まあ、今うちにはセイバー居ないし…昼間は3倍強いバスターゴリラなので、ヒーローになるため呼ぶ英霊としては結構いいんじゃないかとマシュと相談し、ガウェインを呼ぶことになった。
前に燕青を呼んでから結構時間が経っているので魔力の貯蔵は十分だぜ!
今日はせっかくギャラリーが居るのでカッコよく決めようと思い、マシュの盾を召喚サークルに設置する。
いっくぞー!
"素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 "
"降り立つ風には壁を 。"
"四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。"
サークルが起動し輝き出す。
周囲にそよ風が吹き始め、空気が変わる。
"閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。"
"繰り返すつどに五度。"
"ただ、満たされる刻を破却する。"
"──────告げる。"
"汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。"
"聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。"
更にサークルが反応を強め、周囲には強風が吹き荒れ僕の髪を巻き上げる。
令呪のある右手を左腕で押さえ付け固定する。
"誓いを此処に。"
"我は常世総ての善と成る者、"
"我は常世総ての悪を敷しく者。"
"汝 三大の言霊を纏う七天、"
"抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──────!"
前が見えない程サークルが光を発し、大量の魔力を持って行かれる。
「円卓の騎士、ガウェイン。今後ともよろしくお願いします」
発光が収まり瞼を開けると同時に、跪いて口上を述べる筋肉バスターゴリラ───失礼、ガウェインが視界に入った。
サーヴァントたちには聖杯からの知識供給のような形で、現代の知識や召喚者…つまりはマスターの現状があらかじめインストールされた状態で召喚されるらしい。
確かに今まで状況の説明とか一切してないもんなー。
思えばマシュも燕青も英雄王も召喚するなり一も二もなく僕を守ってくれたもんなあ。
トッシーと先生に挨拶しているガウェインを横目に見つつ、大量の魔力消費から来る疲労感を覚えていると、僕の出来る後輩が飲み物を差し出してくれた。ありがたい。
ゴクゴクとママが持たせてくれた水筒の麦茶を飲んでいると、ガウェインの剣技を見せて貰おうということで話がまとまっていた。
一応ガウェインがこちらを振り返って僕の許可を待っているので親指を立てておいた。やっちゃえセイバー!加減はいらねえ!
流石に宝具は撃っちゃダメだからねー!承知しております!と離れた位置に移動するガウェインに釘を刺しておく。
隣にスタンバっているトッシーに宝具とは何ぞやと聞かれたので、大火力の必殺技だと説明しておいた。
多少の大技だと思ってもらっては困る。
全体攻撃の対軍宝具なのでとりあえず周辺の壁は完全に吹っ飛ぶだろう。
トッシーや先生も毎回破壊の限りを尽くしているので多少は問題ないんだろうけど…そういうスケールじゃないしね…はは。
ガウェインがお手本のような綺麗な型の披露を終えると、ちょうど良いから手合わせしてもらえと先生がトッシーに無茶ぶりする。
あの、人間相手にそれは…毎回思ってるけどトッシーよく死なないね?
頼むから、間違ってもガウェインと戦ってる間に死なないでね…寝覚めが悪いにも程がある…
まあ、ガウェインならそんなミスしないと思うけど。
トッシーが一縷の望みをかけ、ガウェインに手合わせは可能かと聞くと「問題ありません」とその願いは切って捨てられた。
セイバーだけに。ふふ。
もちろんトッシーはまたもやボコボコにされました。
うちのカルデアにはいません。来い。お前の王はだいぶ前からいるぞ。