東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 犬探しの依頼を引き受けた相談屋一行。

 しかし、一輝はいくら探しても犬の情報を得ることすら出来ず、路地裏では犬よりもチンピラの方を見つけてしまう始末。

 すると、蓮子たちが犬の情報を手に入れたということで、その場所に行ってみると、そこは――

 古びれて廃れてしまった屋敷だった。如何にも何か出そうな屋敷だが、本当にこんな所に犬が来たのだろうか。

 少し疑いが出るがそれでもいる可能性があるので、探してみようと屋敷内に侵入したのだった。



 それではどうぞ!


第46話 ガッカリだ

side一輝

 

 俺たちは屋敷内に侵入した。

 もう使われなくなってかなりの年月が経つのだろう。建物の老朽化が始まっており、床がミシミシと音を立てる。

 もしかしたら床が抜けるのではないかと不安になってしまうような床なので、そんなことがないように慎重に進んでいく。

 

 しかし、ここは日当たりが悪いせいで建物内は真っ暗だ。

 太陽は現在南の方にあるのだが、窓は全部北を向いてるせいで全然、日が当たらない。

 

 仕方ないので、俺はカバンの中から相談屋解決アイテムである懐中電灯を取り出した。

 しかし、この懐中電灯の電池は最近取り換えていなかったので付くには付くのだが、中々に電池切れが早そうだ。早く犬を見つけないと危険だ。

 こんな足元の悪い中、よく見えない状況というのは良くない。

 

「へぇ、輝山君。懐中電灯なんて携帯しているんだ」

「相談屋をやっていたら夜の仕事とかもあるから結構必要になってくるんだよ」

 

 ストーカーの見張りだったり、時々学園側から警備を任される。しかし、それを生徒である俺に頼むのは如何なものなのだろうか。

 だが、それも立派な依頼なので、断ったりなんかしたらどんな罰が下るかは目に見えている。そのため、いつも眠い目を擦りながらも警備員に扮して警備をしている。

 ちなみに依頼に関しては真面目にやっているので、そこら辺は評価されてのことなのだろう。それでないと、警備なんて部外者に任せることが出来るはずがない。

 

 ライトをつけてみる。そしたら足下がよく見えるようになったが、やはりというかなんというか、床の気が腐っていた。いつ崩れ落ちてもおかしくない状況。

 俺はこれを見たところでどうとも思わないが、二人はどうかと見てみると――心配はなかったようだ。

 

 さすが秘封倶楽部の二人だ。なかなか肝が座っている様子で、この足下を見ても全く怖気付いていないようだ。

 まぁ、少しは恐怖心を持っていた方がいいが、これくらいの方が俺としてもやりやすい。変に怖気付いてもらっていても、言い方はあれだが正直言って足でまといになるだけだ。

 そう考えたら、これは俺としても都合がいい。

 

 とりあえず俺たちは近くの部屋を見てみることにした。

 廊下の方には窓があって少しは外の灯りが入ってきているが、部屋の中には窓が一つもなく、窮屈感がある。そのため、完全に真っ暗だ。

 なので、懐中電灯で照らしながら慎重に進んでいく。

 

 色々な家具やらがあるようだが、よく見えないな。

 しかし、空き家だったのに、よく今までこれだけ部屋が綺麗に保たれていたものだ。

 劣化などでぐちゃぐちゃになっていてもおかしくないはずだ。それは廊下の劣化を見たら一目瞭然だ。

 

「輝山君、ここに何かある」

「あ? なんだそれ」

 

 暗くてよく見えない。

 何かを確かめるために懐中電灯を向けてみると、そこにはバールのようなものが置いてあった。

 赤と青のバールのようだが、塗装が禿げてきてただの青いバールとなってきていた。

 

 しかし、ここに来て物騒なものが出てきたな。

 こんな所でバールなんて使うのだろうか。だが、一応持っておいて損はない。

 俺はバールをポケットの中にしまう。緊急脱出をする時なんかにはこれで窓を叩き割って外に出るとしよう。

 

 後はめぼしいものはこの部屋にはない。

 

