鉄血のオルフェンズ 赤い悪魔、翼を開いて 作:カルメンmk2
遅れましたよ、すみませぬ!
FGOのぐだイベの景虎ちゃんが恐カワイイのがずきゅんときちゃいました。ちゅーか、柴田の爺様かっこよすぎです。
今回は大勢こそそこまで変わらないですが立ち位置が変わる方が出てきます。
Where the justice?
言うなれば、『どこまで許される?』 でしょうかね。
――ドルトコロニー群・ドルト2は工業を主体とした第二次生産系のコロニーである。
コロニー一つがほぼ生産系施設とそこで働く労働者が生活する環境。港からの超大型エレベーターからは整然とした街並みを展望でき、工業コロニーという重厚な威圧感を感じさせないような街。言うなれば工業の盛んないい街にしか見えない。
――というのは表向きの話でしかない。実際は低賃金で旧地球時代の植民地労働者の苦しみを彷彿とさせるような劣悪極まる環境が隠されていた。
大通りを歩けばショッピングモールやウィンドウに並べられた小綺麗な服飾品。めかし込んで歩く母娘に人の良さそうな父親。カフェテラスではカジュアルな服装に身を包んだ若者が談笑する。
そして大通りから路地裏へと向かう道。途中にある曲がり角を除けば惨憺たる光景が目に焼き付く。
すえた臭いを振りまくホームレスに痩せこけた大人たち。擦り切れて穴だらけな衣服を盗まれないよう、ぎらついた眼で守る子ども。それを狙う別の子ども。
酷いところでは餓死か衰弱死した死体が丸裸で放置されているなんてこともある。
「――これが………地球圏なのですか……?」
ノアキスの七月会議で一躍有名となった革命の乙女、クーデリア・藍那・バースタインは目の前に映る現実に目を背けそうになった。大勢の少年たちに囲まれ、なんということはないという風に眺める鉄華団の彼らの異常性に気づかず、クーデリアは地球圏という恵まれた環境への幻想が悉く打ち砕かれていった。
スラム街を知らないというほど、クーデリアはお嬢様ではない。かつてはフミタンに
「あのおっさんたちの話は本当だったみたいだな」
今までもスラム街とはそういうものなのだと納得し、今度は護衛としてCGS――鉄華団の彼らについて来てもらっている。
そもそも、事の発端は鉄華団がテイワズから頼まれた初仕事から来たものだった。工業用資材の名目でドルト3付近に係留されている資源衛星に持っていけと渡されたコンテナには最新式のアサルトライフルや対装甲火器。ミサイルやモビルワーカー。モビルスーツ用の武器弾薬が満載されていた。
不幸中の幸いであったのは、積み荷を早く運びたいと焦った労働者―――いや、武装デモ隊の一員が先走って確認に来たことだろう。衛星についてからであれば、あの武器はデモ隊の手に渡り、鉄華団はテロ行為の片棒を担いだと言われても可笑しくなかった。
実際、デモ隊の責任者だというナボナ・ミンゴという男の眼は危険な輝きを孕んでいたし、衛星で対面した直後にギャラルホルンの憲兵が突入してきている。
テイワズに確認すると武器の引き渡しを拒絶し、メリビットにタービンズとドルト6のテイワズ地球支部へのコンタクトを取ってもらおうとしているが理由をつけられて遅々として進まない。
その最中に、ナボナからなぜ自分たちが武器を取るのか? その理由が街の裏路地にあると言われ、クーデリアはオルガやビスケット、ユージンら幹部クラスを抜いた面々で調査に向かった。
「火星と変わらねぇな。地球圏ってのはこんなに酷いのか?」
「いや、コロニーだからじゃないか?」
シノの言葉にダンテがそう返す。ダンテも幼少期にヒューマンデブリにされてしまい、以前の事はよくは知らない。わずかに覚えているのは海賊にさらわれたことと場所もはっきりしない所で生活していたぐらいだろうか。
要領を得ないダンテの言葉に、シノはじゃあ地球に降りれば違うのかと納得しかけるが待ったがかかる。
「違ぇよ。だいたい、どこのコロニーも同じようなもんだ」
「………マルバ……社長」
「もう社長じゃねぇよ」
マルバ・アーケイがうんざりするような目で裏路地を眺めていた。もともと、ドルトで金の受け取りをすます予定だったマルバは急遽イサリビへと乗船し、口座の確認をする予定
過去形なのは、金を支払ってくれるはずのエンマルク・ドルポンドがギャラルホルンに拘束されたという情報を知り、決して少なくない額を受け取った自分にも疑いがかかると踏んで確認を諦めたのだ。
何よりも、事前にドルポンドからの命令もあったというのが理由でもある。
