鉄血のオルフェンズ 赤い悪魔、翼を開いて 作:カルメンmk2
結構な尻切れトンボですが作者の限界でございます。許せ(イケボ
予定としましては次話でイサリビ合流とガエリオ参戦まで行きたいと思います。
――鉄華団と革命の乙女クーデリア・藍那・バーンスタインがその頭角を示したのはエドモントン事件であると言われているが私はそうは思わない。
――聡い人間はドルト事件に介入したことで彼らを新時代の嵐と認識したのだ。
――善き隣人だけでなく、悪しき隣人たちも。
火星独立運動史『ドルト事件』より抜粋
鉄華団がビスケットたちの奪還作戦を開始する少し前のこと。
アフリカ・ユニオンの大統領ウングラバ・チェザーレはドルトコロニー群を囲むように展開するギャラルホルン統制局の艦隊と
「我々の主権が脅かされています。大統領! ギャラルホルンといえど、今回の軍事行動にはアフリカ・ユニオンの国際的な信用と―――」
「………(身の程知らずの小僧が。何を言うか)」
「それにドルトカンパニーは我が連合国において上位に入る外貨獲得を行っています。これ以上の醜聞は国にも企業にも! 惹いては地球圏の経済に悪影響が及ぶでしょう。早期の解決を求めます!」
熱く、何か熱に浮かされてでもいるのだろうか。若手の――といっても30代半ばの議員の声はそれほど心に来るものはない。アフリカ・ユニオン内にいる彼を支持する者たちや現在の首脳部を蛇蝎の如く嫌う連中からすればそれはそれは気持ちよく聞こえることだろう。
なにせドルトカンパニーは彼らに多額の献金を行い、コロニービルダーの権利すら手に入れた一種の議員御用達の天下り企業なのだ。
ウングラバは自己の利益しか考えない彼らを嗤うことなどしない。自分自身も親族やシンパをねじ込んだ国営企業や企業グループ体に相応の汚職をやっている。それが非難されないのはそこそこの甘い汁を吸い、殆どを国に還元するように言い含めているからだ。
「地球に現存する四つの国家はそれぞれ最低限の自衛軍しか持ちません。武力のほとんどはギャラルホルンに肩代わりしてもらっており、国防省からはドルトコロニーに潜伏するのは革命軍とそのシンパでモビルスーツを保有している可能性が示唆されています。自衛軍を動かした場合、周辺国との間に大きな摩擦が生まれる懸念が―――」
(そう。それが問題なのだ)
このシナリオを裏で操っているのはギャラルホルンのバグラザンかファルク、エリオン、ファリドのどこかといったところか。
いや、評判と能力的にエリオンかファリドだろう。
(もちろん。コロニー出身の
なによりもこの騒動で一番得をしているのはアーブラウだ。ドルトカンパニーの商品がアーブラウと重なる部分が多い。騒動が続いて供給困難に陥れば最後に嗤うのはアーブラウ―――蒔苗東護ノ助なのだ。
アフリカ・ユニオンはこの騒動を収められず、ギャラルホルンに丸投げし血の粛清を行った旧時代の独裁国家の
(この場にも奴によって踊らされてる連中がいるな)
好機ととらえて私を大統領の座から引きずり降ろそうとする
(今日は飲もう。キツイ奴を飲む)
顔や口に出せば負けだから耐えるしかないこの身の不幸を癒すため、酒に救いを求めてもいいだろう。掛かりつけの医師からアルコールを控えるように忠告され続けてるがコレがないとやっていられない。
「(まぁいい。私が大統領を辞するときはお前たちも道連れにしてやる)それについてお答えします。今回の――」
ウングラバによるドルトの暴動事件。アングラでは血の粛清と揶揄されるそれについて、説明とギャラルホルンによる内政干渉。他経済圏による間接的な関与を示唆するなど火消しに奔走することとなる。
その後、怨敵アーブラウのエドモントン事件後、彼は政治の舞台から姿を消すがそのすぐ後に少なくない数の議員や企業関係者が相次ぐ不審死をすることなる。
