「すみません師匠、この子を送っていたら…遅れてしまって…」
え?僕に矛先向かない?と思ってトッシーを振り返ったら床に倒れ込んでいた。
お師匠さんなんですか?いきなり腹パンして来る人が?
スパルタだなあ。スパルタの語源らしいレオニダスは訓練中はまだしも日常ではもうちょっと紳士だったけど。
確かスパルタは古代ギリシャの軍事国家で、みんな幼い頃から厳しい訓練を積んでいたらしい。
確かテル…テルモピュライ?という戦いで、スパルタ軍は侵攻して来る十万のペルシア軍とたった三百人で三日間も戦ったのだ。
結局レオニダスも死にスパルタ軍は負けてしまったらしいが…
ペルシア軍は武器がなくなってもなお、ものすごい肉弾戦を仕掛けてくるスパルタの兵士たちを恐れ、距離を取り矢の雨を降らせスパルタ軍を壊滅させた。
それでも、その三日間だけでもペルシア軍の死者は二万にも登ったという…何度聞いても凄まじいな。
このお師匠さんの方がまだ人間の領域にいる。
お師匠さんは僕に挨拶すると「お前も入れ」と言ってトッシーを引きずり先に保健室に入って行った。
ちょっと関わりたくない気持ちはあるが、経験上なるようにしかならないので諦めて僕も挨拶して保健室に入る。
チヨさんが入り口近くの椅子に座っていたので、そのままチヨさんにも挨拶して例の荷物を渡した。
持って来てくれたお礼だと言いながらいつものようにお菓子を両手いっぱい渡される。
この人のポケットはお菓子専用の四次元ポケットになっていると僕は常々思っているのだが、聞く勇気はない。
こっちもお礼を言ってラムネを口に放り込むとようやくトッシーが復活した。
すんごい音してたけど普通に立ち上がってる…肉体的ダメージより精神的なダメージが効いてるっぽい。
多分トッシーはお師匠さんには一生頭が上がらないんじゃないだろうか。勘だけど。
これで僕の用事は終わったのでもう帰ろうかと思ったんけど、せっかく来たんだし見学していかないかと言われたのでお誘いに乗ろうと思う。
普段来ない場所だし…あと勢いがすごくて断り切れなかったのもある。うーんオジマンディアス。
お師匠さんもギャラリーが居た方がトッシーの気合が入るかもしれないと言うので遠慮なく付いていく。
保健室から色々と施設の解説をしてもらいながら訓練所に移動して見学してるんだけど…お師匠さん本当にパワフルな人だなあ~。
トッシーはフルボッコです。
飛びかかっては殴られフェイントをかければ蹴られ挙句の果てには鳩尾に入った一発でリバース。
僕ちょっと心配になってきた。彼の精神が。
最初は普通の組み手をやっていたが、次第に個性を使ったトレーニングに移行する。
トッシーってパワー系なんだね。
見た目爽やか系だけど、サーヴァントだったらバスター3枚だわ。絶対。
やっぱりアーサー王やオジマンディアスっぽいと感じたのは間違っていなかったと確信する。じゃあ宝具は対城宝具か…こわ…
お師匠さんはなんか縦横無尽に飛んでる。
いや、跳んでる?っぽい。空中でも空気を蹴るみたいにして方向転換したりしてる。
ただ空中に浮遊してるのとはまた違くて…すげー。
個性の使い方でもやっぱりお師匠さんのが何枚も上手みたいで、トッシーは更にボコボコにされてる。
トッシーが距離を取って拳をふるうと地面がえぐれて…これ誰が元の地面に戻すんだろう。そういう業者さんとかと契約してるのかな。
あ、そんな呑気なこと考えてる場合じゃない!やばい破片がこっち飛んできた!
2人とも気付いて焦ってるけど距離があるので間に合わなさそう。
僕も呑気に体育座りしていたので避けられそうにない…ので魔力を回しマシュを呼ぶ。
あれ?なんかすっごい魔力持っていかれる…待って、ちょっと気絶しそう。
「ふはははは!この我(オレ)を呼ぶとは、運を使い果たしたな雑種!」
目の前が金ぴかになったと思ったら気絶した。
昨日からやけに魔力を持っていかれると思ったら王様か──────!!
やっと召喚時のセリフまともに言うサーヴァントが出て来ました。
自分で「フハハハハ!この我(オレ)が直々に召喚されてやったのだ」まで書いて普通の召喚時ボイスでええやんと思いセリフ確認したら前半合ってたのでびっくりしました。
王様分かりやすいかよ。
途中で名前だけ出したオジマンも黄金フラグだったりします。(適当)
追記
申し訳ないスパルタの語源間違って書いていたので修正しました。
レオニダス王すみません…お詫びにテルモピュライの戦いについて加筆しておきましたので…
降伏を呼び掛けられたレオニダス王は「(自分の首を)来たりて取れ」と言ったそうで、私は三木さんの声で再生されました。