神喰らいは人造勇者である   作:魔王タピオカ

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 バーテックス

 

 2015年に突如現れた化け物。無数の群体から成る化け物であり、既存の現代兵器は効果を成さない。現れてから数日で世界各国に甚大な被害を与え、未だにその侵攻は続いている。

 バーテックスに有効なのは【神樹】から与えられる神霊の力のみであるが、その高い学習能力により対策を取った姿を造り出す。人間が進化すればバーテックスも神化する、イタチごっこの様な状態が今の状態である。

 

 

 

 神樹

 

 人類を滅ぼすバーテックスに対抗し、人類の味方をする神霊が現世に現界して大樹の形を取った存在。神樹の声である【神託】を受け取る存在【巫女】と神霊の力をその身に降ろし、力を振るう【勇者】のシステムを作り出した。人類の最後の砦であり、神樹が倒された瞬間に人類の滅亡が確定する。

 

 

 

 勇者

 

 神樹から力を与えられた、言わば神霊の代行者。スマートフォン型の端末を媒介にして変身し、それにより他の勇者の居場所を知れたり若葉限定で想真の場所の察知、殺処分の実行が出来る。

 勇者アプリには『切り札』と呼ばれる機能が有り、使うと神樹に所属する神霊の中から最も相性の良い神霊の力をその身に降ろす事が出来る。一時的に凄まじい力を手に入れる事が可能だが反動については目下研究中である。

 勇者には適合率なる数値が存在し、適合率が高い者は通常1体しか降ろせない神霊を『鬼札』として更に強い神霊を降ろす事が可能。しかし、反動も大きくなると考えられている。

 

 

 

 巫女

 

 神樹からの声、予知である【神託】を人類に伝える役目を担う少女達の事。巫女は勇者よりも人数が多く、適性も緩い。未だに適性が謎であり厳しい勇者に対し、巫女は所謂『霊感』が強ければ神樹に選ばれ、巫女となる事が出来る。

 霊感の強弱により見える神託はハッキリとしているかどうかが決まる。巫女の人数が多いのには諸説有るが、現在は神託の精度を高める為という考え方が主流である。

 

 

 

 ゴッドイーター

 

 非公式に生み出された部隊。正式名称は【人造擬似勇者計画実験部隊】と言い、文字通り勇者を人間の技術で再現しようとした部隊。

 設立も運用も秘密裏に行われた部隊であり、確認できる生存者は橘想真ただ1人。可能性が有れば諏訪に1人居るかも知れないとされている。

 

 

 

 バーテックス:2

 

 バーテックスは最下級の【星屑】が群体を成して攻めてくる。リアルタイムで学習した内容を実践してくるが今の自分達では対処しきれないと悟った瞬間に結集し、自らの身体をパーツにして【進化体】と呼ばれるモノを造る。

 ソレは星屑よりも圧倒的に強く、それにより人類は敗走を余儀なくされた。

 

 

 

 神機

 

 ゴッドイーターが1人につき1つ所有する専用武器。製造方法は最高機密であり、一部の幹部とゴッドイーターしかその方法を知らない。現在ではその殆どが失われている。

 橘想真が扱う神機は銃身、刀身、装甲とパーツが分かれており、彼は刀身と装甲を変えて戦う。銃身を変えない理由は単純で、それ以外の銃身を使う事が苦手だからである。

 

 

 

 橘想真

 

 昔に【郡千景】と交流があり、同い年の15歳。バーテックス襲来時に組織されたゴッドイーターの一員であり、現在大社が確認出来るゴッドイーターの中で唯一の生き残り。ゴッドイーター最後の作戦時に犯した行為により今まで地下牢に拘束されていた。

 戦闘に於いては近接、遠距離、防御を状況に応じて使い分けられる神機と経験に裏打ちされた直感と読みを最大の武器とする。現在の勇者の中で最も多くの戦果を上げている【乃木若葉】すら凌ぐ戦闘能力を誇るが、協調性の無さと独断専行が問題視されている。

 ゴッドイーターが軸に置かれていた作戦のほぼ全てに彼は参加しており、それ故に情報提供が求められているが、彼は一切作戦に関する情報を話す事は無い為、未だに追求が成されている。

 現在は精神疾患を患っており、精神安定剤と睡眠薬が手放せなくなっている。

 

 

 

 乃木若葉

 

