ダンジョンで彼に出会うのは間違っているだろうか 作:melu-
ダンまちの世界で精神力と魔力の違いとは?
では、始まりです
ホームの中庭にて
「まず、魔力を溜めてみてくれないか?」
リヴェリアによるリオの魔法特訓が始まっていた
ルナは少し離れたところでリヴェリアやリオが放った魔力を創り変えて遊んでいる
「分かった」
リオは言われたとおりに魔力を溜め始める
しばらくすると、正面に立ったリヴェリアが何度か目をそらしながら「特訓のためだ、、、」とリオには聞こえない声で呟きながらリオに近づく
魔力を暴走させないように集中していたリオは接近するリヴェリアに気づかない
「、、失礼」
バッとリヴェリアがリオの両手をとる
「!?」
リオは驚きのあまり
なぜか急に手を握ってきたリヴェリア先生を見ると顔を背けて少し頬を赤らめている
ルナに聞いたが本来エルフは多種族との接触を嫌うらしく、今起きていることは結構不思議だ
「、、どうしたんですか、先生」
すると、顔をそむけたまま
「先生と呼ぶのはやめろといっただろう。、、これは魔力の流れを私が抑えるために、仕方なくやっていることだ。、、、さっき
熱くなっている手は、魔力の流れからか、先生の体の熱かわからない
「先生が急に手を握ったから
そうリオが零すとリヴェリアはキッと睨み
「、、何か言ったか?」
「何でもございません」
死期を悟ったような顔で返すリオ
「故郷でもこうして魔力をコントロールして徐々に形にしていたのだぞ」
そう言って魔力の流れを穏やかにしていく
「ほら、自分の好きなように魔法を撃ってみろ」
目をつぶり魔力制御に集中するリヴェリア
リオは先生の言葉を信じ魔力を開放する
(真上に向かって氷柱を飛ばすイメージ、、、)
「【
するとリヴェリアとリオの間からこぶし大の氷の渦が発生し突然ビュッと真上に氷柱が出来上がった
それは地面にも突き刺さりしっかり自立し、ちょうどリヴェリアの身長の2倍ほ度の高さまで伸びた
「!、、先生!できたよ!」
ギュっと握ったままの手を強く握りしめ飛び跳ねるリオ
「、、あぁ、私も正直驚いている。初めからこんなにうまくいった者はリオが初めてだ」
繋いでいる手のことも忘れ氷柱を見上げるリヴェリア
自分の思った通りに魔法を発動できて嬉しいリオは
「先生!ありがとう!」
と顔いっぱいの笑みをリヴェリアに向けた
そこでリヴェリアはようやく繋いだままの手を思い出し
「いつまで手を握っているんだ!?早く離せ!」
慌てててを離しその両手を胸に置く
ドキドキと鳴る胸の音を手で感じながら
(なんなんだ?懐かしいようなこの感覚は、、?)
いつか故郷で感じたような気持ちを感じて困惑が隠せないリヴェリア
「、、それが1人でできるようになったら訓練は終わりだな」
「分かった!」
1度できた感覚を忘れないうちに魔力を溜め始めるリオ
早速もう一度魔法を放つ
「【
地面に向かって勢いよく手を差し出し
(氷の小さい山、、!)
