ヨルムンガンド ChiNaTsu, She Can Stain Her Life. 作:伯方のお茶
登場人物が行っている医療行為に関してはなるべく調べてから書いているつもりですが、正確な内容でない場合が多々ありますのでご了承ください。
欧州某国ホテルの一室、皆が揃っている。
ウゴは出掛けており、東野は自室にいる。それ以外メンバーは部屋に居てそれぞれくつろいでいる。
「ケホッケホッ、んんっ、ゴホッ。」
喉の調子が悪いのだろうか、バルメが咳をしている。
それを見たココが声をかける。
「バルメ、大丈夫?風邪?」
「昨日から喉の調子が悪くて、少しだけ熱もあるみたいで。」
「ドクターが部屋にいるから見てもらったら?」
「そうですね…ちょっと行ってきます。」
バルメがソファから立ち上がり部屋から出る。
少し間をおいてからトージョ、ルツ、アールが顔を合わせる。
トージョが口を開く。
「ルツ、アール下で飯でも食いに行かないか?」
ルツとアールは、トージョの言葉を聞くと返事をして3人で部屋から出てゆく。
「ハハハッ、前に話してたことが本当になるとはな。」
部屋を出るなりトージョ言う。
「あぁ、本当だぜ。」
ルツが続けて言う。
「作戦通りいくぞ。」
アールが口元をニヤリとさせる。
―――
バルメが東野の部屋の扉をノックする。
「ドクター、いますか?」
「はいはい、どうぞー。」
それを聞いた東野は軽快に返事をする。
バルメは東野がいる部屋に入る。東野は読書をしておりしおりを挟み机の上に置く。
「どうしました?」
「少し体調が悪くて…」
「わかりました、どうぞ座ってください。」
促されたバルメは東野の向かい側の椅子に座る。
「まぁ、楽にしてください。いつぐらいから体調が悪くりました?
昨日は大丈夫そうでしたが。」
東野が問診を始める。
「昨日は咳が少し出るくらいだったのですが、今日起きたら咳がひどくなって若干熱もあるみたいで…」
「なるほど、とりあえず体温を計りましょう。」
床においてあるメディカルバックから体温計を取り出しバルメに差し出す。
バルメは体温計を自分の脇に挟む。しばらくするとピピピッと音がして計測が終ったことを知らせる。バルメは体温計を取り東野に渡す。
渡された体温計を東野が確認する。
「37度5分、少々熱がありますね。呼吸音を聞きます。
なるべくなら直接聞きたいのですが、嫌なら服の上からでも大丈夫です。」
「直接で構いませんよ。」
「わかりました、失礼します。」
―――
トージョ、ルツ、アールの3人はバルメが東野の部屋に入るのを確認すると扉の前まで来る。
トージョが小さな声で二人に話す。
「いいか、風邪の診断なら聴診器を使う。その時アネゴの、フフッ、君たちなら言わなくてもわかるでしょう?」
「あぁ、なかなか拝める機会がないあのワガママボディを合法的に見られる。」
ルツが小さく頷きながらこれまた小さな声で言う。
「アネゴ自らガバっとさらけ出すところを目に焼き付けような。」
アールも小さな声でいう。
「「「フフフッ…!!ドクターの野郎だけにいい思いはさせないぜ…!!」」」
見事に息の合った気合を入れると、トージョがゆっくりと音を立てずに東野の部屋の扉をあける。
その隙間から縦3列に並び部屋の中をのぞく。丁度、東野とバルメの二人の横からの見れた。話す声も聞こえる。
(37度5分、少々熱がありますね。次に聴診器で呼吸音を聞きます。
なるべくなら直接聞きたいのですが、嫌なら服の上からでも大丈夫です。)
(直接で構いませんよ。)
「おぉ、ドクターの野郎しれっとした顔してるけどやるじゃねぇか!」
アールが褒めているのか褒めていないのかわからない称賛を送る。
「悪いな、東野くん。君だけにいい思いはさせないよ。」
トージョがメガネをあげる。
「お待ちかねだぜ…!」
ルツが言う。
(あ、バルメさん服を上げなくても大丈夫です、シャツの下から聴診器を入れますので。)
(わかりました、お手数をかけます。)
(いえいえ、仕事ですから~お気にせず~。)
それを聞いたトージョが思わず口走る。
「おい、聞いてねぇぞ!!」
「バカ、トージョ声がデケぇぞ!バレちまうだろ!」
ルツがトージョに言う。
「おいおい、二人とも黙ってろ。」
アールが二人に注意すると二人ともわかったよ、と言い静かになる。
(はい、じゃあ大きく深呼吸をしてくださいね。)
そう言うと東野はシャツの下から聴診器を入れ呼吸音を聞く。右の首の付根、左の首の付根、右胸上部、左胸上部と聴診器を動かす。
左の胸の下に動かす前に東野がバルメに言う。
(すみませんが、少し胸を持ち上げて頂けますか?)
