【完結】秘封道楽 〜少女達の食探訪〜   作:ユウマ@

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そろそろパン系やりたいですねぇ


押しかけ焼餃子 〜秘封初共同作業?〜

「メリー、結局何作るのー?」

「ちょっと待ってー。と言うか、いきなり来てその物言いは無いでしょ?」

「だってー、まさか急に水道管壊れるなんて思わないじゃない」

 

現在地は私の家。少し前に連絡があり、なんと蓮子の家の水道管が破裂しただかで使えなくなり、夕飯の支度が出来なくなったとのこと。レトルト食品も無い様で、蓮子に夕飯を共にするよう頼まれ、2人で台所に立っていた。

 

 

「よし、とりあえず材料はあったから、ささっと作るわよ」

「んー?この材料は…餃子かしら」

 

台所に出した食材を見て蓮子が首を傾げる。蓮子の言うとおり今日の夕飯は餃子だ。1人で作るには多少面倒なところもあって中々やらずにいたが、蓮子もいるし丁度いい。2人でやればさして時間もかからないだろう。

 

「とりあえず蓮子は野菜切っといてー」

「はいはい、了解ですよっと」

 

白菜を切り始めた蓮子の隣で、私はボウルに豚ひき肉をあける。そこに調味料を加えて混ぜていく。

 

「これ、馴染むように混ぜるって聞いたような気がするけど、どうすれば馴染んでるかって分かるのかしら」

「んー?食べてみれば?」

「生のひき肉なんて食べたらお腹を壊すわよ。…蓮子ならお腹丈夫そうだし食べてみない?」

「丈夫じゃないわよ!と言うか、この時代にそこまで胃腸の強い人居ないと思うわよ⁉︎」

 

「冗談に決まってるでしょ。ほら、そっちは野菜切れた?」

「…メリーが冗談言うのも珍しいわね。ん、全部切っといたわよ」

 

蓮子からみじん切りにされたキャベツとニラを受け取り、ひき肉のボウルに投入する。

そのまま軽く混ぜ合わせ、そのボウルを1度冷蔵庫の中へとしまう。

 

 

「あれ、まだ焼かないの?」

「まだ夕飯には若干早いでしょ。それに、少し置いておくと味がなじむそうよ」

 

と、何かで言っていた気がする。餃子を作る事なんて滅多に無いので分かってないところも多いが、まぁそういう時はレシピを調べる事としよう。

待ってる間に特にする事もない為、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。特に本格派のものを作る気も無いので、多少休憩したら再開していいだろう。

2人分のカップを持って私の部屋に行くと、既に蓮子は我が物顔でくつろいでいた。

 

「はい、コーヒー」

「あ、ありがと。それにしても、餃子食べるのなんて結構久しぶりだわ」

「あら、蓮子餃子好きなの?」

「ええ、あの肉汁たっぷりの餡にニンニクの感じがね。何だか女子らしく無いって意外と言われるんだけど…」

「…んー、甘いもの好きなのが普通なんじゃ無いかしらね」

 

とは言えもちろん蓮子のように例外はあるだろうし、私も餃子は嫌いではない、だから蓮子に同意しかけて。ふと気づいた事があり、蓮子に声をかける。

 

 

 

「あ、でも」

「ん?」

 

 

「今日の餃子…ニンニク入ってないわ」

 

「……え」

 

 

一瞬だけ、蓮子の動きが止まった気がした。だがそれも瞬き1つする間に元通りになった。

 

 

「…メリーって餃子にニンニク入れないタイプなの?」

「いいえ、そういうワケじゃ無いけど…。元々私ニンニクとか常備しないし、無くても困らないわよねって」

 

というか、私は普段ニンニクを使う料理を全くと言っていい位に作らない。美味しいとは確かに思うが、それでも色々気にするところはあるのだ。

そんな事を考えているうちに、蓮子がコーヒーを一息に飲み干して立ち上がった。

 

「ま、それなら今度私がニンニクたっぷりの餃子を作ってあげようじゃないの!きっとメリーもニンニク常備したくなるわよ」

「そうなれば良いわね…。って、蓮子はニンニク常備なのね」

「私の料理の半必須調味料ですわ。さ、そろそろ焼き始めて良いんじゃない?」

 

蓮子の言葉に頷いて私も立ち上がる。残りのコーヒーを飲み干しながら台所へ向かい、とりあえず寝かせておいた餡を取り出す。

 

「…見た目じゃどうこう言えないけどまぁ、味はちゃんとするでしょ」

「不安ねぇ。メリーってばもしかして作るの初めて?」

「…初めてで悪かったわね。蓮子は作ったことあるの?」

「いいえ、全然」

 

結局自分も無いでは無いか。私はため息をついて台所からスプーンと、材料と一緒に買っておいた餃子用の皮を取り出した。

 

 

