問題児と死にたがりが異世界から来るそうですよ? 作:天月照詠
「魔王?そんなのまでいるのか?」
「えぇ、といっても姿が禍々しいような存在ではなくある特別な権利を持った存在のことを大きくそう呼び、『ギフトゲーム』が支配するこの箱庭の世界、最悪の天災と称される存在です」
「特別な権利?」
「そう、簡単にいえばギフトゲームに強制参加させる力、です」
「なっ!?」
ギフトゲームとはお互いが了承して初めて成立するもののはず、それを無視できるということは……
「あなたの想像どうりですよ、ジェントルマン。現・ジン・ラッセルが持っている元ノーネームは魔王によってギフトゲームに強制参加させられ滅ぼさせたのですよ」
「そうだったのか」
「名も、旗印も、主力陣の全てを失い、残ったのは棒来な居住区画の土地だけ。もしもこの時に新たなコミュニティを結成していたなら、前コミュニティは有終の美を飾っていたんでしょうね。今や名誉も誇りも失墜した名も無きコミュニティのひとつでしかありません」
そう言いながらガルドはジンの方を見下すような目で見ている。
その目はまるで踏み潰された死ぬ寸前になったアリを見るような目。
いつでも滅ぼせそうな、どうでもいいようなものを見る目。
「そもそも考えてもみてくださいよ。名乗ることを禁じられたコミュニティに、一体どんな活動ができます? 主催者ですか? しかし名も無き組織など信用されません。ではギフトゲームの参加者ですか? まあ、それなら可能でしょう。では優秀なギフトを持つ人材が名誉も誇りも失墜させたコミュニティに集まるのでしょうか?」
「そうね……誰も加入したいとは思わないでしょう」
「そう。彼は出来もしない夢を掲げて過去の栄華に縋る恥知らずな亡霊でしかないのですよ」
「もっと言えばですね。彼はコミュニティのリーダーとは名ばかりで殆どリーダーとして活動はしてません。コミュニティの再建を掲げてはいますが、その実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」
「…………」
「私は本当に黒ウサギの彼女が不憫でなりません。ウサギと言えば『箱庭の貴族』と呼ばれるほど強力なギフトを持ち、何処のコミュニティでも破格の待遇で愛でられるはず。コミュニティにとってウサギを所持しているというのはそれだけ大きな箔がつく。なのに彼女は毎日毎日クソガキ共のために身を粉にして走り回り、僅かな路銀で弱小コミュニティをやりくりしている。そのようなコミュニティに箱庭に来て早々のあなたがたを案内するなどわたしには許せません」
ガルドはそう言いながら大きく手を広げながら……
「改めて申し上げます、私のコミュニティに来ませんか?レディース&ジェントルマン?」