東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 進奏が一輝を助け出し、全てが解決したかのように見えたが、このままでは放置した不良たちが学校側に告げ口をして、一輝が退学にされてしまうかもしれない。

 そこで宇佐見が思いついた案とは?



 それでどうぞ!


第37話 そんなことは有り得ねぇ

side一輝

 

「はぁ、こういう事は性にあわないんだけどな……」

 

 俺は宇佐見に持たされたカメラを片手に倒れている不良たちを見下ろしながらため息をついた。

 今、不良の前に堂々と立っているのは俺だけだ。他の二人はドアの後ろに隠れていて、いつでも来れるようにスタンバイしている。

 もしこの不良たちが暴れても俺一人で対処が出来ると言ったのだが、何やら念の為に二人もいるとの事なので、お言葉に甘えてスタンバって貰っている。

 

 それにしても、こいつらいつまでへばっているんだ? そろそろ飽きてくる頃なんだが……。進奏なんて携帯を取り出して遊んでいるし……全く危機感のないやつだ。

 

 そこで男の一人の体がぴくりと動いた。その瞬間を俺は見逃さず、やっとかという意味でため息をついて男を見下ろす。

 男は目を覚まし、辺りを見回す。そこで俺の姿を見つけたのか、どんどんその男の顔が真っ青になっていく。どうやら俺達の事を恐怖として脳に植え付けられたようだ。所謂トラウマって事だ。

 だけど、仕掛けてきたのはそっちだ。俺はトラウマと言われる覚えはないんだけど……。

 むしろ俺なんて良心的だ。俺は一人一発殴っただけで、ここまでやったのは進奏だ。

 

「お、お前、まだ俺たちになんか用なのか!? け、喧嘩はもう勘弁してくださいっ!」

 

 だから、俺の喧嘩スタイルでそんなに怯えられることはないんだって……。

 俺の喧嘩スタイルは相手に少し恐怖を植え付けて、相手が逃げ出したらもうあとは追わない。無駄に体力消費はしたくないからな。

 今日の俺もそんな感じだったが、逃げ出したこいつらをここまで叩きのめしたのは、何度も言うが進奏だ。

 

「いや、もう喧嘩はいい……ただ、今回の件はお互いのために他言しない方針でいた方がいいと思うんだわ」

「お、お前……何言って――」

 

 俺は男が言い終わる前に先程宇佐見から譲り受けたカメラを男に見せると、さっきから青かったその顔が更に青くなっていく。そこまで行くと変色の域だとツッコミたいくらいだが、ここは我慢しておく。

 そのまま俺は台詞を続けて行った。

 

「この写真をばらまかれたくなかったらもう俺達の前に現れるな」

「は、はいっ!」

 

 意外と素直に応じるやつだ。

 もっとこの写真を奪い返そうと暴れるのかと思ったら、そのまま素直に応じてきたので少しびっくりした。

 でも、この方がありがたい。俺はあんまり喧嘩はしたくないのだ。

 なんでか喧嘩が強い不良のレッテルを貼られてしまったが、喧嘩はできることならしたくない方だ。なのになんでこうも喧嘩の案件ばかり来るんだよ……。

 

 俺は置いておいて、これならだいぶ楽だ。この写真には男達が一人の気弱そうな男子生徒にローテーション的にカツアゲしている写真が入っていた。

 他の大学なら俺の退学になりうる情報と、カツアゲの写真じゃ全然釣り合わないのだが、この学校では違う。

 カツアゲの状況を教師に見られた瞬間に退学決定という校則があるのだ。なんでも、この大学内にはそんな低俗な行為をするやつなんて要らないということらしい。

 それでも減らないから俺のに依頼が来るのだが……。

 カツアゲの相談をしたところで教師はまともに取り合ってくれず、現場を見るまでは信じないスタイルだから俺に相談が来るんだよ……。

 

 なんでこの写真を宇佐見が持っているのかは知らないけど、とても助かったので後で礼を言っておこう。

 

 すると、他の男たちも続々と起き上がり始める。そんな男たちに対して俺は――

 

「よぉ……」

 

 普通に挨拶をした。だが、そんな俺を見て揃いも揃って青い顔をした。

 どうやら俺は無意識のうちに怖い表情をしていたようだ。それでみんな俺の表情を見て震え上がっているのだろう。

 

 しかし、たった一人だけ震え上がっていない人がいた。その人物は――

 

