業の軌跡   作:蕾琉&昇華

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こんばんわ、昇華です。

四ヶ月も更新していなかったのか......(焦って書いたのは内緒)
全てグラブルとアイスボーンが面白いせいだ! 間違いない......
本当に申し訳ありません。離れないでくださった読者の方には本当に感謝しかありません。

それでは本編をどうぞ!


8.七章

 エリンの花をラムゼン大司教に渡し必須の依頼を終わらせた俺達は謎の魔獣の調査のため、北サザーラント街道に出た。

 

「ヴィヴィが言っていたのはこの先だ、魔獣にも注意しながら進むぞ」

 

「「「了解!」」」

 

「......ああ、了解した」

 

「どうした? シオン」

 

「いや......少し考え事をな」

 

 シオンの少し含みのある答えに俺は違和感を覚えながらも俺は刀の鞘をしっかりと握り、街道を進む。

 魔獣と複数回接触し、戦闘になったものの難なく撃退し奥まで進んだが......

 

「機械の駆動音のような音は聞こえないな」

 

「そうね、魔獣はいるけどよく見る種類だし......」

 

「ヴィヴィさんの情報が間違っていたのでしょうか......?」

 

 他の街道に繋がる道は封鎖されていて、調査はできないし、そちら側から聞こえてきたと言う情報はない。

 

「......火薬の匂いがするな」

 

「「!!」」

 

 しかし、シオンの言葉に俺とアルティナは弾かれたようにシオンを見る。

 シオンは剣を一振りと鞘を一つ呼び出し、それをしっかりと握り、横路に入っていく。その後ろを俺達は武器を取り出してついていく。

 舗装されずに草が生い茂る道をゆっくりと歩き奥へと進むと、少し広い場所に出た。

 

「火薬の匂いはまだ奥に続いてるな......っ!?」

 

 ヒュンヒュンと風を切る音と共にシオンに向けて明確に狙った銃弾が複数飛んでくる。

 それをシオンは後ろに下がりながら左手に握っていた直剣で直撃しそうなものを弾き飛ばして被弾を避ける。そしてシオンが睨み付けている方向からは機械の駆動音のような......いいや、機械の駆動音が鳴り響く。

 そしてシオンが睨み付けていた方向からは緑色の魔獣......ではなく、世界中を暗躍する秘密結社〈身喰らう蛇〉が生産した人形兵器が三機現れた。

 人の脚を少し大きくしたような機械仕掛けの脚の上に楕円形の頭部に相当する部位があり、その両脇にはガトリングガンが搭載されていて対人を想定されたものだと言うことがわかった。

 

「全員武器を構えろっ!!!」

 

 俺の言葉に慌てて武装を構える三人を尻目になぜか直剣で三体の人形兵器に一人で向かって行く。

 人形兵器から放たれた計十二発のミニロケットを直剣で全て瞬く間に切り落とし爆発を背にして一体の人形兵器に接近、両脇のガトリングガンを切り飛ばして残った胴体を蹴りあげ人間で言うところの心臓に当たる部位を直剣で貫き、そのまま導力魔法(アーツ)をゼロ距離で放ち、一体を破壊する。

 その爆発の影に隠れて俺達は人形兵器に突撃をする。先頭にいたユウナが左側にいた人形兵器が乱射したガトリングガンを横に大きく飛んで避け、ガンブレイカーの機構を利用して遠距離から牽制する。

 そしてユウナに意識が――あるのかはともかく――向いていた人形兵器の背後に素早く回り込んだクルトはその胴体に両手の剣で斬りつけるがギャリギャリッ! と嫌な音を立てて表面に傷をつけるだけにとどまる。

 クルトにとっては思ってもみないことだったのか動きが止まり、その隙にもう一体の人形兵器がクルトを横合いからガトリングガンが掃射される、寸前にリィンが脚を太刀で斬り飛ばし体勢を崩させ、そこにアルティナがクラウ=ソラスで追撃を決めて動きを止める。

 その間に俺はもう一体の人形兵器を達磨にしていた。胴体部分だけになった人形兵器を直剣で貫き、確実に止めをさす。

 三体の人形兵器の動きは止まり周りの安全を確認して武装を解除する。そして辺りを探索していたときだ、

 

「おや? 若い人達がこんなところで何してるんだ?」

 

 ガッチリとした体つきと柔らかい物腰、そしてその身から発せられるリィンに近い雰囲気を放つ男が奥から現れた。

 

「あ、私達はトールズ士官学園第二分校の者で、実地研修をしていたところでした」

 

 リィンはその雰囲気に気がついていないのか軽く世間話をしたあと俺達が来た道をその男は歩いていく。俺は警戒している雰囲気を出さないままその男が見えなくなるまで警戒し、先ほどの遭遇で覚えた気配も感じなくなったことで俺は警戒を解く。

