東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
飛鶴と一輝がやばい関係なのではと蓮子に疑われて連行された。
それではどうぞ!
side一輝
家の中に引きずり込まれた俺は訳も分からずに正座をさせられてしまった。
正座をさせられてしまったんだが、俺は全く理由が分からなかったので目の前に仁王立ちしている宇佐見を見て不思議に思う。何をいったいそんなに怒っていらっしゃるのか分からない。
「まだ分からないかな?」
「分かるって……え? 俺はどういう了見でここに正座させられてるんだよ!」
「そうか……残念」
そこで唐突にポケットから携帯を取り出し、何やら操作をし始めた。
すると通話を始めるようで耳に携帯を当て始めた。
「あのー。警察ですか? ここにロリコンの性犯罪者が――」
「ちょーい!」
その瞬間の俺の反応速度は音速を越えていた自信がある。
宇佐見から物凄いスピードで携帯を奪い去り、通話を切ろうと画面を見る。すると全く通話画面になどなっておらず、携帯から声も聞こえてこない。
つまり――
「宇佐見、謀ったな」
「そうね。でもこれであなたは自分がロリコンの性犯罪者だって自白したようなものね……飛鶴ちゃん」
「ギクッ!?」
俺は今、ロリコン性犯罪者だと疑われたら言い逃れ出来ない立場に居る。
そして宇佐見の口ぶりからしてどうやらそれはバレている様で、どこまで知っているかは知らないが多分飛鶴が口を滑らせて俺と飛鶴がかなり親しい関係にあるってことはバレているだろう。仲がいいって事じゃなく、私生活の事を把握しているって所だ。
「飛鶴ちゃんとどう言う関係? も、もしかして……こいび――」
「ち、違うんだ宇佐見! これはその……そう! たまたま隣の部屋に越して来てな」
「あれ? 一輝の部屋の両隣って埋まってなかったっけ?」
くそ、なんでこいつそんな事を把握してんだよ! これでますます関係性が疑われるじゃねぇか。
俺は本当にロリコンじゃ無いのに本当に同じ部屋に住んでいるってことがバレたら確実に牢屋行きになってしまうことであろう。
「じー」
「えっとですねぇ」
「やっぱりロリコンだったんだ……だから私には一切の興味を……」
ぶつぶつと何かを呟き始めた宇佐見。きっと俺の処分をどうするかと考えているんだ。
ちらっと玄関ドアの方を見るとドアの前で飛鶴が正座をしてこっちを見ていた。当事者の一人であるにもかかわらず、我関せずって感じで見てきている。
「飛鶴ちゃん」
「なんですか?」
「飛鶴ちゃんってこいつとどんな関係?」
恐らく俺がなかなか口を割らないため、仕方が無く飛鶴にも聞くことにしたのだろう。だけどどんな関係って聞いて飛鶴ならこう答えるだろう。
きょうだ――
「んもう……恥ずかしいこと言わせないでくださいよぉ」
俺の予想とは反し、すぐに答えを言わずに腰をくねくねと動かして照れたように恍惚とした表情をうかべる飛鶴。
そうだった……。飛鶴は殆どの確率で兄妹って言うが、偶にこういう反応をする。本当に意味がわからないやつだ。
すると宇佐見は俺を睨み付けてきた。違うんだ! 俺は別に飛鶴には何もして無いぞ! たまにある飛鶴の発作みたいなものなんだよ!
「まぁ、それは良いよ……。で、飛鶴ちゃんとはどこまで進んだの?」
「いや、どこまでって何も俺らは恋人じゃないんだから」
「今は同棲しています!」
篠川 飛鶴さん!? 何口を滑らせてるんですか!?
ほら! 宇佐見がすんごい顔で固まってしまっている。これ、元に戻った時が怖い奴だ!
飛鶴は飛鶴で未だにくねくねと恍惚とした表情を浮かべてるし、これ以上飛鶴に会話をふったら要らんことまで口を滑らせてしまいそうだ。まぁ、やばいのは大体もう口を滑らせてしまっているからな……。
同棲では無いけど、共に住んでいるって事実がバレたのが一番やばかった。
「あ、あ……一輝君!」
「これは……違うんだ! ある日突然飛鶴が荷物を送り付けて来てさ、いつもおどおどしてる癖に突然行動力が高くなるから困りもんだな」
飛鶴がこっちに来たらいつか絶対にこうなると思ってたんだよ……。まさか今日がその日になるなんて思いもしなかったけどな。
「……飛鶴ちゃん。あなたの家って他に無いの?」
「無いです。最初からお兄ちゃんの家以外考えていませんでしたから」
何か考えておけ。俺に断られてたらどうしたんだよ。そんな視線を飛鶴に送ると飛鶴は気がついたようで目でお兄ちゃんは断らないって分かってましたからって言う目を向けてくる。それに対してため息しか出てこない。
信頼されているのは嬉しいが、こんな時に信用されてのこの行動は全然嬉しくない。
「ねぇ、飛鶴ちゃん。こんな変態の所より私の所――」
「嫌ですが」
「即答!?」
なんかすんげぇ懐かれてるんだが、俺ってそんなに懐かれるようなことしたっけ?
正直言って俺はあんまり小学生くらいの時の施設の事はよく覚えてないんだ。記憶では気がついたら飛鶴と共に居たって感覚なのだ。
「一輝。私は認めたわけじゃないからね! 少しでも危険だと思ったらすぐに切り離すから!」
「へいへい」
「お兄ちゃんになら何されてもいいです」
そう言う嘘かホントか分からないことは言わない方がいいぞ。男はそういうので勘違いしちゃうからな。
「それじゃあ二人とも食べて行きなよ。遅いでしょ? その様子だと二人もまだ食べて無さそうだし」
「ああ、そうさせてもらう。飛鶴もそれでいいだろ?」
「はい!」
はい!第17話終了
これにて飛鶴編終了です。
それでは!
さようなら