ダンジョンで彼に出会うのは間違っているだろうか 作:melu-
リヴェリアさんって最初から魔法持ってたんでしょうか?
では、始まりです
とある酒場にて
「いやぁ、ウチの家族も全員で4人なんかぁ
フィンが来てくれてからはやいなぁ。ウチの頑張りはなんやったんや」
そう言ってロキは酒瓶を振り上げ一息に飲み干す
フィンは神を1人と数えていいものかと疑問に思ったが、そんなことは口にしない
「しかし、さすがにこの人数であの宿にいつまでもお世話になるわけにはいかないよ」
「そうじゃな、そろそろファミリアとしてしっかり動きはじめんと何もできんぞ」
「あぁ、まずは資金を調達し、衣食住を確立しないとな」
フィン、ガレス、リヴェリアの順で言葉を交わす
今はロキファミリア全員で家族会議という名の宴会を開いているところだ
ロキはすっかり出来上がっており、ガレスは樽からそのまま飲んでいる
リヴェリアは水しか飲まず、フィンは軽いものを飲んでいる
「やっぱり、ダンジョンに潜ってお金を稼ぐところからだね」
そう言ってフィンはべろんべろんのロキのほうを見る
「ロキ、僕たちがダンジョンに行っている間にギルドで立地の良い物件を探しておいてくれないか?」
「おっしゃ、任せとき。その代わりしっかり稼いで来てや、けど無理せん程度にな」
リヴェリアがロキファミリアに入ってから数週間がたった
その眷属たちは何度かダンジョンに潜り、お互いの戦闘スタイルを理解し連携をとれるようにしていった
しかし、そう簡単にはいかず、特に
「お主は頭が固いと何度も言うておるじゃろう!どうしてワシの邪魔になることばかりする!」
「うるさい!貴様が無茶な戦いをしてるからだろう!それではフィンの負担が大きくなるだろう!」
間に挟まれたフィンは「ハハハ、、」と苦笑いを零す
彼らの戦闘スタイルはフィンとリヴェリアが索敵をし、接敵後ガレスがその耐久を活かし敵陣に突っ込み、
それに死角からフィンが撹乱、隙ができたところをガレスが斧で叩き込み、状況に応じてリヴェリアが杖術で相手取る
また、あまりにも敵が多いときはリヴェリアの攻撃魔法【ヴィン・フィンブルヴェトル】で一掃する
およそ、そこらのLv.1ではできない連携をしているがリヴェリアには不満がたえない
だが、順調にファミリアの資金は増えてきている
まだ、宿をお借りしている身ではあるが稼いだお金で宿代はしっかり返せるまでにはなった
ある日のダンジョン探索
「この6階層も慣れたものだな」
そう言ってウォーシャドウを屠るリヴェリア
6階層から現れ始める【新米殺し】と呼ばれるモンスターを杖術だけで簡単にいなす
「そうだね、でも油断は禁物だよ」
2匹のウォーシャドウを相手取っていたフィンはその手に持った槍で2匹を薙ぎ払う
今までフィンは防戦一方だったが突然攻撃に移ったので、ウォーシャドウたちは驚きたたらを踏む
大きな隙ができた片方のウォーシャドウの皿のような目に鋭い突きが入り絶命させる
ようやくたたらを踏み終えたもう1匹はその鋭いかぎづめを振り上げ後ろからフィンに襲い掛かる
そんなことには気づいているフィン振り向きざまに石突を突き出しウォーシャドウの不意をつく
またもやたたらを踏まされたウォーシャドウは次の瞬間フィンの槍によってその体を2つに分けた
刃についた血を振り払い、「ふぅ」と息をつくフィンは
「まぁ、物足りなくなってきたのは否定しないよ」
ちらりとガレスのほうを見ると「ウォォ!!」と叫びながら数匹のフロッグ・シューターちぎっては投げちぎっては投げている
リヴェリアと一緒にウォーシャドウの胸から魔石を取り出しながら
「そろそろ、7階層に行くのもいいかもしれないね」
7階層からは甲殻がとても固く瀕死になると仲間を呼ぶフェロモンを出すキラーアントが出てくる
ほかにも集団で襲い掛かってくるニードルラビットや、毒状態を引き起こす鱗粉をまき散らすパープル・モスなどが現れる
