東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 一輝は学校からの脱出ミッションをこなした。



 それではどうぞ!


第13話 恐怖(ミッション)

side一輝

 

 俺は宇佐見と共に学校から脱出した後、全力疾走で家まで帰ってきた。

 家の前に立つとかなりの圧を感じてしまう。

「多分怒ってるよなぁ」

 飛鶴は逐一俺の状況を把握したがり、少しでも遅いと感じたらものすごく不機嫌になり、ものすごい剣幕で問い詰めてくる。

 

「はぁぁぁ…………。生きて明日を迎えられますように!」

 そう願い、俺は思いっきり家の戸を引き開けた。

 するとその瞬間、家の中からいやなムッとした異臭が臭ってきた。

 

 電気は着いておらず、キッチンの方から怪しげな光が伸びている。

 

 いつもとまるで違う雰囲気、怪しげな雰囲気でいまさっき学校という名の牢獄から脱獄する程に神経が図太い俺でも恐怖を感じてしまう。

 今までに飛鶴には何度も恐怖を感じる場面はあった。だが今回のは今までよりもやばい。そんな気がする。

 

 しかし、見てしまった以上はそれが何なのかを確かめて置かないと怖くて夜も眠れた物じゃない。

 ゴクリと生唾を飲み込み、恐る恐るキッチンを覗き見る。

「んなっ」

 俺は驚いた。

 俺の視界に映ったものは、料理している飛鶴だった。

 しかもただ料理している訳では無い。飛鶴は沸騰している訳(・・・・・・・)では無いがボコボコと(・・・・・・・・・・)音を立てている鍋(・・・・・・・・)を永遠と掻き混ぜていた。

 あの鍋を前にして平然としている飛鶴にも驚きだ。だがそれよりも俺が恐怖を覚えているのはあの鍋だ。

 

 なんで火を止めてるのに沸騰しているみたいになってるんだよ。おかしいだろ。

 

 俺が恐怖で怯えながら飛鶴を見ていると向こうも俺に気がついたみたいでこっちにゆっくりと振り返る。

 こっちを見ると飛鶴は口元をへにゃりと曲げて俺に告げた。

「おかえりなさい。今ご飯をお持ちしますので待っていてくださいね?」

 飛鶴は食器の準備をし始める。

 本能が逃げろと、そう叫んでいる気がした。

 しかしながら体は全く動いてくれない。

 

「あ、そうだお兄ちゃん」

 飛鶴は食器を用意する手を止めずに釘を刺すような事を言ってきた。

「もし逃げたら……そうですよね? お兄ちゃんは私から逃げたりなんかしませんよね?」

 皿に移してもボコボコと音を立てている食べ物では無い何か。

 何を入れたらあんな化学反応を起こすんだ。

 しかし逃げた時が怖いので逃げるのを諦める。

 

 もしここで逃げても直ぐに見つかって人体改造でもされるのがオチだ。

 となればここは大人しく従っておくのが吉なんだろう。

「そ、そうだな〜。飛鶴のご飯は美味いから楽しみだ」

 俺は必死に恐怖を押し殺しながら言った。

 すると飛鶴の肩がビクッと震え、数秒間だけ謎の液体が入った鍋を見つめる飛鶴。

 だけど数秒経ったらまた準備を再開する。

 

 しかし今の反応、もしかして効いたのか?

 一瞬、飛鶴の目に迷いが見えたような気がする。もしかしてこのまま褒めちぎったらバットエンド回避出来たりしないだろうか?

 よし、こうなったらやってみるしかないな。

 そして俺は飛鶴の事を必死に褒めちぎる。

「あー。飛鶴は料理の腕は最高だし、掃除等の家事全般完璧で、人を気遣うことが出来て、それになんと言っても可愛い。もうなんて言うか完璧で自慢の義妹だ。いつ嫁に出しても恥ずかしくないな、うん。俺もこんなお嫁さんが欲しいな」

 これでどうだ。思いつく限りの褒め言葉を並べて褒めちぎった。

 すると俺の狙い通り、飛鶴の動きがピタッと止まった。

 暗くてよく見えないが、ほんのりと顔が赤くなっている様な気がする。

 

 俺は知っている。飛鶴は昔から褒めちぎられるのに弱いという事を。

 だから褒めちぎればこの状況を何とか打開できるはず。

「……ですか?」

「……へ?」

 急に飛鶴が言葉をポツリと零した。

「本当ですか? 私みたいな人をお嫁さんにしたいって」

 薄暗闇の中、飛鶴の目が潤んでいるのが見えた。

 もうさっきまでの狂気は感じられない。もう一般的な可愛い普通の女の子に戻ったと、そう感じた。

「ああ、本当だ」

「〜〜っ! お兄ちゃぁぁん」

 すると飛鶴は全ての道具を投げ出して俺の胸に飛び込んで来た。

 それを俺は優しく抱きしめ、頭を撫でる。

 寂しかったんだよな。だからこんなことをしてしまったんだよな。

「……」

 そこでいつもだったら撫でてやると喜ぶと言うのにピタリと黙り込んでしまった。

 飛鶴の目を見てみると黒くにごった瞳が俺の事をじっと真っ直ぐ見つめていた。

「ねぇ、お兄ちゃん」

「は、はい!」

 飛鶴の圧が強すぎて思わず敬語になってしまう。

 

「お兄ちゃんの体から他の女の臭いがする。発情した雌豚の臭いがする」

「え、」

「ねぇ、お兄ちゃん。私、信じてたんだよ?」

 その声はとても悲しそうだった。

 と言うか女の臭い? もしかして宇佐見をお姫様抱っこしたせいか?

 だけどあんまり長く密着していた訳じゃないんだが……。

「ねぇ、浮気?」

「浮気!?」

 ちょっと待て、俺は飛鶴と付き合ってなんて!

「私をお嫁さんにしたいって言った癖に!」

 俺の胸を強めに叩いてくる飛鶴。正直言って飛鶴の力をナメていた。少し痛い。

 

「もうお兄ちゃんの事なんて知らない!」

「飛鶴!」

 飛鶴は俺を突き飛ばした後、家から出て行ってしまった。

 これはまずいな。直ぐに追いかけないと、

「飛鶴は俺が責任を持って不便の無い生活を遅らせるって宣言したんだから」




 はい!第13話終了

 今回は飛鶴回です。

 蓮子がヒロインって言ってるのにあんまり出ていませんね。

 この飛鶴編が終わったら蓮子の話を進めたいと思います。

 それでは!

 さようなら

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