「地球圏と圏外圏なんて分けているが実際は地球に住んでいる奴らが宇宙に送った奴から搾取しているのが現実だ」
「クーデリアみたいな奴はいねぇのかよ?」
「
マルバの考えは概ね合っていた。実際、バーンスタイン家をはじめとしたノアキスの七月会議に出席した名家の連中は本を辿れば、地球から火星をコントロールできるように送り込まれた執政官だ。
初期から中期の彼らは意図的に差別と暴動を引き起こさせ、ギャラルホルンを使って鎮圧という名目で危険人物や団体の処理を行っていた。
後期になれば火星への愛着も湧き、地球からの命令を拒絶するようにもなる。現在に至ってはクーデリアのように独立を叫ぶ存在が出てくる始末だ。飼い犬に手をかまれた、と言っても間違いではない。
「人間ってのは下がいるから安心できる奴が大半だ。俺はマシだとか、あんな惨めな奴にはならないとか考えて嘲笑うのさ。すると不思議なことに現状に満足する奴らが増えるって、寸法だ」
「気に入らねぇな」
「そうだな。お前みたいなやつが連中とは違う、弱い奴を助けるんだとか言って、最終的にギャラルホルンに目を付けられちまうんだがな」
火星で起きている鎮圧という名の弾圧は先に話した通りの思惑と、他のコロニーへの示威行為の意味も含んでいる。
「ドルトカンパニーの連中は生贄なのさ。他に燻ぶっている連中への見せしめだ」
「ならッ! 止めなければ!!」
マルバはクーデリアを世間知らずのお嬢様と思っていたが、いざ実際に軽くでも話すとカリスマ性を感じさせる聖女、あるいは救世主といったものが感じられた。
――だが、そういった人物が今までマルバの知り合いや情報網に居なかったわけではない。玉石混合とはいえクーデリアのような存在はいたのだ。
「確かにそうだよな。目当ての武器は俺達が持ってるわけだし……」
「………ふむ(こいつァ………信奉よりも畏怖のほうが来ちまうな)」
長い人生と傭兵経験から、クーデリアは無自覚に人を熱狂へと誘ってしまう誘蛾灯だと結論付けた。彼女が悪いわけじゃない。少しでも冷静で、知恵を持ち、止まって考えることが出来るのなら引っかかることなんてない。
ただ、現状、地球に住む人間と宇宙で教育を受けられる限られた連中は人類の半分未満しかいない。ほとんどは冷静でもなく、知恵もなく、止まって考えることが出来ないぐらい困窮した人間が多い。
「止められるんじゃねぇか?」
「シノ……どうやって止めるんだ?」
「そりゃあ………えっと……どうにかしてだよ!」
義憤に駆られるシノだが、ダンテがどうやって止めるのかを問いただす。何も答えられないシノは勢いだ! と良く言えば臨機応変、実際はどうしようもないぐらいの行き当たりばったりで解決するんだと主張する。
マルバとしては多少の恨み辛みもあるが、今となっては負い目も感じている。やり方次第でもう少しいい関係になっていたかもしれない。
義憤に駆られて、弱者を助けに行く。そんな青臭いガキみたいな考えに憧憬と羨ましさを感じつつ、マルバは忠告することにした。
別にここで潰れてもいいが、ドルポンドからの命令もありここで終わらせてもいいのか悩むからだ。
まあ、本心では鉄華団を気に入っているレッド・ウェイストや名瀬・タービンの報復を恐れていたというのもある。
「止めるのは無理だな」
「なんでだよ」
「ナボナってやつがギャラルホルンに立ち向かうクーデリアと鉄華団が来てくれている! なんて喧伝するに決まってるだろ。何より、GNトレーディングス、だったか? アレもクーデリアからの支援って言ってるだろうしな」
――あのギラついた眼ってのは、もう覚悟が決まっちまってる証拠だ。
平坦な声で諭されたナボナや取り巻きの連中の雰囲気を思い出して、クーデリアは白い肌をさらに白くした。
「――アーケイ氏」
「なんですかな?」
「私のせいなのですか?」
「………」
「私が……私がノアキスで行った演説と行動が、このような事態を生み出してしまったのですか?」
「………さあ?」
「マクマード・バリストン氏からも言われています。私の進む道は多くの争いと悲しみを生み出すものだと」
震えながら問いかけるクーデリアを慰めるのなら、そうしなくとも誰か何時かは同じことが起きた、などと慰められるだろう。芯があるとはいえ温室育ちのお嬢様で頭の回る立派なガキなのだ。どこかで大人の許しとか後押しを求めているのは仕方なのないことだろう。
だが、マルバはそんなに優しくなれるほどの経験はしていない。
「それを理解して飛び出したんでしょう? うちに依頼したんでしょう。鉄華団に依頼の継続を求めたんでしょう?」