「てめぇ……よくもやってくれたな」

 

 リーダーのような男だ。

 その男は俺の事を見つけると恐怖に染った表情ではなく、怒りを顕にした表情をした。どうやら自分がたった二人に負けたことが気に食わないらしい。

 だが、そんなことはこっちの知ったこっちゃない。元々はそっちが悪いのだから、こっちも強気に出る。そんな怖い表情をしても俺には効かない。

 俺は進奏とは違って怖いものが無い訳では無い。でも、そんな子供だましのような睨みつけで怖がったりなどしない。

 

「今はお前しかいないようだし、もう一人いないのは癪だが、こいつだけでもメタメタに叩き潰してやるぞ」

 

 あー、面倒な事になった。この調子で行けばここで戦わずに済んだかもしれないのに……仕方がない。

 

「そうだ、この写真をばらまかれたくなかったら、この部室であった事を内密にお願いできますか?」

「お前がこの人数相手に勝てたらなっ!」

 

 リーダーのその声を合図に飛びかかってくる男たち。その様子を見て扉の向こうにいる宇佐見が不安そうな目でこちらを見ている。

 しかし、進奏はそんな状況でも携帯いじりを止めない。

 

 だが、それでいい……さっきは仕方がなかったが、この人数だったらもう一人いると邪魔だ。

 

 ☆☆☆☆☆

 

side蓮子

 

「この状況で和成君は何をしているのっ!? 友達がピンチだよ」

「そうだな……でも、大丈夫だろ」

「何が大丈夫なの!?」

 

 この状況、四方を男たちに囲まれて逃げ道もない。更にこの人数差。どう見ても勝てるわけがない。

 私たちがここにいるのはこの状況で助けるためなのに、和成君はずっと携帯をいじっていて、全く助けに入る気配すらない。

 

 この人がここまで薄情な人だとは思わなかった。

 

 こうなったら私が助けに行った方がいい気がする。

 最近はトレーニングをしていなかったけど、それでも昔はやっていたんだから少しは加勢できるはず。

 そう思って飛び出そうとしたその時、背後から手が伸びてきて私の事を引き戻した。

 その手の人物はやはり和成君だった。

 

「どうして行かせてくれないの!?」

「足でまといだからだ。いや、この言い方じゃダメだ……包み隠さずそのまま言うと、俺らが行くのは邪魔なんだよ」

「え、」

 

 和成君の言葉を私は理解出来なかった。だってこの人数差は一人で捌くのは無理だし、このままじゃ輝山君がボコボコにされて――

 そこで私の視界に映ったのは驚きの光景だった。その光景は、輝山君一人で男たちを圧倒している

 

「な、だから言ったろ? この人数はあいつ一人で充分。寧ろ、この狭さで加勢に入ったりなんかしてみろ、邪魔だと言われるのがオチだ。それに、そんなことは有り得ねぇが、もし、逆の状況になっていたら俺が撮っているこの映像が更に揺するネタになるし、本当に危険なら助けに入るまでだ」

 

 そ、そこまで考えた上での行動だったって訳?

 さっきから携帯をいじっているだけのように見えたのは、これを映像にしておくための行為で、助けに入ることもちゃんと考えていたの?

 しかも、輝山君の考えていることもちゃんと理解して……。

 

 この二人の信頼関係は凄いね……。

 

「じゃ、帰るか……宇佐見もわかっただろ? 一輝の事を。なら少しは信頼してやれ……あいつはちょっとやそっとの事じゃ負けねぇ」

 

 そう言って手をヒラヒラと振りながらその場を後にする和成君。

 その時にはもう既に輝山君の方も終わったようで、男たちの声が静かになっていた。

 そして、一人意識を保っていたリーダーに輝山君はもう一度問いかける。

 

「この写真をばらまかれたくなかったら……この部室であった事を他言無用でお願いできるかな」

「ち、誓うっ! 誰にも話さねぇ。だから許してくれ!」

 

 その時の輝山君の表情は、その人物にはものすごく怖い表情に見えたようだけど、私にとってはなんだか無理して怖い表情を作っているように見えて、クスッと笑ってしまった。




 はい!第37話終了

 一輝はとても強いんです。
 最近はやられてばかりだったので、その感覚が薄れて来てしまっているかもしれませんが、ものすごく強いんですよ!

 という訳で、この完結編では秘封倶楽部と絡めつつ、その強さを出していきたいと思います!

 それでは!

 さようなら

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