今はペース的に本編を進めると、ブログに出してる先行ストックに追いついてしまいそうなので\(^o^)/
ブログ版の最新ストックを書き溜めながら、キリ良いとこで止まってるこっちの年内ラスト更新は番外編にして、新年初の更新を本編にすることにしました。
というわけで今回はまたツィーカやパティモの話です(∩´∀`)∩
――これは、とあるとある世界のダイジェスト。
ここは我らがトゥアールの
所在地は秘密。エレメリアンは元より一般人にも発見されないよう、
ツィーカ、パティモ。そして――
「ご注文の品だぜ
段ボールを幾つも担いでやって来た、赤いボディに緑眼の蛇型エレメリアン【コブラギルディ】である。
「ご、ごくろーさま。その辺に置いておいて、ひひ」
ツィーカは呼ばれた怪しい愛称でにもコブラギルディにも目立って反応することなく、手元のモニターに大量の文字を羅列する手を止めない。
返ってくる怪しい笑いは彼女の常だった。
一方のコブラギルディも相手の態度に慣れた様子。何も言わず、指示通りに段ボールを空きスペースに配置している。
ツィーカが作業しているモニターの更に奥、
ちょうどトカゲ型エレメリアンの首を両足で挟み、フランケンシュタイナーのように地面に叩きつけているところだ。
ツィーカ作の小型人工衛星「ロリ-1」からの映像である。
「それにしてもなぁ……確かに
仕事を終えたコブラギルディは、特殊合金製の研究室の壁を触りながら大げさにため息をつく。
労りも少ないしなぁ?とツィーカに振っても、返ってくるのは怪しい笑いだけだったが。
戦闘の映像は気にしていない。侵略序盤のこの時期は
「ヒーローに超科学の拠点は必須。じ、自分でヒーロー選んだならそれくらいはして当然、ふひひ。その外見に免じて、研究室を地下にして地上で喫茶店マスターやらせるのは諦めてあげたんだから、か、感謝されてもいいくらい、くふふ」
コブラギルディに視線を返すこともなくツィーカはまたも怪しく笑う。彼女に言わせれば、現状でも気を使った役割分担らしい。
そして彼女も戦闘の映像を特に気にしていない。自分が作った装備を扱う
もちろん戦闘中のエレメナイトの詳細データは別ウィンドウに表示して、不備がないか逐一チェックしているが。
「いやいや。部隊のメンバーやら出撃情報を教えるだけでもなかなかだぜ?この上、機材までちょろまかしてるのバレたら、いよいよ物理的に首が飛ばされちまうって思わないかい?
「わ、私の首は飛ばないしね、ひひ。それに簡単に測ったあんたのスペックデータならこの程度で疲労ないでしょ、うへへ」
エレメリアン使いの荒いツィーカに、自分の首を触るジェスチャーをしながら愚痴るコブラギルディ。だが、当の幼女は作業に集中して相変わらず振り向かない。
「ひっでぇなぁ。エレメリアンは精神の疲労のがヤバいんだぜぇ?」
使い潰す気満々です、とでも言うような言葉しか与えてこない幼女に、コブラギルディは苦笑するしかなかった。
振り返れば――パティモがツィーカという協力者を得た数日後。
【アルティメギルを表立っては離反せず、部隊の情報を定期的に伝える内通者】という方法で手伝ってやる立場を作ろうとしたのだ。
それは意外とパティモが人目を避けて戦うタイプだったので、
アルティメギルの規模が知りたかった
上手い具合に潜り込んだ彼としては、少しでも属性拡散のペースが上がるようプロデュースしつつ、適当に情報を流すつもりだったのだが……
「こ、この先もやっていくんだから、まず、もっとしっかりした
などといきなり規模の巨大なおねだりをツィーカにされたのだった。
世界を守る協力者だと擬態した手前、最初から断るわけにもいかず。
アルティメギル基地の
(おまけにこの幼女博士ときたらガチモンの天才で恐れ入るぜ。プレゼントした設備も
パティモを選んだ日から今日までのことを振り返って肩をすくめるコブラギルディ。
研究室が完成した後も、今日のように追加の機材や素材を山のように要求されている。最初こそパティモがまだ倒されないよう、ツインテール属性を拡散する為に目立って活躍するようにと軽い投資気分だったが……
