでいる様子だ。

やがて、第26代大統領は口を開く。

 

 

「日本」

 

 

………そういうことか。

 

 

「私はたしかに…日本の文化に感動して、『ブシドウ』という本を友人に勧めたりした事がある。だが、日露戦争の後、日本はアメリカへの重大な脅威になりかねないと思えてきたんだ。」

 

「つまり…1905年当時から30年近く先を見越していたと?」

 

「必然だ、必然なんだ、シマズ君。日本が日露戦争に勝利すれば、必ず太平洋に目を向ける。そして….太平洋にはフィリピンがある。」

 

「なるほど…」

 

「正直な話、日本は"親しい友人"から"増長する脅威"になりつつあった。太平洋でのパワーバランスの面でも、中国市場への参入という面でも、日本はアメリカにとって"そう遠くない未来の脅威"だった。」

 

「衝突は避けられない」

 

「その通り。偉大な力と偉大な力がお互い勢力を競う時、いずれそれは臨界点に達する。最も重要な事は…この臨界点を見極めて先を見据えた判断をし、それに沿った行動をしておく事だ。」

 

「………35年も先を見据えて準備してたとなると、いやはや、それはもう勝てませんな」

 

 

 

オレンジ計画なるものをアメリカ軍が作ったのは第一次世界大戦直後の話である。

アメリカは本格的に日本との衝突を"先読み"していたのだ。

一方、同時期の大本営が仮想敵としていたのは、何故か分からないがフランスだった。

アメリカが仮想敵となるのは30年代の話だ。

セオドア・ルーズヴェルトはパナマ運河を開通させただけの人物ではない。

19世紀の終わりから20世紀の初頭には、彼は日本を驚異としてみていたと思われている。

何十年も先を見越していたのだ。

日露戦争で手を組んでいた、その当時から。

 

 

「さて、私もそろそろ失礼しよう。こう見えてなんだが…エジソン君が消耗してしまう。」

 

「一服どうです?」

 

「ははは。私の事を知っているなら、喘息持ちだと言うのも知っているハズだな?」

 

「冗談です。またお話しできれば是非。」

 

「今度は"甥"でも呼んでみるといい。それではな、若者よ。」

 

 

瞬き一つしている間に、エジソンが"戻ってきた"。

もう片眼鏡はかけていないし、雰囲気も大統王のそれに戻っている。

 

 

「シマズくん、彼との会話は楽しめたかな?」

 

「ええ、とても貴重な体験でしたよ。」

 

「そうか、なら良かった。私もこれで失礼するとしよう。コレをやると…少々疲れる。」

 

「どうもすみません」

 

「気にする事はない、場所を借りてるお礼だ。それではシマズくん、いい夜を。」

 

 

大統王が去った後、俺はベッドに身を預け、第26代大統領の言葉を振り返った。

 

先を見据えた判断と行動、か。

 

 

教科書の中の偉人が、教訓を教えてくれる。

……こんな人生経験できる人間なんて、そうそういない事だろう。

 

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