ランス再び   作:メケネコ

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戦争の結末

「皆の者! 聞け!」

 一人の男が用意されている高台の上で叫ぶ。

 その周りにはその男の親衛隊らしき兵隊が剣を構えて立っている。

 男の手には剣が握られ、その剣は一人の男の首筋に当てられている。

 首に剣を当てられているのは、この国の国王であり、この高台を囲んでいる民達を治める男であった。

 が、今の王はその豪華な衣装を剥ぎ取られ、その体には痛々しい傷が複数浮かんでいる。

 その隣には、手枷と首枷を嵌められたこの国の王女、シャロンが別の男に頭を掴まれ無理矢理立たされていた。

 彼女もその何時もの服を剥ぎ取られ、その体にはぼろきれが一枚かかっているだけだ。

 この国において彼女はまさに象徴ともいえる存在だった。

 その美しさは全国民にとっての羨望と憧れの的であり、全ての国民が彼女のためにと尽くしてきた。

 しかし、今の彼女に向けられた視線は憎悪と侮蔑、その目が何より彼女を苦しめていた。

「この女が居たからこそ諸君らは傷つけられた!」

「そうだ! こいつのせいだ!」

「私の息子を返して!」

「この魔女め!」

 高台にいる男の声に合わせて、民衆がシャロンに罵声を浴びせる。

 その様子に男は満足気に笑みを浮かべる。

「随分と大がかりなヤラセね」

 ランスとレダにしか聞こえないような小さな声でスラルが二人に話しかける。

 無論この騒ぎをランス達も見物していた。

 リバウドを始めとした盗賊団達は既にこの場を撤収している。

 その際に、食料を始めとした色々な金目の物を持ち帰っているのをランス達は確認している。

 ここからの事は、ランスとレダ、スラルに大まおーだけの方が都合がいい。

「ヤラセだと?」

「そう。全ての責任を王と彼女に押し付けてるのよ。あの今叫んでいたのもヤラセ。そしてその声に合わせるように、人は全ての怒りを彼女達にぶつける」

 スラルの言葉を肯定するかのように、これまでシャロンを崇めていた国民達が一斉に彼女に罵声を浴びせる。

 その怒りの声は凄まじく、実際に家族を失った人間も多数おり、そのやり場のない怒りを彼女にぶつけているのだ。

 そしてその声は、シャロンの目から光を奪っていった。

 シャロンの心は既に限界に近づきつつあった。

 母親が、兄妹が自分達を守るはずだった兵士達に殺された。

 自分が信頼していた兵士達の目…まさに獣の目というのに相応しい目だった。

 犯されて殺されてしまうのだと思ったが、今思えばあの時に母や兄妹達と一緒に殺された方がマシだったのかもしれない。

「上手い手と言えば上手い手よね。占領政策のために住民の怒りの矛先をその王族に向けさせる。シャロン姫が居たから戦争が起きた…そう意識をすり替えようとしているのよ」

「ふーん」

 ランスは興味なさげに相槌を打つ。

 実際にその手の行動にランスは興味は無い。

 JAPANの時も影の当主として好き勝手振る舞い、その後の占領政策は香姫は3Gに全て丸投げをしていた。

 ランスがやった事といえば、その国の姫や女性を無理矢理犯すなど、ある意味憎しみを集めかねない事をしていた。

 だから、このような魔女狩りの場等作る事は無いし、もしランスがこの国を攻め落としたとしても、シャロンがランスに犯されて無理矢理女にされるくらいで済んだだろう。

「じゃあこの後どうなるの?」

 レダがスラルに聞く。

 エンジェルナイトであるレダには、戦争の後の事には然程興味が無い。

 彼女達が動くときは、全てを滅ぼす時だ。

「恐らく王は殺され、シャロン姫は…この国の民の性欲処理に使われて殺される…そんな所ね」

「何だと?」

 スラルとて魔王としてこの世界に君臨してきた存在だ。

 人間同士の争いも知っているし、その結果どのような事が行われて来たかは知識として知っている。

 そう、これは何でも無い、人間同士のありふれた戦争の一幕に過ぎないのだ。

 そしてスラルの言葉を肯定するかのように、王の首が落とされる。

「お父様!」

 それにはシャロンも悲痛な声を上げるが、それを見ていた一部の民──―サクラが歓声を上げる。

 そしてそのサクラに流されるかのように、他の民衆からも小さな歓声が上がり、それがどんどん大きくなっていく。

 まるで暴君が誅殺されたかのような熱狂に、シャロンの心は悲鳴を上げる。

「悪は滅んだ! そして新たな秩序が始まるのだ!」

 その声に歓声があがる。

 全てはスラルの想像通りに運んでいた。

「そして! この女こそ全ての元凶だ! よって! 諸君らにこの女の処断を任せたい!」

 男はそう言ってシャロンの頭を掴むと、その高台から地面へと放り投げる。

 そしてシャロンを見る民衆の目は何処までも冷たい。

 シャロンの目からはとめどなく涙が溢れていた。

 それを見て一人の女性が苦々しい顔を浮かべていた。

(いつ見ても酷いものだな…戦争というものは)