今も何やらプログラムを組んでいるらしい目の前の天才幼女は、自身の
いよいよ所属部隊の一般兵では、完全に手に負えないレベルになっているのはどうしたものか悩ましい所だった。
『エレメナイト光輪!!』
空気を読んだのか読んでないのか、大画面では丸鋸状のビームを投げたエレメナイトが、相手の首をすっ飛ばして爆散させた。
幸いなのは、まだ隊長格なら勝てるだろうレベルであり、装備が充実したこと(とツィーカと自分の情報拡散もあり)で
「ふひひ、私の
いつの間にか、作業の手を止めて椅子ごと振り返ったツィーカが、いつもの淀んだ目でコブラギルディを見つめて愉快そうに笑っていた。
この幼女、コブラギルディの組織内での立場も予想した上で、首が飛ばない程度には使い倒す気しかない。
「パティモの嬢ちゃんといい幼女博士といいきっつい女子どもだねえ。どっちが蛇だか判りゃしねえ」
不気味な笑いと淀みながら光る眼という呪われそうな顔でジロジロと首を見つめられ、降参とばかりに両手を上げるコブラギルディ。
実際、真の侵略作戦を実行する側の地位でもあるし、ツインテール戦士を目立たせる任務で此処にいるのだから首が飛びはしない。が、属性拡散の為に一般兵を生贄にしている事が明るみに出ると部隊に支障を来すという点で大っぴらには動けない。
ツィーカの予想は当たらずとも遠からずである。
コブラギルディ自身、予想外の強敵になったエレメナイトにおたおたしている所属部隊も、協力者だと思って研究室に出入りさせているパティモ達の様子も愉しんでいる。
しかし、ツィーカはツィーカで、コブラギルディを研究対象>協力者の比率で視ている節が大いにあるのだ。態度に若干、引く時がある。
(
女子に警戒されるのは嗜好に正直すぎて変質者揃いのエレメリアンには日常。いつものことだとコブラギルディは小さく笑った。
「ま、万が一ダメだった時はさ、どうにか体が爆散しないようにして
「……こーれだから科学に魂を売った無邪気な幼女はおっかねえ」
笑った直後に耐久値を超える強烈なのが来た。
いつでも解剖準備はできている、と体を撫でられてコブラギルディは本気で引いた。
陰気に笑いながら舐めまわすように這う視線に背筋が寒くなる。幼女がしていい顔じゃない。
本人曰く「理想は正義のマッドサイエンティスト」らしいが、「正義」を除けば既に到達しているのかもしれない。
「だいじょーぶ。私はまだそこまで魂売ってない、うふふ。ちゃんと悪意で言ってるから、
(ゆくゆくは科学が私に魂を売るからね、ひひ。私が科学と幼女を統べるんだよ、ぐふふふふふ)
パティモが帰ってくるまで、ツィーカが異様な雰囲気でコブラギルディをじっとりと観察している。
「……また何してるんじゃお前ら」
「おう、お疲れさん。幼女博士から
「ば、爆散しない程度で止めるし、麻酔だって善処するのに、ちょっとくらい解剖させても損は無いと思うんだよね、きへへへ……」
そして帰ってきたパティモが、怪しげな刃物を幾つも構えたツィーカとそれを縛り上げるコブラギルディを見る。
とあるとある世界ではよく見る光景であった。
次元の狭間に停留しているアルティメギル基地。
ツィーカの研究室に資材を運び終え(解剖されかかっ)たコブラギルディは当然ここに帰還する。
現在、彼は部隊長の私室にいた。
コブラギルディ。表向きは部隊の下位エレメリアンだが、その実は侵略世界のツインテール戦士選定を担う隊長の側近である。
彼の目の前に座っているのは、蜂の姿をしたエレメリアン。
部隊長ミツバチギルディ――組織の属性拡散作戦を積極的に受け入れ、側近以外は捨て駒として敢えて弱いエレメリアンを大勢抱え込んでこの部隊を組んだ、冷酷な将である。
今は最近、発売されたエレメナイト稼働フィギュアを弄って、呼びつけたコブラギルディに見向きもしていない。
「なぁ、コブラギルディ。私の言いたいこと解っているな?」
だが発した声には、部隊の長であるだけの威圧が籠っていた。