ウングラバによる暗殺とも噂されたが、当の本人は同時期に原因不明の奇病によってこの世を去ることになるのだった。
☆☆☆―――――☆☆☆
一方でドルトコロニー群周辺宙域には近年では久方ぶりに見る規模で大艦隊が編成されつつあった。
ハーフビーク級14隻、大きな帆のついたスキップジャック級1隻、ハーフビーク級に似た鋭いフォルムの艦影。
通称バラクーダ級と呼ばれることが決定している船が6隻。
合計で21隻もの数がドルト周辺に集結していたのだ。
そのうちの1隻、ステンジャ家の家紋の付いたバラクーダ級の艦橋で女が仏頂面をモニター向こうの男に不満をあらわにしていた。
イーリス・ステンジャ、その美貌と勇敢さから
「それでこの陣容であると?」
『統制局預かりの作戦にねじ込んだだけでも少なくない借りが出来ている。まあ、向こうも何かしらの手柄が欲しいとこなんだろう』
モニター向こうの男はガエリオ・ボードウィン。次期セブンスターズのボードウィン家当主となる人物だ。
ガエリオは暗に裏工作や賄賂、根回しといったものがあったことを仄めかしていた。事実、当世局の局長であるイズナリオ・ファリドが行う事業に父ガルス・ボードウィンが少なくない融資――正しく言えば金だけ払わされて得るものはないこと――をするという結果が生まれてしまった。
バグラザン家やファルク家に店子をかすめ取られぬように注意しなければならないと、ため息交じりに告げた。
「それは………いえ。こちらの我が儘が過ぎました。家のほうに話をいたしましょう」
『君と強い関係を作れるだけでも十分だ。それより、連中の追撃はこっちの任務だが?』
「強い敵と戦いたいのは武人の本望です。何より仕留め損なったのは初めての事ですから」
『同感だな。それを言うと艦長に睨まれるからアレだが、仕留め損なったのは初めてだ』
両者とも鉄華団やアウトサイダーズを狙っての参戦である。ガエリオは倒すことではなく、もう一つの目標の為に来ているのが本音だが……。
『作戦自体については?』
「ボードウィン特務三佐と同じです。―――――不愉快極まる」
『はっきりと言うな。俺も同感だが』
今回のギャラルホルンの作戦はコロニー内でクーデターを起こそうとした反政府勢力、いわゆる
あまりにも都合の良すぎるため欺瞞情報の線も探ったらしいが事実だったらしい。
『今日中に
「―――間に合いますか?」
『それはこっちも聞きたいところだが。十中八九、間に合わない。いや、間に合わさせるはずがない』
血の恐怖による統制が目的なのであって、血を流さないで降伏されては統制局も表面上は良しとするが裏では悪態をつく。これだけの艦隊を動かすのに年間予算のどれぐらい使われたのか。組織内で不満を持つ人間のストレス発散の一面もこの作戦には存在する。
さらにイーリスはバラクーダ級の艦橋から見える陣形を眺め、鶴翼の陣ではなく紡錘陣形を複数維持している状況に実際に武装蜂起するのはドルト3だと見抜いている。
(陣形の切っ先はドルト3に向いている。リビルド・アースを制圧、ないしは殲滅するのであればコロニー群を囲むように展開するのが常套だろう。願わくば一般市民の流血もなく終わってほしいものだ)
この後イーリスの願いもむなしく、一時間もしないうちに戦端は開かれたのであった。
『ところで例のモノはどうだ。間に合いそうか?』
「組み立てと調整の関係で今回はいつも通りです。お披露目は―――水際でしょう」
☆☆☆―――――☆☆☆
鉄華団の潜入部隊が綱渡り気味にドルトカンパニー本社に潜入を果たしていたころ、デモ隊と本社前を守るギャラルホルンの間には一種の緊張感。
言いかえれば必ず当たる予感、虫の知らせのようなものが走っていた。