実際、以前のマルバも損得勘定で仕事を請け負っていた。そこそこ大きい
そんなところに来たのがクーデリアの護衛依頼である。火星の惨状の証拠だということで少年兵を有するCGSに依頼が舞い込んできた。彼らと共に地球に降り立ち、世界に是非を問いかけて、人情に訴えてアーブラウと交渉を行う。
なんて素敵で、美しくて、優しくて―――クソの役にも立たないガキの妄言なんだろうか。
「大人の世界ってのは人情も道具なんですよ。自分を飾るための道具です。私はこんなに善い事をしているがあいつはそんなことをしない人間のクズだって、プロパガンダなんですわ」
「それは………!」
「アーブラウの議長―――いや、元議長の蒔苗はとんでもない腹黒狸ってドルポンドさんから言われましたぜ。今頃、ドルト2の暴動の事で子飼いの議員を使いアフリカ・ユニオンを脅してほくそ笑んで眺めているでしょうな」
この情報は歳星からの出発前にドルポンドから教えられたものである。こういった情報はマルバ程度の経営者では事前に知ることなど不可能なものだったりする。レッドが詳しいのは多方面に伝手を持ち、維持するための価値を示しているからだ。本来であれば事の全てが終わった後に全体像を察するというものだ。
さらに火星圏に情報が届くのは通常最短でも三日はかかる。星間通信の最高ランクなら数時間まで下げられるだろう。伴う費用はCGSなら半年で破産するほどの金額だろうが……。
「これらも含めて考えるべきですな。議長選に急ぐために見て見ぬふりをするか。議長選も間に合って、ドルト2の暴動も止めるという根拠のない奇跡を狙うか」
「言い過ぎだろうがッ!!?」
「現実を見ろってんだよガキ共。運び屋の仕事だってある。渡せば暴動で死人が出る。渡さなければテイワズからの信用を失う。
どちらに転んでもケチが付き、無視するには重い負債が付きまとう事になる。
ドルポンドの試験はここからだとマルバは言葉を続けた。
「よく考えることですな。革命の乙女……その名前がどれだけ膨らんでるか理解する必要がある」
☆☆☆―――――☆☆☆
――かつてを振り返るなら私はあの時、あの瞬間まで理想を夢見る少女でしかありませんでした……。
後年、クーデリアはその時のことを語るのに必ず告げる言葉である。
クーデリア達は重い足取りでデモ隊がいる場所まで向かった。
デモを行う場所に近づくにつれ、妙な胸騒ぎが彼らを襲う。いや、胸騒ぎではなく迸る高揚感。あるいは無敵感や情熱だろうか。その感覚は彼女らを強く蝕んでいた。
「………マズいなこりゃあ……」
「暴動の一歩手前じゃないか? 殺気立ちすぎてるだろ」
「っ………!」
プラカードや横断幕、人を乗せた作業用の重機が混ざって、油や煤などに汚れた老若男女問わずの労働者たちがドルトカンパニーへシュプレヒコールを上げていた。正面玄関にはすでに武装したギャラルホルンの治安維持部隊が展開しており、銃口こそ向けていないが剣呑な気配からいつでも掃射できる態勢であることが伺えた。
クーデリアはこの現状を見て、なおのこと恐怖にかられた。それと同じぐらいに安堵感もあった。運んできてしまった
「すぐに離れたほうがいいな。誰かに気づかれでもしたら、囲まれて身動きが取れなくなる」
「賛成だ。クーデリアさん。ここはイサリビに―――」
シノたちの判断は正しかった。この場を離れるのが双方ともに一番であると理解していた。クーデリアがデモ隊に知られれば、嫌が応にも前へと推し出されて彼女の存在がここだけでなくコロニー群全域に露見することになる。
その後は革命の乙女が来たという事実に後押しされたデモ隊が少しのきっかけで暴徒と化すのだろう。
後ろ髪を引かれる感覚を覚えるもクーデリアは見つからぬうちに去ることを決めた。本心であれば声を揮いあげてドルトカンパニーの上層部を糾弾したい。
だがそれは火星の経済自由化だけの問題ではなくなる。クーデリアが行いたいのは火星のハーフメタルの自由化であり、経済的依存を地球圏から脱却することで火星を一国家として認めさせ、経済圏の介入を牽制し諸問題に対応していく―――そんな理想があった。
(私は無力です)
革命の乙女ともてはやされ、事なかれの父親から交渉役の務めを
――現実は真逆だった。
(父は私をギャラルホルンに売り渡すような男でした。母は温厚で優しかったが外の現実を見ないようにしていた無気力な女だと思っていた。でも、二人とも本当はこんな状況を知っていたから? 動けばいずれはそうなると予測していたから?)
