あの後、すかさずヒーローが敵を取り押さえて一件落着。
男の子も保護され無事に両親と帰って行った…
地面に転がっていたマシュの盾は、僕が触れようとしたら金色の粒子になって消えてしまった。
おそらくサーヴァントが実体化するだけの魔力がなかった為に、マシュの盾だけが実体化したんだろう。無茶苦茶だな。
サーヴァントの武器がただの人間であるマスターの手元にあったとしても、使いこなすどころかまともな武器として扱うことすらできないと、以前ダ・ヴィンチちゃんか誰かに聞いたような気がする…
その英霊の座に魂と一緒に刻まれるような凄いものを、一応魔術師とはいえその辺の人間に扱えるはずがないのだ。
それを僕は一瞬で弾き飛ばされてしまったとはいえ、確かにマシュの盾を武器を扱えていた…
これはおかしいなあ、と思いその日の夢でカルデア緊急会議です。
「僕の魔力がまた増えたからなのかな」
「いいえ、これは私も…私たちも驚いているのだけれど…おそらくマスターがマスターであってマスターではないから、でしょうね」
「えっ僕ってマスターじゃないの」
「先輩は間違いなく私たちのマスターです!何を仰っているんですかメディアさん!」
混乱する僕にマシュとエミヤがフォローを入れる。
「キャスターが言っているのは言葉遊びのようなものだ。からかっていないでちゃんと教えてやれ」
「からかってたんですか!」
「遊び心のない人ね。まあそれは置いておいて、ちゃんと説明しましょう」
メディアに一言言ってからエミヤが僕と隣に居るマシュの前に紅茶を置いたので、とりあえず落ち着いてソファに座り直す。
メディアはローテーブルの反対側のソファに座り続きを話し始めた。
「貴方、今の自分の力をなんだと思っているのかしら?」
「何って…魔力…を持った魔術師が英霊を召喚している…?」
「その言い方は分かりやすい解説ではあるが真実ではない。マスターの力はすでに変質しているからだ」
変質…?じゃあ僕のこの力は一体…?
「貴方が私たちを召喚している力は魔術ではないということよ」
「そうか…この世界には魔術は存在しないんだもんね…だから僕がみんなを召喚しているこの力は…」
「「個性」」
やっとこの問題の答えに辿り着いたような気になったが、本題はここからだ。
僕が行使するこれは魔術でやっていたことと同じようなことができるだけで、今まで「魔力が増えた」と言っていたのも正確には「個性が成長した」というだけのことらしい。
そもそも、今の僕には以前の世界で言う"魔術師"としての能力はないそうだ。
僕の個性は魔術を使うのと同様の効果や結果が得られるだけの、全くの別物だということになる。
続けてメディアは、この個性について今まで何の問題もなかったので「そういうものだ」と思いスルーしてしまっていたが、今回の件で"僕の個性は魔術では不可能だったことを可能にするのでは"という見解を示した。
それが今日の「武器だけ召喚(仮)」な訳だが、これは同時に先の見解とは対照的な"今まで魔術で可能だったことが不可能になるのでは"というマイナスの可能性を示唆するものでもあった。
何だかめんどうなことになりそうな予感…
とりあえず武器だけの召喚の方が魔力消費…いや、個性力消費?かっこ悪いから魔力消費のままでいいか。伝わればいいんだし。
で、その魔力消費が少なくて済むから、僕自信が武器を使えるようになった方がいいんじゃないかって話になった。
攻撃力なんか別に必要ないし、まずは護りを鍛える為マシュの盾の扱いを学ぶのがいいという結論に至る。夢の中でなら魔力を消費せずに訓練できるしね。
そういえば、この夢の中で会えるのも"個性"の力か!すでにその恩恵に預かっていたとは…
翌朝、僕は「かっこいいから」という理由だけで王様のゲートオブバビロンを起動しママにしこたま怒られた。
だってかっこいいじゃん!ママだってこういうの好きなくせに!と反論したら説教が倍になったのは言うまでもない…南無三。
久しぶりの投稿です
全然書けなくなってしまった…すまない…