 その女性は目深にフードを被っており、その表情を伺う事は出来ない。

 しかし、彼女には確かにシャロンに対する同情が浮かんでいた。

 もしそのフードの中を覗けば、その人の物とは思えぬ美しさと、その額のクリスタルが見えただろう。

 その女性こそ、魔人ケッセルリンク…ランスによって運命を変えられた女性の一人であった。

(スラル様…あなたなら、この状況をどうするのでしょうか)

 スラル同様に、己の運命が決められてしまっていた女性…ケッセルリンクにはスラルを救う事は出来なかった。

(そしてランス…お前ならばどうする?)

 自分に多大な影響を及ぼした人間、そして自分には出来なかった魔王スラルを救うという偉業を成し遂げた男。

 そして、ケッセルリンクにとっても特別な人間。

(ランスなら…ここにいる全ての人間を吹き飛ばしてでも、彼女を救うのだろうな)

 だからこそ、ケッセルリンクもそうする事に決めていた。

 これ以上、あの少女が不幸な目にあうのを見過ごす事が出来なかった。

 ケッセルリンクが動こうとした時、

「待て──ーい!」

 そこの民衆の怒声と罵声はその一声で止まる。

「邪魔だ!」

「ぎゃああああ!」

 ランスキックが炸裂し、民衆はドミノ状に倒れていく。

「ランス、やり過ぎ」

「フン、こんなクズ共がどうなろうが知った事か」

 ランスは倒れている人間を踏みつけながらシャロンへ向かって歩いていく。

 レダもやり過ぎと言いながらも、ランスと同じ様にシャロンへ向かって歩き始めた。

「好きにしろというなら貰っていくぞ」

 ランスはシャロンを立たせると、その手枷と首枷をあっさりと剣で外すと、呆然とした顔で自分を見ている彼女の顔を乱暴に拭く。

「まったく、こんな美女を殺そうなどとけしからん奴らだ」

 未だに涙を流し続けているシャロンをレダに預ける。

 レダは持っていたハンカチでシャロンの涙を拭くが、それでも後から後から彼女の涙は止まらない。

「…何だ貴様は」

「男に名乗る名前は無いわ」

 高台にいる男の言葉をランスはあっさりと斬り捨てる。

 自分にまるで興味が無いと言わんばかりの態度に、男の唇が歪む。

 その様子を見て、その場に居合わせている兵士達がランス達を取り囲むが、ランスとレダの表情は変わらない。

「貴様もこの国の民だろう? この女のせいで戦争は起きた。ならばその女は裁かれねばならない」

「何勝手な事言ってるのよ。そういう風にコントロールしてるだけでしょ」

 女性の声が響くが、目の前にいる2人…金髪の女性と、シャロン姫が発した声ではないのは分かる。

 ならば民衆からかとも思うが、声は間違いなくランス達の方から聞こえてきてた。

「シャロン姫の事は民衆に託した。ならば君もその声に従うべきだろう」

「そうだ!」

「シャロンは魔女だ! 殺せ!」

 男の声に続くように民からは罵声が響くが、ランスはその言葉には全く興味を示さない。

「アホか。こんな美人を殺すような馬鹿共の方が必要ないわ。大体こいつらもシャロンちゃんを崇めながら、いざ負けたらシャロンちゃんが悪いなど、何を頭の悪い事をいっている」

「…何だと」

「よく聞け、貴様らがこうなったのは貴様らが弱いからだ。それをシャロンちゃんに押し付けているだけの雑魚共が吠えるな」

 ランスの言葉が辺りに響き渡る。

 その言葉にヒートアップしていた民衆が一斉に口ごもる。

 中にはそれでも口汚くシャロンを罵る者もいるが、ランスはそれには全く反応しない。

「おいお前、いい気になるのも大概に…」

「うるさい」

 ザク──ーッ!!