実のところはノーマン・バーンスタインは自治領主の席をはく奪されるのを恐れていたこと。朋美・バーンスタインにおいては単純に興味がなかった。さらに言えばそんなことをしても無駄といった諦観があったというのが真実である。
クーデリアの考えすぎでしかないのだが、自身を諫めていた両親の姿がまるでコールタールのようにクーデリアにまとわりつく。見捨てて地球に急げと囁く。今ならドルトのせいで地球周りは手薄だと誘う。
クーデリアは芯の強い少女であるが、それでも大人と胸を張って言えるほどの経験は皆無である。ここ数か月の逃避行は夢見がちな少女にちょっとしたメッキをするのに十分なものであったがここに至ってはメッキも剥がれてしまった。
(ちぃっとばかし刺激が強すぎたか)
白磁のように白い肌をさらに白くし、僅かばかり震えている手足を見てマルバは荒療治が過ぎたかと黙考する。ドルポンドはクーデリアの真価を測れと言うが本音は面白おかしくしろというものに違いない。火星の金持ちがアンダーグラウンドの
血も涙ものない男ではないが、優しいだけでは生きてけない世界で頂点に君臨し続けている怪物。もしかすればギャラルホルンに捕まったというのは暇だからわざと捕まったのではなかろうか? あるいは―――
(いけねぇな。あの手の依頼人に深入りすれば破滅しか待ってねぇ……。とりあえず、クーデリアをこの場から引き離して―――)
これ以上追い詰めても、ドルポンドの不興を買うだけかもしれないと最後尾――つまり、路地の奥側に居たマルバはイサリビへ帰ることを促そうとした。
しかしその言葉は出なかった。なぜなら、背後で物音がしたからだ。
「なんだ……?」
「クーデリアを囲め。デモ隊かもしれない」
「「「おう!」」」
かつての訓練の成果は生きていたようで、すぐさま、シノ達はクーデリアを守るべく囲んだ。物音の主がはぐれたデモ隊であるなら、気絶させてこの場を去るほかない。
ダンテとシノが矢面に立ち、位置関係でマルバが先頭に立つ。でっぷりと肥えた体ではあるがその下には年齢と見た目の割に筋肉が多くついている。
貧乏くじを引いたな、とマルバが路地の奥を警戒しているが何も出てこない。奇襲を狙っているのか、デモ隊の近くを通って逃げる算段を立てているとよたよたとわき道の影から浮浪者らしき人間が現れた。
手に板のようなものを持っている。だが、その眼つきや雰囲気はおかしいものだった。言うなれば薬物中毒が重症化して夢から帰ってこれなくなってしまったようなものだ。
「止まれッ。それ以上近づくんじゃねぇ!」
「うひ、っ……うへへ……」
浮浪者は止まらない。くぼんだ目とこけた頬に垢塗れの異臭を放つ姿に一番近いマルバは顔を顰める。あまりの悪臭に火星であったならもう撃ち殺して犬の餌にしていたことだろう。
ふらふらと歩いてい来る浮浪者の腕は肘の内側辺りが青紫色のまだらになっていた。
「
「守りを固めろ。動けないように仕留めねぇと反撃してくるぞ」
ブルワーズとの白兵戦でもそうだったが薬物で恐怖心や痛みを麻痺させた人間は危険なんて顧みずに襲い掛かってくる。
もし、腹に爆弾なんて巻き付けていたら一緒にお陀仏だろう。戸惑いもしないだろうし、むしろ抱き着いてくるかもしれない。妙なふくらみは見えないため、手に持っている板状の何かがソレなのだろうか?