「あぁ、それ相応の準備をしてから行くべきだろうな」
そう言って立ち上がったリヴェリアは魔石をバックバッグにしまう
ガレスのほうはすでに終わっており、魔石すら粉々にしていた
「貴様!魔石を砕いてどうする!ファミリアの資金にならないだろう!」
ガレスは振り向き、両手をあげ首を振り
「いいじゃろう、別に。その分敵を蹴散らせばいいだろうに」
そう言ってお互いに顔を「プイッ」と背ける
(あいかわらずだね、、)
いつものように苦笑いを浮かべながら5階層に向かう階段へ歩き出す
「今日はとりあえず戻ろうか」
足を踏み出した瞬間、親指にまたあの
「!?」
フィンは足を止め自分の親指を見る
「どうしたんじゃ?」 「どうした?」
2人がフィンが足を止めたことに疑問に思い口にする
「いや、親指の疼きが止まらない。何か嫌な予感がする」
(今回の疼きはホントに嫌な感じだ)
「「?」」
ガレスとリヴェリアは
「ダンジョンで嫌な予感などいつでもしているだろう、今さらそんなこと気にしたって仕方がないぞ」
「そうじゃ、そんなもんワシが蹴散らしちゃるわい」
と言い放ち2人は歩き出す
しかし、フィンの嫌な予感は的中した
「グォォォォ!!」
「ドドドドドドド、、」 と凄まじい音が6階層の奥からだんだん近づいてくる
「「「!?」」」
モンスターの重なる声に驚き3人は急いで振り向く
後ろを振り向くと、6階層にいるモンスターのほとんどだろうか、大量のモンスターが押し寄せてきた
まるで何かから逃げるように
「なんじゃこいつら!?」
斧を構え、驚きを口にするガレス
「しるか!とにかく逃げるぞ!この量を相手していたらキリがない!」
そう言って足早に5階層の階段に向かって走り出すリヴェリア
「おい!フィン!何してる!早く逃げるぞ!」
圧倒的な物量を前にフィンは一歩も動かないでいた
(こいつらが逃げている理由、それがきっと疼きの正体だ)
槍を地面に突き刺し、フィンは叫ぶ
「ガレス!リヴェリア!こいつらは何かから逃げてきている!僕たちはそいつから逃げることはかなわないだろう。だから僕たちはそいつを迎え撃つ!!」
フィンがそう叫んでいる間に、ウォーシャドウやフロッグ・シューターが次々と倒れていく
その体を貫いていたのは、極彩色の触手のようなものだった
「くっ!どうやらそのようだな、逃げるのが遅すぎた」
何の前触れもなく現れたそいつにリヴェリアは苦渋に満ちた顔をする
それは、数々のモンスターを蹂躙し、その魔石を喰らいこちらへ向かってくる
「強化種か、、!」
杖を構えリヴェリアがはその美しい顔をさらにゆがめる
ようやく見えてきた本体、その姿は一見ゴブリン少し大きくなったようで、いわゆるオークのようだが
体のつくりが違っていた
手はすべて触手になっており十の触手がひしめき合っている
また、顔の半分は花のような模様が広がっており、オークの表情を蝕んでいた
口からはよだれと血が垂れており、近づいてくるにつれ悪臭がたちこめる
そして一番目を引くのは、その胸にさらけ出された黄みがかかった魔石である
「グォォォォ、、」
先ほどの雄たけびとは違い苦しそうな声をあげるオーク
「なんじゃあいつは!?こんなやつ初めて見たぞ!」
「あぁ、誰も見たことがないだろうね。こんなやつが一度でも現れてたら目撃報告が多数上がるはずだからね」
この前の色違いのゴブリンのようなものと同じだろうと思うが、強さは段違いだろう
「リヴェリア!すぐに詠唱に入ってくれ!君の魔法じゃないと倒せない!」
「分かった!」
フィンの指示によってすぐさま詠唱に入るリヴェリア
あの、オークの化け物によって大量のモンスターは全滅している
(やつに注意しておけば、リヴェリアに被害は出ない)
「ガレス!二人でやつの気を引くんだ!行くぞ!」
