問題児と死にたがりが異世界から来るそうですよ?   作:天月照詠

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第二十五話「いくら掃除したって苔のひとつやふたつは残ってるもんだ」

俺と十六夜が黒ウサギのところに追いつくとジンを含むたくさんの子供がなにやら掃除をしていた。

 

「あっ、皆さん、お待ちしていました。水路の準備は整っています」

 

となると、今ジンたちが掃除している場所こそが貯水所、ということか。

所々にヒビが入り、苔が残っているがそれはむしろ水が前にはあったということだ。

 

「前にはここにもちゃんと水があったんだな」

「はい、前まではこの設置所に水龍の眼を加工したものがあったのですが、それも魔王によって失ってしまいました」

 

キラン

ん?今なんか十六夜の目が光ったような……。

 

「おい、黒ウサギ。その水龍の眼、一体どこで手に入るんだ?」

「今はどこにあるかは分かりません。というか、わかっても十六夜さんにだけは言いません!」

「んじゃ、俺に教えてくれ。十六夜に告げ口するから」

「そんなことを聞いて教えるわけ無いでしょう!」

 

ハァハァと肩で息をする黒ウサギに俺と十六夜は肩に手を置くと……

 

「ストレスでも溜まってんの?大変だな」

「何ハァハァ言ってんだ?ウサギはやっぱり万年発情期なのか?」

 

俺たちの言葉に黒ウサギは肩を震わせると。

 

「誰の……誰のせいだと思ってやがりますかー!」

 

髪を真っ赤にして怒り出した。

 

「まぁまぁ」

「ドゥドゥ」

「黒ウサギは馬ではありません!」

 

黒ウサギははぁ、っとため息をつくと髪が元の色に戻る。

 

「それでは水樹の苗の紐を解きますので、十六夜さん、士人さんは両端にある水路から屋敷絵とつながるもんを開けてきてください」

「あいよ」

「了解」

 

そう言うと俺たちはそれぞれ両端にある水門へと移動。

にしてもなんか嫌な予感がするな。

 

「よっと」

「おら!」

「それでは紐を解きますよ~」

 

黒ウサギの言葉を聞きながらどんなふうに水が出るのか見ていると…………大量の水が俺たちの方へと押し寄せてきていた。

 

「ちょ、少しはマテやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくねえぞオイ!」

 

十六夜は石垣に登ってなんを逃れようとしたが、足をかけた場所にコケがあったせいで足を滑らせる。

 

「マジか!?」

 

そしてそのまま水に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

一方、女性陣は……

 

「あら、十六夜くんが水に飲まれちゃったわね」

「これで少しは頭を冷やしてください」

 

周りで水樹の水に喜んでいる子供達を傍目に飲まれた十六夜を見ていた。

 

「楽しそう……」

「どこがよ、それとも春日部さんも水に飲まれたいの?」

「違う、あれ」

 

春日部が指を刺した方を―――――――――士人がいる方向を見るとそこには水に飲まれた士人の姿はなく、なぜか木材の上に立ってサーフィンをしている士人の姿があった。

 

 

 

 

 

 

「ひゃっほう!」

 

久しぶりにやったが楽しいもんだな。

水樹を開く前に嫌な予感をした俺は大きめの木材の板をあらかじめ取っておいた。

すると予想通り、すごい勢いで水が襲ってきたから、板をしたに引いてサーフィンを開始してみた。

なんか向こうで大量の子供が目を光らせてるんだが……。

そんなこんなで飽きてきたんで波に乗りながら黒ウサギのところに到着。

ん?高低差はどうしたのか?

近くまで行ったら板を踏み台にして上がったんだよ。

 

「ただいま」

「おかえり」

「おかえりなさい」

「よく戻って来れましたね士人さん。ていうかよく板なんて用意してましたね」

「念のためな、それと黒ウサギ」

「はい?」

「何も聞かずに黙って後ろに5歩下がるんだ」

「? はぁ」

 

俺の指示に従って下がる黒ウサギに苦笑いする飛鳥、春日部、ジン。

次に起こりうることを予想したのか顔を少し青くした子供。

 

ドンッ「ん?誰かにあたってしまいましたよ?士人さん」

「そうか、ならそのまま顔を上に向けろ」

「上? 上に何があるというんで……」

 

黒ウサギが顔を上に向けると……

 

「よぉ……黒ウサギ」ピクピク

 

青筋を立ててびしょ濡れになっている十六夜がいた。

 

「い、い、十六夜さん? いつの間に戻ってたんですか?」

「士人が指示を出すときになぁ、にしてもなかなか愉快なことをしてくれるじゃねぇか」

「いや~、え~と、その~」

「お前も一回水に飲まれたこい!」ダッ!

「嫌です!」ダッ!

 

黒ウサギと十六夜はそのまま走り去っていってしまった。

 

「まだ、みなさんのことを紹介していなかったのですが……」

「まぁ、二人が戻ってからでいいんじゃないかしら」

「うん」

「まぁ、どうせすぐ帰ってくるだろ」

「それもそうですね」

 

そんな風に話す俺達を尻目にわきゃー!という声と共に水柱がたったのはいい思い出だ。

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