 この部屋をあとにしようとして振り返ったその瞬間だった。

 ガチャ。なんと、扉に鍵をかけられたのだ。

 しかし、この屋敷には俺たちしかこの鍵を操作できる生物はいないはずだ。それに、この鍵は両側で鍵が必要なタイプ。そう簡単に開け閉め出来るはずがない。

 これがホラー映画とかならよくある展開なんだけどな。

 

 先程から足音が微かに聞こえていた。忍び足をしているようだったが、俺の聴力を舐めないで欲しい。

 そして、動物の足音って感じでも無かった。つまり、そこには誰か、人間がいるのだ。

 

 そして、こんなことをするということは俺たちを意図してこの中に閉じ込めたということだ。

 この状況から考えるに、答えは一つしかない。

 

「ねぇねぇメリー。お化けでも出たのかしら。ワクワクするわね!」

((なんでそういう結論になるんだ……))

 

 約一名、能天気な人がいるようだが、メリーは気がついているようで、目配せをした。

 まぁ、結論から言ってしまうと俺たちは嵌められてしまったということだ。

 

 そして、この状況から察するにこれは――

 

「はっ、こんな所にまんまとやってくるとは思わなかったぜ」

 

 声が聞こえた。その方向を見てみると、なにやら物陰から人が出てきた様子だった。

 俺はその方向に懐中電灯を向けると、そこにはとても柄の悪そうな男が立っていた。それも一人じゃない、少なくとも八人はいる様子だ。

 さすがにこの人数は俺も相手にするには分が悪い。

 

 しかし、扉は鍵を閉められてしまったんだよな。

 

「お前らは騙されたんだよ」

「え、騙された……?」

「そうだ。ここには犬はいない。そもそも迷子の犬なんて居ないんだよ」

『がはははは』

 

 つまり、俺たちは最初から騙されてしまっていたらしい。

 そして、宇佐見が掴んだと思っていたあの情報、確かに怪しいと思っていたが、やはり嘘の情報だったようだ。

 でもって、やはりこんなことをした原因というのには俺が関わってくるんだろうな。相談屋というのは色んな人から恨みを買うので、今回だけじゃなく、何度もこんな風に偽の依頼を持ちかけてきた人が居た。

 

 そういう場合、こいつらからの収入はないからな……。ガッカリだ。漸く久々の依頼がきたと重ていたのに……。

 

「ガッカリだ」

「あ?」

「お前ら、この状況がまだわかっていないのか?」

 

 もちろん分かっているつもりだ。なにせ、扉の鍵を閉められてしまっていて、背後に下がることが出来ない絶望的な状況。

 しかし、今の俺には正義の味方が居た。

 

「こーれなんだ」

 

 そうして取りだしたのは先程手に入れたバールだった。これがあれば鍵をかけられた扉をぶち壊すことだって出来る。

 

「っ!? 今すぐ扉を押えろっ!」

 

 一人の男の指示でどうやら扉を抑え始めた様子の外にいる人たち。

 だが、そんな所にいたら危ないぜ。

 

 なにせ、俺は――

 

扉を破壊(・・・・)するからなっ!」

 

 普通なら鍵の方を破壊しようと考えるだろう。だが、俺は違う。もっと脳筋な考え方だ。

 扉を押えられていて、鍵をぶっ壊しても開けることが出来ないならば、扉をぶっ壊せば良い!

 

 バゴーンっ!

 

 俺がバールを振り下ろした瞬間、ものすごい轟音が鳴り響き、俺たちの進路が開通された。

 

「嘘だろ?」

 

 扉は確かに鍵よりも破壊しにくい。だが、できない訳では無い。

 

 俺は周囲を確認すると二人の手を取った。そしてそのまま廊下の窓をバールで叩き割り、そこから逃走する。

 これは依頼に関係ない暴力だ。ここで手を出したら完全に黒となってしまう。そういう理不尽な職業だからな。俺は逃げることにする。




 はい!第46話終了

 実は全て嘘だったという事実。

 怖いですね。

 それでは!

 さようなら

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