業の軌跡   作:蕾琉&昇華

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こんにちは、昇華です。
久々の投稿です。
これから演習に入りますが細かく区切って投稿したいと思っています。
それでは本編をどうぞ



7.六章

 霊脈の乱れを感じ意識が覚醒する。

 

「ん、ふぁぁ......」

 

 両腕を上げ、固まった体を伸ばしてほぐす。背後にはひんやりとした金属のような何かがあり、少し周りを見ればここが〈デアフリンガー号〉の最後尾の貨物用の車両だとわかった。

 なぜこんなところで? と疑問はあるもののゆっくりと立ち上がる。

 

「ふむ、起きたか」

 

「うわぁっ!?」

 

 すると背後から少し硬い声が響き、思わず飛び退く。

 声のした背後、そこには鈍い光沢を放つ騎士の姿をした人形兵器、騎神〈ヴァリマール〉がいた。

 

「む、なぜそうも大きな反応をする?」

 

「......悪い、思い出した」

 

 この頃不調だった体を休ませるため、比較的魔力の多い騎神の近くに半場本能的にヴァリマールの側で寝た昨日の夜のことを思い出し、さっきの反応を謝る。

 その行動にヴァリマールは「なぜ謝る?」と小首を――動かないが――かしげた。

 俺はヴァリマールに気にしなくていいとだけ言い、前方の車両に向かおうとして、ふと意識が覚醒する前に感じた霊脈の乱れを感じたのかヴァリマールに聞くが答えは否だった。

 

 

「......ぉい.....おい、リィン起きろ」

 

 シオンが起きて数十分後、二号車の一室、リィンとランドルフに割り当てられた部屋でランドルフがリィンを起こしていた。

 

「ん......ふぁぁ......ランディ......?」

 

「応、おはよう。もう見えてきたぞ」

 

 目を擦り欠伸を漏らすリィンに苦笑しながらランドルフは車窓に視線を向ける。

 そこには紫色の綺麗な花と遠くには白亜の建物。セントアークが見えていた。

 

「もうそろそろ演習地に着くらしいぞ。生徒たちも起きてるだろうし俺達も支度しないとな」

 

 そういってベッドから立ち上がったランドルフはいつもの衣装に着替え、先に行ってるぜ、と手を振りながら部屋を出ていく。

 リィンは車窓に映る景色を少し見た後、いつもの衣装を身に纏い太刀を腰に下げる。

 向かうのは三号車、恐らく皆がいるであろう所だ。

 

 

 リィン達が起きてくる数分前、三号車では生徒達が車窓近くに寄りそこに映る景色を見つめていた。

 俺はと言えばコトコトとカレーを煮詰めていた。導力魔法を応用して匂いが充満することはないがほんのりとは漂っているらしく味見をさせてくれと複数の生徒が来た。

 Ⅶ組はクルトは起きてきているがユウナとアルティナはこちらに来ていない。

 アルティナは基本的に朝は早いので大丈夫なはず、と言うことはユウナが寝坊を? そう疑問に思っていると四号車に続く扉がスーっと開き、いつも通りのアルティナとその後ろから髪がボサボサになり、眠たそうに目を擦りながらユウナが三号車に来た。

 

「おはよう、アルティナとユウナ」

 

「クルトさんもおはようございます」

 

「ふぁぁ~、おはよー......あいたっ!?」

 

「ギリギリに起きてくるな、後、髪ぐらい解かしてこい......はぁ、クルト、ユウナの髪解いてやれ」

 

 俺は女子らしくないユウナに思わずため息を漏らし、造り出した櫛をクルトに投げ渡す。

 なぜ、と言いながらもユウナを座らせ髪を解き始める、ユウナは恥ずかしそうにしているが静かに黙ってクルトに解いてもらっている。

 その様子をうなずきながらカレーを煮詰めていた鍋の蓋を取り、おたまでゆっくりと混ぜる。

 

「シオンさんおはようございます」

 

「ん、アルティナか、おはよう......っと髪がはねてるぞ? 動くなよ?」

 