 14歳。使用武器は日本刀で武道の心得が有り、抜刀術と剣術を得意とする。現在の勇者の中で総合的に最も優れた勇者ではあるが、バーテックスへの復讐心からか暴走が多く見られる。

 好物はうどんで、諏訪との通信では蕎麦とうどんのどちらが優れているか争っている模様。ちなみに勝敗は全て引き分け。

 

 

 

 高嶋友奈

 

 14歳。使用武器は篭手で、四国勇者の中でもきってのインファイター。彼女の趣味がプロレスやボクシングなどの格闘をテレビで観る事で、そもそもの身体能力が高い事もあり技を再現する事が出来るので戦闘能力は若葉と同等だと言われている。

 誰にでもフレンドリーで誰にでも優しい。話し掛けに行く事が多いが気付けば自分から多くの事を話している事から、巫女の上里ひなた曰く『究極の聞き上手』。現在の千景と想真の両方とコミュニケーションを取れる稀有な存在である。

 

 

 

 土居球子

 

 14歳。使用武器はワイヤーが仕込まれた楯で、主に中距離での戦いを得意とする。が、膂力は強化されているとは言え勇者の中でも特に小柄な彼女は純粋な膂力では他の勇者に劣る為、ガサツと称される性格とは対局の技術による受け流しを主に行い、その器用さと技量は勇者トップである。

 友奈と同等クラスのフレンドリーさを持ち、想真とマトモにコミュニケーションを取れる内の1人。むしろ想真とのコミュニケーションなら友奈よりも取れる。伊予島杏とは実の姉妹と嘯く程に仲が良く、全員に発破を掛けられる存在。

 

 

 

 伊予島杏

 

 14歳。使用武器はクロスボウで武器と性格的に後方からの支援を得意とする。かつて病弱だった事も有り、運動は不得手。だが読書好き故の知識量の多さを活かし、最小の動きで最大の結果を出す。敵の弱点を見抜く能力にも長ける。

 本は恋愛小説が好きで、勇者の中でもトップのロマンチスト。勇者の中でも特に仲が良い球子とは趣味が対局であり、それ故に噛み合っている所が多く見られる。基本的に表情が変わらない想真に少し苦手意識があるが、歩み寄ろうと努力している。

 

 

 

 郡千景

 

 14歳。使用武器は大鎌で中距離から近距離を得意とする。最も『勇者でありたい』という意思を強く持っており、それ故に強い。が、かつて複雑な環境で育ってきたが故のトラウマや固定観念から精神面では脆い。

 友奈とは仲が良いが、それ以外の勇者とは交流が薄い。本来の性格が内向的な事も相まって1人の時は趣味のゲームをずっとしている。昔に想真との交流が有ったらしく、彼のゴッドイーター以前の過去を知る唯一の人。そのお陰か、あまり関わりには行かないが彼を信頼している。

 

 

 

 神機:2

 

 本来は神樹由来の武器ではなく、力のルーツ的にはバーテックス側の武器。捕食すれば常人より多少強い程度のゴッドイーターの能力を勇者と同等に跳ね上げる代わりに、様々な制約が課せられる。

 ゴッドイーターはこれ以上造れない。正確にはまだ造れはするが、それをする理由が無い。

 現在人間が造った中で、唯一バーテックスに通用する武器でもある。

 

 

 

 アラガミ

 

 かつて、バーテックスという呼称が主流になる前に使われていた名前。荒ぶる神の如き容赦の無さ、それが由来とされている。そこからバーテックスという大社が定めた名称が主流になり、アラガミという呼称は廃れていった。

 ただ、ゴッドイーターに関する用語はアラガミ呼びの時代に付けられた為、アラガミと呼ぶ事が多い。想真も稀にバーテックスをアラガミと呼ぶ事が有る。

 

 

 

 腕輪

 

 ゴッドイーターが装着している、赤い大きな腕輪。ファッションの為ではなく、神機を使うに必須である偏食因子を投与する役割を持つ。その機能が停止すると体内のオラクル細胞に侵食され、バーテックスと成る。

 心臓や頭と並ぶ大きな弱点だが、当たれば終わる心臓や頭とは異なり、やられればバーテックス化してしまう腕輪の方が弱点としては大きい。

 

 

 

 ゴッドイーターの身体

 

