東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
秘封倶楽部にて依頼が来ていないかを見ていた相談屋の元に届いてきたのはまたまたあのお礼のような迷惑依頼。
だが、届いたのはそれだけではなかった。
犬を探して欲しいという依頼。いつもなら警察にたのめをツッコむ一輝だが、今回ばかりはどんな依頼でも受けないと収入が厳しいので文句一つ言わずにその依頼を受けることとなった。
それではどうぞ!
side一輝
俺はとりあえず路地なんかを探していた。
はぐれた犬はその恐怖心からか路地裏に逃げ込むことが多いという俺の長年の観測結果に基づいたものだ。
それに、宇佐見たちを路地裏に行かせる訳には行かないので絶対に路地裏にだけは行くなとキツく言っておいた。
路地裏には危険がいっぱいだ。例えばこんなふうに――
「おい兄ちゃん、金を持ってそうだな。痛い目を見たくなければ金を置いてとっとと失せな」
これは困ったことになった。
俺は暴力事件を起こせない身分。依頼に関係していることならばまだしも路地裏に言って絡まれた程度じゃ許しは出ないだろう。
だから、彼らが俺に殴りかかってきたところで反撃は出来ない。まぁ、反撃をしなければいいんだけどな。
「おいおい兄ちゃん。俺らの話を聞いていなかったのか? 痛い目を見たくなければ金を置いていけっ! それとも、この耳は飾りか? 頭ん中、脳みそはすっからかんなのか?」
「お前らがな」
『あっ?』
俺の言った一言にみんな切れてしまったようだ。なんとも煽り耐性のない奴らだ。
こんな奴らを相手にするほど俺は暇じゃないんだ。俺は依頼を受けなければいけないんだからな。
そんな訳で彼らは俺に殴りかかってくるが、俺はそれをひょいと躱し、横をすり抜けて逃げ出した。
俺の走る速度について来られるやつはそうそういないだろう。ということですぐに奴らを振り切ることは出来た。
つまり、俺が宇佐見たちに行くなと言った理由はこれだ。こうしてヤンキーやらに絡まれてしまう可能性があるから俺は絶対に近づかせたくないんだ。
俺ならば簡単にあれくらいなら突破できるが、宇佐見たちとなるとああいう奴らを相手にするのはきついだろう。というか、確実にやばい事になる。
まぁ、そうなった場合は俺が絶対に助けるが、そうならないのが一番だ。
「しっかし、居ねぇな」
俺はこの路地裏に入るまでにもいくつもの路地裏に入っている。その中でヤンキーに絡まれたのは今回のを合わせて二回だ。
一日にそれもこの短期間で二回も絡まれるとは今日は運がないらしい。
宇佐見たちの方はどうか……。危険なことが起きていなければいいんだが、それでも心配である。
多分、宇佐見たちに危害を加えられたら我を忘れてしまって、停学とか関係なしに殴ってしまうかもしれない。だが、仕方がないだろう。失いたくない人達なんだ。
「だがまぁ、ここまで闇雲に探しても見つからないって事は闇雲に探しても意味がないってことなんだろう」
ということで、ここからは先程印刷した写真を使う。
この写真を道行く人に見せて見ていないかを聞く。それが一番いいだろう。
そうと決まればということで俺は一人の人物に声をかけた。
「すみません。この犬をここら辺で見ていませんか?」
振り返ったその人物はハットを被っていて、マントらしきものをしている女性だった。
「見ていないですね」
「そうですか」
やはりそう簡単に情報が集まるわけはないか。
俺は気持ちを切り替えて次の人に聞きに行こうとしたその時、小さな声だが、俺の耳は聞き逃すことはなかった。
先程の女性が小さく「ありがとう」と言った。
驚いて振り返ると、既にそこにはその女性はいなかった。
「なんだったんだ?」
俺は意味がわからなくて首を傾げる。
でも、今はそんなことよりも犬の方が重要だ。俺の数少ない収入源となる。
そして、その後も数々の人に聞いたが、俺が情報を得ることは出来なかった。
どうやら俺が見たところや俺が聞いた人達は誰一人としてその犬を見ることは出来なかったらしい。
そんなこんなで落胆しながらも捜索していると、携帯に着信が入った。
『もしもし、輝山くん』
「あぁ、輝山だ。俺の方は全くと言っていいほどに収穫がないがそっちの方はどうだ?」
『うん。どうやら私たちの探している犬っぽい犬を見かけた人がいるんだって。今からその場所に行ってみましょう」
どうやら宇佐見たちの方は有力な情報を得ることが出来たらしい。俺が本当の相談屋なのに不甲斐ないばかりである。
とりあえず、俺たちは待ち合わせ場所を指定して集合してからそのポイントに向かうことにした。
というわけで一旦集まる。
「悪いな。俺の方は全くと言っていいほど収穫がなかった」
「大丈夫よ。こっちが情報を手に入れることが出来たんだし」
「そうよ。これは私たちがやりたいと言って着いてきているんだから輝山くんのサポートをできて嬉しいわ」
そう言って貰えると俺的に心が楽になる。
ということで、集まった俺たちは情報を元にそのポイントに向かうこととなったんだが――
「本当にここであっているのか?」
「た、多分」
「えぇ、間違いないはずよ」
だが、そんなことを言ったって……。
俺たちが情報を元にやってきたのはとても怪しい屋敷だった。
もうボロボロになっており、廃墟と化している。今にも何か出そうな雰囲気で、怖いのが大丈夫な俺でも少し恐怖を覚えてしまうほどだ。
「本当に行くのかよ」
「えぇ……だって、犬が待っているかもしれないし、飼い主さんが可愛そう」
本当にこういう所は宇佐見らしいな。
俺は帽子を直して屋敷を真っ直ぐと見る。
「やれやれだぜ……」
小さく呟いてから宇佐見たちへ向き直る。
「早く見つけて帰るぞ」
『おーっ!』
はい!第45話終了
なんかやばい雰囲気になってきましたね。果たして一輝達は犬を見つけ出すことは出来るのでしょうか。
それでは!
さようなら