東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決します〜 作:ミズヤ
それでは前回のあらすじ
「んで宇佐見、依頼内容の手伝いってなんだ?」
「宝探しよ」
「……寝るわ」
それではどうぞ!
side一輝
「ちょっと! なんでまた寝始めようとしてるの!?」
「……依頼内容を聞いてちょっとやる気が失せたというか。バカバカしすぎるだろ。何が宝探しだよ」
んな子供っぽいことは勝手にやってろって話だ。そんな事相談屋に持ってくるな。相談屋は何でも屋って訳じゃないんだぞ!?
「……退学」
その不穏な言葉を聞いて俺は肩を震わせる。
寝ようと帽子の鍔を掴んで下げようとしていた手が止まる。
「お前、暫く見ない間にいい性格になったな」
「褒めてくれてありがとう」
「いや、褒めてないんだが……」
色んな意味でこいついい性格になったな。まさか人を脅してくるとは思わなかった。
そう。これに関しては俺には拒否権などは一切存在しないのだ。
「はぁ……。今回だけだぞ?」
「ありがとうごさいます!」
満面の笑みだ。殴り飛ばしたい、この笑顔。
そんな感じで話していると部室の扉が開いた。
「蓮子ぉ……置いていかないでよ」
あの子は以前俺が依頼を聞いた……。
えっと確か……。
「メリーだっけ?」
「はい。お久しぶりです」
そうか。メリーも宇佐見と同じオカルトサークルのメンバーなのか。
「んで、宝探し……ねぇ。どういう事をやるかってのは目星が付いてるのか?」
「ええ、とりあえず裏山の洞窟に潜ろうかと」
「危ない。却下だ」
あの洞窟は危険だ。却下せざるを得ない。
俺は断る権利が無いだけで意見を却下する権利はある。まさかそれをここで行使することになるとは思わなかったがな。
「む〜。で、でもでも! 一輝君が守ってくれるじゃない?」
「確かに護衛はするが、俺は弱いぞ?」
「え? でもこの前、不良を──」
「あれは少し脅しただけだ。実力じゃない」
間髪入れずに俺は言った。
宇佐見等にはあの時、俺が何を言ったかは聞こえてなかったはずなので適当に弱くても出来そうな脅したと言う理由をつけた。
これなら弱い俺でも勝てておかしくないだろう。
「例えばどういう風に?」
「そうだな。このまま悪事を続けるなら親しい人がどんどんと姿をくらますぞとちょっと脅しただけだ」
こう言う時は適当になる俺の悪い癖だ。
もっと宇佐見に納得させられるような内容はあったはずなのに適当な理由をつけた。
これはバレたか? 俺がヒヤヒヤしていると、
「む〜分かったよ」
通じちゃったよ。
宇佐見は昔からどこか抜けている。だから心配なんだよ。
「む〜じゃあ依頼変更で」
「今度はなんだ」
「一輝君が秘封倶楽部に入る事!」
その瞬間、この場が凍りついた。
俺が……入会?
「そう言えば〜こんな規約があったよね〜」
「……おいっ!」
そんな俺のことは無視して宇佐見は中央に設置された机が四つくっつけた形の机の中央に置いてある規約書をヒョイと手に取った。
「えーっと? 相談屋規約、『其の十一。依頼された依頼は断ってはならない。』これらの規約を一つでも破ると停学もしくは退学処分。これは重要ランク10だから破った瞬間退学だね」
「ちっ。宇佐見、お前はしばらく見ない間にしたたかな女になりやがったな」
「どうもー」
ちっ。相手が悪すぎるな。さすがに規約の事を持ち出されると俺も何も言えなくなってしまう。
ちなみに『相談屋規約』とは、全五十の規約からなる規約書の事だ。この中に書かれていることを一つでも破ると相談屋は停学、もしくは退学になる。
んで、その規約にはそれぞれ重要ランクってのが振り分けられてて、1〜10までのランクがある。
1は大したことないから停学三日とかだろう。そんな短い日数停学にしてどうなるって話だが、ランク7以上の規約を違反してしまうと即退学処分が下される。
つまり、今宇佐見が言った『相談屋規約 其の十一』は重要ランク10。一発退学位では済まないかもしれないな。
「一輝君はぁ、良く授業をサボってるんでしょぉ〜? なのに今退学になって他の学校を受けるにしたって受かるのかなぁ〜?」
多分、この学校からの情報がすぐに受験先に送られて俺の印象が最低最悪で面接を受けることになるだろう。
そうなったらそれだけで落とされかねない。
宇佐見の奴め……。
「……〜った」
「ん? 聞こえないよ? ワンモアプリーズ!」
「……お前、随分変わったな」
「人間とは、常に変わる物さ」
カッコよく言っているがムカつく。非常にムカつく。
「ぐっ、……わ〜ったよ。入る、入ればいいんだろ?」
「流石一輝君! 分かってるねぇ〜」
く、殴りたいこの笑顔。
「それじゃー一輝君! これにサインを!」
そして俺は宇佐見の出した入部届けを見て顔を歪ませる。
そして俺はため息をついた後、入部届けの氏名記入欄に俺の名前、輝山 一輝を書いた。
「っ! 結構な達筆ですね」
隅の方で宇佐見が行った卑劣な行為の数々を見ないようにしていたメリーが口を開いた。
「まぁ、習字を習ってたからな」
「そう言えばそうだったね。でも一輝君は習い始める前から綺麗じゃなかった?」
「……んな事ねぇよ」
そう言って俺はペンを置いた。
「んじゃ、後は勝手にやっといてくれ。俺は寝る」
「一輝君、もう放課後だよ」
「かんけぇ………………帰るか」
「何その間は、なんか怪しい」
宇佐見が訝しげな目を向けてくる。
「なんもねぇよ」
カバンを担ぎ、欠伸をしながら廊下へ出る。
そういやもう今の家には俺以外に飛鶴が居るんだっけか。
いつもだったら玄関が閉まるギリギリ、もしくは閉まった後に帰ってたから忘れてた。
そんな時間に帰ったら飛鶴は心配するよな。
そう思って俺はこの時間に帰路を辿り始めた。
はい!第8話終了
なんか蓮子が腹黒い。
そして玄関が閉まった後に下校すると言うパワーワード。
どうやって帰ってるんですかね〜。
それでは!
さようなら