「うぎゃ────!!」

 ランスに近寄ってきた兵士があっさりと斬り殺される。

 その様子にシャロンは身をすくめるが、目の前にいる金髪の女性が自分を力強く、そして温かく抱きしめてくれているのを知り、不思議と安堵の気持ちを覚えてしまう。

「貴様!」

 兵士達が一斉に剣を抜こうとする前に、ランスは既に動いていた。

「邪魔だ!」

 その剣は常人には見切る事が出来ない程の速度で兵士達を切裂く。

 それだけで兵士達の首が飛び、腰から両断されその屍をさらす。

 まさに一瞬の出来事、誰もが唖然とした目でその早業を見ていた。

「…ほ、ほう。貴様、中々の腕ではないか。どうが、その腕を我が国のために…」

「やかましい。スラルちゃん、やっていいぞ」

「了解。スノーレーザー」

 男の声を遮るようにランスがスラルに声をかけると、スラルは予め詠唱を終えていた魔法を放つ。

 その一撃で高台にいた男の体が凍りつき、そして一瞬でその体が砕ける。

「王子!」

「貴様、よくも王子を!」

 周囲に居た兵士達が一斉に剣と、そして槍を構える。

「フン、数だけの雑魚共が。俺様に勝てると思っているのか」

 ランスが剣と構えるだけで、兵士達は一歩引き下がる。

 それも当然、本来これは勝ち戦の後の処理の場所のはずだった。

 それが一人の男が兵士達を斬り殺し、王子もまた魔法にて氷漬けになって死んだ。

 誰も勝ち戦で死にたくは無い、それが全員の思った事だった。

「王子の敵だ! 敵を取れば褒美も思いのままだぞ!」

 誰かが発したその言葉に兵士達の目が光る。

 確かに王子は死んだが、それによって逆に新たな褒美を得る機会が回ってきた。

 兵士達はランス達を取り囲む。

 絶体絶命…シャロンはこの状況に体を震わせていた。

「あ、あの…私の事はいいです。お二人は何も関係ありません。ですから…」

「もう遅いわよ。それにランスが目的の物も得られずに逃げるわけないし。それに…これくらい、何とも無いわよ」

 レダの言葉にシャロンは目を丸くする。

「安心しなさい。何も考えてない訳無いじゃない。ほら」

 レダが上空に目を向けると、それにつられてシャロンも宙を見上げる。

「まーおー!!」

 すると奇妙なピンクの物体が空から降ってくる。

「え? ぎゃあああああああ!」

 ピンクの物体──―大まおーが鎌を構えて空から降ってきたのだ。

 そして哀れにもその鎌に引き裂かれた兵士が、真っ二つになって崩れ落ちる。

「まーおー!」

 そして大まおーが口から炎を放つと、その炎の直線状にいた人間があっさりと燃え尽きる。

「行くぞ!」

「了解!」

「じゃあ行きましょ。業火炎破!」

 ランスの言葉を合図に、スラルが魔法を放つ。

「ぎゃああああ!!」

 その炎は兵士達を包み込み、一瞬で消し炭へと変える。

 その混乱の中、ランス達は大まおーが焼き尽くした炎の跡を走り出す。

 大まおーが焼き尽くした先には、脱出経路が用意してある。

 リバウド達が用意したものであり、それは事前にランス達に伝えられていた。

「に、逃がすな! 殺せ!」

 混乱から回復した兵士達はランスを追うが、元々戦士として凄まじい実力を持っているランスに、エンジェルナイトであるレダには全く追いつけない。

 スラルは魔法を放つと同時にランスの剣の中に戻っており、大まおーもランスのマントに掴まっており、到底追いつく事は出来ない。

 それに加え、

「な、なんだ!? この闇は! ぎゃあああああ!」

 後方で何かが起きたらしく、追っ手の足が止まる。

 その隙にランス達は崩れた塀から外に脱出すると、そのまま一目散に走り出す。

 そして闇に紛れて完全に追っ手から逃れる事に成功する。

「がはははは! 俺様にかかればこんなものだ!」

「いやー、本当に上手くいくものね。行き当たりばったりだと思っていたのに」

 ランス達は予め待機場所として決めていた空き地に腰を下ろす。

 ここもリバウド達が用意していた脱出経路の一つであり、ランスはスラルの指示に従って闇夜の中をここまで走ってきたのだ。

「何だかんだ言って、目的の物を全て手に入れて脱出したんだ。やはりランスは凄いな」

 スラルは剣から姿を現すと、腕を組みながら感心するように頷く。

 全てがランスの思い通りに事が運んでいたからだ。

 それだけの実力があるのは分かってはいたが、やはりそれ以上にランスの強運が凄まじい。