 リィンは既にさっきの男が来た道を進んでおり、警戒をしていた様子はなく、先に行っていたユウナ達を追っていた。

 俺は直剣を消して、男が歩いて行った道を見る。そこに男の気配はもう無く、リィンの俺を呼ぶ声に俺は気配を探るのを諦めてさっき男が歩いてきた道に向かって走り出した。

 

 

 男が歩いてきた道の奥は行き止まりになっており、何も無いように思えたが、行き止まりの崖の下、そこに大量の破壊された人形兵器が無造作に落とされていた。見えただけでも十体は破壊されており、さっきの男がしたのでは......とリィン達は思考を走らせるが情報が少なすぎるせいか途中で諦め、色々と謎は残ったもののその場を離れることを決め、セントアークに戻ることになった。

 街道を戻ってセントアークに入った俺達はセントアークで達成することのできる依頼は終わり、紡績町パルムに移動することになった。距離もそこそこあるため地下鉄を使おうとしたのだが、

 

「ん? 人集りができてるな......あそこ、駅じゃないか?」

 

「何かあったのか......? あ、ヴィヴィ!」

 

 俺の言葉に反応したリィンが人集りの中にヴィヴィがいるのを見つけ、声をかける。

 

「あ、リィン君。それに新Ⅶ組の子達も......」

 

「ヴィヴィ、一体何があったんだ? 地下鉄を使いたいんだが......」

 

 リィンとヴィヴィが話し込んでいる間も俺は思わずあの男の気配を探る。俺の知らない、おそらく起動者(ライザー)だと思われる男の気配は感じることができない。

 

「皆、聞いてくれ。地下鉄のことなんだが、脱線があったらしく歩いて行くしかない」

 

 その言葉にユウナは目に見えてゲンナリし、クルトは表情にこそださないものの少し嫌な雰囲気が漏れる。アルティナは〈クラウ=ソラス〉があるため特に雰囲気にかわりはない。俺も暗黒時代に帝国内部を走り回った――比喩でも何でもなくだ――からか、ここからパルムまでなら苦ではない。

 

「それと、パルムに行く前に教会に寄ってもいいか? 何かあるらしいんだ」

 

「「「?」」」

「俺はいいぜ」 

 

 リィンの言葉に俺以外の三人が首をかしげるが、俺はヴィヴィから何かを言われたのだろうと肩を竦めながら了承する。

 結局三人も了承し、教会に向かったのだが......

 

「これは、ヴァイオリンの音か......」

 

 すぐに聞こえてきたのは綺麗なヴァイオリンの音。やけに落ち着く不思議な力を持った音色が教会から響いてくる。

 その音に耳を傾けながら教会の扉を開く。ちょうど教会に入ったタイミングで演奏が終わったのか拍手が聞こえてくる。

 入り口付近で止まっていた俺達は演奏を聞いていた人が出ていく中、礼拝所にいたヴァイオリンを持っている青年に俺とリィンは気がつく。

 青年もこちらに気づいたのかヴァイオリンを足元に置いてあったケースに入れてこちらに歩いてくる。

 

「やぁ、リィン。久しぶりだね」

 

「エリオットこそ、今は帝国を回ってるんじゃないのか?」

 

 エリオット・クレイグ。目の前でリィンと楽しそうに会話をする青年はリィンと同じ本校Ⅶ組の卒業者、二年前には敵対したり協力したりした今でこそ交遊関係にある相手だ。

 

「シオンも久しぶり、今はリィンの生徒なんだってね。ミリアムから聞いたよ」

 

「おう、久しぶりだなエリオット」

 

 人懐っこい笑みを浮かべながら俺に寄ってくるエリオットにいつも通り返しながらさっきまで引いていたヴァイオリンに目が行く。やけに見たことあると言うか......

 

「シオンが作ってくれたヴァイオリンだよ。ずっと使ってるよ」

 

「そうか......いつでも変えていいんだぞ?」

 

「ううん、僕用に作っているから使いやすいし、それに......シオンが丹精込めて作ってくれたから」

 

「そうか......ならよかったよ」

 

 頬をほんのりと赤くしながら照れくさそうに言うエリオットに俺は素っ気なく答えるしかできない、少々顔が熱いのは気のせいではないだろう。恥ずかしそうにされるとこちらまで恥ずかしくなる。

 その後、エリオットは子供にヴァイオリンを教えるため教会の一室に入っていった。そこから綺麗な音色が聞こえてきたのを確認して俺達は教会を出た。

 ここからパルムまではそこそこの距離があるが、今から行けば二時間ぐらいは向こうでも行動できる時間が取れるだろう。リィンもそう考えていたのか俺と視線が合い頷く。

 

「今から南サザーランド街道を通ってパルムまで向かう。途中で演習地に寄ってから行くわけだが、徒歩になる」

 

