東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 進奏には嘘はつけないなと感じた一輝だった。



 それではどうぞ!


第33話 危険(ミッション!)

side一輝

 

 しかし、飛鶴に気が付かれている可能性があるんだよな。俺は他の人を俺のことに巻き込みたくないのでバレたくなかったんだが、もしかしたら飛鶴には勘づかれてしまっている、そして飛鶴の事だ。俺の事を嗅ぎ回っている可能性がある。

 進奏にはいくら迷惑をかけてもいいが、それによって飛鶴にバレてしまうかもしれない。

 どの道、俺は一人でこれを解決しなくてはならない。あんな奴ら、あの写真さえなければ一瞬なんだがな……。

 

 家に帰って来た。しかし、なにか様子がおかしい。

 俺は早く帰って来た。昨日もそうだったので食べ物の臭いがするのならわかる。しかし、異臭がするのだ。形容しにくいこの悪臭。とてもこの世に存在するものとは思えない。

 しかし、この臭いは以前に何度か嗅いだことがある。こういう時は決まって――

 

 俺は恐る恐るキッチンを覗いいみた。すると形容しにくい色の汁物をお玉でかき混ぜている飛鶴がそこに居た。

 

「あ、お兄ちゃん。もうすぐで出来ますからね。座って待っていてください」

 

 うん、いつもは背後から来た俺に気が付かないのに何故か気がついた事以外はいつも通りだ。しかし、飛鶴は何をかき混ぜているんだ?

 しかもニコニコしている。まるで楽しくて仕方がないというような表情だ。何がそんなに嬉しいんだか分からないが、俺にとってはかなり危険なことなのはわかる。

 

「飛鶴、今日の飯はなんだ?」

「えー今日はですね……じゃがいもと玉ねぎと人参と鮭と苺の味噌汁ですね」

 

 なんだそれは……具材のラインナップ最後のひとつ、どうしたんだよ。苺って…… あれは料理に入れるものじゃないだろう。それに果物のビタミンは火を通すと損失してしまうという特徴がある。まぁ、ツッコむところはここじゃないけど……。

 だが、これを俺に食べさせる気か? そもそも、あれは食べ物の色じゃない。あれを食べたら俺自身、どうなるか分からない。

 だけど、こうなっている時の特徴を俺は知っている。こうなっている時の飛鶴は怒っているのだ。何にそんなに怒っているのかは分からないが、とにかく怒っているのだ。

 ニコニコしているが、あれは怒っているのを必死に隠しているだけなのだ。

 

 とにかく怒りをおさめないと俺はあれを食べさせられてしまう。しかし、下手なことをすると手に持っている包丁で切りかかってくる可能性がある。

 

「言っておきますが、お兄ちゃん。逃げないでくださいね」

「俺が妹から逃げるような男だと思うのか?」

「……前、逃げました」

 

 そうでございましたね。

 だが、今回のは今までとはレベルが違うようなので逃げたら取り返しのつかないようなことになりそうなので、今回は逃げない。

 しかし、まずはあれを回避しなくては……。

 

「出来ましたよお兄ちゃん」

 

 お出来になられてしまったか……。

 飛鶴はニコニコ顔でその形容しがたい味噌汁をお椀についでテーブルの上に配膳していく。

 他には米と形容しがたい色をした野菜炒めがある。何故か野菜炒めが紫色をしている。どうやったらこんな色になるんだよ……。だが、この野菜炒めは過去に悲劇を生み出した野菜炒めだ。

 昔、施設に居た頃に料理をしていたのだが、その時に怒ったらこのメニューを出してきて、施設内全員腹痛の悲劇を生み出したのだ。

 それからというもの。施設では飛鶴を怒らせてはいけないという暗黙の了解が出来上がったのだ。

 

 しかし……この状況で俺はどうしろと言うんだ? この分だとあの男たちにでは無くて、飛鶴に殺されてしまいそうな予感がする。

 とりあえず、臭いだけ嗅いでみる。近くで嗅いでみれば、苺のフルーティーな臭いがある……あまりにも刺激的なその匂いにすぐにかき消されてしまったけどな。

 でも、飛鶴が期待した目でこちらを見てくる。

 

「えっと……飛鶴、さん。なにかあったんですか?」

「へ? どうしてですか?」

 

 ニコニコしているが、聞いてくるなって雰囲気がものすごく漂ってくる。あんな様子の飛鶴は初めてだ。それだけに怖く感じてしまう。

 この俺が今更、恐怖を感じてしまう羽目になるとは思わなかった。くそ、これならあいつらに殺されておくのが無難だったか?

 

「さぁ、食べてみてください」

「…………ところでさぁ、飛鶴は――」

「た、べ、て、み、て、く、だ、さ、い」

「……はい」

 

 なんという威圧力だ。この俺を震え上がらせるとは凄まじい。おかげで何も言えなくなってしまった。

 これを食べても死、食べなくとも死……これ、積みじゃね?

 もう諦めるしかない……。

 

 箸を持って米を頬張った。米がオアシスである、この言葉は流行るべきだと思う。俺が流行らせようか。

 だが、これでは許してくれないらしい。さっきからずっと俺の事を見てきている。

 仕方が無いので諦めてお椀を持った。すると俺は気が付いたのだ。この激獣の正体、てっきりいつものやつかと思ったが、どうやら臭いが違う。そう、これは薬品の臭いだ。

 相談屋の部室は薬の臭いに一早く気が付けるようにと、薬の臭いに慣れておくために薬臭いのだ。それを初めて聞いた時はどこの組織の人間だよ……と思った。しかし、こんな所で役に立つとは思わなかった。

 色々な臭いが混ざっていて気が付くのに遅れてしまったが、これは確かに薬の臭いだ。

 でもこれは何の薬なんだ? 状況から考えると……そうか、飛鶴は俺に何があったか気になっていたな。飛鶴はどうやって手に入れたか分からないが、自白剤を入れたのか。自白剤で俺に全部言わせようって魂胆だな。

 

「薬」

「へ?」

「飛鶴、薬を盛っただろう」

「えぇ!? なんでバレたんですか?」

 

 やっぱり俺の考えは正しいかったようだ。もう少しで言わされることになっていたので危なかった。




 はい!第33話終了

 飛鶴に薬を盛られそうになった一輝。このピンチをどう乗り越えるのでしょうか?

 それでは!

 さようなら

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