「で、シャロンちゃん。大丈夫か」

「は…はい」

 シャロンは目をぱちくりさせていた。

「うむうむ、やはりかなりの美人ではないか!」

「え…その…」

 ランスの無遠慮な視線に、シャロンは今の自分の状況を思い出し、レダの後ろに隠れる。

「ほらほら、ランス。女性に対してそんな視線を向けない」

 レダはランスのマントを無理矢理剥ぎ取ると、それをシャロンにかける。

「そうだぞ、ランス。お前はもう少し女性の扱いには気をつけたほうがいい。まあ今更かもしれないがな」

「あん?」

 その声は突如として聞こえてきた。

 ここにいる女性の声では無い…だが、ランスにはこの声には聴き覚えがあった。

「ケッセルリンクか?」

「久しぶりだな、ランス」

 闇が集まったかと思うと、そこには一人の女性が立っていた。

 長身の美しい女性…それを見てシャロンは思わず「綺麗…」と漏らしていた。

「1年ぶりだな。随分と無茶をしているな」

 ケッセルリンクは笑いながらランスに近づくと、親しげにその顔を撫でる。

「久しぶり、ケッセルリンク」

「本当にね」

 スラルが剣から姿を現すと、

「スラル様。お久しぶりです」

 これまでと同じように、臣下の礼をする。

「やめてよ、ケッセルリンク。私はもう魔王でも何でも無いわ。この世界にいる幽霊よ」

「私にとってはスラル様が主です」

「もう…」

 今でも自分にそのような態度を取るケッセルリンクにスラルも苦笑する。

「大丈夫かね?」

 ケッセルリンクは立ち上がると、シャロンの頭を撫でる。

「え…は、はい…」

 そのケッセルリンクに対し、シャロンは思わず頬を染める。

 それだけの魅力と色気がケッセルリンクにはあった。

「そうか、ならば良い」

 ケッセルリンクは本当に嬉しそうに笑い、切り株の一つに腰を下ろす。

「お前も来とったのか」

「ああ、偶然にもな。再び会うのはいつになるかと思っていたが、まさか1年足らずで再会する事になるとはな。だが、私にとっては嬉しい誤算だな。尤も、カミーラは私に文句を言いそうだがな」

「カミーラはまだランスの事諦めてない訳?」

 レダの言葉にケッセルリンクは笑みを浮かべる。

「ああ、今は新たな魔王の下で動く事は出来ないがな。幸いにも私は魔王からは何の命令も受けていない。だからこそこうして動く事が出来るのだがな」

「ま…おう?」

 ランス達の言葉にシャロンは目をぱちくりさせる。

「ああ…私は魔人だ。魔人ケッセルリンク、それが私だ」

「魔人…」

 その言葉にシャロンは思わず言葉に詰まる。

 額のクリスタルから、カラーだと思っていたのだがまさか魔人だとは考えていもいなかった。

「怖がらなくてもいい…と言っても無理だろうな」

「いえ…私達を助けて下さったのでしょう。それなのに申し訳ありません」

 ケッセルリンクの予想に反して、シャロンが頭を下げた事に彼女は驚いた表情をするが、すぐにその驚きを笑みに変える。

「それと…ランス様とおっしゃるのですか? 助けていただきありがとうございます」

「がはははは! 美女を助けるのはいい男の役目だ」

(…助けてセックスするのが目的なのは言わない方がいいわね)

(絶対言わない方がいい。彼女のためにもね)

 レダとスラルはランスを見るシャロンの目を見てため息をつく。

 この戦争は別にランスが起こしたものではないが、最初からシャロンを手に入れるための行動なのだ。

「まあそれはともかく、手に入れたアレを使ってみるか。レダ」

「はいはい、これよね」

 レダが懐から取り出したのは、掌サイズの家の模型だった。

「それは…」

 シャロンがそれを見て声を上げる。

 その模型こそ、彼女の国の一番の宝と言われているアイテムだった。

「早く使って見せてよ。私も凄い興味ある」

「うむ、では使うか」

 ランスがその模型を地に下ろすと、その模型がどんどんと大きくなっていく。

「わあ…」

「ふむ…」

「これは…」

 スラルとケッセルリンクとシャロンの声が重なる。

 模型サイズの家が、どんどんと大きくなっていき、そのうちに人の住める程の大きさになる。

 なるのだが…

「うーむ…思ったより大きいな」

「そうね。ちょっと予想よりも遥かに大きいわね」

 ランスが持っていた魔法ハウスも、ゼスでの大移動に際にはアイスフレームの孤児達を住まわせるために、そこそこ大きな物だったがこの魔法ハウスはそれよりも一回りは大きい。