 キッチンに入り横まで来ていたアルティナを見ると髪がピョン、とはねていて、それを導力魔法を使って元に戻す。

 

「ありがとう、ございます......こんな事に導力魔法を使っていいんですか?」

 

「んー、俺としてはアルティナぐらいにしか使ってないし......特別に、かな?」

 

「特別に......え、ッ!?!?」

 

 なぜか顔を赤らめ、キッチンから出ていくアルティナに首をかしげているとユウナにため息をつかれた。

 なぜ? と聞こうとしたとき生徒達から声が上がる。

 車窓を覗いてみれば白亜の建物がやけに近付いていた。

 

 

 リィン達も三号車に来てセントアークの駅を通り街道沿いの地図に乗っていない線路を通り南サザーラント街道の脇にある小さな平地に列車を着けた。

 

「鉄道憲兵隊用に整備された土地か、よく使う許可を出したな......」

 

「今後活躍するであろう人材の育成の為にと」

 

 朝食の準備を終わらせ他の組を見ながら漏らした独り言に返答があった。

 俺が後ろを振り向けばそこにはクレアがいた。

 

「おはようございますシオンさん。カレーいただいてもいいですか?」

 

「おはよう、カレーなら食っていいぞ」

 

 ほんのりと笑みを浮かべ挨拶をしてくるクレアにおはよう、と返しカレーを皿に注ぐ。それにスプーンをさしてクレアに渡すと嬉しそうに笑みを深め、はふはふと美味しそうに頬張る。

 

「あ、シオン! リィン教官に呼ばれてるよ?」

 

「ん、ユウナか。わかった。皆にカレー振る舞っといてくれ」

 

「私も行くんだけど!?」

 

「だったら......クレア、頼めるか?」

 

「はい! 任せてください!」

 

 やけにテンションの高いクレアにカレーを任せ、〈デアフリンガー号〉の二号車の会議実に向かった。

 

 

「ま、ようするに依頼をもらってこなせばいいんだろ?」

 

 俺の説明をうけ内容を理解しているシオンがわかりやすいように噛み砕いて説明する。

 

「各地の責任者、ここだったらハイアームズ公からもらった依頼をこなせばいい。わかったか?」

 

 シオンの説明にうなずくユウナ達を見ると大丈夫だと判断し、話を終えて〈デアフリンガー号〉を出る。

 

「今から南サザーラント街道を通ってセントアークに向かうが、クレア小佐にも一緒に来てもらう」

 

「皆さん、よろしくお願いします」

 

 クレアさんに挨拶をしてもらい俺達は南サザーラント街道に出た。

 魔獣が歩き回る街道を歩く俺達は大きく二つに別れた。

 俺とシオンとクルト、ユウナとクレアとアルティナの二つだ。

 

「シオン、君は人間なのか?」

 

「お、面白いこと聞くな......これは、言っていいのか?」

 

「俺に聞かれてもな......」

 

 クルトの質問に苦笑する俺とシオンは少し迷いながらも本当のことを言うことにした。

 

「人間かどうかだったら人間だ。人造人間だがな」

 

「人に造られた人間......?」

 

「ああ、ま、必要になれば話すけど。今は知らなくていい」

 

 そう言うシオンは真剣な表情で、クルトもそれ以上は聞こうとしなかった。

 徐々に白亜の城壁は近づいていた。

 

 

 セントアークに入り、俺達はハイアームズ公に依頼を受けとるため、館を訪れていた。

 ちょっとした世間話の後に依頼を受け取り、執務室から出た俺達は依頼を確認する。

 一つ目は教会からの以来で薬草を採集。

 二つ目は貴族からの依頼でとある魚が欲しいとのこと。

 そして最後の三つ目が迷い猫の捜索。

 

「必須依頼は薬草の採集だけ。他の二つも受けてもいいが時間なんかも考えてユウナ達で決めてくれ」

 

「私達で?」

 

「俺とリィンを除いた三人で決定してくれ、それのサポートを俺達がする.......って聞こえは良いが要は経験を積ませたいんだと、俺達の教官がな」

 

