「アタシと勝負する気なわけ? 身の程知らずもいいとこなんですけど! おとなしくアタシのコレクションになれば良いわけ!」
「調子に乗らないでください。勝手に侵入してきたあなたたちの好きにはさせません。とりあえずこの冥界からお引き取りねがいましょうか……!」
「アンタの左腕折れてるみたいだけど……、メアリーちゃんにやられちゃった感じ? 悪いけどメアリーちゃんと互角程度の実力しか持たないヤツに倒されるアタシじゃないんですけど?」
「だまれ!」
妖夢は宙に浮かぶプロメテウスに跳びかかり、ほうきごとプロメテウスの右足に切り傷をつける。一瞬痛みで気を抜いたプロメテウスから妖夢はレティを救出した。
「いったーい! アタシの綺麗な脚に傷がついちゃったんですけど!?」
ほうきを失い、地面に着地したプロメテウスは妖夢に文句をつける。
「……死体は好き勝手に切り刻むくせに自分が斬られるのは嫌だなんてわがままもいいところですね」
「はぁ? アタシはその辺の下等生物とは一線を画す存在なわけ。アタシの傷は下等生物の死とくらべものにならないほど価値があるんですけど?」
「とんでもない傲慢野郎ですね……」
「野郎じゃないんですけど、女郎なんですけど!」
「いちいち癇に障るようなことを言わないでください……!」
妖夢はレティを騒霊たちに預けると、再び臨戦態勢をとる。
「妖夢。気をつけなさい。奴からは嫌な気配を感じるわ。私の好まない気配を……」
幽々子からの助言に妖夢は頷くと、プロメテウスに語り掛ける。
「今ならまだ許してあげますよ。ここから去りなさい!」
「はぁ……。どこまでもこのアタシをバカにするわけ? 選択権はこっちにあるんですけど!」
プロメテウスは不敵な笑みを浮かべながら、傷ついた自身の足に手を触れる。やわらかい光に包まれた彼女の傷はみるみる内に癒えていった。
「……どうやら回復力に優れた魔女のようですね」
「優れてるなんてレベルじゃないんですけど? ま、いいわ。今から下等生物に地獄を見せてあげるわけ。覚悟するといいんですけど!」
「その減らず口すぐに聞けないようにしてあげます!」
妖夢は片手でプロメテウスに襲い掛かる。しかし、プロメテウスに辿り着くことなく突然現れた何者かに受け止められてしまう。
「ひっ!?」
妖夢は突然現れた者の養子を見て思わず恐怖してしまう。そこにいたのは骸骨だった。骸骨が簡素な鎧を装着し、質素な剣と盾を装備して妖夢の攻撃を受け止めていたのである。気付けばプロメテウスの周りには大量の骸骨兵士が彼女を守護するように隊列を組んでいた。
「どう、アタシ自慢のスケルトンソルジャーは? すっごいたくさんいるでしょ。でも、ただの骸骨じゃあないわけ。どいつも生前凄腕の剣士だったやつばかりなんですけど! どうやらアンタは剣の腕に自信がありそうなわけ。この子たちを突破できるかしら?」