「
一方のコブラギルディも、隊長の圧をどこ吹く風と受け流し、態度を崩さない。上司のパワハラで
実際、彼は任務通りに【アルティメギルを裏切り人間についたエレメリアン】を装いツインテールの戦士を誕生させた。その際に与えた属性力変換の技術も必要最低限のレベル。加えて、協力者という顔で懐に入り、ある程度の動向を掴んでもいる。
コブラギルディに落ち度は何もない。
だが、アルティメギル側の想定を超えてエレメナイトは力をつけている。
「技術を流した人間の仲間が天才だった、ってことまで責任もてないだろぉ。はっはっは」
未知の技術をモノにして発展させることが可能な天才が首突っ込んできた、などという反則じみたイベントが起きたのが、部隊のトラブルだっただけである。
そして部隊にとっては厄介事だが、自分には責任も負い目も感じていないコブラギルディにとっては楽しいイベントであり、笑い飛ばしていられるのであった。
「予定よりは早いが……エレメナイトの
しかし、ミツバチギルディの発言がその笑いを止める。
ミツバチギルディがエレメナイトフィギュアを弄る手は止まらず、恥ずかしいポーズを再現している。
「ほほう、いいのかい?」
「部隊を空にするわけにもいくまいよ」
現状、ツインテール属性の拡散よりもエレメナイトの戦力強化の方が早い。このペースでは当て馬になる弱兵達がほぼ尽きてしまう。同時に部隊の主力でも手に負えない相手となっている可能性がある。
多少、奪取できるツインテール属性の総量は減ることになろうと、余裕をもって蹴散らせるうちに対処すべきだと部隊長は判断したのだ。
エレメナイトのフィギュアは、ガチャガチャで購入した触手を巻き付けてエロゲーの女騎士といった様相に装飾されている。
「こんなに早く強くなってるとか怖いだろ。タイミングミスッたら死んじゃう」
「皮算用通りにならないとすぐビビるねぇお前さんは」
という建前で、本音は現在の侵略ペースで自分の戦う番になった時のエレメナイトのレベルを単純計算して1人で腰抜かしたことが決め手だったりするのだが。
隠していてもフィギュアを動かしている手が震えているので、コブラギルディはおおよそ察して冷めた目だった。
「そんじゃあ、俺は嬢ちゃん達との話題を絞りますかね」
軽く首を回しながら次の行動を考えるコブラギルディ。
内情に通じている自分が、部隊の主力が動くことを彼女たちに悟らせないようにそれとなく情報を制限すればいい。正直なところ、ツィーカ相手に機器のデータを弄るのは難しくなっているが、誤魔化すだけなら本業の口八丁でどうとでもなるだろう。
とはいえ、一緒にヒーロー作ってきた連中と別れるのはちょいと寂しいなあ、などとコブラギルディは嘯いた。
「ふふ、ならばせいぜい世界の守護者が臨む決戦に相応しい場を用意してやるのだな」
コブラギルディが作戦を了解したので、安心して威厳を回復したらしい。椅子を回し、振り返ったミツバチギルディの手には【粘液でまみれた触手に絡まれるエレメナイトのフィギュア】が完成していた。
「……いい加減ケチらずにスライムの素材買うなりしろよ。自前の蜂蜜で仕上げるからすぐに蟻が集るんだぜお前さんのフィギュア」
ミツバチギルディが、世界の守護者の末路の暗示だ……と言わんばかりにどや顔で見せてきた、会心のポージングらしいフィギュアに対するコブラギルディの反応は微妙なものだった。
というかベッタベタに蜂蜜塗れのフィギュアに全身で引いていた。
「何を言う!自分で作った方が微妙なテカりの表現ができるのだ!ほら、前祝いだ。遠慮せず持っていけ!!」
「いらねーよ!そんな蜂蜜塗りたくったモン!俺の部屋にまで蟻が来る!殺虫剤片手にこの部屋掃除してるアルティロイド何回見たと思ってんだ!?」
虫寄せのようなフィギュアを押し付けられそうになり、コブラギルディは全力で部屋から脱出した。
(
ともあれ、こうしてアルティメギルの本腰を入れたエレメナイトとの戦いが幕を開けたのだった。
――これは、とあるとある世界のダイジェスト。