 そう言って後ろを振り向けば、それは言わない約束だったと抗議をしてくるリィンをなだめる。

 

「と言うわけで、よろしくな」

 

 

 数分して段取りを決めたユウナ達にしたがい、まずは迷い猫を捜索した。

 バラけて捜索し、アルティナが会社跡地で猫を見つけ、無事飼い主の元に連れていくことができた。

 その後重要項目として渡されていた「謎の魔獣」についても情報を集めていた時に酒場でリィンの同級生のヴィヴィと出会い、北サザーランド街道で機械の駆動音のようなものを聞いたと情報を得た。その途中で綺麗な景色を写真で撮ってきてくれと頼まれた。

 それを快諾し、俺達は西サザーランド街道に向かった。整備された街道を歩いてイストミア大森林に向かった。

 

「ついたな......」

 

「凄い......」

 

 濃厚な魔力の漂うその森は木々の間から木漏れ日が漏れていた。

 

「ここの奥地にエリンの花が咲いているって大司教は言っていたし、さっさと行くか」

 

 そう言って俺が一歩踏み出したとき、空間が震え、振動が襲う。

 先頭の俺に向かって放たれた振動を盾で防ぎ、導力魔法(アーツ)を使った魔獣に向けて短刀を投げつける。

 短刀は飛び猫のような魔獣の額に深々と突き刺さり、魔獣は断末魔をあげ消滅する。

 素早く全員が武装を構え、消滅した魔獣の後ろから同種の魔獣が五匹現れる。

 

「全員! 構えろ! 来るぞっ!!」

 

 リィンの声にあわせて、俺とユウナ、クルトが前に出る。

 片手剣を召喚し、右手で握り締め、先頭にいた魔獣を真っ二つに切り裂く。

 その横から俺にキックをしようとした魔獣をクルトが双剣で斬り、動きの止まったところにユウナのガンブレイカーが突き刺さる。

 人間の半分ほどの大きさしかないその魔獣はガンブレイカーの衝撃に耐えられずに吹き飛び、近くにあった木の幹に激突し消滅する。

 残りの四匹が俺に向かって導力魔法(アーツ)を打とうとするが俺の投擲した剣が一匹の魔獣に突き刺さり、魔法の構築が止まる。そうして動きが鈍ったところに精製された剣が魔獣の命を刈り取る。

 そのして一匹を殺している間に残りの三匹が導力魔法(アーツ)を完成させ、俺に放とうとする。が、リィンの背後からの攻撃と、クラウ=ソラスの〈ブリューナグ〉によって二匹が消滅し、残りの一匹は立て続けに仲間が倒され目に見えて動揺していたところをクルトとユウナの同時攻撃をまともに受け即死した。

 

「お疲れ、ナイスコンビネーションだ」

 

 リィンがユウナ達を誉めている間に、俺は一本の剣を精製した。その剣は普通の場所で精製した際には含まれるはずのない〈時〉と〈空〉と〈幻〉の属性が含まれていた。

 

「おい、ここ、上位属性(・・・・)が働いているぞ」

 

「っ!? 本当か?」

 

「ああ」

 

 俺の言葉にその恐ろしさを知っているリィンとアルティナの顔が真剣さをます。

 

「ね、ねぇ、その上位属性ってなに?」

 

 上位属性のことを知らないユウナ達が俺にそっと聞いてきたので耳打ちをするような小さな声で教える。

 

「上位属性ってのは霊脈が乱れている場所だったり特殊な場所で発生するもので〈時〉〈空〉〈幻〉の三つの属性があって、普通より効きやすかったりするんだ。

 後はあり得ないような事が起きたりな」

 

 俺の説明にユウナが顔をしかめ、クルトの顔に緊張の色が浮かぶ 

 

「ま、注意して進めば大丈夫だろ」

 

 俺の言葉にリィンが頷き、慎重に進むことになった。

 

 

 それから数回魔獣と戦い、綺麗な景色をアークスで取り、奥へと進むこと一時間。

 

「ここが最奥か......?」

 

