俺の朝は基本的に速い。
太陽が登るのと同時に起き、朝飯を作ってすぐに食べ鍛練をする。のが俺の朝の日課だったんだがなー、ここでするには危なすぎるんだなーこれが。
そんなわけで俺がやっているのは俺の異能、無機物を精製する能力を使っていろいろな物を作っている。
例えば直剣、形はいろいろあるが基本的には両刃、刃渡り60cmほどのごく普通の直剣。
他にはダガー、ごく普通の両刃で刃が短いタイプ。刃が鋸のようになっていて敵に致命傷を与えることに特化した対人用のタイプ。俺の魔力を消費して作り出すことをしている。
小物だったりも作ることができて鍋やフライパンなどの調理器具、ブローチやバングルだったりも作れるので一回やり始めると楽しくて止まれない。
そんなわけで一心不乱にブローチだったりを作っていると、
「ふぁぁぁ、あっ、シオン君、おはよう」
上からおりてきたトワさんが俺に気付き挨拶をしてきた、
「おはようございますトワさん」
「うん、おはよう。それにしてもそこにある恐ろしい数のバングルだったりは何かな?」
「見ての通り、バングルですよ」
「うーん、どうするの?」
「廃棄ですかね」
会話は続くが内容はひどい。乙女であろう年の女性と見た目だけはまだまだ若い青年の会話にしては色気が無さすぎる。
バングルをどうするかと言う話の時点で色気があるわけもないのだが、
バングルの彩飾できないかとか、どうやって売ったらいいだろうかとかそんな話ばかりだが話が弾んで行くところを見るとなかなか噛み合っているのだろう。どんどんと盛り上がっていく。
そうして夢中になって大量生産したバングルやブローチの使い道を考えていると、
「おはようございますトワ先輩。それにシオンも」
「あ、おはようリィン君」
「おはようリィン」
リィンがおりてきた、気配から感知していたが、
「で?それは何なんだ?」
リィンは呆れたといった表情で俺が大量生産したバングル達を見て言う。
「見ての通り、俺の鍛練の賜物だよ」
「何でそうなる?」
「仕方ねぇだろ。こんなん作るしか無かったんだよ」
俺は片手でバングルを弄びながらリィンに投げ渡す。
「っ?これは?」
「俺謹製の暴走を抑える腕輪だよ」
俺は次はペンダントを作り出し、トワさんに渡す。
「それは俺謹製、まあ銀哭シリーズとでも言うか、まあ、その銀哭シリーズのアクセサリを持ってる人物と念話ができる効果がある」
「え、じゃあリィン君やシオン君と?」
「まあ、そうなりますね」
俺は渡したいものを渡したのでバングルやブローチを箱に積めて持つ、
「あ、ごめんシオン君」
「いいえ、俺が大量生産したんで」
俺は箱を物置に置き元から置いておいた鞄を持ち、
「それじゃ先に分校に行っとくんで」
「あ、うん」
「あ、それと作りすぎたから朝飯余ったんだよ食いたいならくいな」
「あ、ああ。ありがとうな」
俺は手をヒラヒラと振って寮をでる。
*
シオンが寮を出てすぐにユウナ達三人が起きてきた。
シオンが作って行ったナポリタンを食べたが訳のわからないぐらい美味しかった。年の功と言うものだろうか?
「うん、うまいな何でこんなうまいもんつくれるんだ?」
「さあ?年の功じゃないかな?」
隣に座ってきたランディの問いに疑問系でしか答えられない、あれは本当に訳のわからないからな戦闘でも生活でも完璧だからなー。少し抜けてたりするところもあったりするが。
「よく考えれば俺も完璧には知らないんですよね」
「やっぱりお前でもか」
「はい、すいません」
俺はナポリタンを食べようとナポリタンをすくったとき、
「そうだろうな」
目の前にシオンの作ったナポリタンを皿に盛ってきたオーレリア分校長が座った。
「オーレリア分校長」
「うむ、私も詳しくは知らんのだが、シオンさんは暗黒時代が終わってすぐに眠りについたと言っていたな。シオンさん曰く暗黒時代から百年は寝ていたらしい」
「そんなことが、俺もそこまでは聞いて無いですね」
オーレリア分校長の話には気になる部分があったがそれにしてもシオンは規格外だ。敵に回ったときの厄介さは見に染みてわかっている。そして今の状態では全力を出せないと言うことも。
「まあ、私自身シオンさんから聞いた話では無いのだが」
「え?」
「ふふふ、それではな」
オーレリア分校長が最後に含みのある言い方をして何処かえと行った。皿の上にあったはずのナポリタンがなくなっていたのは目の錯覚だろうか?