「よっしゃ!あやつが魔法を打つ前にワシか粉々にしてやるわ!」
2人は走り出し左右から攻め入る
しかし、次の瞬間この場にいる全員が驚くことが起きた
左右から攻撃をする2人を完全に無視し、一直線に詠唱をしているリヴェリアに向かって走り出すオーク
「グォォォォ!!」
「なっ!?」
オークが繰り出した触手攻撃によってリヴェリアの詠唱が中断され、薙ぎ払われた触手がリヴェリアの横腹を深く殴る
「ドッ!」
そのまま吹き飛ばされたリヴェリアは壁に衝突し動かなくなった
「「リヴェリア!!」」
まったく動かないリヴェリアに焦りを感じつつ、これ以上追撃させないように後ろから襲い掛かるフィンとガレス
フィンの突きを見えていないのに躱すオーク
そのままフィンは槍を薙ぎ払い、オークを後退させる
そこへ斧を振りかぶった状態のガレスが待っており重い一撃を喰らわせる予定だった
しかしガレスの元へやってきたオークはそのまま触手を伸ばしガレスへと放つ
「ぐっ!」
間一髪で避けたガレスはそのまま斧を振り下ろし触手へ叩き込む
「ギャァア!!」
奇声を発し切断された触手を引っ込め抑える仕草をするオーク
その隙をつきフィンが死角から急接近する
オークはフィンを完全に見失いその背中に槍による一突きを深々と受ける
「!?」
驚いたオークはそのまま前進しフィンたちから間合いをとり、怒り狂ったように叫んだ
「ギャオォオォ!!!」
見ると、ガレスによって斬られたはずの触手がニュルニュルと伸び元の長さまで戻っていた
「っ!やっぱり無駄か。触手が伸び縮みしている時点で何となく察していたが、、」
フィンはまだ疼く親指を噛みオークを観察する
「どうするんじゃ!フィン!このままじゃ埒が明かんぞ」
焦りと苛立ちからかガレスはいつもより大きな声で叫ぶ
「そうだね、弱点はおそらくあの魔石だろうね。それと僕たちに見向きもせず詠唱中のリヴェリアに突っ込んだことや
魔石を喰らっていたことから、魔力に敏感なようだね」
冷静に分析しているように見えるが内心は非常に焦っている
(まずいな、、リヴェリアが起きない、、一刻も早く地上に戻って手当をしないと。それにリヴェリアがいないと僕たちには
そんなことを考えている間にオークの触手は完全に伸びきり、フィンがあたえた傷も塞がってしまっていた
「そうじゃ!魔石が欲しいなら、ワシらがくれてやればいいんじゃ!魔石で気を紛らわしたところにやつの胸をたたく!」
そう言って腰に結び付けてあった魔石が入ったポーチを取り外す
(確かに、それはアリだがもし魔石を摂取されこれ以上強くなってしまったらもうLv.1の僕たちには対処できなくなる)
フィンも腰からポーチを取り出し
「ここが正念場か、、」
魔石を手に持ちガレスに向かって叫ぶ
「ガレス!合図したら魔石をすべてやつの手前に投げる!最初で最後のチャンスだ!絶対逃すなよ!」
「分かっとる!任せておけ!」
オークはこちらの様子を窺っており動かないでいる
「今だ!」
魔石の入った袋がオークの目の前に落ちた瞬間ガレスとフィンは左右に分かれ疾駆する
オークは魔石の入った袋をその触手で持ち上げ器用に開ける
そしてそれを口に運ぼうとした瞬間ガレスの斧が、フィンの槍が、胸の魔石を粉々にした、、、はずだった
いつかの色違いのゴブリンのようにオークは「ニタァ」と笑い触手を左右に薙ぎ払った
「「!?」」
反撃がくることを予想していなかった2人はまったく反応できず先ほどのリヴェリア同様吹き飛ばされ壁に激突した
「「ぐっ!」」
気絶するまでとはいかないが、しばらくは行動できないダメージを負ってしまった
「っ!、、モンスターが不意打ちじゃと!?しかも今のはなかなかじゃ、、」
耐久が高いため辛うじて動けるガレスに対して手足がピクリとも動かないフィン
(なんだこの一撃の重さは、、!Lv.1の僕たちじゃ勝てないのか、、!)
