あっっっっっっつい!!!!
はい、今日は幼稚園の運動会です。
アホほど晴れているので帽子なんて何の意味もなかった。
太陽に無敵貫通ついてる。
あまりにも暑くてフヨおばあちゃんはちょっと気分が悪くなってしまったので、マシュに付き添ってもらい家に帰ってもらった。
ビデオはメディアが撮ってるので大丈夫。
今も暑い中全力疾走したお陰で汗だくの僕を撮っている。やめて欲しい。
でも僕は寛大なのでマスターの無様な姿を撮影しているメディアに何も言わない。フヨおばあちゃんのためにも必要だし。
運動会は基本個性の使用は禁止だが、異形系の子は個性を使わないとか不可能なのでぶっちぎりだった。
なんで僕の走るレーンには4人中3人も異形系の子が居るんだ!おかしいだろ教師ちゃんと考えてくれよ!
当然のようにビリでしたが何か?言っておくけど3位の子とは接戦だったんだからね。
それでも僕はメディアを許してやろう。
そう、短距離走が終わったので次はお昼!!やめろそのエビフライは僕のだ。
素晴らしいお弁当を食べて気力体力共に回復したので、もう誰にも僕を止められない。
次は保護者も参加する「乗りこなせ☆うよきょくせつ!?レース!」だ。運動会の種目のネーミングってなんでいつもこんなんなんだろうか。
ひらがなで書いてあるけど幼稚園児に「紆余曲折」って通じないんじゃ?
「マスター、次は1位を取りなさい。おばあ様も期待していたわよ」
メディアがビデオ片手にガッツポーズを取る。
フフン、こっちには秘策があるんだ。舐めるなよ。コラ!エミヤもなんでやれやれみたいな顔してるわけ!?
くっそー、目にもの見せてやる!
レーンに並んで乗り物の品定めをする。練習では三輪車が一番乗りやすかった。
キックボードもスピードが出るので狙い目だが、コーナーの多いこのレースではスピードより小回りが重要になってくる。
しかも舗装されたアスファルトの道路の上ならまだしも、砂のグラウンドの上ではキックボードは本来の性能を発揮できない。
スタートラインに並んでピストルの合図で走り出す。
よし!三輪車ゲットだぜ!!公衆の面前で一生懸命三輪車を漕ぐ姿を見られるのはいささか以上に恥ずかしいものがあるが、構ってられるか!全速前進DA!!
右コーナーを大きく回って保護者にバトンタッチする。うおおコーナーで差をつけろ!
僕は素早く三輪車を降りてエールを送った。
「行けー!!ライダーの騎乗スキルを見せてくれー!」
「お任せくださいマスター。この私に乗りこなせない騎馬などありません」
紫色の長い髪をたなびかせ、知的な眼鏡がキラリと光った。
乗っているのは三輪車で全然馬じゃないんだけど…騎乗スキルA+は伊達じゃなかった…
ライダーは圧倒的なスピードでコーナリングを決めて、他の保護者と差をつけまくり余裕の1位を獲得していた。
ママたちのところに戻るとマシュも戻って来ていた。
「流石ですおふたりとも!ぶっちぎりの1位でしたね!…フヨさんが自分はもう大丈夫なので戻るようにと仰られて、水分補給もされて問題なさそうでしたので戻って来ました」
「やっとまともな成績を残せたな。これも昼食で十分なエネルギー補充したからだろう」
「おかえりマシュ!おばあちゃんも大丈夫そうでよかった…そりゃ当然だよ!なんたってうちにはライダークラスのメドゥーサが居るんだから!!」
う~んメデューサ最高!と言いながらハイタッチで合流した。
またワイワイしながら観戦に戻る。
あ~麦茶美味しい!勝利の美酒…じゃない。美茶?
運動会前にメドゥーサが来たのはよかった。
若干…いや、かなり目立ってしまったので奇異の眼で見られているが、勝利のためだ仕方がない。
マシュが戻って来てメディアの隣に座って、メデューサもその反対側のメディアの隣に座ったので周囲からは「姉妹?」「なにあの三輪車テク」「綺麗~」なんて声が聞こえる。
そうだろうそうだろう。みんな綺麗だろう。
僕もみんな髪色が似てるので三姉妹っぽいな~とか思っていたんだ。
なんかすごい息抜き会になってしまった。
一話とか二話のシリアス感はどこに行ってしまったんだろう。