東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
新たな依頼が一輝の元にやってくる。
内容はストーカーの退治。
そして一輝は辛くもストーカーを退けることに成功した。
それではどうぞ!
side一輝
俺が目を瞑り、寝ようとした瞬間だった。
急にプルルルプルルルと言う音が俺しかいない真っ暗な部屋に鳴り響いた。
それが直ぐに着信音だということが分かった。
だが大して重要ではないだろうと決め込んで音が鬱陶しいと思いながら眠りにつこうとする。
しばらくすると電話は切れた。
これで安眠できる。そう思って居るとまたプルルルと言う着信音が……。
さすがに執拗いと思いながら出ないと面倒くさくなると感じてスマホを手に取る。
そして画面を見てみると面倒だと感じたが出る。
「ただいまこの電話番号は使われておりません」
『あ、お兄ちゃん? こんばんわー!』
「……ただいまこの電話番号はつか」
『お兄ちゃん最近どう?』
「……た、ただ」
『私はねぇ元気に生活してるよ♪』
こいつ……人の話をまるで聞こうとしない。
こいつの名前は
現在中学三年生。さっきはお兄ちゃんとか言っていたが本当に兄弟なわけじゃない。まぁ、大体の人ならば苗字の違いで気が着くと思うが。
こいつは施設に居る時に知り合って、訳あって俺を兄の様に慕ってくれている。まぁ、俺にとって妹みたいな存在だ。
俺が施設を出ていくと最初に伝えたのもこいつで一番寂しがってくれたのもこいつだ。
「んで、今回はどんな要件なんだ?」
『なんかお兄ちゃんの声を聞きたくなっちゃって♪ えへへー♡』
そんな可愛い事を言ってくれる飛鶴だが、魂胆は見え見えだ。
「で、なんだ頼み事は」
『あ、バレた?』
「当たり前だ。何年お前の兄貴やってると思うんだ」
小学の頃から知っている中だからだいぶお互いの事を分かり合えてると思う。
確か小四の頃に出会ったのかな。
それでこいつと出歩いてロリコンだと言われたことがあったな。だって俺が高校生になっても飛鶴は小学5年生なんだもんな。
だが断じて俺はロリコンではない。
『そろそろ私も進学でしょ? これを機にそっちに行こうかな? って』
急に何を言い出すんだこいつは
『えへへっ♡ 寂しくなっちゃって……その……ダメかな?』
ここで俺は「ダメだ」と即答すべきだったのかもしれない。施設を出るにはまだ少し幼いと感じてしまったからだ。
だが、俺も施設を飛び出した身。直ぐには返答出来なかった。
「だが施設を飛び出してどこに行くんだ? 行く宛は?」
そう言うと飛鶴はテンション高めでこう即答した。
『あるよ!』
「へー。どこなんだ?」
『お兄ちゃんも知っているところ』
そう言われて思考を巡らす。だが、飛鶴が行けそうな所を俺は知らない。
まぁ、俺は察しが悪い方ではない。だから嫌な予感はしていた。
その嫌な予感を感じながら俺は「どこだ?」と聞くと少し間が空いてから意を決した様な声色で
『お兄ちゃんの家に住まわしてください!』
そんな最悪な事を言ってきた。
第一、俺らは血が繋がっていない兄妹? だ。
そして5歳も年の差があるんだぞ。
タダでさえ一緒に歩くとロリコンという疑いを掛けられるというのに一緒に住んだらもう言い訳のしようがない。
『お願いします! 何でもしますのでっ!』
真剣な声色で言ってくるので俺の決心がまるで波が高い時の船のように揺れている。
『お願いします! 家事もします! 迷惑もかけません! お兄ちゃんが望むなら……その……え、えっちな事でも……』
「ちょっおーい! 俺はそんな事望んだことは無い!」
これで本当に望んだら正真正銘のロリコンじゃねぇか。
小学生がそんな事を言ってはいけません!
『でも……』
「だぁーもう分かった。もう良いから来てもいいから」
結局俺が折れてしまった。
ちょっと心配だが目の届く所に置いておけば心配はないだろうという考えだ。
『本当ですか!』
と嬉しそうな声色に変わった。
「ああ、良い」
『やったぁー! またお兄ちゃんと暮らせる!』
まぁーたロリコンとか言われるんだろうがもう気にしないことにした。
今は妹様の嬉しそうな声を聞けただけで満足だ。
「はいはい。んじゃちゃんと準備してこいよ」
春休みまであと少しだ。
俺がサークルに入ってから丸々一年が経とうとしていた。
このサークルに入ってから宇佐見とは距離を置いている。
だってこの俺は宇佐見の嫌いな不良だからな。
『大丈夫です! 送っておきましたので』
は? 送った?
「何をだ?」
『色々ですね』
その言葉を聞いてあることを俺は思い出した。
ある日急に宛名のない箱が送り届けられたんだ。
よく分からないけど一応受け取っておいたが、そういう事だったのか。
「あの箱の中身、お前の荷物だな」
『せいかーい!』
「ちょっ! お前なぁ……外堀から埋めんのやめろ。ここまでされたら俺が断りづらいっての分かってやってんだろ」
「はぁ……」とため息を着くが一度了承してしまったものはしょうがない。
「んじゃ高校はこっちになるのか」
『うん! それじゃあお兄ちゃん。頑張ってね』
そして「おやすみ」と挨拶してから通話を終了する。
なんか急にどっと疲れた。
そう言えば宇佐見はどうしてっかな……。
この前久しぶりにあったけど俺の今の境遇を知らないみたいだし……。
宇佐見とは結構古い仲だ。
それこそ、俺が小学校に入学する前から。
今の俺の住んでいるところは施設からかなり離れた場所なんだが、昔は宇佐見も施設に住んでいたんだ。
だが、宇佐見は中学卒業と同時に施設から出て行ってしまってな。
俺は別に追いかけてきた訳では無いんだが、やりたい事が出来たからこっち来たらたまたま宇佐見も居たんだ。
やりたい事。それはまぁ、ただ単に一人暮らしに憧れて飛び出したってのもある。
まぁあともう少して一人暮らしも終わりなんだけどな。
果たしてあの堅物の先生は15歳の女の子を20歳の男子大学生の所に行くことを了承してくれるのか?
まぁ良いや。
それから数週間後、春休みが訪れた。
はい!第4話終了
何とここまでの話、全てプロローグなんですよ。
という訳で本編は第5話から、三年生からが本編です!
それでは!
さようなら