(こうで大丈夫ですか?)
「おぉ、あの爆乳をアネゴに自ら持ち上げさせている…」
ルツはありえないという感じで眺めている。
「やっぱり重いのか…?」
アールがつぶやく。
「当たり前でしょう、あの胸。」
トージョがまたメガネを上げながら言う。
先程の怒りはどこへいいったのやらという感じである。
(はい、オッケーです。では後ろを向いてください。また深呼吸をしてください。)
(わかりました。)
バルメが後ろを向くと背中に再度聴診器を当て計6ヶ所の呼吸音を聞き終える。
(オッケーです。こちらに向き直ってください。)
バルメが再度東野と向き直る。
(打診をしたいのですがいいですか?手で胸を軽く打ってその音を聞きます。)
(えぇ、構いません。)
「手で胸を打つ…?ってことは…」
ルツが言う。
「東野くん、君も中々にやり手のようだね。」
トージョは目を細めながら部屋の中の二人の様子を見ている。
「医者なら許されるのか…俺も衛生兵に志願しておけば…」
アールがあぁ、とため息を漏らす。
(では失礼します。また深呼吸をしてください。)
東野がバルメの右胸上部に左手を置き、右手の中指で左手の中指の第一関節と第二関節の間を叩く。
次に左胸上部、胸の谷間付近、脇から胸の間程を左右2回ずつ打診を行う。
「トージョ!俺達が触ったらぶっ殺されるようなところをあの野郎いとも簡単に!」
ルツがトージョに訴える。
「アネゴが何も反撃しない。さすが医者、恐るべしだ。」
トージョが感心する。
「クッソ俺も衛生兵だったら…!」
アールはさっき言っていたことをまだ言っていた。
―――
「オッケーです。
じゃあ、口を開けてください。はい、あーん。」
「ドクター、子供じゃないんですから。」
「あっ、ごめんなさい。前からの癖で。」
東野とバルメが少し笑う。
「ッケッホ、ンッ、ンッ。」
バルメが笑った後に咳き込む。
「あぁ、すみません、すみません。
バルメさん口開けてください。」
バルメが口を開けると、使い捨て舌圧子で下を押さえ小型ライトで喉の奥を照らす。
喉が赤く腫れている。咽頭炎だ。
「はい、終わりですね。」
東野はそう言い使い捨て舌圧子をバルメの口から外し捨てる。
「大丈夫そうですか?」
バルメが東野に聞く、いつもの強気な感じが無い。
「呼吸音、打診で特に異常はないです。喉が赤くなっているので、まぁ、風邪ですね。外の暑さで汗をかいてそのまま建物の中に入り冷房で冷えてしまったのでしょう。バルメさん薄着ですから。
とにかく大きな病気じゃなくてよかったです。
私からココさんに言っておきますので数日間は安静にしてください。」
「わかりました。薬とかなにかありますか?」
「いえ、風邪なので特に出しません。安静にするのが一番早く治ります。
でももし咳や鼻水が辛かったら私に言ってください。市販薬を買ってきますので。」
「わかりました、ありがとうございました。」
「いえいえお構いなく、お大事にしてくださいね~。」
バルメが部屋から出てゆく。程なくしてトージョ、ルツ、アールの3人が東野の部屋に入ってくる。
「あれ、3人も風邪ですか?」
「よぉよぉ、やるじゃねーの。ドクター。」
ルツが座っている東野と肩を組むようにする。
「ドクター、君って人間は。大したものですよ。」
トージョは東野の前に立つ。
「お前もおとなしそうな顔して中々やることやるんだな。」
アールはトージョの横に立っており口元あげ笑っている。
「ん?何がでしょう?」
東野は3人が何を言っているのかよくわからない様子だ。
「とぼけんなよ、ネタは上がってるぜ。
これ使ってアネゴの胸ポンポン触ってたじゃねぇか。」
ルツは東野が首から下げている聴診器を指さしながら言う。
「聴診器ですから当たり前ですよ。」
「あと、あの爆乳に手を当ててコツコツ叩いてたやつ。
あれ本当に必要なのか?どうなんだよドクターさんよ?」
アールがにやけた顔で東野に問いかける。
「あれは打診といって、昔からある立派な診断法です。
高価な医療機器が無い現場ではまだまだ使える技術なんです。」
「まぁまぁ、二人共そのくらいにして。