イメージしたものを出そうと気合を込める
しかしできたのは山ではなく小石程度の氷の欠片だった
「あれ、、?」
さらにそれだけでは終わらずリオの足元から氷の渦が巻き起こりリオの体を纏い始める
「うわっ!止まらないよ!先生助けて!」
あっという間に手がしもやけになり髪の毛も凍ってしまったリオを見てリヴェリアは
(やっぱりそう簡単にいかないか、、)
とリオの手を取る
すると瞬く間に渦が収まりぶるぶる震えているリオが残った
「ふふっ」
「先生!何で笑うんだよ!」
普段あまり笑わないリヴェリアが珍しく笑った理由はリオの頭にあった
渦によって巻きあげられたリオの髪の毛は綺麗に渦を巻きながら凍っており、いわゆるソフトクリームのような髪型になっていたのだ
あまりに綺麗にできていたので思わず笑ってしまったのだ
「先生!笑いすぎだ、、よ、、、」
リオが声をあげて文句を言っているところでフッとリオの意識が飛び、真っすぐリヴェリアに向かって倒れこんだ
「リオ!?」
急な出来事に対応しきれずそのまま後ろに倒れてしりもちをつくリヴェリア
リヴェリアのお腹の上にはパラパラと氷の破片を頭から零しながら気絶したリオの顔があった
「、、マインドダウンか」
魔法、魔力の使い過ぎで起きるマインドダウン
リヴェリアも1度強化種との戦いの後マインドダウンを起こし迷惑をかけた記憶がかすかにある
ダンジョンでキラーアントたちを凍らした時から時間を空けず特訓をしたせいで
「私の不注意か、、」
リヴェリアよりはるかに多い
しばらくリオの頭をお腹の上に乗せたままにしているとルナがやってきて
「どうしたの?」
とたずねてきた
「マインドダウンだ、私の注意不足だ。少し休憩をはさむべきだったな」
「仕方ないわ。リオも自分の
夕暮れに染まる空を見上げながらリヴェリアは口を開く
「ああ、そうだな。続きは明日にでもしようか」
そう言って立ち上がろうとしたリヴェリアだがギュっとリオに体を掴まれ立ち上がれなかった
「リオ、離してくれ。早く休みに行くぞ」
気絶しているので聞こえるはずないがそうささやきまた立ち上がろうとする
しかしリオが掴む力を強めて寝言を呟く
「、、いかないで、母さん、、」
「「!?」」
その言葉にルナとリヴェリアは動きを止める
「記憶が、、?」
ルナはリオの顔に近づき頬を撫でる
リヴェリアはそのパリパリになった髪の毛を崩しながら頭を撫で
「私は母さんではないぞ、、」
としばらく2人は慈しむようにリオを撫で続けていた
翌日
リオの自室にて
「くぁ~、よく寝た」
伸びをしながら起き上がったリオ、キョロキョロと辺りを見回しここが自分の部屋だと認識するのに数秒を要した
「あれ、なんでここにいるんだろう?」
記憶が正しければ最後の記憶はリヴェリア先生との魔法特訓の途中で、、
そこまで思い出したところで、モゾっと自分の布団が動いた
視線を下げるとそこには、布団の上で丸くなって羽をたたんだルナがすやすやと寝ていた
そんな姿をみてルナの頬を軽く撫でる
くすぐったそうに身じろぎして眠るルナを見て微笑んでいると
「スゥ、、」
とルナのものではない寝息が聞こえてきたのでちらっと横を見るとすぐ近くでリヴェリアが椅子に座りながら静かな寝息を立てていた
手の届く距離にあるリヴェリアの寝顔、一瞬ためらったがなぜか止められない衝動に身を任せリヴェリアの髪を軽く撫でる
その行為は懐かしいようで不思議な感覚に陥り、ずっと撫でていたい気持ちだった
「、、リオ」
ふと、リヴェリアの口から自分の名前が零れたことに驚きパッと手を離すリオ
今思えば、多種族との接触を嫌うエルフにこのようなことをしていいわけなく、今さら激しい自己嫌悪に陥る
しかし、リヴェリアの次の寝言によってその気持ちは吹き飛んでしまった
「、、アリア、リオ、、」
「!?」
アリア、確かにリヴェリアはそう言った
「、、アリア、リヴェリア」
リオはその名前を何度も呟く
(僕はこの名前を、この人を知っている、、けどどこで?記憶がなくなる前に会っていた人?)
