東方二次創作 普通の魔法使い   作:向風歩夢

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良い趣味

「……えらくかわいい殺し屋のお出ましなんだぜ……。お前、あの婆さんの仲間だな?」

 

 魔理沙はフードを被った女児に問いかけた。フード越しに見える顔は人形のように整っており、綺麗な茶髪をしている。年齢は十歳に達しているかどうか……といったところだ。

 

「そうだよ。私はグランマの娘なの。だから、出来そこないさんには死んでもらうね。それがグランマの望みだから!」

 

 女児は屈託のない笑顔で物騒なことを話す。魔理沙を殺すことに一切躊躇いはないようだ。

 

「あの婆さんの娘? それにしちゃ、歳が離れすぎてるようだが……、まあいい。私も死ぬわけには行かないんだぜ?」

 

 魔理沙はあらかじめポケットに仕込ませておいたマジックアイテムを手に取り臨戦態勢を取る。

 

「魔理沙、アンタは下がってなさい!」とアリスが魔理沙に声をかけた。

「どうしたんだよ、アリス。いつものお前らしくないんだぜ?」

 

 魔理沙はアリスの顔色があまり良くないことに気付く。アリスは魔理沙の前に守るように、魔理沙と女児の間に入った。

 

「魔理沙、アンタ魔法が使えなくなって魔力を感じ取りにくくなってるんでしょ? ……こいつ、明らかに異様よ……。こいつは私と同じ……」

「あっはは! やっぱりお姉さんは凄腕の魔法使いなんだね! ……アリスさんっていうんだ……。……アリスさん、出来そこないを殺すのを邪魔するのなら、あなたも一緒にやっつけちゃうね!」

「……やれるもんならやってみなさい……。おチビさん!」

 

 アリスはピアノ線がつながった西洋人形を取りだし、女児に向かって飛ばして攻撃させる。しかし、女児は難なくかわす。

 

「結構、すばやいのね。おチビさん……」

「わたしはおチビさんって名前じゃないよ! 百十七号ってグランマからもらった名前があるんだから!」

「百十七号……? モノみたいな名前なんだぜ……」と魔理沙は素直な感想をつぶやく。

「それにしても驚いちゃった! アリスさんも私と同じなんだね。……私も使えるんだ。

『人形たち(シスターズ)』を……」

 

 百十七号は、ローブの中から三十センチ程度の西洋人形を複数出現させる。ローブの中に隠していたにしては多過ぎる数だ。魔法で小さくさせていたのか、あるいは転移魔法を使ったのか……。数十体の人形を呼び出す。そして、どの人形も百十七号に良く似た顔と髪色をしていた……。

 

「……自分に似た人形をたくさん使うなんて……。良い趣味してるんだぜ……」

 

 魔理沙は少し気持ち悪そうな様子で百十七号を見つめる。しかし、魔理沙の感想など百十七号は気にとめない。

 

「さあ、『人形たち(シスターズ)』! あいつらをやっつけて!」


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