東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
一輝が背後から奇襲された。
それではどうぞ!
side一輝
「いってぇ」
目を覚ました俺はズキズキと痛む頭を擦りながら体を起こした。
擦った手を見てみると少しだけ血が付着しており、殴られた衝撃によって血が出てしまったことがわかった。
横になっていた場所を見てみると結構な量の血が流れていてギョッと目を見開いて驚いた。
こんなに血が出てたのか。通りでフラフラする訳だ。打ち所が悪かったら死んでいたな。
「くそが、体が思ったように動かねぇ」
フラフラと立ち上がった物の、足の力が入らなくて覚束無い足取りで左右に揺れながら歩き出す。
空を見てみるとまだ明るい。どうやらまだそんなに時間が経っていないようだ。まだまだ学校は終わらない。
腕時計を見てみると丁度四限目の途中だった。もう少しで昼休みか……じゃあこの姿で学校に行っても良くないな。
俺は荷物の中に入れていた包帯を取り出して目立たないように頭に包帯を巻いた。
埃まみれの制服は仕方が無いので目に見える埃だけ払っておく。
「さて、学校に――」
そこでとあることを思い出した。
確か、ここに俺以外の誰かと一緒に居たような……。俺が倒れる直前の記憶に濃いモザイクがかかったように思い出せない。
なんで俺はあんなに悔しい思いをしたんだっけか?
「ああっ! くそ、モヤモヤしやがる。せめて手がかりがあればな」
そして辺りを見回してみるとそこには黒いハットが落ちていた。よく見るハットだ。これならわかる。これは、宇佐見の帽子だ。
しかしなぜこんな所に宇佐見の帽子が?
「思い……出せない。やっぱり……くそ」
俺は悔しさで宇佐見の帽子を握り締めて嗚咽をこぼす。
ただ、分かることはこんな所に宇佐見の帽子があるのはただ事じゃないってことだ。
どうして……どうして思い出せないんだ。何があってどうしたんだ。
「教えてくれ。教えてくれよ。宇佐見の身に何があったのかを」
俺は無機物にすがりついて情けない声を出す。祈る。この無機物が教えてくれると言う奇跡を願って。
その瞬間だった。頭の中に何かが入ってくるような……そんな感じがした。
そして頭の中に映像が流れ始めた。
『止めてください!』
『は、離して!』
飛鶴? 宇佐見? 二人ともそんなに怯えてどうしたんだ? しかも体を縛られている?
『うるせぇ、大人しくしてろや。お前らはこれからたっぷりと可愛がってやるからよ』
『こんなひょろひょろ男一人で女の子二人を独り占めなんてなぁ。そら良くないわな。がっはっはっ』
とても下品な男二人。多分人気の無い路地だからこそこういう奴が居たのだろう。不覚だった。だが、これが本当の話だとしたら宇佐見と飛鶴が危ない。
しかしこれだけだと二人がどこへ連れ去られたのかが全く分からねぇ。
だが、これは大きな進歩だ。何があったのかは分かった。だけどこれだけじゃ……。
しかし、今の映像はなんだ? 急に俺の頭の中に流れて来て……。
「……もしかして」
俺は近くにある壁にそっと手を添えて念じる。
教えてくれ。俺が気を失っている間、何があったかを。
その瞬間、先程とは別アングルの映像。でも同じ映像が流れてきた。
やはりそうだ。俺が念じると物は俺に応える様に映像と言う形で返してくれる。
「これだ。この力があれば宇佐見を探せる……っ!」
俺はとりあえず映像の最後、どちらへ向かったかを確認して走り出す。
少し血が足りなくてフラフラするも、そんなのに構っている暇は無い。こんな貧血、少し鉄分を摂取すれば治る。
傍から見たら時折壁に手をつけながら走る変人だろう。だけどそんなのは気にせず走り続ける。
宇佐見と飛鶴を拐った男達は途中で車に乗り、港の方へ向かった様だ。