思い出そうと頭を抱えるが思い出せるのは、やはりあの金髪の男だけだった
頭が痛くなってきたので思い出すのをやめて、自分の頭をもんでいると
「、、リオ、起きたのか」
リヴェリアが目を覚ました
「うん、おはよう。リヴェリア」
「あぁ。おはよう」
目をこすりながら朝の挨拶を返すリヴェリア
「、、ところでどうして僕はここで寝ているのかな?」
「リオがマインドダウンしたからだ。昨日のダンジョン探索と特訓で
「そうだったのか、、」と呟きを漏らすリオ
「それでだな、今日は1日中、特訓をすることになった」
リヴェリア立ち上がりそう告げる
「え!ダンジョン探索は?」
「それについては昨日のうちにガレスとフィンに伝えてある。今日また、ダンジョンでマインドダウンしても困るしな」
「ごめんなさい」
「いいんだ、魔法がちゃんと使えるようになれば
扉に向かって歩き出す
「「今日は2人で探索してくるからちゃんと休憩するんだよ」がフィンの伝言だ。が、しっかり今日も特訓するから朝ごはんをちゃんと食べるんだぞ」
そう言って部屋を出ていくリヴェリア
「、、お母さんみたいだね」
奇しくも気絶していた時と似たようなことを口にするリオだった
ルナを起こして1階のリビングに行くとロキがソファに寝転がっていた
「おっ!リオたんとルナたんやないかー。おはよう!」
僕たちを見つけるとシャキッと飛び起きニコニコしながら挨拶する
「「おはようございます」」
ペコリとお辞儀をして挨拶を返すリオとルナ
「2人は今から朝ごはんか?」
「そうです」
「ほな一緒に食べよや!フィンとガレスは早うからダンジョンに行ったしリヴェリアは降りてこおへんし」
口をとがらせて「1人は暇やで死にそうやわ~」と零すロキ
「一緒に食べましょうか、僕が作りますね」
キッチンに向かい魔石によって冷却を行っている冷蔵庫を開ける
「おっ!?リオたん料理できるんか?」
「はい、ルナにいろいろ教えてもらって、大したものは作れないですけど、、」
「ちょっと、それじゃ私が大したもの作れないみたいじゃないの」
「あ、ごめん」
リオとルナが仲睦まじいやり取りを繰り広げる中ロキは
「なんでもええ!子どもたちの手料理が食べれるなんて下界でしかできんことやし、楽しみやわ!」
こうしてリオとルナが朝ごはんを作っているころリヴェリアというと、顔を真っ赤にしてベッドで悶えていた
(寝顔を見られた、、恥ずかしい)
大した理由じゃないがけっこうダメージが大きいらしい
(口は空いてなかっただろうか、半分目が明いていたらどうしようか)
考えても仕方がないことだが、故郷の同居人だったエルフは凄い寝顔だったのを覚えている
相手の名誉のために一言もそのことについて触れなかったが
「、、私が朝ごはんを食べずに倒れてしまったら何も言えない」
そう言って乱れた髪を直し着替えてリビングへと向かう
リビングには美味しそうな香りが漂っていた
「この匂いは、、?」
リビングにやってきたリヴェリアはその匂いに驚く
「リオたんルナたんスゲ~!!」
食卓にはTHE朝食と言わんばかりの味噌汁や目玉焼きなど極東の料理が並んでいた
「これらは私の精霊の友達から習ったのよ、極東が好きでね。そこの主な朝ごはんはこんな感じかしら?」
テーブルにはしっかりと4食分(ルナの分はちゃんとミニサイズ)でならんでいた
「じゃあ、僕リヴェリア呼びに行ってきますね、、ってリヴェリア!二度寝でもしてたの?」
「そんなわけないだろう、今日の特訓をどうしようか考えていたんだ」
しれっと嘘をつくリヴェリア、目が若干泳いでいるがリオが気づくはずもなく
「そうだったんだ、ありがとう。僕のために!」
純粋なお礼を述べられ心が痛むリヴェリア
食卓の上のホカホカのご飯に目を向けたずねる
「そうだよ、僕とルナで作ったんだ。冷めないうちに一緒に食べよう?」
2人足りないが家族そろっての朝食が始まった
極東ならではの薄い味付けに舌鼓をうち満腹になったロキはそのままソファに寝ころび「うまかったで~」の言葉を最後に寝てしまった
「、、だらしない主神ね」
思わずルナが零す
その言葉にフィンのような苦笑いを浮かべるリオと「やれやれ」とため息を零すリヴェリアだった
朝食をすましたあと、手分けして後片付けをして各々の準備ができた後中にはに集合した3人
ルナは相変わらず中庭の隅で魔法の精製を楽しんでいる