「とりあえず入ってみるか」

「あ、私も見てみたい」

 ランスが扉を開けると、そこにはランスが想像していたのとは違った光景があった。

「へぇ…中は本当に普通の家と変わらないのね」

「これは…確かに宝と言われても納得がいくな。これほどのものがあるとはな」

「中はこのような感じなのですね…」

 スラルとケッセルリンクとシャロンは感心しているが、ランスとレダは大きく肩を落とす。

「うーむ…家具の類が何も無いではないか」

「そうね…本当に新しい家って感じよね」

 そこはまるで新居のように何も無い空間だった。

 一通り回ってみて、前の魔法ハウスと同じ様にキッチンや風呂の類は確認できた。

 ただし家具の類が一切無く、申し訳程度に簡素なベッドが3台おいてあるだけだ。

「まあ自分なりにコーディネイト出来ると考えればいいんじゃない?」

「面倒くさいが仕方ないな。しかし無駄に広いぞ…」

 これまでの魔法ハウスの手入れは全てメイドのビスケッタに任せていたし、ヘルマン革命の時にはシーラに全てやらせていた。

 シィルが氷から解放されてからは、冒険の時にはシィルに任せていた。

「ランス、これが魔法ハウスなのだな。私もこのようなアイテムがあるとは思わなかった。これは凄いな」

 スラルが目を輝かせながらランスの隣に立つ。

 知識欲が旺盛な彼女には、魔法ハウスは非常に興味をそそられた。

「しかしランス達の話以上に大きいな…これでは維持するのも大変だぞ」

 こういった家は綺麗にしないと直ぐに傷んでしまう。

 流石にこれほどの大きさがあると、綺麗にするのにも時間がかかるだろうし、何よりも一人では少々手間がかかるだろう。

 ランスは自分の趣味である貝以外には掃除もしないし、レダも必要なかったためか、そういった事には不慣れだ。

 スラルは幽霊なので物に触れる事が出来ない等と、少々問題も発生してしまった。

「まーおー!」

 何時の間にか合流していた大まおーもスラルの言葉を肯定するかのように声を出す。

「うむ、ならば次の目標は決まったな! この家を管理できる優秀な奴を見つけるのだ!」

「結局人任せなんだ…まあ無理は無いけど」

 レダもそう言いつつも、ランスの言葉には賛成だ。

 こういう事は出来る奴にやらせるのが一番いい。

「一先ず休まない? 幸いにもベッドがある訳だし」

 その一言で本日は解散となった。

 

 

「で、早速私の所に来た訳か」

「うむ、ケッセルリンクとやるのは1年ぶりだからな」

 ベッドは幸いにも一部屋に一つずつ有り、ランスに一つ、ケッセルリンクに一つ、そして今日はシャロンをレダが見ている事に決まった。

 ランスは早速ケッセルリンクを抱くべく彼女の部屋を訪れていた。

「お前も拒否はしないではないか」

「まあ…そうだな」

 ケッセルリンクは決して抵抗らしい抵抗はしない。

 ランスに体に触れられるだけで、その部分がどんどん熱を持って反応してくる。

 そしてそのランスの手がケッセルリンクを一糸纏わぬ姿へと変える。

「俺様からすれば信じられんが、80年もたっていたのだろう。まさか他の男のモノになってるなど無いだろうな」

「…私は魔人だぞ。確かにそのような目で見られることはあるが、まあそんな勇気のある奴などいないがな」

 ケッセルリンクは笑うと、そのままランスをベッドへと引き込み、唇を重ねる。

「今のところ私を好きに出来ているのはお前だけだ。私を繋ぎ止めておきたいのであれば、もっと強くなることだな。今の私はお前よりも強いぞ」

「がはははは! いくら俺様よりも強くなろうが、お前が俺様の女であることは変わらない。だから俺様だけがお前を好きに出来るのだ!」

「ふふ…私も80年ぶりだ。思う存分私にぶつければいい」

「よく言った! ではこのまま朝までやるぞ! と──っ!」

 その日、ケッセルリンクの部屋からは本当に朝まで彼女の嬌声が響いた。




あっさりめですけど戦争は終わり
まあ元々そこまで詳しい設定が無いのであまり掘り下げませんでした
ランスパーティーは現状でも強過ぎるので、今現在の人類では相手にならないです

今回はレダのステータスを
LV 55
才能限界 154
技能 盾防御LV2 剣戦闘LV1 魔法LV1 神魔法LV1
目標 女神ALICEの命令に従い、ランスを守る事
趣味 悪魔を狩る事

女神ALICEの命令を勘違いして受けた割とポンコツエンジェルナイト
ランスに振り回されて色々大変だが、強いため十分についていける
エッチ自体は嫌いじゃなく、むしろ好き
ランスに抱かれまくっているせいか、才能限界が増えた

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