今日は久々に学校をサボってしまう事になってしまうが、そんなのは宇佐見と飛鶴が助けられない事から比べたらどうってことは無い。元々俺はサボっても何も咎められないし、サボり魔だから今更何とも思われないだろう。
だが、心配なのは宇佐見と飛鶴だろう。
今回の件で色々と今まで積み上げてきたものが崩れてしまうだろう。
「くそ、いつもならあんな攻撃食らわねぇのによ」
俺は悔しい言葉を口に出しながらも走るのを辞めない。
そして見つけた、その場所を。
「面倒だ」
俺は頬を掻きながらその場所にゆっくり近づく。
その場所とはもう使われていない倉庫だった。まぁ、こんなに端にある倉庫は段々と忘れられていくんだろうな。
面倒だ。これ程面倒な事件は初めてだ。
俺のサークル。相談屋は暴力を容認されている。だが、それには条件がある。
それは『相談を解決する為にやむを得なく行った場合』だ。しかし今回は相談されてでは無い。俺自身の意思で行っている。
俺が俺自身で依頼する事は出来ない。そして、この事を友達に依頼として提出してくれと言う時間も無いし、メリーなんかには心配をかけたくなかった。多分卒倒してしまうだろう。
「でも、やるしかねぇよな」
これで最後になるかもしれない。そう覚悟を決めて俺は扉を蹴破った。
side蓮子
「「きゃっ」」
バンッ! と床に乱雑に放り投げられる私と飛鶴ちゃん。
私と飛鶴ちゃんを拐った男達は悪い顔をしている。そしていやらしい目付き。もしかして私達を襲うつもりじゃ。恐怖で震える。
「う、宇佐見さん」
「……あなた達。どういうつもり!?」
それは最大限の強がりだった。
私だって怖くて怖くて仕方が無い。だけどそれを悟らせてしまうと飛鶴ちゃんが不安になってしまう。
だから私は強気に出る。
「ああ? んなもん決まってんだろ。あんな所によぉ食べ頃の女が居たら……」
じゅるりと舌なめずりをすると下卑た笑みを浮かべて男は言った。
「そりゃ、食べるよなぁ」
私は本当にダメだと思った。
こんな辺境の地。誰にも気がついて貰えるはずが無い。
私はいつも自分を助けてくれる王子様に憧れていた。だから、前に不良に絡まれた時に助けに来てくれた輝山君が王子様に見えた。だから私はもう関係を切りたくないって思って強引にでも同じサークルに入れた。
だけどさすがの輝山君でもこんな所、分かるはずがないよ。
「んじゃあ、まずはそっちのちっさい子から」
「ん!?」
飛鶴ちゃんは自分が指名された事によって恐怖し、私の後ろに隠れる。
「お前、ロリコンだもんなぁ」
「へへへ。んじゃあ頂こうかな」
「待ってください!」
飛鶴ちゃんは輝山君の大切な妹的存在。そう簡単に汚す訳にはいかない。
だから私は静止をかけた。それによって男二人の視線がこっちへ向いた。
「き、傷つけるなら私だけにしてください。この子には何もしないで」
「宇佐見さん!?」
私でも今、何を口走ってしまったかは分かっていた。でも止められなかった。だって……飛鶴ちゃんを酷い目に合わせたくなかったから。
「いい根性だ。じゃあ、ご希望通りお前から食ってやる」
ああ、私はこんな所で汚されちゃうんだな。
そして私の制服に男が手をかけた瞬間の出来事だった。
急にドアが蹴破られたのだ。あの重厚な扉が。
「何者だ!」
男は叫ぶ。すると蹴破った人物は歩いてきた事で誰なのかが分かって私は絶句した。なぜならその人物は――
「見つけた」
輝山君だったのだから。
はい!第20話終了
この話は一応東方二次創作なので現代キャラの蓮子やメリーに能力があるなら一輝にも能力があっていいじゃん。と言うことで能力を持たせました。
果たして、暴力をするとまずい状況の一輝はどう乗り越えるのでしょうか?
それでは!
さようなら