東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 今年最後の東方現代物語です。



 それでは前回のあらすじ

 早く見つけないと

 怖い。助けて

 一輝くんでも多分無理。

 ――見つけた。



 それではどうぞ!


第21話 自己犠牲(ミッション)

side一輝

 

「見つけた」

 

 やっと見つけた。

 薄暗くて良く見えないが奥の方に宇佐見と飛鶴。そして映像に出てきた男達が見えた。

 どうやらギリギリセーフのようだ。二人ともまだ何もされていない様子。

 

「あ? あんだてめぇ」

 

 男の一人がこっちに来てメンチを切ってくる。だが、今更そんなことに臆する俺では無いので逆に睨み返した。

 するとそんな態度が気に食わなかったのか、男は殴りかかって来た。しかしそれを最小限の動きで躱す。無駄が多すぎる為、躱すのは容易かった。

 

「何もんだ」

「俺か? 俺はとある大学で相談屋をやっている輝山 一輝と申す者です」

「っ! 思い出したぜ」

 

 俺が名乗ると男の一人は何かを思い出したのか語り始めた。

 

「相談屋は受けた相談の為なら人を殴る事も容認されるサークルだ。だがまぁ、今回のは依頼では無いだろうがな」

 

 図星だ。今回は急いできた為、俺は一切依頼を受けていない。あるのは宇佐見、飛鶴を助けたいと言う思いだけだ。

 でも、その思いだけじゃどうすることも出来ない。だから覚悟をしてきたのだ。

 もう二人に会えなくなる覚悟を。

 

 俺は二人に会えなくなるのは悲しい。だけどこれしか思い付かなかったのだ。

 あの二人を助ける方法。それは、俺が犠牲になる事だ。

 俺だけが犠牲になれば二人は助かる。

 

 このまま殴り合えば不利なのは俺の方だ。勿論負けるつもりは無い。だが、確実に俺はやばい事になるだろう。そして二人の傍には居られなくなる。

 まぁ、不良は不良らしく制裁を受けるとしますかね。

 

「ほう? お前、俺らと殴り会えねぇのか?」

「あ?」

「そうかそうか。じゃあ、一方的に――」

 

 パシュン! 空気が切れる音が鳴った。俺の拳が放たれた音だ。

 俺の拳は男の顔面数cmのところで止まった。

 

「これは警告だ。やめろ、その子達を離せ」

 

 すると男は俺の気迫に怖気付いたのか、背後に下がっていく。だが、それを見て警戒を解くほど馬鹿ではない。二度も同じ失敗を繰り返して溜まるもんかってことだ。

 

「そんな事をしたら、自分がどうなるかって分かってんだろ?」

 

 分かってる。分かった上で俺は戦いを決断した。

 俺はどうなってもいい。だが、二人が酷い目に会うのは黙っていられない。

 

「んな事はいいからさっさとかかって来いよ」

 

「どういう事ですか?」

「詳しい事はここでは話しにくいけどこの状況は不味過ぎるって事」

 

 これが最後になるかもしれないんだ。ここはみっともない所は見せられないな。

 じっと観察していると男の一人が殴りかかって来た。

 それを躱す。ここで殴り合ったらどちらにせよ問題になるんだ。なら、徹底的にやって――

 

「止めて!」

 

 カウンター攻撃を仕掛けようとすると俺を止める声が聞こえてきた。

 この声は宇佐見か? その声によって俺は手を止めてしまう。

 邪魔が入ったが、無視もできないだろう。俺は一旦男から距離を置いた。

 

「私達のためだけに人生を棒に振るうのだけは止めて」

「ち、バレてたか」

「そりゃそうだよ。だって何年一緒に居ると思ってるの?」

 

 そうだったな。俺達は小学校に上がる前からの仲だもんな。そりゃ考えてる事が分かるな。俺だって宇佐見の考えてる事は大体わかる。

 俺と飛鶴が心配、だな。だけどこれ以外の対処法は……。ある! あるぞ! 宇佐見を心配させずに助ける方法。

 

 俺はただ助けたいんじゃない。皆と一緒にいたいのだ。

 なんだ、こんな簡単なことに俺は今まで気が付かなかったのかよ……。

 俺は皆とこれからも一緒に居るために戦う!

 

「よし、やる気が出た。本気で相手してやるよ」

「良いのか? お前、相談屋だからって暴力事件を起こしたら停学じゃ済まないぞ?」

 

 確かに男の言う通りだ。

 だが、完全に規制されているわけではない。

 依頼に関することで暴力を行わざるを得ない状況だった場合は認められている。

 

「輝山君。私達のことは良いから逃げて?」

 

 俺のことが心配だからだろうか、宇佐見の悲しそうな顔をした。それを見せられて黙っていられるわけが無い。

 

「宇佐見、まだ俺はお前の口から聞いていない」

「え?」

 

 宇佐見は俺の放った言葉に対して意味が分からないと言うような声を出した。

 さっきから逃げろ。止めてばかりで一番重要な言葉を聞いてないじゃないか。

 

「俺は相談屋だ。どんな事でも依頼されたら受けなくてはならない」

「この状況で何を言ってるの?」

「つまりだ、今なら口答で依頼をなんでも一つ受け付ける。俺に死ねと言ったら死ぬし、ここで更に逃げろと言うならばその言葉通りの行動を取ろう。どうする?」

 

 俺には考えがあった。

 このままだとただの暴力事件だ。だが、宇佐見がある一言を言うだけでそれが一転する。

 

「輝山君。それって」

「さぁ、言え宇佐見! お前の願いはなんだ!!」

「貴様ら何を言って……まさか!」

 

 そこで男も気がついたようだ。

 そう、これの狙いは……

 

「良いの? 本当に……私……私っ!」

「ああ、なんでも言いやがれ!」

「だァまぁれぇっ!」

 

 男は宇佐見の口を押さえにかかる。

 俺は背でボイスレコーダーを起動する。

 そして遂に宇佐見は口にした。その言葉を――

 

「私と飛鶴ちゃんを助けて……っ!」

 

 その次の瞬間、俺は男を殴り飛ばしていた。

 

「その依頼承ったぜ宇佐見」




 はい!第21話終了

 遂に宇佐見が依頼を言ったことによって戦えるようになった一輝。
 果たしてどうなるのでしょうか?

 それでは!

 さようなら

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