 バーテックスの因子を投与されているだけあり、身体能力は普通の人間より遥かに良い。五感や治癒能力も常人より強化されている。

 だが、戦時中のゴッドイーターは常に戦場に居るというストレスと仲間の死が日常茶飯事という環境のせいで精神的ショックを受ける事が多く、それ故に無痛症や摂食障害に陥る事が多かったという資料が残っている。

 

 

 

 旧型神機

 

 『新型神機』の登場を受け、従来の神機を指す時に使用されるようになった呼称。近距離型と遠距離型が存在する。

 想真が使う新型神機とは違い、変形機構を持たない。近距離型は装甲を装備できるが、遠距離型は構造の関係上装甲を持たず、回避主体にならざるを得ない。

 遠距離型は『オラクル細胞』を射出する事で銃撃をするのだが、射出する事で減少するオラクル細胞を回収する機能を持たないので神機の自己修復を待つ間は攻撃出来ないデメリットを持つ。自己修復にも限界は有る為、長期の連続運用が見込まれる際は携帯用のオラクル細胞を携行するのが一般的である。

 

 

 

 オラクル細胞

 

 バーテックスの出現により発見された、バーテックスを構成する『思考し、喰らう細胞』。バーテックスの活動が停止すると霧散し、オラクル細胞は消滅する。

 1つ1つの細胞ごとに生命活動が完結しており、その点では単細胞生物に近しいと言える。遺伝子としてDNAを保持しておらず、人類などのDNAと炭素をベースにした生物とは根本的に構造が異なる。

 【捕喰】に特化した極めて特異な器官を細胞壁状に所持しており、あらゆるモノを取り込んで【喰らう】事が出来る。

 

 

 

 旧型神機:2

 

 遠距離型が消費し、携行して持ち込んだオラクル細胞の補充には時間が掛かる為、実戦での補充はほぼ不可能である。

 一方で近距離型は【刀身パーツ】によるオラクル細胞の随時回収が可能だが、それを放出する事は出来ない。だが近距離型が回収したオラクル細胞を遠距離型への補充に充てる事が出来る為、複数回の戦闘や長期戦闘が想定される任務では両者が組み合わされる事が多い。

 となってはいるが、ゴッドイーターの任務は殆どが遠征だった為組み合わされる事が当たり前であり、近距離型ならまだしも、遠距離型が単身になった場合任務の成功率と生還率は著しく下がってしまうものだった。

 

 

 

 天空恐怖症

 

 バーテックス初襲来の際の生き残りがなってしまう可能性のある精神疾患。特に目の前で家族や友達、恋人を喰われた者がなりやすいとされる。

 通称【天恐】と呼ばれ、その症状により4つのステージに分類される。

 

 ステージⅠ 外を出歩く際に空が見られない。

 

 ステージⅡ 外が出歩けない。

 

 ステージⅢ 寝ている事が多くなる。ほぼ手遅れ。

 

 ステージⅣ 発狂し、何らかの手段で自死する。

 

 今はステージⅢ後半に差し掛かると安楽死させる選択をする人が殆ど。ステージⅢに上がってから天恐が治ったという事例は無い。

 その特異さから、空からバーテックスが毒電波を放出しているのではないか、という見解を示す研究者も居る。

 

 

 

 藤木アリサ

 

 使用神機:ロングブレード・ブラスト(新型神機)

 

 享年14歳、戦闘中に腕輪が破損。侵食によるバーテックス化を防ぐ為に死亡、KIA(戦死)となった。

 

 想真と同じく新型神機を割り当てられた少女にして、想真の恋人。当時は新型神機の動作が不安定であり、それ故に2人纏めて生存率が最も高い第一部隊へと配属された。

 性格はとても社交的でありながら礼儀正しく、常に敬語だった。面倒見も良く、基本的に1人で行動していた想真を部隊の輪の中に引き込んだのも彼女。配属された順的には想真の方が早い為、想真を『ソーマ先輩』と呼んでいた。

 徐々に厳しくなっていく戦況の中でも絶やさずに笑顔を浮かべ、戦っていた彼女の姿勢に惹かれた想真は告白、晴れて恋人の関係となった。

 だが、リンドウと朔夜の死から壊れていき、ゴッドイーター壊滅直前には精神を病み、泣く事が出来なくなり、更に推測ではあるが無痛症も発症していたとの事。その為、常に最前線で戦い続けたが為に疲労が蓄積し、その疲労に気付けず腕輪が破損するに至ったと思われる。

