問題児と死にたがりが異世界から来るそうですよ?   作:天月照詠

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第二十話「出番がなければ解説するしかないじゃないか」

俺たちが白夜叉をいじっているといつの間にか春日部の方での交渉が終わったらしく春日部はグリフォンの背中にまたがっていた。

 

「うむ、あちらも準備が出来たようじゃの。だからいい加減はなさんか黒ウサギ!」

「あっ、はい」

 

黒ウサギは素直に白夜叉を手放していたがその顔には残念の二文字が浮かんでいる。

てかどんだけ抱きたかったんだよ。

 

「それでははじめるとしよう。準備は良いな?」

 

白夜叉がそう言うと春日部たちの前に一つの門が現れた。

 

「この門をスタートのいちとするここから出ておんしがそのグリフォンに跨ったまま湖畔を一周し帰って来れたらおんしらの勝ちじゃ」

「うん」

「ではゆくぞ?よ~い……」

 

グリフォンが四肢に力を込めている。

 

「……スタートじゃ!」

 

ドン! ブゥウン!

 

白夜叉の合図とともにグリフォンが脚を踏みしめた音と巨体が風を切り裂く音が俺たちの耳を塞ぎ、そこから生まれる土煙が一瞬俺たちの視界を奪う。

 

「うぉ!?すげぇ音だな、それにもうあんなところにいるぞ」

「春日部さん、大丈夫かしら」

「さぁな、ただし、グリフォンのあのスピードからくる風と山脈から吹き降ろす風。体感温度はマイナスまで言ってるだろうな」

「それって体感でわかるのか?」

「あくまで理論上って話だマイナスの温度を体感してる奴なんて極寒の地に住んでるやつくらいだろうよ」

 

そう言ってるあいだに春日部たちの姿が消えた。

 

「あいつらどこいった?」

「山の影よ、大体今は中間地点ってところかしら」

「ならあとは温まってくるだけか?」

「あとは、あいつ次第だろ」

 

すると突然グリフォンが前半では見せなかった軌道で飛行をしだした。

 

「急に動きが変わったな」

「よく見ろ、グリフォンの目線が春日部の方に行ってる。春日部が何かやらかしたんだろうぜ」

「あら、あなたよく見えるわね」

「目は悪くねぇ方だからな」

「それより、あいつの能力はやっぱり動物と会話するだけじゃないんだろうな」

「? なぜかしら?」

「あれだけ激しく動いていれば体にかかるGは相当なものだ」

「それに加えてあのグリフォンは飛びながら加速しているのではなく飛んでる途中に空気を踏みしめて急加速を繰り返している。その時の衝撃だって相当なもんだろ」

「あぁ、普通の人間ならとっくに失神してる」

「お前ならどうなんだ? 十六夜」

「俺か? 俺なら楽勝だぜ」

「そろそろ戻ってくるわよ」

 

話に夢中になりすぎてまた春日部たちから目を離してしまった。

もう一度目を向けると、グリフォンと門までの間はあとわずか加速もあと一回。

これならクリアできたも同然だろう。

 

「だけど不味いな、あいつ意識が飛びかけてる」

「え!? が、頑張って!春日部さん!」

 

十六夜の言葉に驚いた飛鳥が春日部にそう声を上げた。

それと同時にグリフォンの最後の加速が行われた。

スタートした時よりも激しい空気を裂いた音を俺達の耳が捉えた。

そしてグリフォンは…………………再び門を越えた。

 

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