「さて、どの道焼く前の包む作業は経験なくてもできるでしょうし、パパッとやって貰うわよ」

「はーいはい。私の手先の器用さを見せてあげようじゃない」

「どうだか…」

 

蓮子にスプーンを渡し、間に餡と皮を置く。

開いた皮を置き、真ん中に餡を盛っていく。2人分だし、多少多めでも問題なかろうと次々に同じ事を繰り返す。余る事があればそれは後日の私の食事になるのでそれはそれでアリではあるが。

餡を盛り終えた皮をつまみ、よく見るヒダのようなものがある形に整えていく、が。

 

 

「あ、あれ?上手く出来ない…」

蓮子の焦ったような声が聞こえてくる。見ると上手く形を作れないのか、やや歪んだ形をした餃子が量産されていた。

 

「…ふふっ」

「な、何よ!メリーだって大して……出来てる」

「私は手先が器用なのよ。蓮子と違ってね」

「ぐぬぅ…!」

 

更に焦って変な形を作り続ける蓮子をよそに、フライパンに油を引く。そこに包み終わった私の餃子を並べ、蓋をしてしばし焼く。

その間にもう一つフライパンを準備し、そちらも油を引く。私の家は何故かフライパンが2つあり、洗い物をする気力が無い時にも替えが効くのだ。その後の洗い物が増えるというのは気に留めず、だが。

 

 

「ほら、蓮子も包み終わった?」

「ううー…いつかリベンジしてやるわ…」

「はいはい、楽しみにしてるわね」

 

不服そうな蓮子から餃子を受け取り、同じように焼いていく。こうなれば後はどうとでもなる。私は焼きあがるまでの間、すっかり拗ねてしまった蓮子をなだめる作業に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、完成っと」

「おおー、美味しそうねぇ」

 

焼きあがった餃子を盛り付け、食卓に並べる。すっかり機嫌の直った蓮子も目を輝かせている。完成前に炊いておいたお米もよそい、夕食の準備を終えた。

 

 

「よーし、じゃ早速食べましょ食べましょ!」

「そうね。いただきます」

「いただきます!」

 

と、その前にタレを忘れていた。席を立ち、取り敢えずお酢とラー油を取ってくる。

 

「蓮子はタレどうするー?」

「あ、私醤油とラー油でー」

 

珍しい組み合わせだ。追加で醤油も取って戻り、餃子の皿にタレを作る。

 

「あら、メリーは醤油使わないのね」

「餃子には何かね…蓮子こそお酢はつけないの?」

「私も餃子にお酢はちょっとねぇ…」

 

随分変わった好みである。もっとも蓮子からしたら私の方こそそう思われているかもしれないが。

 

餃子をタレにつけ、口へと運ぶ。噛んだ時に溢れる肉汁で口内が熱い。

 

 

「んー、ニンニク無しでも美味しいわね!」

 

熱がる私に変わり、蓮子が声をあげる。皮はもちもちしていて歯応えがあり、中は野菜多めでシャッキリしている。どちらかと言えばヘルシーな方の餃子だが、それでもはっきりある肉の食感と肉汁で十分おかずとして機能するレベルだ。

次にお米と一緒に食べる。ラー油のピリッとした辛みで味が整い、ご飯が進む。辛味は1番ご飯が進む味付けと思っているが、やはりそうなのだろう。

 

「メリーの貰いっ!」

 

ふと、そんな声が聞こえて。前を見ると、蓮子が私の餃子を1つ、颯爽と持ち去っていた。

 

「あ、ちょっと…!」

 

止める間もなく、あっという間に蓮子はそれも食べてしまう。しばし味わうように目をつぶっていたが、やがて少し眉を寄せて首を傾げた。

 

「むぐ…やっぱりちょっと酸っぱくない…?お酢強いわよコレ…」

「ええ…?」

 

自分で奪っておいてその言い草は無いだろう。と言うか自分でお酢はちょっととか言っていたでは無いか。

けれども、僅かに顔をしかめる蓮子が少し微笑ましくて。

 

「なーに笑ってるのよ?」

「いいえ、別に?」

 

蓮子の皿に箸を伸ばし、お返しに餃子を1つ取っていく。

 

「あっ!」

「お返しよ、お返し」

 

食べた餃子は醤油のせいか味が濃いめで、やはり私は少し苦手だけれども。

こんな風に話しながら食べれるのなら、大した違いは無いのかもしれない。

 

一瞬だけ頭に浮かんだその思考を、らしくないと頭を振ってかき消して。私達は再び、話をしながら食事を進めていくのだった。




<NEXT>
「パスタが食べたいわ」
「急ねメリー。学食でも行く?」
「いいえ蓮子。この前美味しそうなお店があったから食べに行くわよ」
「いやでもそろそろ倶楽部活動」
「グルメも活動でしょ?ほら立った立った」


【次回 メリー・エスコート 〜パスタを求めて〜】
お楽しみに〜
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