 リィンの言葉にユウナは嫌な顔をする。クルトとアルティナもユウナ程ではないものの明らかに嫌そうな雰囲気が漏れ出る。

 

「脱線のせいで地下鉄が使えないからな......今から出れば暗くなる前には戻れそうだが」

 

 俺は近くの時計を見てそう呟く。俺の言葉にえー、とユウナの抗議するような声が帰ってきた。

 

 

 いやいや言いながらもついてくるユウナに苦笑しながら南サザーランド街道に出た俺達を出迎える人物がいた。

 

「セレスタンさん、どうしました?」

 

「ハイアームズ様からご命令をいただきまして......」

 

 セレスタンさんがそう言って目線を向けた先には艶やかな肌の馬が三馬。

 

「地下鉄が止まったと言うことで急遽馬を用意させていただきました」

 

 セレスタンさんの言葉に目に見えてユウナ達の目が輝く。

 

「ありがとうございます」

 

「いいえ、実習、頑張ってください」

 

 セレスタンさんに感謝を伝え、俺達は馬に乗った、乗馬経験のあるシオンとクルトと俺が手綱を握り、シオンの後ろにはアルティナが、クルトの後ろにはユウナが乗る。

 俺が出発したのに続けてクルトとシオンも出発する。

 それから十分もかからずに今日の朝歩いて通った道を通って演習地についた。

 演習地でミハイル少佐に脱線事故について報告し、今からパルムに向かうことを伝えて、実習地から出た俺達は南サザーランド街道を南下していった。

 

 

 南サザーランド街道を南下すること三十分、既に二時を迎えていた頃にパルムに到着した。

 道中で地下鉄の脱線事故の現場に落ち合わせたがその頃には脱線事故も収まっており、ちょうど地下鉄が動き始めた頃だった。

 既に近くに来ていたヴィヴィから聞いた話だと落石によって起きた事故らしく落ちてきた石を撤去し、すぐに脱線事態はどうにかなったらしい。

 少しして事故現場を離れた俺達を見るような視線をパルムに向かう途中に感じたものの、確認することはできず、記憶に留めておくことにした。

 

「ここが、ガイウス達が最初に実習に来た町......」

 

「そうだな、紡績や染物で栄えている。近くには霊脈も通ってるから資源も多い。近くには......いや、何でもない」

 

 何度も来たことがあるため解説するかのように喋るが少し考えて口を閉ざす。

 

「「「?」」」

 

「忘れてくれ、どうせそこに行くことはないだろうし......さて、それじゃあ機械仕掛けの魔獣の、人形兵器の情報を集めるか」

 

 俺の言葉にリィンも頷き、酒場、雑貨屋、教会と回って行った。教会でリィンの同級生で導力技師のミントと出会いアグリア旧道の方に向かって何か白い物体が三つ、空を飛んで行ったらしい。

 ミントにありがとうと言い、教会を出てアグリア旧道に向かおうとしたとき、視界に道場が入った。

 

「あれは......ヴァンダール流の......?」

 

「ん? ああ、だね」

 

「寄るか? クルト」

 

「......いいの?」

 

 クルトの問いに俺達四人は一斉に頷く。それを見てクルトは一瞬呆気にとられたように動きが止まり、そして嬉しそうに少しはにかむ。

 

「ありがとう、皆」

 

 クルトはそう言ってヴァンダール流の道場の扉を開ける。そこには大剣を持った男が三人いて、大剣を一心に振るっていた。そこに俺達が入ってきたので男達は振るっていた大剣を近くに立て掛け、クルトに深々と頭を下げる。

 

「クルト坊っちゃん、お久しぶりですね。どうぞごゆっくりしていってください」

 

「そんなに畏まらなくていいよ、今日は人が少ないみたいだけど......」

 

「そうですね......ですが今日は特別講師がいらっしゃるので、今のうちに素振りでもしておこうかと思いまして」

 

 特別講師と言う言葉が引っ掛かるが俺達はクルトの気がすむまで道場で待っていた。

 十分ほどクルトは道場にいた男達と会話を交わし、別れを告げて俺達と一緒に道場を出た。

 

「さて、そんじゃアグリア旧道に向かうか」

 

「染物の原料もアグリア旧道にあるらしいから、皆で探しながら行くか」

 

「「「了解!」」」

 

 これからを確認した俺達がパルムを出たのは三時を過ぎた頃だった。

 

 




いかがでしたか?

現状での強さの図

普通のマグバーン>>オリ主>デュバリィ、シャーリー>>リィン(人形兵器大型)>越えられない壁>アルティナ>クルト、ユウナ(人形兵器中型)

上のような考え方で書いています。

さてさて、ようやく話が進んできましたがSwitchで閃の軌跡3が発売されると聞いて急いで書き進めたいと思っている所......

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