興奮の坩堝と化している経営陣への対話、辞職を要求するシュプレヒコールの中に一部妙な動きをする人間がちらほら見え始めた。
腐っても一軍人として訓練は受けているモビルワーカーに乗ったギャラルホルン兵士はその動きを見逃さない。むしろモビルワーカーだからこそ光学レンズの機能により相手が何を持っているのかを確認してインカムを通し上官に報告、その上官も参謀へと伝える。
『
『『『了解』』』
『モビルワーカーは作業用ワーカーを狙え。突撃をされれば雪崩れ込まれる』
「了解」
手短に終えられた命令どおり行動を起こし始める。当然の反応としてデモ隊もギャラルホルンの雰囲気が変わったと誰かが囁き、それが群衆全体へと広まっていきながら静かになる。
互いに緊張が走り、人質の為に参加せざるを得なかったクーデリアと鉄華団。あるいはギャラルホルン側の工作員やGNトレーディングスの本当の貌こと火星の商人ノブリス・ゴルドンの工作員。
誰も彼もが目的を果たすため、そして身の安全のために警戒している最中で爆発が起きた。
『ッ! 射撃開始ッ!!』
返答は銃声だった。軍用モビルワーカーの20㎜機関砲がデモ隊の作業用ワーカーへと発砲される。資材によって装甲化されたとはいえ単純に工場で製造されていた一般流通の金属板がそう何発も耐えられるものでもない。
長く守って4発、少なくて一度きりしか守れない装甲は簡単に車体を穿ち、中身を悲惨なオブジェに変えた。一部がパニックを起こし、逃げようとしてデモ隊を轢き殺し、急造の追加装甲で最悪なバランスで横転し巻き込んでいく。追撃の砲弾が燃料に引火して火の玉を生み出すと周囲にいた者に引火、あるいは逃げようとした者たちによる将棋倒しが発生する。
阿鼻叫喚の地獄絵図が生み出されると誰が煽ったのか、ギャラルホルンに向かって突撃していく集団も出始める。逃げられないと諦め、友人や恋人、家族が逃げられるようにと決死の覚悟で特攻する。
悲しいことにそんな彼らの特攻は工作員らによって援護され通じてしまった。その演出された喜劇に囃し立てられたデモ隊が踵を返し、割れたガラス、砕けた路面の欠片、血塗られたプラカード、都合よく放置されていた粗悪な武器を片手に襲い掛かる。
怒号と悲鳴、絶えず鳴り響く銃声にクーデリアは立ちすくんでしまう。鉄華団の団員たちはそんな彼女を守るべく、頭を地面に押し付け姿勢を低くさせる。
刹那、風切り音と共にモビルワーカーの機関砲が丁度彼女の腹の辺りを通り過ぎて行った。直撃すれば首と手足を残して飛沫になっていただろう。
「伏せろッ! ガット、ディオスも無事だな!?」
「俺は無事だがガットが破片で負傷した!」
「なんだと!!?」
「肩をちょっと深く切っただけだ! もう止血してる!」
「シノ! どさくさでアイツらが何かしてくるかもしれない! 煙の多いうちに隠れるぞ!」
――その判断は正しい、と生の鉄火場を経験していないクーデリアを連れてこうとすれば、彼女は一人の女性労働者を抱きしめていた。
「ああ、私……革命の乙女に見送られて―――」
「違います! 私は……!」
「どうか………私たち、を……導い、て―――」
よく見れば血まみれで、作業用ワーカーに貼り付けていた装甲の破片が直撃したのだろう。綺麗な死に方とは言えない、ひたすら苦しいだけの仕方だった。
そんな彼女は助けてでもなく、恨み言を言うわけでもなく、苦痛に歪んでなお笑顔でクーデリアに託す。
「未来、を―――」
「! 待って、待ってください。意識をしっかりと……!」
「クーデリア!」
「シノさん! 彼女が……彼女が目を覚ましません。早く手当てを――」
白磁のような肌をなお白くし、もはや青白くなったというぐらいの顔色でクーデリアはシノに助けを求めた。