「そうみたいだな、エリンの花もあるしさっさと取って戻ろうぜ」

 

 開けた場所まできた俺達はエリンの花を見つけ採取していた。

 俺は少し離れたところで濃厚な魔力(マナ)を吸収する。身体中に巡る魔力が弱まっていた体を癒し、力が戻ってきたような感覚と共に視界が変わる。

 漂う魔力(マナ)やユウナ達の力が視界の中で色として見える。

 

「これで一安心か......」

 

 本来の武器との繋がりを感じ、俺はリィン達の元に行こうとしたとき、視界にユウナ達のものとは違う異質な色が、魔獣の力が映った。

 

「リィン! 魔獣だ!」

 

「っ!? 全員! 武装を構えろっ!」

 

 俺がリィン達の元にたどり着いた時、四匹の蜘蛛型の魔獣が取り囲むようにして現れる。

 全員が急いで武装を構え、魔獣と対峙する。

 蜘蛛型の魔獣が一斉に動き出し、俺達は即座に前衛と後衛に別れる。

 

「来い」

 

 魔獣と距離を積めながら呟く。

 左手に光が一瞬で集まり、前に使っていた大剣を一回り大きくした大剣の形を成した。

 振れば大剣がとどく距離まで積めた俺は大剣を片手で振るう。

 それは魔獣の攻撃しようとした前肢を斬り飛ばし、返す刃で魔獣の頭部を叩き斬る。

 頭部をやられ絶命した魔獣は消滅し、その後ろから俺を狙っていたのだろう魔獣が俺に向かって飛びかかってくるが、既にその姿を捉えていた俺は魔獣に向けて掌を向けていた。

 

「刻旋〈焔滅〉」

 

 魔方陣から複数の刃が高速で構築され地獄の焔が刻まれた刃が魔獣の硬い殻を容易く貫通し、内側から焼き焦がす。

 

「感覚はじょうじょ......じゃないな」

 

 その感触からしっかりと力が戻ったのかと思えば全身を倦怠感が襲い、咳き込む。その時に吐血するのはもはや普通に思えた。

 リィン達を見れば残りの二匹の魔獣を倒していた。

 俺がなかなかうまくいかないことに苦笑を漏らし、エリンの花を集めた籠を取り、リィン達の元に行こうとしたとき、ドクンと大きく心臓が脈を打ったような感覚を覚え、辺りを見れば花や葉は緋色に染まり、リィンが胸を抑えて呻いている前に、膝より下まで伸びたブロンドの金髪と真紅の瞳の幼い姿の、よく見知っている少女がいた。

 

「ふむ、力を抑えきれないようじゃな......ってシオン!? なぜここにおる!?」

 

「久しぶりだな、疑問は後でわかるだろうよ」

 

 不意にこちらと目が合い焦ったように慌てる少女に近付き落ち着かせるように頭をポンポンと撫でる。

 

「今はリィンの力を抑えてやってくれ」

 

「あ......ん、わかった。任せるのじゃ」

 

 そう言って少女はリィンに近付き、首元に口を寄せる。そして数秒でリィンの赤黒い力のオーラが霧散し、胸の痛みも消えたのか、表情がやわらぐ。

 少女は何かをリィンに呟いた後、俺にギュっと抱きついてどこかへと転移していった。

 それと同時に景色の緋色が消え、ただの森へと戻る。

 

「あれ? リィン教官にシオンも、どうしたんですか? 集まって」

 

「あ、いや何でもない。エリンの花も採取できたことだし戻るか」

 

「「「はい!」」」

 

 リィンの色は少し濃さを増し、何か力を得たのだろう。

 しかし俺も魔力(マナ)を回収できたことによって身体が安定したことで全力で戦うこともできるようにもなった。

 イストミア大森林を出た俺達は大司教の元へと向かった。




お久しぶりです、昇華です。

筆が進まないのもすべてグラブルが楽しすぎるせいだ! (責任転嫁)

なんてふざけず、投稿遅くなりすいません。次の更新は早めたいとおもいます。
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