「け、ひぅ―――――」
「…………ぶっ倒れやがった」
正確には股座をいきり勃たせて、腰を浮かべて大きく痙攣している。心なしか汚れ塗れズボンに染みが出来ているような気さえする。
そんな男のエクスタシーなど一度も見たことがないクーデリアは耳まで真っ赤にして両手で顔を覆うが、周囲は呆れたように気が抜けかけている。
しかし、そんな状況も男が持っていた板状の何かからの声で一変した。
『―――初めまして。革命の乙女』
「!」
護衛の一人がナイフでひっくり返すとそこには【SOUND ONLY】の文字が映し出されていた。ごくごくありふれたタブレット端末だ。ここにいる誰もがそれを見たこともあるし、利用したこともあった。
人間味など感じない抑揚のない機械仕掛けの声が一同の耳朶を打った。
同時にクーデリアは何か、言いようのない………いや、悪寒。嫌な予感。虫の知らせ。そのようなものを感じ取った。
無視して戻るべきと提案するマルバの声がどうしてか遠くに聞こえた。
――聞かなければならない。そうしないと取り返しのつかないことになる。
「何者ですか?」
『名前は名乗れぬためご無礼をお許しいただきたい。我々は――――』
クーデリアは己の直感を信じた。デモ隊の怒声と罵声の騒音を背後に機械音声の言葉がクーデリア達から、騒音を奪った。
――我々は革命軍。貴女方に協力していただきたいことがある。
――もちろん、ただとは言わない。
――報酬は………彼女らの命でどうだろうか?
画面に大きく映し出された拘束されたアトラ・ミクスタとフミタン・アドモス……そしてビスケット・グリフォンと見知らぬ痩せぎすの男。
そして彼らに銃を突きつけるナボナ・ミンゴたちの姿だった。
というわけで、ナボナとサヴァランの立ち位置が微妙に変化しました。
そして名前だけ出ていた革命軍も登場です。
ぶっちゃけ、革命軍討伐の為に
じゃあ、解説いきますよい。
『マルバについて』
そもそもドルトで金を手に入れたら適当に離脱する予定―――ではなく、モンタークのトドのように、ドルポンドのスパイとして事の終わりまで行くことになってしまった可哀想な人。
見た目は肥えたおっさんだが、相撲取りのようなもので皮下脂肪の下には分厚い筋肉が顕在している。
『クーデリア・藍那・バーンスタイン』
いっぱい台詞があってよかったね! じゃなくて、本作のドルト編では原作と違いデモへの参加をせざるを得ない状況になっている。
誰にでも優しい。特に身内には優しい部分を狙われてしまった。ここで革命の乙女として労働者を扇動し殉教するか? 指導者として不興を買ってでも未来のために生きながらえるか?
自らの行動でおびただしい量の血が流れることを彼女は自覚する。
『ナボナ・ミンゴ』
原作と違い、完全に一線を越えてしまった可哀想な人。
優しいという点は変わらないがそれ故に付け込まれてしまった。
武装してデモを行うのと脅迫するのと何が違うのか?
『武器供与の拒絶』
原作とは違い、武器類はイサリビ内にて厳重封印されている。これは先走った連中がいたためである。
オルガ達は小型ランチで資源衛星コロニーに出向いており、イサリビは普通に港で停泊している。
『ドルトのスラム』
火星と大して変わらない―――のだが、アフリカ・ユニオンによる情報操作と隠ぺいにより、表立って報道されることはない。
なぜならドルトの住民はその惨状を知って見て見ぬ振りをし続けているから。後ろめたいからではない。彼らが犠牲となることで自分たちの安寧が守られていると確信しているからだ。
ゆえに彼らはこう思う―――俺たちの為に死ね――と……。
『革命軍』
出身で差別し、地球優位主義を撤廃させる。
元ギャラルホルンの連中が主体となってできた反政府勢力。今となっては海賊や傭兵などを抱え込み、無駄に規模のデカいテロリスト集団となっている―――はずだが?
なお、ナボナとはストライキやデモを始める前から接触しており、デモ隊を肥大化させたのもドルトを占領するための布石である。