「ま、まあ、それでもあいつは化け物だってことだな」
「うーん、シオンは何でもできるし化け物って次元なのかな?」
「わからねぇや」
結果としてシオンは訳のわからない人物と言うことで話は終わった。
よく考えてみたら俺もシオンのことを深くまで知らない、と言うかほとんど知らない。
シオンから聞いた話だと千年前ぐらいに造られた人造人間の中で唯一成功した者。らしくあの頃にまともに人間の形を持ち、知能が発達していたのはシオンだけ立ったらしい。その後知能がしっかりとしてきた時に能力がわかり、少しの暗躍をして暗黒時代の始まる前まで寝ていたらしい。
「うーん、俺自身もシオンをしっかりと理解できていないのか」
自分にそう結論をつける。
「ははは、そうか!」
ランディは大きく笑い、俺もつられて笑う。
そうして明るく朝食を終え、寮を出る。向かうは分校しかないのだが。
*
「これぐらいでいいか」
俺は周囲に散らばっている金属塊を集めて消却する。分校の校庭で俺は大剣を片手に立っている。
俺は一人、鍛練と称してゼムリア鉱、モドキの硬度が異常な謎鉱石を作り出し、それに舞うようにして連撃を繰り出していた。
武装を途中で切り替え止まることのない舞を繰り出し、ゼムリア鉱モドキに全力で攻撃を加えていき、三分ほどしてようやく砕く。
手は軽く痺れており、武器がカクカクと震えている。
体が思うように動かず、武装の切り替えだったりは上手く行くのだが、なぜだか体が上手く動かない。
「はぁ、上手くいかないな」
俺は自分の手のひらを見る。武器を振っている者の手のひらとは思えないほど綺麗で、柔らかい。すべすべとしていてシワやマメなどは無く、貴族のご令嬢のような手のひらだと自分で思う。
「さて、もう一回すr...」
「おーいシオン君ー」
俺は大剣を持ってもう一度ゼムリア鉱モドキを作り出そうとしたとき声を掛けられた。
俺は大剣を消し、後ろを向くとそこにはトワさんが手を振っていた。
「朝から鍛練?」
「はい、前みたいに上手く動けないので」
トワさんは俺の元まで走って来るとそう聞いてきた、俺はその問いに答えるとトワさんはニコニコと何が嬉しいのかずっと笑っている。それに俺の顔をずっと見上げているような状態で、だ。
「何か俺の顔についてますか?」
「ううん、ただシオン君の顔をしっかりと見たことなかったから」
「......そうですか」
「うん、そうだよ」
トワさんは身長が低く見上げる形で俺の顔を見るのだが、表情のコロコロと変わるトワさんを見ていると思わず笑ってしまう。
俺はトワさんと話しながら校舎に入る。俺はすぐに別れて、Ⅶ組の教室に入る。まあ、誰もいるわけはなく。俺は小説を複製してそれを読む、ロゼの伝承を描いた大衆向け小説だが意外とロゼの特徴をとらえていて面白い。本物と全く違う性格なのも、
「あ、シオン」
俺が一人小説を読んでいると教室に入ってきたユウナが俺に気付きそう呟く。
「おはようユウナ」
「うん、おはようシオン」
ユウナは笑って俺に返す、ユウナは俺の隣で勉強を教えたりしている。そんな事がありユウナとは仲がいい。
「おはようございますユウナさん、シオンさん」
「ん、おはようアルティナ」
「おはようアル」
ユウナが教室に来てすぐにアルティナが来た。ユウナからアルと呼ばれているらしくアルティナも嫌では無いらしい。
「おはよう皆」
そのアルティナの後ろからクルトが来る。
「皆集まってるのか?速いな」
そしてクルトが教室に入ってすぐにリィンが入ってくる。
「おはようございます、リィン教官」
「ああ、おはようアルティナ」
「おはよう、リィン」
「ああ、ナポリタン美味しかったよ」
「「おはようございます。......」」
「あ、ああ。おはよう二人とも」
リィンに対してそれぞれが挨拶をし、リィンは教卓に立つ。
「えっと、それじゃあ
「はい...起立、気を付け、礼、着席」
アルティナの号令に従い、頭を下げ椅子に座る。
「さてと、それじゃあまずは今日の三、四時限目だが、Ⅷ組と合同だ」
ふーん、ランドルフのところとかまあ、楽しめそうだな。
「それと、シオンについてだ」
「「「っ......」」」
「......え?俺?」
空気が弛緩する。いや、何で俺なん?何も言うことは無いんだけど。
「いや、あるだろ。シオンの元々いた場所だったり、シオンの能力についてだったり」
「あ、それ?」
「それだよ」