 腕輪の破損によるバーテックス化を防ぐ為にアリサは想真に自らの介錯を要求、それを受け入れた想真により短い人生に幕を閉じた。

 

 その願いにより数年の間幻影として想真の夢に現れ、想真を苦しめていたがアリサの名前を呼ぶ事で決別。形式的に小さな墓を勇者達と丸亀城の一角に作り、定期的に墓参りをしているらしい。

 

 

 

 介錯

 

 ゴッドイーターの隊長に課せられる、2つの使命の1つ。内容は腕輪の破損や他の理由によってバーテックス化したゴッドイーターを殺す事である。

 隊長が既に死亡している場合は、隊の中で最も階級が高い者が介錯を行う。となっていたが、途中からはバーテックス化の兆しが見えた瞬間に近くに居る隊員が行っていた。厳しくなっていく戦いの中で、規則が形骸化していた事の何よりの証明である。

 

 

 

 回収

 

 ゴッドイーターの隊長に課せられる任務の1つ。介錯と回収を合わせた2つの任務は【特務】と呼ばれる。基本的に一般隊員には秘匿され、隊長にのみ公開される。

 回収の内容とは進化体バーテックスの中に有るコアを摘出し、大社へと持ち帰る事である。新たな神機を作る為にはバーテックスのコアが必須な為、この任務が課せられた。

 しかし、ある時を境に進化体バーテックスの体内からコアが無くなり、回収は名ばかりの任務となり、特務は実質介錯のみとなった。

 今ではその特務すら無いも同然なのだが。

 

 

 

 ゴッドイーターの成り立ち

 

 バーテックスの襲来に際し、神樹が現界した。神樹はその超常なる力を以て無垢なる少女を【勇者】とし、人類の守護の任を命じた。

 大社がしっかりとした形になる以前、神樹を信じなかった神喰らい派と呼ばれる一派が、当時は存在したバーテックスのコアを研究し造り上げたのが【神機】である。それによりゴッドイーター部隊は創設されたが、ゴッドイーター壊滅の数ヶ月前に神喰らい派は対立する勇者派に責任を追求され、処刑された。

 

 

 

 ゴッドイーターの追加

 

 ゴッドイーターを造る為には【神機】が必須である。その神機を造る為にはバーテックスのコアを使わなければならないのだが、自分達のコアを人類に流用されていると察知したバーテックスがコアを改造し、基本的に撃破するとコアも霧散するようになった為、コアの入手が厳しい今はほぼ不可能とされている。

 

 

 

 軍

 

 かつて日本に存在した自衛隊の成れの果て。科学技術で国を守ろうとしていたが、バーテックスの力に敗れた事で大社の采配により警察と合併され、自警団としての役割に就く事になった。

 

 

 

 ゴッドイーターの死生観

 

 ゴッドイーターはバーテックスの襲撃により天涯孤独の身となった20歳未満の者達を集めている。戦いの中で死生観は歪んでいき、そこから想真の『ゴッドイーターは捨て石』という考えが生じていった。

 

 

 

 戦時中の戦況

 

 ゴッドイーターは当初バーテックスとの戦争は優位に事を運んでいた。だが、ゴッドイーターの一部がバーテックスとの和解を唱え離反。それにより戦況は五分となったが、あくまで五分五分であった。

 ある要因が引き金となりゴッドイーターは壊滅的な被害を受け、殆どが戦死したとされている。

 

 

 

 名前付き

 

 戦時中に現れた進化体の中には特殊な個体も存在した。特に分かりやすい見た目をしていたり要注意の能力を持つバーテックスは名前付きと呼ばれ、個体名を付けられていた。

 

 

 

 神機の特性

 

 神機はバーテックスのコアを利用して製造されている。それ故にバーテックスの特性を色濃く受け継いでおり、捕食したモノの特性を利用し、自らを変異させる事が出来る。それがどんなものであっても。

 

 

 

 精霊の力

 

 勇者が降ろす事が出来る力。精霊と呼ばれてはいるがその力は神の力であり、強大な力を降ろして戦う事が可能。

 だが、神の力は人には過ぎたる代物である。精霊の力の反動は精神に作用し、マイナス面での幻覚や幻聴が症状として上げられる。今の所対抗策は見つかっていない。

 

 

 

 神機の変異

 