我々はドクターを攻めに来てるわけじゃないんですから。」
トージョは右手でまたメガネを上げる。そのまま続けて言う。
「ドクター、アネゴの胸の触ったら感触を教えてくれ。」
「えぇ?そんなこと言われましても…」
「どうなんだ、教えてくれよドクター。俺たちの命がかかってんだよ。」
「あぁ、俺達は危険を犯したんだ。その分の情報はもらっていくぜ。」
ルツ、アールが口々に言う。
「教えろよー」「ドクター、観念するんだ」「いいじゃねぇか減るもんじゃねぇしよ。」など3人が騒いでるうちに東野がドアの方を指差しながら言う。
「あー…皆さん、後ろ……」
トージョ、ルツ、アールが振り返るとそこには鬼の形相をしたバルメが立っていた。
気のせいか赤いオーラのような物が見え、髪がゆらゆらと動いているように見えるが、東野はそれが全部見間違いだと自分に言い聞かせた。
「「「アネゴ…!」」」
3人が息ピッタリに言う。
「ドクターはしっかりと仕事でやっていて、あなた達のようなやましい目的は無いのです!!
お仕置きが必要なようですね!!」
「逃げろォ!」「やべぇ!」「殺される!」とか叫びながら3人が飛び出すと「待ちなさい!」とバルメが叫び追いかける。
「バルメさん…安静に…いや、あれくらい元気なら大丈夫ですか…」
聴診器と体温計をメディカルバックに戻し、本を取る。
(うん、バルメさんの胸は今までの中でダントツで大きかったなぁ。)
先程まで読んでいたページを開き、東野は読書を再開する。
―――
ココ「これが我がドクターのプロフィールだ!」
東野「なんか照れますね。」
名前:東野 達(ひがしの たつ)
国籍:日本
年齢:33歳
身長:トージョと同じくらい
体重:65 kg
体格:やや痩せ気味
好きなもの:枝豆、牛乳、読書、人の笑顔
嫌いなもの:酸っぱい食べ物、非人道的な人間
タバコの銘柄:Lucky Strike(たいていどこにでも売っているから)
使う銃:H&K MP5、H&K G36C、M92
経歴:帝都大学医学部卒、帝都大学附属病院勤務、元AAMST(アフリカ地域医療支援団)派遣医師
トレードマーク:白衣(換えが5着ある)
日本人の医師。専門は内科、外科、循環器科。麻酔科医の資格も有しているので頑張れば一人で外科手術が出来る。また、大学病院時代に臨床心理士の資格も得た。
困っている人間を放っておけない、弱者の味方でありたい、助けられる命を助けるという利他主義者。しかし、人を助けるためにときには人の命を奪わなければならないということもAAMST派遣医師時代のとき痛感した。助けられる命を助けられなかった時は自分を責める癖あり、時に涙してしまう。
子供を殺さない、殺させないというのは東野が「子供には未来がある。大人がそれを奪う権利などは絶対的に一切無い」という信条の為である。
ココの仲間になったのは好奇心と支援の礼、そして自分のココの目指すところが同じであると直感的に感じたため。
医師としての腕は非常に優秀であり、AAMST派遣医師時代のときは多くの命を救っている。また、観察力、洞察力に優れ、医師としての技術を磨く上で身についたものと考えられる。本人曰く「ただのお人好しの凡人です。」と言う。
使う銃はコンパクトで軽量な物を好む。これは他の隊員と比べて体格が小さく非力であるためである。射撃はレームとルツに教えてもらっている。レーム曰く「器用で筋がいいねぇ」とのこと。
どうも作者の伯方のお茶です。
またまたまた新たにお気に入り登録された方ありがとうございます!!!
また、ここまで引き続き読んでいただいてありがとうございます!!!!!
B-52から投下された嬉しさという名の無誘導爆弾が私を絨毯爆撃しております!!!
日常?ギャク?回ということでの第七.五話でした。楽しんで頂ければ幸いです。
さて、次回からはオーケストラ登場します。
内容的にも元のストーリーのシーンが多く登場します。(というかしてしまいます。)
では、引き続き本作品をお楽しみください!!!!
レーム「何でコイツらこんなにボロ布みたいになってんだ?」
ワイリ「息、してるかなぁ。」