リィンのツッコミが冴え渡り、次々と俺の言葉にツッコミを入れていく。
「あー、それかー。まあ、いいけど」
俺は渋々立ち上がると、リィンと入れ替わりに教卓にたち、左手首に同化している腕輪を見せる。
「それはっ!?」
「まさか、あれが?」
「えっ!?何、それ?」
リィンを除く三人の反応はそれぞれ、クルトは俺の腕と同化している腕輪に驚愕し、アルティナは腕輪について思考し、ユウナは何なのか全くわかっていない様子だ。
「これが俺の武装、
そう言って俺は腕につけている
「俺は
「「暗黒時代前っ!?」」
そりゃ驚くだろう、何せ暗黒時代は八百年前ぐらいに始まったんだから。
「それで、体の構造が特殊ってことはな、こういうことだ」
俺はそう言って指をパチンッ、と鳴らす。それがトリガーとなり俺の体が発光し、変化していく。
「こういうわけだ」
発光が収まり俺の姿を見れるようになる。そうして見えた俺の体は少し縮み、体が男から女の特徴を持つ体になる。いわゆる女体化が出来るのだ。
「え?シオン、だよね?」
「応、声とかは高くなってるし」
俺は制服の前を開けて膨らんだ胸を解放する。
「胸もあるしな」
「あわわっ!?何でみんなの前で!?」
「え?ダメか?」
「ダメでしょ!」
なぜか怒られユウナにはしっこに連れていかれた。クルトとリィンが顔を赤くしてそむけていたがなぜだろうか。
「うーん、まさかこんなところにシオンの弱点が」
ユウナは呆れたようにため息をつきながら俺を見てくる、俺はユウナは制服を折ったりしてとりあえずの形でまともな状態にした。
「え、えーとだな。そんなわけでシオンはいろいろと特殊な訳だが、まあ、基本的にはお前達より経験豊富だ。頼ってやってくれ」
「いや、頼ってくれとは俺は言ってないぞ?」
「さて、それじゃあ
俺のツッコミは無視され、アルティナが号令をかける。俺は渋々それに従った。
*
三・四時限目 機甲兵実習訓練
「さて、それじゃあそれぞれ、自分に合うタイプを選んでくれ」
ランドルフがⅦ組とⅧ組の生徒にいい、それぞれで『ドラッケン』や『シュピーゲル』、『ヘクトル』、『ケストレル』にそれぞれで乗り込み操作する。
俺はそれを片目で見ながら左手首と同化している
「こい、『
俺の呼び掛けに反応した
「なっ、何でこいつがこっちにある?」
「俺が呼び寄せたからな」
「そ、そうか......ってシオン!?お前何で女化してるんだよ!?」
「......」
「無視かよ!?」
ランドルフが俺にそう聞いて来るがそれも無視して俺は『
胸部のハッチが開き、中に乗り込むと
『あーあー、聞こえるか?』
「ああ、聞こえるぞ!」
俺のマイクテストにリィンが答え、俺は『
人形の全身に力が巡り、力強く立ち上がる。
装甲の基本的な部分は『
手甲部分は通常の厚さの倍はあり、指の装甲は拳を握りしめると板のようになるように装甲がつけられており、脚部装甲は通常よりすこし厚いぐらいだが、空気抵抗が少なくなるよう鋭利なフォルムの脚部。
「これは、ドラッケン?」
アルティナの呟きが聞こえる、ゆっくりと腕を動かし、感覚を取り戻すため型を取る。北斗流と呼ばれる格闘戦を想定した流派。すこしかじるぐらいだったがまだ感覚は残っていたらしい。
型を取ったままゆっくりと左腕を下げて溜めをつくると、
『ハッ!』
正拳突きを繰り出す。ブォン!と風を切り裂く音を盛大に鳴らしながら鋼の拳が繰り出される。
周囲に動かされた空気が風となって荒れ狂いユウナ達の髪がバサバサと荒れる。
俺は繰り出した拳を下げ、型を解く。
『ふぅ、こんなところか。やっぱりドラッケンが一番だ』
俺はそう呟いて、機甲兵から降りようと膝をつかせるための操作をしようとしたとき。
『おい、アンタ』
『ん?俺か?』
ヘクトルから声をかけられる、その声は男子の声ですこし雑だった。
『ああ、アンタだ。アンタ強そうだからな。すこし戦ってくれよ、灰の騎士の仲間なんだろ?』
『ああ、まあな』
そう言ったヘクトルは奇妙な形の鎌、いや、ヴァリアブルアクスを取り出し構える。
俺は北斗流の構えを取る。
「おいお前ら!何しようとしてるんだ!?」
『何って模擬戦ですけど』
「いや、あのなぁ......」
『いいじゃねぇかよ、ランドルフ教官。俺はこいつをいち速く試したいんだ』
「あー、わかったよ。さっさとしろよ?勝利条件は機体の小破でいいな?」
『はい』
『ああ、いいぜ』
ランドルフが頭をかきながら俺とヘクトルの間に来ると、
