東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
校長室に向かった一輝。そこで、校長に相談屋の活動許可を出してもらった一輝は相談屋を再開した。
そしてその夜、相談屋のボックスを見てみると匿名で『ありがとう』の文字が送られていた。
一輝は少し気になったが、恐らく以前に助けた人の礼かなにかだろうと考えて、深くは考えなかった。
それではどうぞ!
side一輝
放課後、俺は今日も秘封倶楽部の部室に来ていた。そこで俺はパソコンを開いて依頼が来ていないかをチェックする。
しかし、今日は一通も入っておらず、今日も暇である。
だが、今までと違うのはこの部室には俺だけではないという点だ。
今までは部室内には俺だけだったため、暇ならば昼寝をするしかなかったんだが、今は同じ部室内に秘封倶楽部の部員、蓮子とメリーが居る。そのため、暇を潰すのには困らないだろう。
「お茶を淹れたわよ」
メリーがお茶を入れて持ってきてくれる。そのお茶をありがたく受けとって一口飲む。
その瞬間、俺は固まってしまった。そして、お茶を持っている手が震える。
「ど、どうかしたかしら」
「う」
「「う?」」
「美味い」
美味すぎる。なんだこれ、ひょっとしてメリーはお茶を淹れる天才なんじゃないだろうか。
普段はエナジードリンクか飛鶴と共にジュースを飲んでいるかだけの俺でもこのお茶ならば何杯でも行ける。それくらいに美味いお茶だ。
「まぁ、お口にあって良かったわ」
そう言ってにこにこしながらメリーは蓮子にもお茶を渡しに行った。
それにしても、こんなに美味いお茶を淹れるとは思わなかったな。と、そんなことを考えながら依頼ボックスをボーッと眺める。
すると、その時、ぽつんと一つの依頼が表示された。
昨日のようなことがそうそうあるわけがない。つまり、これは恐らく依頼だろう。そう思って開いたものの、そこに表示されていたのは――
『ありがとう』
昨日と同じ文面だった。
昨日といい、今日といい、二日連続で依頼でもない文面を送ってくるのは少し迷惑である。
だが、こういうのはあまり気にしない方がいいのかもしれない。そう思って俺はその文面をゴミ箱に入れる。
これで大丈夫だと思った矢先にもう一つの依頼が出現する。
今度こそはとの思いでその依頼を開いてみると――
『ありがとう』
さすがにこれには俺も頭を抱えてしまった。
なんだよ、今のタイミングは……完全にタイミングを見計らっていたとしか思えないタイミングだぞ。
もしかして、俺は今、ストーカー被害を受けているのか?
しかし、もしもこれがストーカーや、イタズラだとしたら、なんの目的があるんだ? これをやることによって犯人になんの得があるんだろう。
この行為になんの意味があるのかは全く分からない。
「どうしたの? 輝山君」
「いや、なんでもない」
しかし、これはどうしたものか……ゴミ箱に入れたら直ぐにまた新しいのが来るだろう。とりあえず放置だな。
「所で輝山君。今日は依頼来ていないんだよね」
「まぁ、そうだな。おかげで暇だ」
「じゃあ、一緒に探検しに行かない?」
そういえば、宇佐見は探検が好きなんだったな。以前も誘われたけど断ったはずだ。それに危ないしな。
「危ないから行かねぇし行かさねぇ」
そう言うと、宇佐見は面白くない表情をした。そんな表情をしても俺は許可を出すつもりは無いけどな。
すると、宇佐見は真横に来ると上目遣いをしてきた。
「お願い……」
「ぐっ」
それは反則だ。不覚にもドキッとしてしまった。
今、俺の意思が揺らいでしまった。何か危ないことがあっても俺が守ればいいかという考え方に至ってしまいそうになった。
だが、危ないのには変わらない。そのため、とりあえず頭を冷やす。
「どうしてもダメなことはダメだ」
「相談屋の事は許してくれたのに?」
「……裏方だけだ。事件の時は犯人には絶対に会わせない」
蓮子たちを危険な目に合わせる気は毛頭ない。
その時だった。
何やら、先程送られてきた『ありがとう』のメッセージの他に、もう一通送られてきた。恐らく今回のは正真正銘の依頼だろう。
俺はその依頼を開いてみる。そこにはこう書いてあった。
『愛犬が居なくなってしまいました。探すのに協力してください』
そしてこの文面には写真が添付されている。
まぁ、こんな1高校生の相談屋に頼むくらいならは警察に頼んだ方が良いと思うような案件なのだが、今の依頼不足の現状ならばこの依頼はありがたいと言う他ない。
「宇佐見、メリー依頼だ」
「お、遂に来たの?」
「あぁ、今回の依頼はこの犬だ」
そう言って俺はみんなに見せやすいように写真を拡大して見せた。
「可愛いですね」
「あぁ、この犬が行方不明になっているらしい。ということで、今回の依頼はこの犬の捜索だ」
俺は説明しながらパソコンと同時にかったプリンターで写真を印刷していく。三枚程度あればいいだろう。一人一枚の計算だ。
プリンターも一応購入許可が出ている代物だ。こういう捜し物の時には写真を印刷しないと不便なこととかもあるからな。
写真を渡しつつ、今回の作戦を説明する。
「とりあえず、二手に別れよう」
「え、バラバラじゃないの?」
いいところに目をつけたな。確かに、三人バラバラの方が効率がいいだろう。だが、それではダメだ。
「女子がまだ日があるとはいえ、一人行動は危険だ。だから今回は二人で一緒に行動してもらう。何かあったら携帯で連絡してくれ」
それだけ言って俺は部室を飛び出した。
まぁ、この手の依頼は俺の得意分野だ。なにせ、宇佐美たちが攫われた時も俺が見つけ出したんのだからな。この能力で。
はい!第44話終了
次回、秘封倶楽部も参加した初依頼です。まぁ、犬の捜索だけなんですけどね。
ですが、本当にそれだけで終わるのでしょうか?
それでは!
さようなら