血を吐きながら滲む視界の先に見えたのは雄たけびを上げながら魔石を喰らうオークの姿だった
「、、まずい、このままじゃ、、勝ち目は、、ない、」
先ほどの一撃でこのざまだ、もう次をくらったら体が二分されてしまうだろう
魔石を貪るオークはこちらに目もくれない
今の僕たちが攻撃できない状態にあることを分かっているんだ
(僕はここで死ぬのか、、?)
フィンの思考が諦めかけた、その時
「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ】」
美しい歌声が聞こえてきた
声のほうを見ると気絶していたリヴェリアが立ち上がっており、杖を地面に突き立て額から血を流しながら詠っていた
魔石を貪っていたオークも魔力の流れに気づき顔をあげる
魔石によりリヴェリアの詠唱に、魔力の流れに気づけなかったオークは「グゥォォオ!」と声をあげリヴェリアに突進する
しかし、すでに詠唱は完成しており、リヴェリアは目を見開き砲声する
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
その魔法は全てを凍らす吹雪を引き起こし、オークの触手を次々と凍らしていく
まるで、そこだけが氷河期になったかのように巨大な氷が発生し気温が一気に下がる
壁や床は完全に凍り、銀色の世界が瞬く間に広がった
「グ、グォォ、、」
触手は完全に動きをとめ、足も動かなくなり次第に体全身が凍てつき動かなくなってしまった
これこそが、下界の子供たちがもつ
さらに、マジックユーザーであるエルフの魔法は先天性であり基本強力な魔法
そんなものをまともにくらえば、いくら強化種とはいえ効かないはずがない
「ハァッ、、ハァッ、、」
「ナイス!リヴェリア!」
フィンはようやく立ち上がりかじかむ手で槍を強く握りしめ氷漬けにされたオークに向かってとどめを刺すため歩き出す
しかし、先ほど大量に魔石を喰らったオークのポテンシャルはLv.3に迫っており、その身を震わせ氷を打ち砕こうとしていた
「「「!?」」」
その場の全員が驚き、フィンとガレスは足早に胸の魔石を目指す
徐々にオークから氷が剥がれ落ち、ところどころ皮膚があらわれ触手が伸びてきてフィンとガレスの行く手を阻む
「くそっ!」
(このままじゃ間に合わない、、)
触手を辛うじていなし前に進む2人だったが間に合わない、そう思われた時だった
フィンの親指が共鳴するように強く疼いた
そして、ダイタロス通りで聞いたあの声が響く
【
この前の時とは比較にならない寒波がオークを襲い、リヴェリアの魔法を手助けするように氷が覆いかぶさる
再びオークは身動きが取れなくなりその身を、時を凍らせた
「これは、、」
「凄まじい威力じゃ」
「こりゃ凄いね」
リヴェリアが呟き、ガレスが賞賛し、フィンが苦笑する
オークとは違う意味で体の動きを止めていた3人
静寂が支配していたこのルームで
ジャリッ
と音がした
全員が振り向き、目にしたのは
ほっそりとした体に中性的な顔立ちの少年だった
彼の髪は暗い藍色で、その肩には少年と同じ髪色の、薄い青色の羽が生えた小さな妖精がちょこんと座っていた
目を何度かさまよわせた少年は口を開いた
「あの、、大丈夫ですか?」
はい、引きこもりのオリ主ようやく出てきてくれました
まぁ、ちょっとなんですけどね
リヴェリアさんの魔法はそれぞれ第一階位だけ使えることにしておきます
Lv.1から魔法3つ使えるなんてだいぶすごいですけど、ハイエルフなんで、ってことにしておいてください
きっと、故郷の森で沢山特訓してたんだろうなぁ