東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
一輝と飛鶴のなんでもない風景。なのだが、飛鶴は一輝から女の臭いがすると追求。
色々知っている飛鶴になんでそんなに知っているんだ? と聞くと飛鶴は妹としての義務と回答。
その事に一輝は困惑してしまうのだった。
それではどうぞ!
side一輝
今日、俺は登校するなり、一番に秘封倶楽部の部室に来ていた。
なかなかオカルトサークルっぽい雰囲気が出ているカーテンを閉めたら薄暗くて、本当にそれっぽい雰囲気だ。
床にはテープで書かれた魔法陣らしきものがある。そして、部室の端っこの方にテーブルがぽつんと設置されていた。
「あそこにするか」
パソコン機材を設置する場所をそのテーブルに決め、俺は早速学校に届いた機材を手に取り、そのテーブルに設置し始める。
パソコンの敗戦に関しては慣れている。なにせ、うちのパソコンも設置したのは俺だし、昔からこういうのには慣れていたので、施設のパソコンも一部俺が設置したものがある。
パソコンを取り付け、配線も完了すると、次に俺はそのパソコンで相談屋のホームページにログインする。
その画面には休止中ですと表記されている。この表記を勝手に消してしまうと怒られてしまうので、一部的にホームページの内容を変更する。
まずは地図だ。
このホームページには相談屋の部室の位置が表示されている。しかし、今はその場所は倒壊していて、使えないため、今はこの部室を使っている。
なので、俺はこの場所の地図をホームページに載せるためにプログラムを開始する。
もう正午を回っている。そのため、俺は作業を一旦中止して、飛鶴の作ってくれた弁当を手に取った。
この弁当は今朝、急に俺に手渡してきたのだ。
いつも俺は弁当なんて持ってこないでずっと寝ているため、昼飯は食わないスタイルだったのだが、今日は寝る訳には行かない。
なので、来る途中で何か飯でも買ってこようかと考えていたので、このタイミングでの弁当はありがたい。
だが、なんで弁当なんて寄こしてきたのだろう。少し俺の考えが読まれているみたいだ。
「まぁ、いいか。飛鶴の料理は美味いしな」
弁当箱を開けてみると、そこには色鮮やかで目でも楽しめる弁当が入っていた。
しかし、そんなものはどうでもいいのだ。一番気になるのは、どデカく主張してきているこののり弁だ。しかもただののり弁ではない。のりがハートマークなのだ。
どこの愛妻弁当だよと突っ込みたくなるが、一人の部屋でそれをやっていたら、独り言を言う変なやつだと誰かに思われかねないので、俺は静かにその愛妻弁当擬きを食べ始めた。
見た目はともかく、さすがは飛鶴だ。確かに美味しい。俺好みの味付けで、更にこの唐揚げなんかは冷めても美味しいように工夫がされている。
だが、見た目をどうしてこんな風にしたんだ。というか、現実でのりをハートマークにする人が居るなんて思いもしなかった。
まぁ、美味いので文句は言わないようにしよう。文句を言ったらもう二度と作ってくれなくなるかもしれないからな。地味に美味いので、また今度作って貰えるようにお願いしてみようかな。今度はハートマークじゃないやつを。
食い終わると作業を再開する。
今度はこの前作ったメモリにデータをコピーしてリンクできるように設定する。
まぁ、この際にハッキングしているようなものなのだが、このホームページの管理人を任されているのは俺なので問題はないだろうと自分に言い訳をしてコピーしていく。
まぁ、データを持ち出してはいけないとは書いていたけど、重要度の欄には特にお咎めなしと書いてあったので、問題はないだろう。
そして、二時間後、ようやくデータをリンクし終えた俺は後は家のパソコンでリンクさせればいいんだと考えて作業は終了する。
すると、そこで部室の扉が開いた。俺は誰が入ってきたのか一瞬で気がついた。
「宇佐見とメリーか」
「輝山君、何してたの?」
「あぁ、パソコンの設置だ。これが無いと作業できないしな」
「そうなんだ」
すると、俺の隣に来てパソコンの画面を覗き込んでくる宇佐見。
このパソコンの画面にはホームページの管理人画面が映し出されているが、この画面にパスワードが書いてある訳では無いので、そのことに関しては気にしない。
「そうだメリー」
「なに? 私はあなたのその表情に嫌な予感しかしないのだけど」
「相談屋を手伝おうよ」
「……本気?」
メリーは蓮子を瘴気を疑うような目で見た。正直、今のメリーの考えは俺も痛いほどわかる。
蓮子は何言ってんだ?
「宇佐見、相談屋はノリで手伝える甘いサークルじゃないぞ」
「分かってるよ。だって、あの時私だって助けられたんだし」
久々に宇佐見と会うきっかけになったあの事件。
確かに俺は宇佐見を助けたな。
「だから、そんなに甘くないと分かってる。だけど、本気だよ。だって、輝山君の体が心配だから」
「俺の心配よりも先ず自分の身の心配をしろよ。全く……」
でも、俺は幼なじみだから知っている。宇佐見はこう言うと人の話を全く聞かなくなる。
まぁ、正直言うと宇佐見とメリーを危険に晒したくないため、俺の仕事に付き合わせたくは無いのだが、宇佐見の目を見ていると断りづらくなってしまった。
「はぁ……やれやれだ。但し、俺の指示はちゃんと聞くことだな」
「わかったわ!」
「……輝山君も大変ね」
そんな彼女をいつも相手にしているあなたもですよね。
お互い苦労が絶えないなと感じた瞬間だった。
はい!第42話終了
蓮子達が相談屋を手伝うことになりました。果たしてどうなってしまうのでしょうか。
それでは!
さようなら