シノはその言葉を半ばで断ち斬り、もう光を失った女性労働者の瞼を閉じて、クーデリアの服をつかんでいた手を解いた。まるで夭折したかのように固く結ばれていたがそっと手を合わせるとその力はなくなった。
「ここは危険だ。混乱に乗じて港に戻る」
「ですが! 彼らは!?」
「
「見捨てるんですか!? 彼らをッ!!?」
「アンタが死んだらもっと駄目だろうが!!」
言い返そうとシノを睨み付けるクーデリアだったが、彼の顔に浮かんでいるのは悲痛な表情だった。
「アンタは生きて、死んでいったこいつらやこれからこうなっちまうかもしれない連中を救うんだ。こいつらの犠牲を無駄にしちゃいけねぇ」
「………今は耐えるしかないのですね」
「ああ。当然、いつか落とし前はつけさせるけどな」
悔しさが滲む顔で彼らは避難を開始した。
シノは横目でデカいビルでふんぞり返っているだろう連中に報復を決意し、クーデリアは自らが討ち倒すべき敵の影を垣間見た気がしたのだった。
☆☆☆―――――☆☆☆
一方でオルガと三日月はすんなりと事が進んでいることに不気味さを感じた。
ダンテほどでなくてもそれなりに電子戦に強い連中もいる。彼らの尽力によってフロアの一部が監視カメラ、警報装置などが切られていることを突き止めた。
あからさますぎる状況に警戒する理性へ虱潰しで踏み込むのは得策ではないと言い聞かせ、件の場所へと近づく。
「これまた何というか………警戒心ってのがないのか?」
作業服を着た男が二人、そわそわとライフルを携えていたのだ。それを端末越しに繋げたカメラで睨み付ける三日月がサイレンサーの付いた拳銃のスライドを引く。
「素人だ。一気に仕留めようか?」
「中の様子が見たいが……」
「手早くすませばいけると思う」
「よし。奥は俺がやる手前は任せた」
「了解」
二人は何の感慨もなく引き金を引いた。プルタブを開けるような音とともに弾丸は発射され、顔面を砕いて頭の中身を蹂躙する。
糸の切れた操り人形のように倒れようとするのを二人は支え、それを寝転がして持っていたライフルを手に取る。見た感じは使い込まれてもいない新品同然だった。
「新しいな」
マガジンから弾を抜き、薬室内の弾も取り除く。
勿体ないとも思うが使うのなら分解してからじゃないと使いようもない。見た目だけの粗悪品の可能性も捨てきれないのである。実際、CGS時代にあてがわれた銃の整備を怠った奴のものが暴発を起こし指を吹き飛ばしたことがあった。
そうして武器の無料化を終えると勘付かれる前に二人はドアの左右に分かれ、ハンドサインでタイミングを計り突入した。
再び、プルタブを開けるような音が何度かし、重い音や軽い音。硬いものが床に当たる音が連なって起きた。言わずもなが中に居た人間はアトラたちと床に転ばされているスーツの男以外、射殺された。
「オルガ……!」
「大丈夫かビスケット!?」
「アトラ、怪我は………誰にやられたの?」
二人とも、というよりは生き残っている側で無事なのはいなかった。
ビスケットは男だからと強く痛めつけられたか、目がはれ上がって塞がれてしまうぐらいには殴られ、血も流している。アトラも頬は赤く腫れ、鼻から血を流していた。その様を見た三日月が思わず、物言わぬ死体となった下手人へ追加の銃弾をぶち込もうとしたのをオルガが止めたことは言うまでもない。もしかすればのうのうとしているドルトの社員へ無差別に襲い掛かったかもしれないからだ。
フミタンもアトラと似たようなものだった。若干の服の乱れがあるが、オルガがビスケットに視線を向けるとビスケットは首を横に振る。かつての仕事終わりに壱番組が娼婦を連れ込んだ後によく嗅いだ臭いがしない時点で無いとは思っていた。しかし、名瀬やアミダ、メリビットなどから教養を叩き込まれたオルガはそれなりの屈辱を味あわされたのだろうと哀れに思った。