「じゃあ今日は昨日のおさらいからだ」
すこしためらいながらも昨日と同じようにリオの手を取り魔法の発動を促すリヴェリア
「分かった、、」
(今日はどうしような、、そうだ、剣にしよう)
大きく息を吸って心を落ち着かせ詠唱を口にする
「【
丁寧にイメージした剣はゆっくりと柄からその形を作り始め数舜の後に地面に突き刺さった状態の氷の剣が完成した
「昨日よりうまくなってるじゃないか」
「しっかり寝たからかな?」
その出来に声をあげて褒めるリヴェリア
リオによって召喚された剣はその刀身に白銀の冷気を纏いただ静かに鎮座していた
「、、なかなか、いい出来じゃない?」
「そうだな、抜けるか?」
リヴェリアがそう提案しリオは頷き繋いでいる手を離す
氷でできた柄にふれ、その冷たさにビクッとしながらも両手で握る
力を籠めるとまるで地面に刺さっていなかったような軽さで抜けた
「、、よっと、抜けたよ」
その手ごたえの無さに驚きつつもその氷剣をかかげる
太陽の光をうけ輝く半透明の刀身に目を細めた
「綺麗だな、、」
思わずそう零すリオ
リヴェリアも目を細めてその氷剣を見つめる
リオは嬉しそうにおもちゃを買ってもらった子どものように氷剣を振り回す
「危ないぞ!リオ!」
その瞬間遠心力に耐え切れず、刀身がパキッと真ん中から折れてしまいその先端がリオの腕をかすめた
袖が破けリオの腕から切り傷がのぞく
「はぁ。言わんこっちゃない」
そう言ってリヴェリアはリオの腕をとり回復魔法を唱える
「【フィル・エルディス】」
軽い傷口だった切り傷は瞬く間に治り、止血した
「ごめんなさい、、」
端から見ればその光景はイタズラをしてケガをした子どもを叱り、あやす母親のような構図だった
半ばから折れた剣はいつの間にか溶けて霧散していた
リオはリヴェリアに怒られたことでしょんぼりしてうつむく
そんな様子のリオを見てリヴェリアは特訓の続きを促す
「ほら、早く続きをするぞ」
リオの手をとり魔力の制御を始める
「、、うん」
リオは反省の色を浮かべ、リヴェリアの手を握る
(次は調子に乗らないようにしないと、、)
あたたかいリヴェリアの手を握り心を落ち着かせたリオは一つ深呼吸をして魔力を高める
「すぅーーー、、、はぁーーー」
(イメージは氷の塔、、昨日より大きく、鮮明に)
「【
するとリオの右側から冷気の粒が目に見えるように集まり始め徐々に形を成していく
気づけばそれはバベルの塔をちょうど小さくしたような精密な作りの小塔が出来ていた
「、、できた」
あまりの出来の上手さに声が出ないリヴェリア
「、、今までまともに魔法を使えなかったやつがここまで正確に?」
リヴェリアは記憶が無くなる前のリオはとんでもない魔法使いだったかもしれないと考えた
「リオ、次からは1人で魔力を制御してみるんだ」
そう言って握っていた手を離し一歩下がる
「分かった」
それからしばらくリオとリヴェリアの特訓は続いたのだった
リオとリヴェリアが特訓に集中している間2人が気づかぬうちに居なくなっていたルナ
彼女が向かった先は朝食をすました後寝てしまった主神のところだ
「、、ルナたんか」
「あら、起きていたの?」
「なんかそんな気がしてたわ」
「なら、何の話をしに来たかもわかるかしら?」
「さぁ、なんのこっちゃ」
「、、まぁ、いいわ。私からは神であるあなたに1つ、、いいえ2つ言っておきたいことがあるのよ」
「なんや」
「リオについてよ。あなたも分かっているように彼は
「、、自分はどこまで、いや何者や」
「最初に言ったでしょ、下位精霊でお手伝いや役よ」
「、、そうか」
「リオには時間がないのよ。記憶もそうだけど、体もよ」
「体?どういうことや」
「あなたが思っているより、混じっているのよ」
「!、、そういうことか」
「そう。もう1つは分かるでしょ」
「
「ええ、
「なにをや?」
「神バズズについて」
「なんでその名前を知ってるんや」
「私の故郷は彼に焼かれたわ。それで彼はリオを探している、欲しているのよ」
「自分ホンマに何者なんや?」
「言ったでしょ、ただの下位精霊よ」
「、、分かった、調べてきたる。その代わり、、」
「その代わり?」
「情報持ってきたら、あんたのことしっかり教えてもらうでな、ルナ」
「分かったわ、ロキたん」
「ふふっ、面白そうな色ね、、」
マインドと魔力の概念の違いがあやふやな今回です