 橘想真の神機にのみ顕れる現象。元から神機に備わっている機能である変形とは違い、神の力を喰らって初めて成立する。

 その機能のロジックは単純であり、発動させる条件は神機を用いて勇者の使う神器を喰らう事。だが、これは力を借りている訳ではなく『喰らっている』為、神器を喰われた勇者は勇者としての力を失う事となる。

 現在、土居球子の【輪入道】と伊予島杏の【雪女郎】の力を喰らっている。

 

 

 

  大社の代替わり

 

 橘想真の活躍と勇者2人の死により、橘想真の戦略的価値を見直した大社は幹部を総入れ替えする事となった。その原因には元々ゴッドイーター設立の経緯が後暗い所が多々あるという弱みを突いたという点もある。

 本来は橘想真を表舞台に立たせ、ゴッドイーターという存在を勇者と近しい──つまり、誇り高いものとして民衆に知らしめるつもりだったが、そんな折に橘想真が殺人事件が起きた事によりゴッドイーターは本格的に大社の機密として情報の流出が恐れられる事となった。

 

 

 土居球子:2

 

 完成体バーテックスとの戦闘の際伊予島杏を守り、共に死亡した。明るく活発で丸亀城下では民衆に慕われていた為、葬儀には彼女を慕う者や仲が良かった者、話してみたいと思っていた者が集った。

 負傷した際、自分の傷と毒により落命を悟り、橘想真に自らの神器を託して逝った。享年14歳、早過ぎる死であった。

 

 

 

 伊予島杏:2

 

 完成体バーテックスとの戦闘の際に土居球子と共に落命した。

 だが、彼女の知識と類稀なる観察眼により遺された勇者たちの記録は大社により厳重に保管されている。精霊の改良に利用されているが、その作業はかなり難航しているらしい。

 

 

 

 郡千景:2

 

 享年15歳にして、壮絶な死に様であった。

 戦いの最中、危機に陥った橘想真を庇って戦い続ける。限界を超えて戦闘を続行した事により勇者の治癒力で治せる範疇を脱し、その結果死亡した。

 最後の戦闘の以前は精神的に不安定となっており、それ故の短絡的な行動も多かったがある時を境に落ち着きを取り戻している。タイミングは橘想真による殺人事件の直後であり、その中で何かしらの出来事があったと思われるがどちらも黙秘した為、真相は闇の中に葬られた。

 乃木若葉曰く、「最も人間らしい勇者」である。

 

 英霊

 

 勇敢に戦い散っていった勇者の御魂は神樹の中に迎えられ、土地神と共に人の営みを見守っているという。

 実際に高嶋友奈の遺体が樹海の中から消えていた事から、魂は迎え入れられている事は判明したがその理由等は未だに不明のままであり、大社の一部からはそれによって神樹を疑問視する声も上がっている。

 

 

 

 高嶋友奈:2

 

 バーテックスとの戦闘時に橘想真を庇い、死亡した。本来は彼女ではなく橘想真を狙っての攻撃だったが、彼女はその矛先を自らに向ける事で命と引き換えに橘想真を存命させた。

 彼女の中には今まで彼に助けて貰ってばかりだった、という負い目にも似た感情があり、その感情故の行動だったと予想される。死体は見付からず、更に勇者の力が霧散した痕跡すら発見されなかった事から神樹の中に迎えられ、英霊になったと考えられる。

 

 

 

 荒御魂、和御魂

 

 本来は神が持つ2側面の事。言ってしまえば荒御魂は神の荒々しく災いを振り撒く側面であり、和御魂は神の持つ優しさや平和的な側面の事。

 これに準えて神樹を構成する人に味方する神霊を和御魂、人類に敵対する神々を荒御魂と呼称する。

 これは勇者が扱う精霊にも適応され、その神霊を構成する逸話が荒々しく在ればある程に直接的な破壊力が増し、その代償に齎される反動は大きなものとなる。

 和御魂の特徴はその特性を反転させたものとなる。が、破壊力では劣る代わりに荒御魂には無い特徴として、勇者との親和性によりその神霊と関連する精霊との契約を結ぶ事も可能である。

 圧倒的な破壊力の代わりに拡張性が無い荒御魂寄りの神霊と、破壊力では劣る代わりに拡張性が高く、応用が利く和御魂寄りの神霊。このどちらと契約するかはその勇者の資質に依る所が大きいとされる。


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