東方二次創作 普通の魔法使い   作:向風歩夢

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お得意の人形遊び

 百十七号が呼び出したシスターズたちは宙を飛び、縦横無尽に駆ける。まるでそれぞれが意識を持っているかのように……。シスターズたちはアリスと魔理沙たちに体当たりをするように襲いかかる。人形とはいえ、高速でぶつけられれば、ダメージは重い。

 

「くっ!?」

 

 アリスも負けじと操る人形を数体増やし、攻撃を防ごうと試みる。しかし、焼け石に水なのは明らかだった。

 魔理沙も攻撃を受けまいと走って逃げまわる。だが、シスターズたちの猛攻は止まない。

 

「うあっ!?」

 

 シスターズの内の一体が軽やかな動きでアリスに迫る。フェイントなどの複雑な動きを見せるシスターズの動きに対応できず、アリスは腹部に体当たりを受けてしまう。アリスは衝撃に耐えられず、1メートル程度跳ね飛ばされ、尻モチをつく。

 

「くっ……。なんて精密な自動人形(オートマタ)なの……!?」とアリスは立ち上がりながら声を漏らす。

 

 オートマタ……、アリスが操っている『上海』と叫ぶ西洋人形たちもオートマタの一種だ。自意識を持ち、自らの判断で行動を起こすことができる人形である。百十七号が繰り出した人形……『シスターズ』の性能はアリスの『上海人形』を大きく上回っていた。

 

「フフフ……。すごいでしょ? 『シスターズ(おねえちゃん)』たち……。グランマが生みだしてくれたんだから、当たり前なんだけどね!」

 

 百十七号は女児らしい満面の笑みで答える。やっていることの残酷性と言動の幼さとのギャップにアリスは思わず背筋を凍らせた。

 

「どうやら、アンタたちの『偉大な母(グランマ)』ってやつは碌なやつじゃなさそうね。人をいたぶっておいて、笑えるようなヤツを造り出しているんだから……」

「……グランマの悪口は許さないよ? やっちゃえ! シスターズ!」

 

 シスターズが一斉にアリスに襲いかかる。アリスは仰向けに倒れてしまい、その上からシスターズが体を覆うように重なってくる。

 

「いい感じだよ。シスターズ! そのまま、押しつぶしちゃえ!」

「かっ……はっ…………!」

 

 アリスは体にかかる荷重に耐え切れず、息を吐き出す。

 

「ま、魔理……沙……」

 

 アリスは視線を魔理沙の方に向ける。魔理沙もまたシスターズに押し潰されようとしていた。うつ伏せに押さえつけられた魔理沙だが、顔を上げ、アリスと視線を合わせる。

 

「…………!」

 

 アリスは魔理沙のアイコンタクトに気付く。魔理沙の目は笑っていた。何か仕掛けようとしているのは明らかだ。アリスは魔理沙の行動に備え、目を瞑って、身構える。

 

「うううううりゃああああ!」

 

 魔理沙は人形たちに押さえつけられる中、なんとか腕を出すと、叫びながら野球ボール程度の大きさの玉を放り投げた。玉から強力な光が炸裂する。魔理沙はマジックアイテムの閃光弾を発動させたのだ。

 

「ぐうぅうううううううう!?」

 

 百十七号はあまりの眩しさに呻き声を上げる。

 アリスは体が軽くなるのを感じていた。どうやら、シスターズ達は高性能過ぎる故に、眩しさから自身を守るために散り散りになっているようだ。重りがなくなったアリスはよろめきながら立ち上がる。しかし、まだアリスの視界は戻らない。

 

「魔理沙! 大丈夫なの!?」

「……当たり前なんだぜ!」

 

 アリスは眩しさで眉間にしわを寄せながらも、元気の良い答えが返ってくることに安堵のため息を吐く。少しずつ、アリスの視界が戻ってくる。百十七号やシスターズも同様だ。

 

「……よくもやってくれたね……。 出来そこないさん……! みんな、やっちゃえ!」

 

 百十七号が魔理沙の後ろ姿を睨みつけながら、『人形たち(シスターズ)』に命令を下す。シスターズが一斉に襲いかかる中、魔理沙は振り返る。

 

「へっへーん!」

 

 魔理沙は笑いながら、顔にかけられたサングラスの位置を右手でテンプルを持つことで修正する。

 

「チェックメイトだぜ!」

 

 魔理沙は左手に持った小さなスイッチを押した。すると、数体のシスターズが突然爆発を起こす。周囲にいた他のシスターズも爆発に巻き込まれる。爆風が治まると……無残にもバラバラになったシスターズの破片がそこらじゅうに散らばっていた。

 

「お前らが閃光で視界を失っている間に、何体かの人形に爆弾を仕掛けさせてもらったぜ! これでお得意の人形遊びは出来ないぜ? 残念だったな!」

 

 魔理沙はサングラスを取りながら、勝ち誇るのだった。

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