「そんじゃ、
そう宣言した瞬間にヘクトルが突進してくる。咄嗟のことに反応が遅れヴァリアブルアクスの振り下ろしを咄嗟に腕を間にいれ防ぐ。が、押され後ろに飛ぶ、ヘクトルはヴァリアブルアクスをそのまま地面に叩きつけたかと思うとヴァリアブルアクスの鎌の部分が外れ追撃が来る。
『予想外過ぎるなっ!』
俺は空中で身を捻りながら鎌と持ち手を繋ぐ鎖を掴み牽引する。
『化け物かよっ』
ヘクトルからそんな声が聞こえるがその声は笑っているように聞こえた。
俺は着地と同時にヘクトルに向かって走りだす。瞬く間に距離は詰まり俺は溜めていた右を突き出す。
ヘクトルは急いで回避をしようとするがヘクトルの機動力の低さが仇となり右腕に突き刺さる。が、腕が伸びきるギリギリだったため威力が完全に発揮された訳ではなく、装甲を軽く破壊する程度にとどまった。
俺が拳を突きだしたまま硬直していたため、それを隙ととらえたのか、ヴァリアブルアクスを振り上げたヘクトルが突進してきて振り下ろす。俺はそれの間に腕を挟み込む。そして先ほどと同じように吹き飛ばされる......訳ではなく、ヴァリアブルアクスがするりと俺の腕の上を滑っていく。
『んなぁ!?』
『残念、チェックメイトだよ』
そしてがら空きになった胴体に左こぶしが突き刺さる、が直前に体を後ろに倒していたのと装甲が厚かった事から小破させることは出来ず、ヘクトルは体勢を立て直すが。
『いっただろ?チェックメイトだと』
次に高速で繰り出された回し蹴りが先ほどかすった胴体と同じ部分に厚く、鋭く加工された踵が突き刺さる。
装甲に踵がすこしめり込み吹き飛ばされる。
なんとかして踏みとどまるが、
「そこまでっ!」
小破をさせることが出来たのだろう。ランドルフが止めヘクトルは止まる。
俺も『異端兵《エレーティコ》』に膝をつかせ胸部の
ひハッチが開き、中から出る。
「ふぅ」
長くのびた髪が身体を震わせることでバサバサと音を立てて荒れ腰にまでとどく黒髪が綺麗になる。
「アンタやるな、さすが灰の騎士の仲間だ」
声がした向き、ヘクトルのいる方向に茶髪の少年がヘクトルから降りて来ていた。
「いいや、下手したら負けてたよ。特にあのギミックは凶悪だね、あぶなかったよ」
「けっ、そうかよ、そんじゃな楽しかったぜ」
そう言うとヘクトルから降りた少年は何処かへと歩いて行く。あれ?授業中じゃ?
「おい!
やっぱりダメだったらしい、でももう何処かに行っちゃったし、あらら。
「すまなかったなシオン、アッシュはああいうところがあるんだ。まあ、根は真面目なんだが」
「いえ、大丈夫ですよ俺も楽しかったですし」
「お前......誰だ?本当にシオンか?」
俺が普通-のつもりなだけであって男シオンと比べるとなかなかに差のある言葉使いだが本人はそう思っていない-に答えているとランドルフが俺の顔をのぞきこんで言う。解せぬ。
「いや、シオンですけど。この姿だったらなんとなくこんな口調になるんですよ」
「そ、そうか。まあ、アッシュのことは悪く思わないでくれ」
「ええ、俺自身が楽しかった訳だし、特に悪くは思っていませんよ」
「そうか。ならよかったよ」
俺が答えるとランドルフは満足げに答える。
俺はそれを横目に見ながら他の生徒達の訓練を見る。Ⅶ組はユウナが『ドラッケンⅡ』クルトが『シュピーゲル』に乗り込み、リィンの操る『
「なあ、シオン」
「何ですか?ランドルフ」
「いや、またあいつらと会うことになったらどうするのかを聞いときたくてな」
ランドルフは俺に視線を向けているが主に意識は機甲兵達に向いている。
「そうだな、優しく迎え入れてくれるならありがたいが、敵対するなら俺は遠慮なく叩き潰す。それだけですよ」
「そうかよ、お前らしいな」
「まあ、あのお人好しだしななんとなく迎え入れてくれそう」
「ははは!そうだな」
そうして前と変わらぬような会話を交わし俺達は笑い会う、訓練が終わるまで少しだが会話を交わした。
そして訓練は終わり、その後特に何もなく終わる。
*
そして翌日、自由行動日、俺は支度を整え寮を出る。白に紫がかった髪、男の姿でだ。
「さてと今日も頑張りますか」
そうしてはじめての自由行動日が始まった。
どうも、蕾琉です。
いかがでしたか?
前回、昇華が言ったように、更新は不定期ですが、一カ月以内には更新出来ると思います。
よろしければ、感想や評価など、よろしくお願いします。
では、また次の作品で!