「すまねぇが俺達で勘弁してくれ。歩けるか?」
「大丈夫です。――慣れてますから」
「…………そうか」
そう言うとオルガはふらつくビスケットに肩をかそうとするが断られた。
もう一人、近くで顔の半分が青黒く腫れあがっている男を連れて行ってほしいとのことだ。
「兄さん、なんだ。俺の……」
「兄貴? そういやそんなこと言ってたな」
何時の事だったか、会うことはないがメールのやり取りはしていて、スラム出身ながら大企業の役員にまで大出世を果たしたのだとビスケットが誇らしそうに話していたのを思い出した。
ビスケットの兄貴なら助けない道理はないとオルガはなるべく優しく担ぐように背負う。
「少し苦しいだろうが我慢してくれ。逃げなきゃならないんでな」
小さなうめき声もそれ以降、聞こえなくなった。
時折、嗚咽や震えが感じられ、ビスケットがか細く、兄さんと痛ましそうに呟くのを聞き流す。
「(最悪、人のいそうなフロアで放置しておけば助かるだろう)上手くいかねぇもんだな」
予想外のことが起きすぎて、何もかもが滅茶苦茶になりかけている。しかしこれを乗り越えなければ望む未来なんて手に入らない。
オルガは自分に喝を入れ、身長の割に軽いビスケットの兄貴を背負いつつ、侵入してきたメンテナンスハッチに潜り込んでいった。
オリジナル要素が多く含まれてますがその殆どは今後もさわり程度でしか登場しません。
本編裏側ではこんなことが起きていて、それが後々に影響していたんだと表現したい欲望に負けたのです。
『ウングラバ・チェザーレ』
本作オリジナルでこれ以降の名前以外は登場しない。
60代半ばのアフリカ・ユニオンでは古株の政治家。イタリア系アフリカン。
アーブラウの蒔苗東護乃介をライバル視していて、十数年の歳月をかけ彼を失脚させる状況を作り上げた。
蒔苗の政敵であるアンリ・フリュウに無形の支援を密かにしていたがそれは蒔苗に比べ、色欲と権力欲に塗れたアンリを敵とすら思っていなかったためである。仮にアンリが代表になっていればスキャンダルを作り上げてアーブラウを内側から
のちに病死したとされているが続いた不審死もあり、一説では報復や暗殺など憶測は絶えない。
『バラクーダ級』
ギャラルホルンの次期主力となる高速駆逐艦。
ハーフビーク級に似ているというよりはVガンダムに登場するアマルテア級を流線形から角ばった形に変更したもののほうが近い。
長年運用され続けたハーフビーク級は無理のない高性能で汎用性の高い船だがその巨体からくる維持費と大きくなりつつあるギャラルホルンの人材不足、増え続ける海賊被害に対応するため以前より開発が進められていた。
ハーフビーク級よりも高速かつ高機動なため迅速な展開と戦線構築が期待されている。
反面、ハーフビーク級に対してモビルスーツの搭載数は劣っており、小型化したために単艦での砲撃能力よりは航行性能を重視している。ただしリアクターはハーフビーク級のもののため手法を炸薬式でなくレールガンに変更している。
バラクーダとは「オニカマス」のことである。
『例のモノ』
イーリス・ステンジャが取り寄せた対鉄華団・タービンズ用の秘密兵器。
製造されてから長い時が経っていたらしく、モスボール処理をされていてもイーリスの考案した装備に対応させるのに手間取っている。
『人質にされていた者たち』
外傷はあれど、乙女の尊厳にかかわるようなことはされていない。しかし血にまみれてしまっている状態は痛ましく、三日月が激おこぷんぷん丸になったのは当然のことである。
アトラ:打撲と鼻血、顔を殴られたことによる口腔内出血。
フミタン:腹部を中心とした打撲と肋骨に罅。
ビスケット;顔面の殴打による出血と歯の損傷と腫れ。
サヴァラン:集団リンチによる全身打撲。この中で一番の重傷。